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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2009年11月号モニター回答


■ 表紙・裏表紙

一昨年,学術調査団の一員としてネパールを訪れる機会を得た。カトマンドゥ空港に降り立った時には,その喧噪とどこか和やかな雰囲気を感じた。いくつかの世界遺産を回ったが,地すべりや地盤の不同沈下による深刻な状況にある建造物が少なくないことが明らかになった。ネパールや南〜東南アジアの国々と日本は,仏教伝来,稲作文化など歴史と文化で結びつけられた共有できる部分がたくさんある。全てはできないかもしれないが,何かできることはあるはずだ。
(所属:香川高等専門学校 氏名:向谷光彦)

■ 第7回 地域と生きる土木の景観設計 近藤 徹

ここで述べられている土木の景観設計は、土木構造物を主体に述べられている様に思われる。土木の景観設計を論ずる場合、もう少し範囲を広めて論ずる必要があるのではなかろうか。都市近郊の農地では都市計画の用途地域が、市街化調整区域から市街化区域変更されると、土地の評価額が極端に高くなり、税対策の面から土地が細分化される傾向にあり、土地利用形態に大きな個人差が生じる。生産緑地、工場、商店、住宅等雑然とした都市形態が多く見られる。個々の物件は美しいものが多いが、全体としてみた時大きなアンバランスを感じる。都市計画の面から見て景観設計に一考の必要性があると思う。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

都市空間のデザインについて、ある1人の国道事務所所長の熱意のエピソードを紹介していただき、参考になった。デザインを担当する土木技術者が過去に本格的にデザインを学んだことがあるかというと少ないのではないかと思う。大規模な新設工事だと統一されたデザインを導入すべく学識経験者を招いて委員会を立ち上げることがあるが、それもデザインについてあまりよく分かっていないと土木技術者が思い込んでいるからかもしれない。土木教育の現場で、デザインについてもう少し深く学ぶのも、景観設計に対して土木技術者が自信を持つ助けになるのではないかと思う。
(所属:西日本高速道路 氏名:西川悟史)

土木業界が社会の中で厳しさを増していると同時に,景観分野も土木の中で厳しさを増しているなと日々感じています.景観とは単なる「お化粧」ではなく,その構造物とそれが存在する場所とともに育まれる重要な資源だと思いますが,逆にこのような厳しい時代だからこそ,景観を通して地域のあり方を再考するチャンスではないかと考えています.景観を専門としている私個人としては,このような会長のメッセージは非常にありがたく思いました.
(所属:京都大学大学院 氏名:木村優介)

景観設計を活かす為に共同溝工事を行う所長が各方面に協力と説得に足を運び実現する。都市インフラを始めとして土木が様々な機関で成り立っているからこそ、調整が一番の仕事とも感じていた。その調整の仕事を怠らずに丁寧に進めていくことで、素晴らしい景観を造り上げることが出来るのだと改めて感じた。調整と言う地味な仕事から始まり、後世まで残る町並みを残す土木の魅力にふれた気がした。
(所属:戸田市役所 氏名:諸井敬嘉)

■ 志津見ダム試験湛水開始 小島 亨

新政権になり、事業の見直しが行われているところであるが、近年の異常気象(ゲリラ豪雨等)による災害により、 治水対策への関心・必要性は年々高まっているため、志津見ダムは無事事業完了へもっていけるであろう。自然調節方式にすることによって、どれくらいのコスト削減が図れたのかが分るとよかったと思う。
(所属:岡山県 氏名:難波明代)

■ 駿河湾を震源とする地震による東名高速道路被災個所の応急復旧 齊藤 康博

応急復旧は大変な作業であると思いますが、いつまでこのような状態が続くのでしょうか?私が通行する高速道路にも、未だこのような応急的な措置のままのところがあります。これも、公共事業削減の影響なのでしょうか?
(氏名:平田 貴久美)

この東名の路肩崩壊個所の応急復旧工事の模様については刻々テレビ・新聞等で詳細が報道された。一刻も早く開通させようとの突貫工事はお見事で、多くの国民の賞賛が得られたように思う。この工事は機械・作業員の派遣等によってなされたという事で敬意を表したい。ところで、最近は特命あるいは随意契約は諸悪の根源をなすので全て排除すべしとの意見があるが、これを機会に、このような応急を要する災害復旧や余人をもって替え難い様な技術力や工法を要するような場合には、随意契約の適用が必要だと云うことを世にPRすることが必要ではないでしょうか。
(福冨幹男)

