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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2010年2月号モニター回答


■ 次世代の「巨人・大鵬・卵焼き」 井手 和雄

土木学会員数が2000年のピークの1割減になっており、しかも20歳から35歳までの若手土木技術者の加入率が11%で、同世代全体の加入率29%より低い事実を知り、残念です。土木学会が一般市民にも開かれ、社会基盤に対する関心を啓蒙でき、国民の意見が土木学会を通じて社会基盤整備に反映されることは歓迎されることだと思います。一方、今後、社会基盤整備を担うべき若手土木技術者が土木学会に入会するためにも、「巨人・大鵬・卵焼き」のようなキャッチフレーズは無くても、「土木学会」が、若手土木技術者に、社会基盤の創造に情熱を持ち続け、矜持を持てる「元気」を提供できれば良いと思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■ 21世紀を拓く、夢の架け橋 東京港臨海道路 II 期事業 相澤 幹男

東京港臨海道路U期事業のメインの一つである「東京港臨海大橋(仮称)」の施工が佳境に入り、鋼材重量6,000tの下部トラスの架設について迫力ある写真で紹介されています。航空制限と大形船舶の航路を確保するという制約条件の中での、設計において、周囲の景観にも配慮された構造形式の決定、死荷重を低減するために新材料・新技術の採用、施工においても、大型起重機船3隻による一括架設など海上土木施工技術の結集により順調に工事が推移している、ことが紹介されています。東京港臨海道路が完成することにより、臨海部における流通の活性化に寄与することを期待するとともに、東京湾の新しいランドマークとして、一般市民にも親しみやすいネーミングにも期待します。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■ JR中央線三鷹駅−立川駅間連続立体交差事業 永山 健一

「開かずの踏切」が立体化されることで、隔てられていたまちの一体化により、住民の何気ない消費活動が変化するなどの効果を私自身体験した。今回PHOTO REPORT切換工事状況の写真を見て、作業時間に制約ある中で正確に作業を進めるために現場の緊張感が伝わってきたと同時に、沿線の状況から既存のものを大きく変えることの難しさが感じとれた。
(所属:豊橋技術科学大学 氏名:白石直也)

JR中央線の三鷹駅〜立川駅間高架化工事の着手当時、私はJR東小金井駅が最寄りの大学に通学していた。今回の三鷹駅〜国分寺駅間の上下線が共に高架化が完了し、国分寺駅〜立川駅間も来年度には上下線が高架化するとの記事を読み、工事着手前後の事を思い出した。それまで、鉄道が高架化もしくは地下化された地域でしか居住・通学したことが無かった私にとって『開かずの踏み切り』というものは、その存在を知りながらも実感があるものではなかった。大学へ通うようになり、『開かずの踏み切り』が本当に開かないことを実感し、大変驚いた。なにしろ、1時間のうち58分ほど閉まっており、昼間でも半分以上閉まっていたのだ。また、開いた瞬間には、歩行者・自転車や車が一気に急いで踏切内を横断するため、大変危険な場所でもあった。小泉首相(当時)が現場視察をしたこともあるほどの『開かずの踏み切り』が、約10年の歳月をかけて解消されたことに感慨深いものがある。連続立体交差事業は、「踏切の除却による渋滞の緩和と事故の解消」と「鉄道による市街地分断の解消など、鉄道高架化を契機としたまちづくりの進展」という効果がある。事業の計画から実際に高架化されるまでには、それこそ何十年という時間がかかる。渋滞緩和と事故防止については、高架化後にすぐに効果があると思うが、まちづくりへの効果には、また更に長い時間がかかるだろう。今後の効果に期待すると共に、今度の休みには今回高架化された箇所を見に行ってみよう思う。
(所属:東京急行電鉄 氏名:山口洋史)

