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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2011年1月号モニター回答


■ 表紙・裏表紙

新年の学会誌にふさわしい恭しい光景だと感じました。学会誌全体の印象を決定づけることにもなるので、毎号の表紙写真は楽しみにしています。
(氏名:坂上聡史)

■  土木改革を主導する学会に 山本 卓朗

建設会社を退職して10年余り経ち、市民の目線で土木事業を見ると限られた世界で動いていたんだなあという実感を強くしました。また自分なりに素晴らしい構造物を社会に提供してきたと自負していましたが、世間の土木構造物に対する冷たい風評に侘しい思いをしています。巻頭言で「冷静に建設の歴史を振り返り、土木界の功罪をしっかり認識して将来のあり方を論ずるのが妥当である。功はともかくとして建設する事が自己目的化し、市民感覚から、乖離したマイナス面を見つめなおす事が大事」と述べられているように今こそ真剣に「土木改革」を進めるべきと考えます。学会員一人ひとりが積極的に参画し、学会の司令塔のもとで取組んでゆく事が大切と思われます。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション 氏名:比奈地 信雄)

土木学会が土木改革の司令塔になるとの意見、賛成である。情報通信技術(IT)の発達により、今まで声を発する機会のなかった人が声を挙げる機会が格段に増えた。お役所の政策立案においてもパブリックコメントが当たり前のように行われている。ちょっとした声から改革のヒントを得られることもある。土木の諸先輩に教えを乞うのと併せて、このような手段でアイデアを募るのもよいだろう。また、情報伝達・情報共有の速度も超高速である。議論のスピードはかつてとは比べ物にならないぐらい速く、土木学会の会議室に集まる必要もない。ブレーンストーミングにうってつけの環境が目の前にある。土木学会にはこれらの声を高速でまとめ上げ、実行に移す役割を担ってもらいたい。
(所属:国土交通省 氏名:佃 誠太郎)

■ 前原前国土交通大臣 阪田会長 対 談

日本における社会基盤整備のあり方は、保全・維持管理への大きな転換期にあると言える。前原前大臣のお言葉にもあるように、これからの社会資本はインフラの更新や海外への展開などに可能性を見出す必要があり、これまでとは目線を変えて臨むことが必要である。目線を変えるためにも、若手研究者が大きなインパクトを与えられるよう積極的に活動していくことが、今後の業界の発展に不可欠であると感じた。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■ 危機の時代に、新しい土木を創造するための土木学会 京谷 孝史

これまで土木学会誌を通読したことのなかった私にとって、学会誌の編集方針がまず気になる事柄であった。また学会誌の方針が延いては学会の方向性を示している訳であるから尚更である。5,6,7月には国際競争力について特集していくことが書かれており、非常に興味を持った。国際競争力とは、他国での施工実績を上げていくことだけでなく、その国の基準類までもリードしていくことが重要なのではないかと思う。特に地震の多い地域に対しては、我が国には多くの技術や情報があり、優位に主導権を握れるのではないかと思う。そうだとすると、土木学会の担う役割は大きい。
(所属:西松建設(株) 氏名:蔭山武志)

■ 東北新幹線(八戸−新青森間)2010年12月4日ついに開業 佐々木 幸一、鈴木 隆

東北新幹線(八戸ー新青森間)の開業。テレビでそのニュースを拝見したのを思い出しました。悪天候も重なり運行トラブルもあったかと思いますが、ニュースでは私には利用者の喜びの声や笑顔が私は印象に残っています。豪雪地帯での雪害の克服など、過酷な条件下で着工から約12年という年月をかけての完成、さまざま苦労があったかと思います。工事関係者には利用者の方の喜びの声や笑顔がとても素敵なプレゼントになったのではないでしょうか。同時に、同じ社会資本整備に携わっている私も勇気づけられました。次は、新函館までの区間の2015年度開業を目指しているということで、開業の際にはぜひ現場の熱気を一緒に感じてみたい気がします。
(所属:首都高速度道路 氏名:飯島雄一)