被災当時,報道発表された復旧予定を見て,そのあまりの速さに驚いた.実際には,当初発表よりやや遅れながらも,供用開始にこぎつけた関係各位の努力に,更に驚いたことを今でも鮮明に覚えている.当時は,交通の大動脈が絶たれたことによる混乱などが大々的に報道されていたものの,喉もと過ぎればなんとやらで,最近ではまた,新規の道路建設不要論が盛んである.今回の復旧工事の“凄さ”は,土木学会員であればこのレポートを読まずとも, 肌に感じることが出来たはずである.喉もと過ぎた後にも,このような“大事業”の重要性を,一般にアピールする手段は無いものだろうか.
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

駿河湾を震源とする地震により、東名高速道路の路肩が崩壊したことは記憶に新しい。路肩崩壊による高速道路の通行止めの影響で、県道が大渋滞している状況を目の当たりにし、東名高速道路が日本の最重要路線であることを再確認した。二次崩壊の危険性が非常に高く困難な施工場所と思われたが、迅速かつ適切な対応により、約5日間で通行止めは解消された。その背景には、大型土のうの設置やセメント安定処理工法、大型発泡スチロールブロック工法等の施行性に優れた復旧方法を選定したことが考えられる。今後、いつ発生するか予測できない災害に対して、迅速かつ適切な対応ができるような心構えを持ち続けたいと感じた。
(所属:戸田市 氏名:宇田将人)

■ 第60回 哲学者・コ山工業高等専門学校准教授 小川 仁志さんに伺いました [聞き手]松田 曜子、海田 辰将

経歴がユニークですが、大変行動力がある方だと思います。色んな経験をしていることが、おのおのの場面で生かされているのでしょう。哲学カフェという言葉を初めて聞きましたが、まちづくりには市民参加がキーワードなのでしょう。
(氏名:平田 貴久美)

登場した先生のような積極的に行動する哲学者が教育界に次々に 現れることを望みます。今も昔も築土構木に携わる人には倫理性の高さとその一方で自由な精神が求められると思います。社会を語るときも「常識」に依存せず、自由に考える力が必要でしょう。そのためには対象を問わず、知的作法を学ぶ態度が重要と思います。若い人には知的廉直という態度も学んで頂きたいと思います。哲学界もフィールドを拡げ、科学哲学にとどまらず、技術の哲学が更に実り豊かとなるよう期待します。
(氏名:秀島 雄二朗)

■ 企画趣旨 遠藤 和弘

本企画は、大都市と地方の格差が拡大するなかで地方の希望ある新たなシナリオなどを切り口として、土木分野の果たす役割、ソーシャルビジネスの取組み、人的資源の育成などを取り上げた非常に興味深い、示唆に富んだ特集でした。その中で、丹羽氏のインタビューにあるように、少子高齢化が進むなかでわが国の将来社会を考えると、信用・信頼のある人材の育成が未来の鍵となるということに十分共感します。また、私自身ひとりの社会人として技術者として、目の前にある課題に忙しく追い回されているだけではなく、もう少し社会全体を俯瞰した立場での発想力や構想力、実行力やマネジメント力を持つことが重要であると再認識できました。
(所属:キャプティ 氏名:斉藤 実)

■ 2.座談会 地方活性化のための戦略的シナリオへのアプローチ [座談会メンバー]鎌形 太郎、森山 奈美、塚田 幸広 [司会]遠藤 和弘

農業の生産性の問題が述べられているが、近所の米作りの例を見るとほとんどが兼業農家であり、平均耕作面積は40a(4反)、これでは事業として成り立たない。大規模経営農家から棚田まで全国の農業規模がどのように分布しているのか分からないが、今問題になっている個別補償で問題が解決するとも思われない。外国産米の輸入問題、食の米離れ、アジア地区の人口増による米消費量増加、後継者不足、建設帰農を考えた場合の大規模圃場整備、水路整備の必要性、土地の所有権と利用権の明確化、土地所有者への利益配分、等農業の問題は山積していると思われる。土木学会として農業特集をして頂ければ幸いである。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