JR中央線の線路切替工事に、約1100人の作業員を動員した、旨の記事を興味深く拝見いたしました。鉄道という社会資本を維持安全させ、さらに社会的ニーズに合うよう、高度に進化させていく技術が、あまり知られていませんが、線路切替および線路改良ならびに線路補修に関わる技術だと思います。縁の下の力持ちなので、一番、学会から距離のある業界ですが、その技術レベルは、世界に冠たるものです。今後、機会があれば、軌道業界の実情や、軌道技術者にスポットをあてていただき、軌道業界に、土木学会ファンの裾野を拡げて欲しいものです。
(所属:清田軌道工業 氏名:原 繁男)


■ 第63回  国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問 末吉 竹二郎さんに伺いました [聞き手] 窪田 崇斗

温暖化に対する土木の責任、興味深く読ませていただいた。とかく土木と言うと温室効果ガスであるCO2を多量に排出し、またそのCO2を吸収してくれる森林を減少させる代表格としてやり玉に挙げられることが多いため、それに従事する我々は土木事業に誇りを持ちながら、どこかで罪悪感を持っているのではないだろうか。しかし、例えばバイパス工事によって渋滞を減らし、CO2排出量を縮減するなど長期的には充分温暖化対策に貢献しているのでそれほど自分を責めなくてもいいのかもしれない。必要なことはやらないといけないのだから、それなら負のロックインではなく、地球にとってプラスとなるロックインを狙いたい。一部の世論や目先の経済効果に負けてはいけない。
(所属:岡山県 氏名:松永 誠)

 時代の変化にともない土木工学、社会資本整備のあり方に対する社会の要請が大きく変わって来ていることはもはや自明である。これまでの土木には、利便性と安全性の追求という分かりやすい目標があったが、これからは時間的にも空間的にもよりグローバルな視点に立った発想が求められるだろう。昨年、林野庁の試みとして、治山ダムを撤去して自然の水流を回復させるという、全国でも異例の工事が群馬県みなかみ町で実施され、マスコミでも報じられたが、これは象徴的な事例と言える。最近は公共事業予算の削減等で、土木の将来を不安視する声が大きいが、時代の変遷にともない多様化するニーズにいかに答えていくか、土木の果たすべき役割は非常に大きいと感じた。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

社会基盤は、適切な維持管理を行うことで、何十年と国民が供用していくことが期待されるもので「ロックイン効果」が大きい施設であると思います。今後、地球温暖化問題を解決するために、低炭素型社会に適応した社会基盤を新たに整備していくとともに、供用中の施設についても機能改善が必要になってきますので、その実現に向けて、土木技術者は、自然科学だけでなく、社会科学、人文科学の知見を集結し、地域住民そして地域の環境に調和した「優れた」デザインの社会基盤を創造し、「良い」ロックイン効果が発揮できることを期待します。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■ 企画趣旨 宮崎 久美子

特集記事「人と国土を愛しむ土木の心」と論説記事「変化する時代の土木のあり方」二つを併記していますが、同じ感想をもった両方の出方なので、比較しながら感想を述べさせていただきたいと思います。土木と一言で言うには、あまりにも多くの分野があることに改めて気が付きました。震災に対する都市の防火計画、治水工事、架橋、その中から、人にスポットを当て、その『思い』を抽出することで、その土木の心を紹介する特集を企画されたと思いますが、こういう事例がある、といった内容にとどまっている感を拭いきれませんでした。それと比較し、「変化する時代の土木のあり方」に書かれている「土木事業も人々の救済」ということが、土木の「心」であるように思います。それを土台として成立つ、土木技術者の思いが、特集記事の背後に一貫して流れ、将来へも続く基盤を感じ取れることができたら、と思いました。その一種の物足りなさは、論説記事にある「専門化された諸学問を貫く公共性について学問横断的な公共哲学が必要である」と山脇先生の言葉を紹介されていますが、まさにそこにあるように思われました。救済される側の視点はどうなのか。それ以前に、一人の生活者としての視点はどうなのか。そのインターアクションがあってこそ、土木の心はあるのではないか。さらには、土木事業も人々のみならず、今後は生きとし生きるものへの救済を目指し、発展してゆく時ではないか、と思いました。
(氏名:横田 美行)

