関東の土木遺産 関東の土木遺産
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新潟県
とちがはらじすべりだいいちごうしゅうすいせい
栃ケ原地すべり第1号集水井
R2年度認定(2020)
1.名 称:
とちがはらじすべりだいいちごうしゅうすいせい
栃ケ原地すべり第1号集水井
2.完成年:
1955(昭和30)年
3.形式等:
○集水井戸
 (1)構造:鉄筋コンクリート造
 (2)外径: 4.0m
 (3)内径: 3.4m
 (4)高さ:18.0m
4.推薦理由:

① 概要
新潟県の砂防事業の歴史は古く、今から約100年前の1921(大正10)年に開始し、関川支流万内川に県内最初の空石積堰堤を施行したのが始まりである。
また、新潟県では全国に先駆け、1950(昭和25)年に水平ボーリングによる地下水を排出する工法を開発し、その後も、滑り面に関わる深層地下排水を目的とした集水井工等を開発した。
集水井工であるが、1955(昭和30)年に柏崎市(かしわざきし)高柳(たかやなぎ)町にある栃ヶ原(とちがはら)地すべりにおいて、第1号集水井が日本で初めて建設され、地域の防災に寄与するとともに地域の発展に貢献してきた。この工法は、その後全国に普及し、著しい防止効果を発揮することになった。
なお、本施設は、建設から60年以上経過しているが、今も現役で活躍している。

② 歴史的背景
栃ヶ原地すべり地区はJR柏崎駅から南南東へ約20km、標高200~250mの丘陵地に位置し、1860年に大規模な地すべりが発生して田畑や人家に甚大な被害が生じ、その後も繰り返し地すべりが発生したといわれている。
1955年12月に栃ヶ原地すべり第1号集水井が完成し、古くから地すべり被害に苦しんできた地域の防災に寄与するとともに、地域の景観の保全と発展に貢献してきた。

③ 希少性・独自性
1)日本初の集水井
集水井は、新潟県の技術者が開発したものであり、柏崎市高柳町栃ケ原字大杉の栃ケ原地すべりにおいて、日本で初めて建設され、直営で施工された。
なお、開発に当たっては、新潟にあった駐留軍のCIA図書館で見た本(地すべりの論理的な事が書いてあるが図面の記載は無い)に、記載されていたラジヤルウエル(今でいう集水井戸)と満州井戸からヒントを得て行われた。
2)集水井の形状の工夫
当初、県ではケーソン工法を応用して、四角形の現場打鉄筋コンクリートを考えたが、土圧や現場での施工性からこれを断念し、放射状に集水ボーリングを施工することとし、円形の方が土圧に有利であることから、円形の集水井を考案した。
3)集水井の施工の工夫
施工中の土圧を軽減させるため、地上から10m程度45°勾配でオープンカットし、カット面から計画深度まで井内を掘削して、現場打ち鉄筋コンクリートを自重により沈下させ集水井を構築した。沈下後には、井戸を継ぎ足し、深度を下げていったが、自然沈下が困難な場合は、土のうなどで荷重をかけて強制的に沈下させた。
4)その他
当施設は、令和元年12月5日に登録有形文化財に登録された。

④ 地域のコミュニティー活動としての利用
柏崎市高柳町にある「新潟県立こども自然王国」では、来園する子供達に様々な体験プログラムを提供しているが、令和2年度から栃ヶ原地すべり第1号集水井の見学を含む体験プログラムが追加される予定となっている。

5.設計者・施工者:
・設計者:新潟県
・施工者:新潟県
6.完成当初との改変状況(補修履歴等):
・集水井の蓋の新設(井戸内への転落防止対策のため)
・ポンプを撤去(近隣の人家で地下水を利用していたが使わなくなったため)
7.「日本の近代土木遺産2800 選」ランク:
8.所在地:
新潟県柏崎市栃ヶ原
9.管理者:
新潟県
10.管理者連絡先(同意を得ている担当部局・担当課・係名まで記入):
所属名:新潟県柏崎地域振興局地域整備部治水・港湾課
住 所:〒945-8558 新潟県柏崎市三和町5-55
電話番号:0257-21-6337
11.選定された場合に実施を予定しているアピール方法(選定前ですので、選定されたら実施したいと考えている内容で結構です):
・表彰式は、毎年行っている土木学会関東支部新潟会主催の「土木の日講演会」の冒頭に行う。また、新聞各社などマスコミへの周知も併せて実施する。
・選奨土木遺産認定に関する看板を現地に設置するとともに、ホームページで紹介することにより、広く一般に周知する。
・「土木の日」のイベントにおいて現地見学会を開催し、参加者に選奨土木遺産認定を広く周知する。
12.選奨土木遺産に関する連絡ご担当者:
〒950-8570 新潟県新潟市中央区新光町4-1
担当者名:新潟県土木部監理課 企画調整室長 清田 仁
電話番号:025-280-5838
FAX 番号:025-285-3572
E メール:

当時の設計図

当時の施行状況(鉄筋組立)

現在の状況(集水井天端)

現在の状況(集水井の中の様子)

選奨土木遺産申請範囲

位置図
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