■ 3ー2 インタビュー 「生活バスよっかいち」が交通弱者を救う [語り手]西脇 良孝 [聞き手]遠藤 和弘

バス運行ではなく、飲酒運転防止の為の代行運転のような方法で対応出来ないだろうか。法的に運転者の資格の問題があるのかも知れないが、運転経歴、実績から優良運転者を厳選し、運行範囲の限定、利用者資格の厳しい査定、会員制の採用などで利用者を限定すれば、タクシー会社との折衝も可能だと思われ、警察、公安委員会の許可も得られるのではないだろうか。運転手はタクシー会社に依頼することも可能だろう。車の台数に問題は無いと思われるし、経費、環境対策、利便性の面でバス運行より優れていると思う。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

バスに限らず、採算が合わないことが原因で公共交通機関が廃止に追い込まれ、地域住民の特に高齢者の生活が危機に直面したという話はよく耳にします。これは、我が国が人口減少時代に突入した今、以前のような事業体系のままでは立ち行かなくなっているという現実そのものであり、行政は事業のやり方や税金の使い方を変えていく必要があるのではないでしょうか?昨今のなんでも成果主義で数字がプラスにならないものは斬っていくやり方には無理があるように感じます。本稿では、行政に働きかけても埒があかないため、地域住民自らがNPO法人を立ち上げていますが、根本的な収入不足の問題は解決できていません。本来、この部分こそ、営利団体ではない行政が担うべき役割ではないかと思います。
(所属:大林組 氏名:村上真也)

地方の路線バスの廃止により自治体がコミュニティーバスで代替したものの、やはりあまり使われていないという事例は数多く見かける。それは、たいていの場合元のバス路線をそのまま踏襲したり、官公庁を中心とした路線だったりで、実態に合っていないことが多いからだろうと思っている。この四日市の例は「交通弱者が行きたいところに行く」という考え方を持っており、あとは結果がついてくればというところだろう。一方で神戸の住吉台のようなNPO主体ではあるが行政を巻き込んだ例もあり、地域の実情によってベストな方法は変わってくるだろうと思っている。
(所属:西日本高速道路 氏名:西川悟史)

大学時代に交通弱者に関する研究をしていたため、今回のインタビューを非常に興味深く読んだ。高齢化が進む現在、交通弱者の足をいかに確保するかは行政も頭を悩ませているところであり、既に多くの方が困難を感じている。私が知っている事例では地域住民からの負担金によって運行しているところがあるが、本事例では自治体からの補助のみならず、バス路線の沿線の企業による協賛金も入ることでなんとか運行が可能になっているようだ。本事例のような企業に負担金を求めるような仕組みが可能になった経緯について、地域性によるものなのかなどもうすこし掘り下げがあればよかったと感じる。日本全国にこのような地域主導型の公共交通が増えてきていることは、とかく採算を重視しがちであるわが国の交通政策においてその陥穽を埋めるものであるといえる。今後この事例のようないわば成功している事例を取りまとめ、今後の地域交通政策に生かせればと願うしだいである。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:伊藤翔太)

■ コラム2 今、地域で何が必要か木村 俊昭

このコラムには、(1)地域を知ること、(2)部分的ではなく、全体的な最適化を目指すという2つのポイントが書かれていた。これは、地域活性化だけでなく、企業や社会全体でも同じことが言えるのではないだろうか。その中でも開発部門は部分的な視野に陥りがちだと思う。確かに、何かを開発することは素晴らしいことで、企業の中でも中心的役割を持っていると思うが、営業部門、製造部門、その他関係会社と協力することで、全体的な視野を養い、関係部門トータルでの活性化に繋がればすばらしいと思う。‘コンクリートから人へ’という土木界にとっては逆風の中、今こそ関係部門で協力し、土木界の活性化に繋がれば高い志を持った若者も増えていくのではないだろうか。私もその一員になれるよう努力していこうと思った。
(所属:住友大阪セメント(株) 氏名:川瀬 彩)

