A−16

温暖条件下で育成したコナラの成長

 

奥田尚孝1・中島敦司2・中尾史郎3・山田宏之4・養父志乃夫5

 

1 正会員 和歌山大学大学院博士前期過程 システム工学研究科

  (〒640-8510 和歌山市栄谷930番地)

2 正会員 博(学) 和歌山大学助教授 システム工学部(同上)

3 正会員 博(農) 和歌山大学助手 システム工学部(同上)

4 非会員 博(学) 和歌山大学助教授 システム工学部(同上)

5 正会員 農博 和歌山大学教授 システム工学部(同上)

 

 年間を通じた気温の上昇がコナラの成長や生物季節現象に及ぼす影響を検討する目的で,3年生の実生苗を野外の気温に1.5℃,3.0℃,4.5℃加温した温暖条件および野外と同温,-1.5℃に調整した人工気象室内で育成した。その結果,春の開芽開始は,+1.5℃区,+3.0℃区,+4.5℃区で早くなる傾向が認められた。樹高伸長量,着生葉数,地際直径,全乾重は+3.0℃区,+4.5℃区で大となり,特に+4.5℃区の根の乾重が著しく大となった。また,+3.0℃区,+4.5℃区で落葉せずに着生した状態で越冬する個体が確認された。主軸の細胞長は加温区で増加した。そして,紅葉の進行は加温区で遅れる傾向が認められた。SPAD値,光合成速度は+4.5℃区で低下する傾向が認められた。以上の結果,生育環境の気温上昇は,樹高伸長量,着生葉数,器官別乾物重量,地際直径等の増加,光合成速度の低下,春の開芽時期の促進,紅葉の進行の遅れ,落葉せずに越冬などの現象を引き起こす可能性があると考えられた。

 

Key words: fallen leaves, growth, photosynthesis, Quercus serrata, warming