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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2011年11月号モニター回答


■ 工事報告:迫川上流・荒砥沢ダム 災害復旧事業調整池造成工事 竹谷 喜代春

まず、写真を見て”何、これ、冗談だろう“と思いました。私は、環境にはそれほど思い込みはありませんが、これはひどい。他に方法は無かったのかと思いました。自然環境破壊の最たるものではないでしょうか。災害復旧工事とはいえ、もう少し場所とか、池の形状との選択はできなかったのか。(後略)
(氏名:金原義夫)

■ スリランカ初の高速道路建設 青木 俊彦

総延長100kmとさほど大規模のものではないかもしれないが,スリランカにとっては大きな一歩となったであろう。施工に際しては,おそらくその地特有の地盤工学的問題にも直面されたのではないだろうか。どのような問題があり,どのように対処されたのか,是非機会があれば披露いただきたいと思う。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■ 第84回 東京大学地震研究所 教授 古村 孝志さんに伺いました

コンピュータによる地震動や津波予測の高度化シミュレーションについての取組み記事であった。 発生間隔が長い地震は再来を待つことが現実的ではなく、データの蓄積も高密度なデータはわず か10年という歴史の浅い状況にあり、その中でより高度化した、リアルタイムに予測ができる技術 開発が被害を減らしていくうえでの重要性は強く感じた。プレートの動きから予測精度を高めること は難しくとも、より即座に検知し警報につなげることで、多くの人に情報が早くは入り、備えに移せ れるよう技術革新をしていければ良いと思った。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)

■ 第9回 江戸の測量に学ぶ 水野 雄一、河村 倫太郎

たまたま最近、吉村昭の「間宮林蔵」を読んでいて、林蔵が伊能忠敬から測量技術を学んだこと、当時の測量手法の紹介などがあったため、本記事についても興味深く読むことができた。私自身、伊能忠敬が全国各地を歩きながら非常に精密な地図を作ったという知識程度しかこれまでも持ち合わせていないことから、「江戸時代の測量術」を今一度学んでみたいと思う。後編も楽しみである。
(所属:(財)阪神高速道路管理技術センター 氏名:志村 敦)

■ 記事2 東日本大震災を踏まえた道路計画と設計の課題 奥村 誠

東日本大震災では、道路にも大きな被害が及び、緊急搬送や救援物資の運送が一筋縄ではいかないなどの影響が出た。道路の復旧計画を立てる際、財源調達問題に加えて100%の復旧をしても長期的に使われ続ける見通しがない状況であるため、基本方針策定に時間がかかり、この時間の経過とともに人口や産業の流出が進んでしまうというジレンマがあるという。ある程度の柔軟性を持った戦略を立て、常に見直しを行える体制をとりながら、復旧を進めるかがとても重要だと感じた。一刻も早い復興を願う。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:飯島雄一)

今回の震災ではこれまでの記事にも記載されていたように、高架橋等は耐震補強の効果から高速道路等の早期復旧には効果があり物資の輸送に役立った。しかし、一般道路やその下を通るライフラインの復旧には課題も残り、結果的に物資が手元に届かないという事態になったのはこれからの課題だと認識した。各ライフラインの総合的な耐震性の連携を図ること、そのために震災時の早期復興に備えた計画時の配慮は重要な要素だと感じた。被災地の今後の復興について、先の不安定な状況下で復旧スタートの判断が切れない地域が出ているという記載があったが、国の関与も含め、早期に推進できる体制を構築するべきだと思った。
(所属:東京急行電鉄  氏名:鶴池 康介)

東日本大震災の直後には津波等の影響により港湾が利用できなかったことから、これまで体験した大地震に比べて道路の不通の影響が特に大きかったことを本記事を読んで実感した。 道路はインフラの基幹を担っており、震災後の早期復旧は人流・物流の観点からも特に大切である。ただし、復旧に要する労力が有限であるため、復旧速度や構造物の性能等に強弱をつけ、トータルとしての最適な復旧計画をたてる必要がある。そのためにも、それぞれの地域毎に、それぞれの道路における、周辺ネットワーク内の位置付け、要求される性能、他のインフラとの関連性等を把握し、手順や方向性を事前から検討しておくべきではないだろうか。
(所属:JR東日本 氏名:山田 拓也)

■ 記事1 東日本大震災を踏まえた災害時の情報の課題 関谷 直也

「震災時に、多くの人はソーシャルメディアを情報収集のツールとして利用したが、そこで有用な情報を多くの人が得られたかは別である。」という言葉が非常に冷静に語られているのが印象的でした。そういえば、私自身も東日本大震災の時、テレビの情報がなかなか入って来なかったので、ツイッターをリアルタイムにチェックしていました。そのタイムラインでは首都圏の情報はたくさん入ってきているのに、震源地に近い東北からの情報がほとんどなかったことにかなり不安感と違和感を持ったことを覚えています。即時性と大量性の観点から、情報収集と情報提供の両面でソーシャルメディアの適用はかなりの期待ができると確信してますが、誤情報の広がりや1次情報が少ないデメリットを踏まえた上での活用が必要でしょうし、緊急時に不安定な電気通信インフラだけに頼るのも限界があることも認識しておく必要がありでしょう。情報がほとんどなくても、またはたくさんの情報に埋もれてしまったとしても、自分や家族を守るためのトリガーだけは認識するきっかけ、このトリガーに気づける防災教育の充実は重要ですね。
(所属:株式会社福山コンサルタント 氏名:金子俊之)

