関東の土木遺産 関東の土木遺産
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神奈川県
しみずやととんねる
清水谷戸トンネル
R4年度認定(2022)
1.名 称:
しみずやととんねる
清水谷戸トンネル
2.完成年次:
1887年(明治20年)上り線 下り線は1898年(明治31年)
3.形式等:
延長 213.4m 幅員 4.27m 高さ 4.27m
構造煉瓦造り
  ポータル ピラスター(付け柱)と笠石が施してある。
  アーチ覆工部 煉瓦積み 煉瓦目地は覆輪目地を用いる。
4.設計者等:
設計者:工務部鉄道局
施工者:杉井組2800選Cランク
5.推薦理由:
 日本の鉄道網建設は、新橋ー横浜間(明治5年(1872年)開通)に始まったが、東京・京都間(両京幹線)のルートがなかなか定まらず停滞していた。これを明治19年(1886年)、鉄道局長官井上勝の英断により、ルートをこれまでの中山道案から、東海道案に大きく舵を切っだことにより一気に工事が進み、やがて明治の終わりには全国に跨る鉄道網が完成した。この工事の第一歩となったのが清水谷戸トンネルである。
 清水谷戸トンネルは、JR東海道本線の横浜駅と戸塚駅の間に位置する、明治20年(1887年)に建設された現最古の鉄道トンネルで、現在もこのトンネルを通り多くの乗客が輸送されている。
 断面の形状は、日本で最初の山岳鉄道トンネルである逢坂山トンネル(明治13年(1880年)竣工)と同じ高さ(14.0f)、幅(14.0f)で、側壁を垂直に建てた逆U字型となっている。(下り線は馬蹄形)
 施工は杉井定吉が興した杉井組が担当し、当時東北本線や関西本線など全国の鉄道工事を請け負っていた業者で、この工事のために鉱山より坑夫を募集して施工したとの記録が残る。
 構造は煉瓦造りで、ポータルにはピラスターと笠石が配置され、内部の覆エも側壁部以外は当時のものが残されている。また煉瓦の目地には、東京駅などで使用された珍しい覆輪目地が施されている。
 このように清水谷戸トンネルは、明治期における鉄道建設史の分岐点となった記念碑的構造物であること、現役最古の鉄道トンネルであり、建設時の煉瓦構造の大半がそのまま残されていること、また、これらを維持するために、建設以来135年間にわたる貴重なトンネルの維持管理技術が蓄積されていることなとから、明治期の鉄道技術を今に残す土木遺産として認定し、後世までその功績を伝えたい。
6.所在地:
神奈川県横浜市保土ヶ谷区、戸塚区
7.管理者:
東日本旅客鉄道株式会社
8.連絡先:
東日本旅客鉄道株式会社横浜支社設備部土木課
横浜市西区 平沼1-40-26 tel:045-320-2716
 9.位置図(両京幹線ルート案)
 10.写真
下りトンネル完成直後

明治31年(1898)頃
(日本国有鉄道百年史より)

 ・ピラスターと笠木が
  施されている。
 ・この時は、下り線の
  断面も逆U字型のよう
  に見える。


全 景
現在のトンネル状況

 ・下りトンネルは馬蹄形
  をしている。
 ・アーチ部から下の側壁
  部は、大正14年に煉瓦
  造りからコンクリート製
  に改築。


トンネルの現況(JR東日本提供)
 トンネルの維持管理

 100年を超える溝造物であるため、入念な維持管理体制が取られている。
  ・煉瓦トンネルの目地修繕を適切に行っている。
  ・この他、トンネル覆工表明撮影車の使用でレーザー計測装置を搭載している。
  ・さらに、トンネル覆工内部検査車を使用し、打音調査を補完する電磁波レーダーによる、
   内部を非破壊で検査ができるような体制をとっている。


トンネル内部の煉瓦積(JR東日本提供)
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