■ 重交通区間での橋梁リフレッシュ工事 山本 敏彦

供用中の高速道路を通行止めせずに、高速で通過する車の真横で工事を進捗させ、無事完了させた裏側には、多くのご苦労があったかと思います。私も鉄道工事に従事しており、営業線内での工事に関して特に神経を使います。お客様が乗車する電車の真横または直上工事での物の落下等は、重大事故につながる事象であり、十分な防護を行うとともに安全に工事を進めることが鉄則となります。また今後の人口減少に伴い、新設構造物の構築が減少する中で、本工事のように既存構造物をより長く利用するための補修工事が今後増えると思います。やはり今後の土木技術者は、劣化構造物に対して適切な維持管理を行える能力がより必要になるかと考えます。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)

経年劣化および疲労に伴う橋梁の架け替え工事は今後も増加すると予想されるが,今回のような重交通区間では短工期による施工が特に重要になると思われる。この課題をクリアするために採用された技術がどのようなものか,従来技術との対比で簡単な紹介があれば,本工事の新しさや全体感が掴みやすく,理解がより深まるのではなかと感じた。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)

■ 第74回 千葉大学法経学部 教授広井 良典さんに伺いました[聞き手] 武居 秀訓

豊かさとは何か」を問う広井先生の視点から語られた、社会資本整備のあり方、土木としての役割についてのインタビュー記事であるが、「定常型社会」を世の中のコンセンサスとすることで「豊かさ」が実現されるという考えには賛成である。都市と地域のあり方について「多極集中」という概念が提唱されている。核としての都市域をコンパクトシティとして集約して核都市間を連携する姿については、この後の特集記事にもとりあげられているように想像しやすいが、その都市域に農産物等の自然の恵みを供給している中山間地域の荒廃も進行しており、これら里地・里山の将来像についても触れてほしかった。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)

高度経済成長期後、そしてバブルが崩壊して日本経済が低迷する現在、私も定常型社会として今の時代を捉え、土木をはじめ、様々な人間の活動を考えていく必要があると思います。土木においては、今まで様々な社会資本を整備し、社会資本が充実してきました。しかし、これからは人口が減少していく社会であるため、これ以上の新設の社会資本整備については再考する必要があると思います。これからの社会においては、過去に整備した社会資本を維持管理し、老朽化したものに対しては補修補強、更新といった問題のほうが大きなウエイトを占め、重要になってくると思います。現在、高度経済成長期に整備した社会資本の多くが更新の時期を迎えており、ライフサイクルの2周目に入ろうとしている時期であると思います。しかしながら、ある種の土木構造物においては、その構造の特性から維持管理や更新方法が難しく、スムーズにライフサイクルの2周目に入れそうにないものがあります。今後、定常型社会としてライフサイクルを回していけるよう、そのような維持管理や更新方法に課題がある土木構造物について適切な手法が開発されることを期待します。また、自分としてもそのような開発に携わって行きたいと思いました。
(所属:日特建設株式会社 氏名:田中 尚)

経済成長を必ずしも必要としない定常型社会というコンセプトに興味を持ちました.また,希薄となりつつある地域のコミュニティの形成を土木が支援するというコミュニティ土木の考え方は,既存の施設についてもそのような観点から運用方法を再考し有効利用することで地域の活性化に繋がる可能性があると感じます.
(所属:五洋建設(株) 氏名:原 基久)

■ 企画趣旨 神田 佑亮

日本の人口が1.2億人を切るのはこれから約15年後のことで、そのあとは加速的に人口が減少するようだ。 現在、国内経済は輸出が好調であるにも関わらず、停滞している感がある。内需が縮小していることが原因で、内需を拡大させるには、観光振興が効果的と多方面で言われている。関西は、人・モノが流出することで地盤沈下が起こり、他地域より早く人口の減少も訪れるそうだ。関西は歴史的資産など有力な観光資源が豊富にあり、都市基盤も整備されている。これらを有機的に組み合わせれば、観光需要を取り込むことができ、関西の地盤沈下を防ぐことができる。関西に愛着のある土木技術者として、今後の社会モデルの先駆けに少しでも力になりたいと思う。
(所属:阪神高速道路(株) 氏名:時 譲太)