■ 特集1 インタビュー 阪神・淡路大震災 そのとき何が問われたか [語り手] 室ア 益輝、[聞き手] 宮崎 久美子、森屋 陽一

我々土木技術者が開発を続ければ続ける程、その利便性と相反し、地震等のリスクに対する安全性が低下していくことがあります。また、ハードの防災施設を設置すると、その保全対象の住民においては安心というゆとりが生まれるが、一方で、想定外の外力が生じた際には、避難行動が遅れることが懸念されます。また、近年、短期的視点による経済性により、新技術等が多く導入されていますが、同様に、その長期的視点でのリスクが高くなることも忘れてはいけません。今回の記事を読み終え、今後は、技術力を過信せずに、少し謙虚な気持ちで自然と向き合い、地域との会話など、ハード、ソフト両側面からアプローチしていきたいと思います。
(所属:三井共同建設コンサルタント株式会社 氏名:原田紹臣)

阪神・淡路大震災は、土木技術者に、自然に対して謙虚さを持ち、技術の限界を知ること、維持管理の重要性を改めて教えてくれたと思います。地震に限らず、津波、洪水、土石流、土砂崩れ等による災害を減災するためにも、土木技術者(専門家)は被災状況を詳細に調査し、現象の解明に努め、データベース化する必要があると思います。その知見の蓄積が、より合理的な設計方法の確立や施工方法の技術開発につながり、国民が求める社会基盤の整備に役に立つと思います。一般市民にも、震災の教訓をわかりやすく説明する説明責任があると思いますが、「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」がその役割を果たしていると思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

阪神・淡路大震災は安全と思われていた高速道路、新幹線高架そしてビルの倒壊という絶対大丈夫と思われていた強固な構造物の安全神話も同時に崩したのではないかと感じていた。このような大地震が起きた時にいかに被害を軽減できるかは、やはり原点に返らなければいけないのだと感じた。大地震と言うのは日本各地のどこでも発生する。それに完璧に耐えられるものはない。インフラも維持管理をしっかり行わなければ壊れやすくなる。最後に頼りになるのは人的ネットワークである。このような原点を基にして技術者として何が出来るか考えると、やはり土木のことを分かり易く広めることになるのではないかと思う。なぜ、密集市街地対策が必要な理由から、道路のガードレールがなぜ必要かそういうところを納得してもらう姿勢が必要であろう。
(所属:戸田市役所 氏名:諸井 敬嘉)

阪神淡路大震災から15年を迎え、メディアでも震災復興や地震の脅威を伝える特集が取り上げられているのを目にしますが、多くは地震・災害の事実とそこから浮かび上がった課題を伝えるに留まっているように思います。世界各地で大地震が起き地震災害への関心が高まる今、これまでに問われてきた課題に対する”土木”としての答えをハードとソフトの両面から具体的な事例を交えてぜひ特集して頂きたいと思います。
(所属:(株)大林組 氏名:三倉寛明)

■ 特集2 氾濫する河川地帯を安心して暮らせる土地へ秋山 晶則

先日、木曽川最下流を訪れる機会があった。そこから伊勢湾に延びる堤防を見ながら、それが造られた当時の技術者は100年後、この堤防がどうなっていると考えていたのだろうかと思いを馳せた。翻って、自分が仕事をする上でそのような考えを持っていなかったことにも気づかされた。技術者として仕事をする上で、100年後を想像できるか。正しい正しくないに関わらず、自分なりの長期的視点を持って仕事に臨んでいきたいと思う。
(所属:前田建設工業(株) 氏名:奥田文)