■ 記事2 震災後の道路交通状況、被災状況の収集と共有 八木 浩一

自家用車や支援物資を運ぶトラックの移動実績情報を可視化する技術は、道路の復旧状況等を把握する上でとても有用であると思いました。今後、この情報を道路の稼働状況・車の通行状況の把握だけでなく、どのように活用していくかが課題であると感じました。
(所属:大林組 氏名:住永哲史)

■ 東日本大震災から得た中小企業の事業継続計画の教訓[提言者] 辻田 満氏

BCPの整備はまだまだ発展途上であり,今後さらに普及・改善されていくべき分野である。「想定」とは定義が難しいものであり,想定外に機能すべきとするならば,想定外の何かしらを想定しているとも受け取れるし,むしろ何かしらの想定がなければ計画は立案できないと考えられる。どのような非常時に対応する必要があるか熟慮する必要はあるだろうが,企業のみならず,自治体も有事に際しての事業継続を今後官民一致して検討していくべきであろう。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■  第2回 道路維持管理編 和泉 公比古、篠ア 真澄、辻本 剛士

1日約110万台を超える車が通行する首都高の維持管理について、私も一利用者として興味深く拝見させていただきました。建設から何十年も経過し、近年では交通量の増大等で劣化が懸念される構造物でありますが、全面通行止めによる補修工事は都市機能に大ダメージを与えるため、車を通しながら維持管理をされていることは、非常にご苦労が多いかと思います。5号線の事故は、あれだけの大事故にも関わらず都心の真ん中で短期間復旧させたことは、技術力の高さと部署間連携の強さを感じました。土木はチームワークという和泉さんのお言葉がありましたが、私も土木技術者として同じおもいを持っております。非常に参考になる内容でした。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)

現場で働くと言う極めて当たり前のことが、疎かになっている今、なぜ現場なのかと言う疑問に極めて明快に応えてくれる登壇者のご意見であったと思う。高速道路で起きた災害時において必要なものは、現場の状況を知り、それを利用する人々の思いを図りながら、早期の復旧を進めるために、関係各所に協力を仰ぎながらスピーディに進める。とてもダイナミックでめったに体験できないことであろう。もちろん、災害は起きてほしくはないが、起きた時にどう動けるか?社会基盤を守る我々に示してくれたヒントではないかと感じた。社会基盤の整備と一言では語りきれない土木の役割について、諸先輩方がより広くアピールすることは、土木に携わる後輩達を増やすものであることから、非常に重要であると感じた。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)

■ 信頼回復に必要なのは「国家土木」ではなく「市民土木」 島津 翔

記事にも指摘されているが、私も土木における「イメージアップ」はずっと代わり映えがせず、どうしても実態を伴わない、上滑りしているような印象を抱いてきた。それは、普段「お上」の仕事をするために周囲に対する配慮がなおざりになっているような工事現場が、突然「イメージアップ」の名のもとに、休日だけ姿を変えるような形を取っているからではないだろうか。それよりも根本的に、建設業自体が魅力的な産業となり、もっとたくさん身近な人がそこで働き、口コミでモノづくりの魅力が伝わってくるような世の中にしないと、本当の意味でのイメージアップは実現しないと思う。そのためのアプローチの一つが記事で挙がっている「市民土木」ではないだろうか。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)

■ 土木技術者の原点 木村 亮

筆者の土木技術者の原点に対する考え方に共感します。人々の暮らしの基盤を整備し、安心と豊かさを守る素晴らしい技術と思っています。それだけに技術者としての責務は大きく、深い技術力と情熱が必要です。「土のう」を使い道路普請や洪水防止を行い、地域の生活を守る活動に土木の本質を見る思いがします。特に最近土木技術者の役割に対し、使命感や心意気というものが薄れているように感じます。ここ数か月学会誌で掲載された東日本大震災における各自治体へのインタビュー記事においても、淡々と現状を述べるだけでこの地域をどのように復旧・復興して行きたいという意気込みが感じられなかったのは残念でした。小生も土木技術者の一人として原点を踏まえた活動を続けたいと考えています。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション 氏名:比奈地 信雄)

■ 土木への「わるいイメージ」は払拭できる! 社会コミュニケーション委員会

この記事の中でも言及されている通り,正しい情報をインプットできれば,土木に対するイメージは向上すると思う。現状は,土木自体が人々の生活に身近すぎるため土木の重要性が薄まり,悪い部分のみがピックアップされがちである。今回の記事では,パンフレット効果によって「中立的な水準」へとイメージ改善に繋がったようだが,対象とした年齢層が気になった。パンフレットを見る限り対象年齢がやや低いのではないかと感じたが,年齢層別で結果がどう変化するかも知りたかった。今後は「良いイメージ」へとさらにイメージアップできるように,土木業界全体で取組んでいく必要があると感じた。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)

一般市民にとって土木のイメージとは公共事業のイメージであろう。公共事業と言えば、枕詞に「無駄な」が定着し、今や予算は削減の上に削減され話題にも上らない。少し考えても市民の頭に浮かぶであろう無駄イメージには枚挙にいとまがない。それに加え、昨今でも建設会社から政治家への裏献金疑惑の報道がある。道路・河川・港の役割を否定する人はおらず、東日本大震災でも道路がつながって復旧に貢献したことを認めない人はいない。確かにそうなのだが、それも含めパンフ配布などで土木そのものが持つ効能をアピールするのは、一方で目先をそらしていることになっていないか。わるいイメージ、不信感を生み出す負の部分についてその解消をアピールしなくては真のイメージ回復はないのではないか。
(所属:国土交通省 氏名:佃誠太郎)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会