■  記事1 インタビュー 人口減少をチャンスととらえ、日本が新文明を創造しよう
[語り手]丹保 憲仁、[聞き手] 神田 佑亮、大内 雅博

日本は世界の中で次の文明の最先端の位置にいるという意識を持ちながら、これからを見据えていくことは重要であるが、その認識を国から細分化していっても同じ意識であり続けることがさらに重要であり、日本として世界へ向けた新文明への見せ場となるのではないだろうか。既に人口減少が始まっている地域やまだ増加傾向にある恵まれた地域が存在するが、早かれ遅かれ人口減少や人口構造の変化と向き合っていかなくてはならない。地域のおかれている状況により方策は異なるが、日本の中でも国、県、地域、さらにはその地域を取り巻く企業等の全てが「新文明を創造する先駆者意識」をもつことで将来を考えていけば、「日本の新文明を世界へ発信する」ことができるので はないかと思う。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池康介)

「価値の創造が価値である時代」というキーワードが頭の中にガツンと飛び込んできました。暮らしの中で試行錯誤しながら作り上げていくこと、そして、みんながそう思ったとき社会ははじめて動き出すといった言葉は、現在のソーシャルネットワーキングによる社会的なつながりのあり方が示唆されているようでとても刺激を受けました。一人ひとりの価値観が多様化していくことがたくさんのニーズを生み、人口減少の世の中にあっても新しいつながりの中で新たな価値観が創生されていくことを意識して、ワクワクしながら新しい毎日を過ごしていきたいですね。
(所属:(株)福山コンサルタント 氏名:金子 俊之)

人口減少問題は色々な面でデメリットを生んでいると私は考えていました。人口減少により、わが国の生産性が落ち、経済的な影響力が国際的に低下すると考えられるからです。しかし、今回のこちらの記事を読み、人口減少に対してポジティブに捉えることができました。『ピンチはチャンス』という言葉を耳にしたことがありますが、今の日本はまさにその状況であると考えられます。このチャンスを生かして後近代の先達として日本がより活性化していければ良いと思います。また、これからの時代では、『必要なところに必要なものを、最小限のエネルギーで』ということを皆が強く意識することにより、より良い社会になると思います。
(所属:日本水工設計株式会社 氏名:森脇隆一)

中国やインドの人口が増加する反面、先進国の人口は今後減少に転じ、とくに日本は最も先に人口減少社会に突入するという話をよく耳にします。そして、日本の活力や経済力が今後失われていくと、まことしやかに語られています。
こういったニュースを聞いていると、日本の先は暗い未来しか待っていないのではないか?と思うことが多々あります。しかし、この記事は目からウロコでした。必ずしもすべてを悲観的に見る必要は無く、100年のスパンで考えたときには、むしろチャンスと考えるべきということが分かりました。 日本は今後の人口減少社会のスタンダードを作るべく前向きに進んでいくべきであると思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:玉本学也)

特集は丹保先生のインタビューからはじまって、種々の観点から人口減少時代のあるべき姿が語られており、読みやすく、かつ勉強になりました。特に、地球の資源や環境の制約から世界の人口はオーバーシュートしていく、その時に日本は22世紀のデファクトスタンダードをつくり出せる可能性があること。そのためには、単能社会から複能社会への変化が必要であり、大学ではシビルエンジニアリングと魂の話をするべきというお話には、非常に共感しました。 記事は門外漢でも理解できるように書かれていますし、このような良いお話を読める学会誌をもっと、広く広報されてはいかがでしょうか。土木学会のウェブサイトをみると過去の記事のアーカイブはありますが、これはまさにアーカイブで積極的に広報するものではありません。定価がついている雑誌なので、無料のPDFを配布することは難しいと思いますが、今年、ブームの電子書籍に仕上げて、多くの人の目にふれることで、土木にかかわる科学者、技術者の活躍を知ってもらうのは悪くないと思います。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:松田尚郎)

■ 記事3 大震災後の神戸から学ぶ人口減少社会の問題点 額賀 信

「人口減少」という言葉は,最近メディアを通じてよく耳にするキーワードであるが,これからの日本経済にとって大きな不安材料であることを改めて痛感した.神戸市を例に交流人口が経済に与える重要性について書かれているが,交流には「道」が必要不可欠であると私は考える.道路や鉄道といった「道」,あるいは「道」の窓口である空港や港湾など,土木の技術が多くの交流を生んでいる.新たな「道」を創造することで交流の網を広げ,古くなった「道」を直すことで交流を守る.社会基盤の基本的なことであるが,この記事を読み,人と人とを繋げる重要な担い手であることを改めて認識した.
(所属:西松建設(株) 氏名:高橋 雅)