水害を巡る歴史の中に地球環境問題にも通じる「内部化」の必要性を改めて感じた。「中下流で新田開発・輪中形成が活発化すると・・・中流輪中72か村が、連年の水害原因が下流域の新田開発にあるとみて、その撤去を幕府に求め」とある。中流域の洪水被害の原因は下流域の開発との主張であるが、中流域が下流域に及ぼした悪影響は無かったのか。例えば水質悪化やそれに伴う漁獲高の減少など。経済学では、「外部不経済」「外部性」の説明として次のような例がある。河川の上流に位置する企業の生産量増加に伴って河川の水質が悪化し、下流に位置する企業の生産高が減少、この結果、流域全体の生産量は以前よりも減少した。着目すべき視点を広げ、より広い利害関係を最適化する「内部化」は、政治家ではなく土木技術者がプランナーとしてその役割を果たすべきと感じた。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

■ 特集3 瀬戸内海に夢を架けた技術者たち星野 満

明石海峡大橋が開通した1998年当時は私はまだ高校生であり、開通のニュースを聞いても大して気にも留めていなかった。しかし、土木に携わる者として改めてを読むと設計・施工時の苦労をうかがい知ることができ、いかにすごい事であったかと感動する思いである。昨今、土木技術者を目指す学生が減っているという話も聞くが少しでもこのような土木技術の素晴らしさを理解してもらい、土木技術者を目指してもらえるようになって欲しい。
(所属:東日本旅客鉄道株式会社 氏名:伊東寛)

明石海峡大橋が施工中に、1995年1月の兵庫県南部地震受けていた事を恥ずかしながら知らなかった私ですが、被害が橋の構造・強度に影響しないレベルに収まっていたことに対して設計の綿密さを感じました。主塔の基礎工事でも、一年で一番潮流速が小さい日を選び作業した点も、土木技術者が本橋梁に対して、全身全霊を込めて作業した思いが伝わってくるようでした。
(氏名:越石暁)

■ COLUMN(2) 中山隧道は何をわれわれに語りかけてくるか橋本 信一

この特集から,改めて土木とは人々の生活に密着し,また土木技術が何百年も継承されてきたものであることを認識できた.特に中山隧道については今回の記事で初めて知ったが,生活をより良いものにしたいという「思い」があったからこそ手掘りでも貫通することができたのだろう.土木技術だけでなく,そういった「思い」もまた長い間継承されてきたものと考える.土木技術者としては駆け出しの自分ではあるが,諸先輩方の培われてきた技術を学び,そして発展させ,また未来へとその技術を伝えていくことをしっかりと心に留め日々の業務に臨みたいという思いを強くした.
(所属:東日本旅客鉄道 氏名:吉田知史)

16年間かけて掘り切られた中山隧道に「土木の原点」をみたという著者の言葉に考えさせられた。隧道が完成するまでには長い年月がかかり、それを掘り進む自分達は当該隧道の恩恵にあずかれないかもしれない。たぶんそのことはわかっていたはずだ。では、何が彼らをして作業に当たらせたか?それは未来の自分たちの分身である子孫のことを思えばこそだ。自分たちの努力が次世代の幸福を生むという考え方と、それを実践する力。時空を超えた愛がそこにある。現在、土木業界に吹く向い風は、このような先人たちの歴史を知らしめることによって、やがて追い風へと変わっていくものと信じたい。
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■ 特集4 国土計画と土木の心高松 亨

まず、敵を攻略するための戦略を立て、それに必要な戦術を考え、その戦術を実現させる人員配置、武器、武装を選択する・・・これがいたって常識的な思考の手順である。一方、民主党政権は、高速道路の一部無料化や首都圏の空港再編、JALの救済など、我国の交通政策の一翼について刺激的な転換を行いつつある。しかし、そこには、我国の交通体系をどうしたいのか、将来ビジョンとしてどこに向かうのか、そうした理念が見えない。戦略が無いまま、武器や武装の変革に明け暮れ、世間の注目を集める。このようなやり方で我が国の国土は大丈夫なのか。これまでの全総にあるような、戦略としての基本目標とそれを支える武器としての交通政策が必要ではないか。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

