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水資源制約時代における中国・インドの穀物生産量モニタリング法の提案

金子大二郎・大西政夫


1 正会員 博()  松江工業高等専門学校教授 土木工学科
   (〒690-8518 松江市西生馬町14-4
2 博(農) 島根大学生物資源科学部 生物資源教育研究センター
   (〒690-1102 松江市上本庄町2059


 本研究は,中国・インドの巨大な人口増問題と新たな水資源制約時代を背景に,現代における穀物需給の体制上の問題点と水資源不足の視点から,穀物生産量の監視について,現在の気温中心のモデルを発展させた光合成型のモニタリング法が必要であることを説いている.人口の巨大な両国における水制約の条件下では,従来からの有効積算気温や植生現存量ばかりでなく,日射と作物の水ストレスをも考慮した穀物生産指標を新たに開発することが必要である.本論文は,世界気象データと衛星による植生指標を用い,日射・有効気温・植生現存量・気孔開度を考慮した光合成型の穀物生産指標をモデル化し,水資源不足時代における穀物生産量を早期に監視する方法を提案している.小麦・米・トウモロコシ等の穀物生産量の中で水稲を研究対象として最も重視する.その理由は,水稲は食糧問題の中で単位面積当たりの収穫量が小麦より高いことから人口扶養力が大きく,また,水資源を最も多く必要とし,水配分の視点から重要な作物となっているからである.


Key Words: crop production, monitoring, Remote Sensing, World Weather Data, photosynthetic production index, water stress