示唆に富む内容である。95年の震災により神戸市の人口は震災後10か月で7%にあたる10万人が減少した。このとき、特に人口減少率が2割を超える長田区や灘区は経営が立ち行かなくなる商店が少なくなかったそうである。個別の事情はあるのだろうが、神戸のような大都市ですら1割〜2割の人口減少で生活圏の崩壊が始まるということは、人口減少の始まった我が国において、今後、全国各地、特に地方部において一斉に同様なことが起こることが予見される。富山市のように生活圏自体をコンパクト化し、持続可能なあり方を求めるのも一つの方法であろうが、都市ごとに最適な対策があるのだろうと推察する。
(所属:国土交通省 氏名:佃 誠太郎)

■ 記事4 富山市のコンパクトシティ戦略 粟島 康夫

地方都市においては交通手段を車に依存する傾向があり、その影響で中心市街地の空洞化現象が起こる中で、この富山市の本政策については、今後の地方都市の街づくりの成功事例になると思います。今後高齢化社会になる上で、やはり高齢者にやさしい街づくりが重要であり、誰でも利用できる交通機関が必要となる中で、この路面電車を中心とした街づくりは特に有効かと考えます。また本事業の成功の裏側には、富山市が住民の方々の意向を尊重し、行政もともに歩んでいくという姿勢があったからだと思います。今後の人口減少時代を迎える上で、各課題を乗り越えるためには、より住民目線に立った背策が必要になると考えます。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)

仕事や旅行で地方にいくと,どこも以前は栄えていたと思える場所が閑散としており寂しい限りです.人口も少なく有望な観光資源もないところでは,富山市や富浦町と同様な方策は難しいと思われますが, 解決策を模索して成功に至った事例として各地に波及することを期待したいと思います.
(所属:五洋建設(株) 氏名:原 基久)

富山市の公共交通戦略において、都市部と中山間部を基本方針の中で分けることで行政の関わり方のバランスを取っているが良いと感じた。人口減少化における今後のコンパクトシティ論は、新たにゼロから理想的なまちづくりをするものではなく、現状課題を将来と向き合いながら施策をしていく覚悟や難しさはあるが、行政が限られた資金をいかにうまく投資し、時間をかけて人を動かしていくかで、その実現性や持続性へと繋がるのだと思う。土地利用の観点からも、中心市街地の活性化による魅力回復、集客力向上だけでなく、郊外は郊外の魅力を強めることで、自然との共生や農業施策にもより活用でき、より自立したまちが構築できるものと考える。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池康介)

富山市のコンパクトシティ戦略は日本初のLRTの整備と合わせて、日本をリードしていると思う。特にLRTは運行間隔を短縮した利便性の向上や、市内の環状運行等により整備前と比較して大幅な利用者増となっており大きな整備効果を上げている。一方で他の地方都市部においても同様な施策がなされようとしているが、LRTの整備等は地域の合意に至らずなかなかうまく進んでいないとも聞く。私も大阪府の某市に住んでいるが、駅前の商店街はさびれる一方で、多くの荷物がある場合はついつい自家用車利用で郊外に買い物に行ってしまう。個人のライフスタイルを変えることも必要ではないかと感じている。
(所属:阪神高速道路(株)氏名:志村 敦)

私は数年前まで富山に住んでおり、幸運なことにライトレールの開業前後を実体験することができた。JR富山港線の時代と比べれば、車両が新しくなって利便性が大きく向上したことにより、利用者が増加しているようです。また、富山市民もこのライトレールを誇りにしていると感じられました。 実際に住んでいると、富山市は市中心部の空洞化と郊外への商業施設の分散が進んでおり、車が無いと生活するのはかなり不便でした。しかし、ライトレールの開業や市中心部の活性化策などによって、少しずつ中心部に人が戻り始めているようです。 車に依存した地方都市の先例となる、今後の富山市の動向に期待したいと思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:玉本学也)