人口減少・高齢化の進展、大規模災害発生の懸念、環境保全に対する要請等、わが国が抱える課題の解消に資する国土計画、空間計画とはどのようなものか。様々な分野の英知を結集してこれからの時代にふさわしい国土のあり方を真摯に議論すべきであり、高度成長期の「新全総」のように、再び国土計画が世間の脚光を浴びる時代であると考える。昨今、様々な場面で議論されている個別プロジェクトのあり方はこうした明確な国家ビジョンに基づいて議論すべきではないか。
(氏名:山本 諭)

■ 第3回 日本が誇る世界最大の吊り橋 岩雲 貴俊、澁谷 容子

神戸生まれである私にとって、明石海峡大橋は身近な橋である。神戸の舞子にあるアウトレットから、橋を眺めることができる。夜になると橋のライトアップもされ、幻想的な世界が広がる。阪神大震災の時は神戸と淡路島間が1mも広がったそうだが、深刻な損傷はなく、まさに強靭な橋であることがわかる。主塔に登ることができるツアーなども開催されているようなので、一度は是非参加したい。
(所属:東洋建設(株) 氏名:澤田豊)

■ 第67回 小倉橋 井原 縁

いつも楽しみにしている記事である。埋もれてしまいがちな古い土木構造物にスポットライトが当てられる。各地の貴重な遺産をたくさんの人に知ってほしい。今回は橋梁だったので特に楽しみに読んだ。歴史的な経緯や周辺環境などの説明があってよかった。ただ、諸元では設計・施工者が不明となっているので仕方がないのかもしれないがやはり土木学会誌なのだから、もう少し構造的な側面にも言及してほしかった。
(氏名:高橋麻理)

以前よりこの橋は素晴らしい橋と思っていた。神奈川で生まれ育った土木屋の一人として小生の生まれた年に出来た橋に 親しみを感じていたとともに誇りに思っていた。記事述べられているように現地に立つと本当に地域になじみ、役に立ち、 その美しい姿は景色に溶け込んでいる事がよく判る。 このような素敵な橋を作った人たちを羨ましいと思うと同時に先人が 残してくれた貴重な遺産を改めて見直し、その心を学びたいと思う。
(氏名:比奈地 信雄)

土木構造物の中でも橋梁はデザイン性が問われる分野である。しかし、本記事は、小倉橋の美しさの単なる紹介にとどまらず、歴史という時間軸の中でその存在の意味を捉えようとしている点でとても興味い。今、インフラ整備を考える際に最も不足しているのが、我々をとりまく社会や環境が変化していく中でインフラはどこに、どのような形で、いつまで使えるように整備されるべきなのか、十分に議論する態度だ。人間あっての構造物という土木の原点に立ち戻り、未来に思いをはせれば不思議と明るい気持ちになる。これは、脈々と続く人々の営みを土木というツールによって支援できるという喜びのためであろう。
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■ 第2回 夏みかん色のガードレール 河村 進一

地方の常識については,2回目となる今回も非常に興味深く読ませていただいた.一般的なガードレールの色として,白色で,最近はダークブラウンをよく目にするようになってきたと考えていたが,まさか夏みかん色のガードレールがあるとは,前回のアスファルトに引き続きまたまた驚かせていただいた.最初写真を見たときは違和感を感じたが,記事にあった,春夏秋冬にあわせて山口県の風景に溶け込んでいると考えると確かにそう見えてくるから不思議だ.次回の特集も非常に待ち遠しい.
(所属:東日本旅客鉄道 氏名:吉田知史)

この記事を読み、まず、夏みかん色のガードレールが存在することを初めて知りました。次に、写真を見ると確かに山口県の緑の山々の景色とこのガードレールがマッチしていると思いました。昨今、景観を考慮して、構造物・付属物の色は決められておりますが、県花の色をそのまま採用しているところが、とても個性的で良いことだと思いまし た。この個性と景観の見事な融合を、是非山口を訪ねた際には拝見したいと思います。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