■ 記事5 インタビュー 地方から人口減少を乗り越える
[語り手]加藤 文男、[聞き手] 神田 佑亮

以前に何回か行ったことがある道の駅である。いつも行って感じたのは、施設が充実しているのと、裏手の河川を使った遊び場と、花つみやいちご狩りができ、いろいろ興味深いことができることである。 また、場所も富浦インターからまっすぐ館山に向かわずに逆方向に行くのは、何回か間違えたこともあり、それゆえ記憶により強く残っている。施設のよさに加え、このような記憶が作用して少し遠回りしても寄って行こうと思うことが、事業者側で目論んでおられたのにはびっくりした。やはり、こういう事業を成功させるには、人口減少時代ではなおさら、いろいろな構想と実行力が必要であると理解いたしました。
(氏名:金原義夫)

学生の時に加藤文男さんにインタビューをさせて頂く機会があったので、今回の記事を懐かしく拝見させて頂きました。まちづくりや観光振興の方法を考える上で、他地域の成功事例から学べる点は非常に多いです。しかし、まちづくりを成功へと導いた施策を、そのまま別の地域で当てはめれば上手くいく、というわけでは必ずしもないように思います。記事を通じてその成功の裏には、担当者の並々ならぬ努力や実行力等があったと感じました。特集の結びに、担当者について「非常に明るく、活気に満ちあふれている」とあり、そのような担当者の存在がまちづくりを成功へと導くポイントであると思いました。
(所属:(株)大林組 氏名:住永哲史)

「花やいちごは海外から安いものを輸入できても、花の栽培されている空間や、花を摘む醍醐味は、輸入できない。だから、ほかでは代替できないものを提供する」といった地域活性化の概念はやっぱりもっとも核となる考え方なのだと共感しました。他所で成功した事例をそのまま持ってこようという考え方は輸入と同じで、その地域ならでは大切な醍醐味が味わえることをしっかり見極めていくことが必要なのでしょうね。
(所属:(株)福山コンサルタント 氏名:金子 俊之)

■ 記事6 人口減少と国際化 藤原 章正

予測されている人工減少や政策等による内需縮小により、建設業界は数年来低迷を続けているが、その解決策の一つとして国際協力があるとのことである。解決策の一つとして大いにそうだと思う。ただし、それだけでは市場を移しただけのことであるので、国際化による建設業界の再建、さらなる発展を継続させるには、常に日本の技術力を輸出できるようにする必要がある。そのためには土木技術者のレベルアップが不可欠であるが、記事の中にある「土木工学を学ぶ大学生、大学院生のなかでは日本人より留学生が比較的元気だ」という現実は非常に残念である。解決策の一つに建設業界を魅力ある業界にすることがあげられるが、現役世代である我々が率先して魅力ある業界作りに努力しなければならないと感じた。
(所属:東洋建設株式会社 氏名:山崎 圭)

■ 第78回 本町橋 有井 宏子

本町界隈に勤務していた頃、頻繁に本町橋を通っていたことを思い出す。しかし日々の喧噪に追われていたためか、ゆっくりとその風貌に目を向けることもなければ、歴史の重みを感じることもなかった。おそらく私たちの生活の周りには、心を落ち着かせて見てみれば多くのことを感じさせてくれるものが多数存在しているのであろう。心に“ゆとり”を持って生活したいものである。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■ 第1回 熊本の石工に迫る! 澤村 康生、澁谷 容子

まず、心を奪われたのは石が整然と積上げられている石橋の姿の「美しさ」であった。最近までこのような構造物に研究や調査が行われていなかったことが、不思議でしょうがない。近代では確かに技術の進歩が目覚しいが、こういった構造にこそ土木の礎があると思う。また、非常に興味をそそられるのは石橋の耐久年数の長さである。セメントやモルタルを使用していないにも関わらず、近代の技術よりも耐用年数が長くなるのは非常に面白みのあることだ。このような構造物を保存しアピールしていくことが、今後の土木技術の推進、技術者の育成という面でも最善だと感じた。
(所属:首都高速道路 氏名:浅野 靖)