ガードレールは、防護柵という機能面だけで、色なんて特段決まりはないと思っていた。しかし、かつては白が標準色で、現在ではガイドラインにより「良好な景観形成に配慮した適切な色彩」とされているとは全く知らず、新たな発見である。今回の夏みかん色の山口県は、県花が由来とのこと。インターネット等で調べると、東京都では都の木であるイチョウの葉の模様をした緑色の防護柵が設置されている。長野県では間伐材を有効利用した木製のガードレールがあるとのことである。ガードレールや防護柵をひとつみても地域特性を活かしたものが設置され、興味深 い。景観に配慮された特徴ある道路構造物があると道路利用者にとっても楽しいものだ。ただし、目を奪われ過ぎて、事故を起さないように気をつけたいものである。
(所属:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 氏名:山崎 功一朗)

■ 第6話 向かい風はある日突然追い風に 喜多 直之

今ある技術・工法の成り立ちを理解していればいるほどそれと異なることをしようとした場合の課題、問題点も理解できるため、新しい技術・工法に対し「それは困難だ」と思いがちである。技術の進歩のためには、そうした従来の常識を打ち捨て、純粋に判断できる感性と、周囲の常識をはねのける実行力が不可欠であるということを痛感させられる。自らそうした取組みができるかは分からないが、少なくともそうした取組みを頭ごなしに否定するようなことが無いよう心がけたい。
(所属:東日本旅客鉄道株式会社 氏名:伊東寛)

技術開発ものがたり「向い風はある日突然追い風に」を読んで・・・ ふと目に留まった記事が、いみじくも弊社先達の投稿記事である。シールド工法の応用によるアンダーパス工事を、短期間で施工する技術開発『URUP工法』(Ultra Rapid Under Pass method)の成果が、追い風に乗って工事の受注に繋がっている。そして今、ここに至るまでの先達の懸命な努力の成果を実践する担当の一人として重い責任を痛感している。社会資本整備に向けられる予算の大幅な削減が求められている今日、工事期間の短縮と近隣住民の生活環境保全を始め、シールドトンネルの品質と安全の確保の実現は、費用対効果を目指した技術開発の一例として益々世間の注目を集めるに違いない。 開かずの踏切による市民生活への悪影響や、過密化した都市の慢性的な道路渋滞の緩和対策に、アンダーパス化としての『URUP工法』を開発してきた先達の技術を継承し、更に進化を求めて積極的に技術開発を推進させることが、私達土木技術に関る者としての務めであると考える。
(所属:(株)大林組 氏名:大井和憲)

■ 企画趣旨 岡村 美好

少子高齢化社会が進展する中で、土木分野における将来を担う優秀な人材を確保することは重要な課題である。これまで土木、特に建設業は男性社会というイメージが強かったが、時代の変遷にともない業界も大きな変化を迫られており、そのために女性の発想を取り入れることは大きな意義があると考える。体力的なものは別として、能力に性差のないことは、私の経験からも実感できる事実である。企業としても、男女共同参画やダイバーシティに対する意識は、近年確実に高まっていると感じている。そのような中、土木学会において、総会員数が減少しているにも関わらず、女性会員数が増加しているという事実は、意外であるとともに頼もしく感じられた。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

様々な立場の人々が利用する公共施設は、本来、様々な感性によってつくり上げられるべきだ。その観点からも、表題にあるダイバーシティ推進の方向性は自然な流れであると思われる。特に、公共施設の形や色のデザインには女性のあたたかい目線で検討が加えられるべきであるし、公共投資におけるムダ使いにも家計をやりくりする主婦の鋭い手腕が必要であろう。何をなすべきか?仕事の目的と内容を明らかにし、プロセスの透明性を高めれば、男女を問わず協力しながら作業を進めることは可能なはずだ。仕事に関する情報がオープンとなっておりだれでも積極的に協働の輪に入っていければ,職場はもっと活気づくと思う.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■ トピックス2-1  建設業におけるダイバーシティ推進の取組み 柏倉 志乃

ダイバーシティという言葉を最近よく聴くようになったが、正直なところ意味がよくわからなかった。注釈に語句の説明があるがイメージが男女共同参画とは結びつかない。もう少し一般的ななじみのある日本語にできるとわかりやすいと思う。学会が男女共同参画の活動に取り組んで全国大会での一時保育や女性会員の増加などの成果を挙げてきたのは理解できるが、現実はまだいろいろな問題があると思う。多様性を尊重した社会にするには、今の業界全体を変えていく必要がある。残業や休日出勤が当然の就業状況、残業ありきの給与体系、元契約にはないようなサービス業務の提供、そうでもしないと確保できなくなるかもしれない受注、など。男女共同参画とは言っているが、建設業に携わる男性社員で我が子のために育児休暇をとった人がどれくらいいるだろうか。公共事業投資が抑制され経営が困難な中で上記の問題がどれだけ解決できるのか。「国を挙げて取り組まなくてはならない」とあるので、学会としても具体的に何か働きかけをしてほしいと思う。 私たち学会員もぜひともこういった動きに協力したい。
(氏名:高橋麻理)

結婚しても出産しても生涯働き続けたい女性は多いはずである。会社が女性活用についてどういう方針を持っているのかはっきりしていれば、自分のキャリアプランを描きやすいし、仕事に対する志気が高まる。また、ロールモデ ルが身近にいるのといないのでは、将来に対する不安が大きく異なる。ダイバーシティ推進への制度が整い、できるだけ早く浸透することを願っている。
(所属:前田建設工業(株) 氏名:奥田文)

建設業と言えば、やはり男社会というイメージが付きまといますが最近では、土木を勉強する女性の割合も増えかつ、様々なシーンで女性が活躍しているのを目にします。本記事を読み、各企業も女性の土木技術者が働きやすい環境作りのため様々な取組みが行われていることがわかりました。企業イメージの向上だけではなく、建設業界全体のイメージ向上のためにもこれからも女性の参画の拡大を期待したいと思います。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

■ COLUMN1 ダイバーシティの推進に思う 栢原 英郎

外濠は東京で生活する中で江戸時代を感じることのできる数少ない空間ではないだろうか。現在の外濠は都会の中での水辺空間としての役割が大きいと思うが、まだまだその機能を十分に果たしているとはいえないと感じる。魅力ある親水空間の創造に向け、水質の改善、より近いところで水に触れ合える散策道等の整備などを期待したい。
(所属:五洋建設株式会社 氏名:井瀬 肇)

■ 変化する時代の土木のあり方 橋本 鋼太郎

土木は実践知であり、同時に高質の暗黙知である、とのご意見に共鳴しました。建設業に身を置くものとして、さまざまな問題解決にあたって、重要なのは、実践知に基づいたシミュレーションだと思います。特に安全管理や事故防止については、その傾向が顕著です。またさらに大事なのは、これらの実践知を、次の世代へ伝承していくための、形式知への転換ではないでしょうか?
(所属:清田軌道工業 氏名:原 繁男)

「土木」(社会基盤)が扱う対象範囲が時代ともに変化して、自然環境の保全、地球温暖化防止という新しい課題や、地方の活性化、都市の再生など均衡のとれた国土形成といった課題もあるが、基本的なところでは、人々が安全に安心して豊かに生活できる社会基盤を提供することだと考えられます。そのためには、自然現象や、土木材料の特性把握のための自然科学の知見は当然ですが、地域との調和を図るための合意形成の方法や優れた景観の創造のためにも社会科学や人文科学の知見を総合的に応用することが必要だと思います。自然に対する原罪、実践知、イノベーション、宗教性といった要素を含む土木の「土木哲学」を探究することは大切なことだと思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■ 海外土木事業におけるわが国の競争力 冨岡 征一郎

日本の設計・施工分離が障害となっており、海外土木事業の発注に対して負の影響を示していることが残念に思いました。反面、海外の現場なら設計から施工まで一貫して行える醍醐味が眠っているという点が国内事業に比べてとても魅力的に感じました。また、オールジャパンの一員になるべく土木に関わる一人ひとりが、日々研鑽する必要性を感じました。
(氏名:越石暁)