石橋について,その製作方法や歴史を改めて記事で読むと,外観の美しさもさることながら,石橋の製作技術の高度さを再確認させられる。特に,裏込めにコンクリートやモルタルを使わずに岩石や砕石を用いる「空積み」や,現在でも明確な示方書がないにも関わらず石橋を作り上げてきた昔の技術者には驚かされるばかりである。一方で,石橋という素晴らしい構造物に関する研究や調査がほとんど行われてこなかったことは不思議に感じる。今後は是非とも機会を設け,今回知った石橋づくりの歴史を踏まえながら石橋を見たいと思った。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)

自然を克服し、豊かな暮らしを手に入れるために土木の技術は発達してきました。これまでの経緯を再確認し、実際に手を動かしてみて再現するというのは興味深い取り組みだと思います。なかなか学生は実務の経験ができないので、たとえ簡易なものであっても、施工方法を実体験として確認できることは貴重な機会ではないでしょうか。今回はアーチ橋について書かれていましたが、次回の体験版を楽しみにしています。
(氏名:坂上聡史)

■ 第1回 柳橋 則夫 さん 蘭の栽培 橋本 浩史

土木人の趣味。楽しい企画を読むことができました。土木分野では産官学のいずれにいても、忙しくて趣味を楽しむ時間もないというような雰囲気がありますが、土木屋さんが花を愛でるというのは、ありそうでなさそうな話。今後も美しい花を咲かせられることをお祈りしております。 企画趣旨にもありますように、この企画は土木とは関係な趣味をたしなまれる方を紹介いただいて、自らのワークライフバランスを見直してみる良い機会になるのではと思います。逆にバスマンズホリデーの典型のような方が出てこられて、「わしはこれで日本の国を作ってきたんや」というのも、日頃の仕事へのはげみになると思います。幅広いご紹介をいただけるように今後の連載に期待しています。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:松田尚郎)

■ PART1 利根川の治水 清水 義彦

利根川や江戸川に仕事でよく現場調査に行くが、何年か前にはじめて堤防調査に行ったとき、その堤防の高さに驚いた記憶がある。その時に、この堤防が壊れたらどれ位の水が堤内地に入り、東京湾まで流れるのだろうかと思った。この大堤防は、度重なる盛土によるものであることも、地盤的に不明な場所が多く、関東平野の軟弱な沖積地盤上にあることも後日知った。堤防強化対策は進められているが、これらのリスク情報が正確に広く伝えられているかは疑問である。スーパー堤防は、昨年の事業仕分けによって事業が進まなくなっているが、本文の“今後の展望”に書かれている堤防の危険性は、災害リスクとして地域住民に示し、理解してもらい、堤防強化事業を早々に進めていかないと、昨今のニューオリンズの災害事例のようにならないとは限らないと思う。
(氏名:金原義夫)

■ 宍道湖の景勝、嫁ヶ島における土木、景観、観光 吉田 薫

土木学会デザイン賞の項でも述べたことに共通するが、この記事にも素晴らしい写真が多く掲載されているにもかかわらず、白黒なのは非常に残念である。特に、嫁ヶ島の景観と観光、夕日スポットの写真を白黒で載せるというのは、せっかくの写真を台無しにしていると思う。記事の内容も、土木が一般の方々とつながる貴重な接点である「観光と土木遺産」に関する素晴らしい内容であるだけに、より人目を引くカラーページとして欲しかった。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)

■ 委員会報告 「2010年度土木学会デザイン賞」受賞作品の決定と受賞者プレゼンテーションのご案内 二井 昭佳

素晴らしい景観・デザインに対する賞について伝える記事で、授賞式がまだとは言え、写真がこんなに小さく白黒で掲載されていることが残念でならない。また、土木におけるデザインを志す方々や若い学会員の励みになるよう、こういった賞に対しては土木学会誌で受賞者の顔写真・名前入りで是非紹介するべきだと思う。建築に比べ、デザインをする人間の「顔が見えない」産業であることも、土木がなかなか一般の方に魅力的に見えない一因である可能性もあるだろう。受賞者にとっては日頃の活躍が広く知られることが仕事の励みになり、ひいては業界の魅力向上のきっかけになると思う。また、受賞者が掲載写真を人に見せることで、土木学会誌自体も読者の裾野を広げる機会になるのではないだろうか。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会