■ 続・韓国、明日にかけるインフラ整備 古木 守靖

隣国の韓国で進むビックプロジェクトの詳報に驚いた。日本では、公共事業無駄論が吹き荒れて元気が出ない。このような海外の動向を知れば、「わが国もいつかは」と勇気づけられる。今後も海外の情勢をレポートしてもらえると嬉しい。
(所属:東日本高速道路(株) 氏名:伊勢田敏)

冨岡委員の論説にもあるように、土木技術者が世界を舞台に仕事をする必要性が高まってきており、海外展開を身近に思う機会が増えつつあります。そのような中、隣の韓国においてPFIによる事業形態、LCC分析に基づく合理的な設計(LMC舗装の適用)、国際的な人材活用による事業推進など、日本の社会資本整備においても一つのお手本となるようなプロジェクトの事例を興味深く読みました。また、渋滞や騒音による環境悪化の解決策として自動車交通を地下に移して魅力ある都市を再構築する計画など、社会資本整備に風当たりが強くなっている日本社会においても人々の理解を得られる可能性のある夢のある事業の一例といえるのではないでしょうか。日本の社会資本整備をエンドユーザーにとって魅力あるものにしていくためにも、技術者がグローバルに活躍し、日本の技術を世界に、世界の技術を日本にフィードバックすることが重要であると感じました。
(所属:日本工営(株) 氏名:野末 康博)

韓国の都市計画について、多角的な視点でまとめてあり、非常に興味深いレポートであった。韓国の長期戦略的、そして非常に大胆なビジョンに正直驚いた。国際航空を活かしたまちづくりは、相乗効果を確かにもたらし、世界の中で上手く勝ち抜いていけるのではないかと思った。日本も、少子高齢化の中、国際競争力向上を図るには、海外と どのような関係を保っていくのか、現在の日本のビジョンを調べてみたくなった。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:梶谷俊夫)

■ その他

モニターになって、学会誌を何度も読むようになり、知識が吸収されていくのが、自覚出来て楽しいです。土木学会誌ということなので、アカデミックな部分は、必要不可欠ですが、現場技術者・業界の目線の記事が、もう少し増えれば、学会ファンが増えるのではと、痛感しています。
(所属:清田軌道工業 氏名:原 繁男)

1月号において「土木学会誌と土木学会の発展のために」の記事が掲載され、近年、見直しが進められている土木学会誌の経費についての重要な情報が掲載されましたが、経費削減のアイデアとして考えが浮かびましたので、一言申し上げます。発送費が1/3程度を占めていますが、これを圧縮するため、現在、会員に個別に配送している学会誌について、会社単位で郵送し、社内の会員には会社内での配布に協力するよう、各社に要請してみてはいかがでしょうか?規模の大きな会社ほど、そうした負担は少ないと思います。弊社でも、社内便として、各支局に週1回程度、定期的に物品・連絡物のやり取りを行う慣習があり、他の会社でもそうした仕組みはあるものと思います。さらには、都内の土木学会近郊に事業所を持つ会社には、土木学会まで取りに来ていただく、こんな取組みも考えられます。 法人会員となっている会社に対して、こうした費用削減の協力を求めることは、今後、検討していく余地があるのではないかと思います。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

巻頭言について:総務省統計局人口推計(平成21年8月1日確定値)では、男女総数で50歳以上人口比率が43%、20歳から34歳の人口比率が18%ですが、本旨には影響ないと考えます。 CEレポート熊本県木葉川ハザードマップについて:図−1がありません。明らかに、P60の流量配分図だと思われますが、本文中では、流量分布図と表現されています。 特集を終えてについて:キーワードとして「土」「水」・・・「計画」とありますが、例えば、「防災・減災」「都市・地方」「鉄道・道路」「環境」というキーワードも紹介できればと思いました。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会