■ 4.インタビュー ハイプレミアムソサエティーのための人材育成 [語り手]丹羽 宇一郎 [聞き手]野村 謙二 [執筆]遠藤 和弘

ここで書かれている“労働者の心の教育は技術の教育以上に更に一層大切である。「アリ」「トンボ」「人間」になれるか。世界に目を開く、世界の若者と伍していっていただきたい。”は国内にいては分かり難い我が国の弱点を、外部から見て的確に指摘されていると思った。過日、アメリカにおける小学校の英才教育の実態をテレビで見た。学校の数は3000余と多く、教育内容も、専門的な教育のみでなく、チェス等の遊びも取り入れ、第二外国語にスペイン語を履修している。アジア共同体も視野に入る今、我が国の教育方針を根本的に見直す時期に来ているのではないだろうか。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

中国などが台頭する世界情勢の中で、我が国が従来の大量生産・大量消費を志向した社会から質志向の社会に大きく転換することの必要性や、産業形態も大きな転換を迫れていることは十分理解できました。しかし、そのような必要性がある中で、日本の土木業界は既に「過剰なサービスがさらなる過剰を生む」状態に入りつつあるのではないかと感じています。国内の公共事業が対象ゆえに、新興国と競合することはないものの、職場を見回しても若い人材がおらず、就職してもどんどん離職してしまいます。また、次の手を打てるような状況にもありません。このような状況で、日本の土木業界が生き残っていけるのか危機感を感じています。土木学会員の多くが何らかの形で土木業界と関係しているものと思いますので、その点を踏まえたご意見もあれば大変参考になるものと感じました。
(所属:大日コンサルタント 氏名:船場俊秀)

■  第9回 クロスボーダー 色と土木 杉江 裕実、石村 陽介

鉄橋の色は赤色、子供心の思い出である。当時の錆止めの色だったのだ。その後コンクリートの強度、安全性の向上で、メンテナンスフリーの面からコンクリート構造物が多くなり、古い構造物で汚れの目立つ物が多くなってきた。都市景観の視点から見て芳しくないと思われる。色と土木の面から、コンクリート構造物への塗装を法制化しては如何だろうか。景観面から色調の厳選は勿論だが、塗装材料の進化により、ひび割れ抑制効果によるコンクリートの劣化防止、鉄筋の錆止めの効果も考えられ、今問題になっているコンクリート構造物の延命にも役立ち、ひいては塗装業界の活性化、経済全体の活性化にも連なると思う。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

景観条例などで色の使用を制限しているところが多い。有名な例に京都の市街地があるが、やややりすぎな感じがしなくもない。全国一律でこの色と決められているチェーン店の看板がこの店だけ違う、という光景を目にするとやはり違和感を覚える。ユニバーサルデザインの観点からは不親切である。 そもそも、目立つ色の店を対象とする通りに誘導しない方法もあるのではないか。強制的に変えるのではなく、それに相応しい配置を誘導するのも行政の役割だと思う。
(所属:西日本高速道路 氏名:西川悟史)

『色と土木』の題名を見た時,なぜ「色」が他分野として取り上げられるのか不思議に感じた.読み進めるうちに景観と法規制の側面から取り上げられたものと理解したが,やはり違和感を消し去ることは出来なかった.例えば海岸工学の分野では,養浜や親水護岸の造成などで,どの様な色の砂やブロックを使うのが景観に馴染むかといった研究が以前から学会などでも報告されており,「色」を他分野として扱うことに違和感を覚えたものと思う.同じ土木学会に属していても,“分野”が違うと感じ方も異なることを改めて認識した.
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

■ 第11回 伊能忠敬記念館 山中 稔

私も土木を勉強していた大学時代に、一度伊能忠敬記念館に行きました。その時の感動を今でも覚えております。当時は測量学を学ぶ前でしたので、当時の測量技術の素晴らしさに驚いたのと同時に、日本全国を測量した伊能忠敬の凄さに感動しました。当時、自分は測量学にはまったく興味は無かったのですがその後に学んだ測量学の授業を楽しんで学べた事を鮮明に覚えております。土木の歴史に触れることができる場所ですので、特に学生さんには是非一度足を運んでいただきたいと思います。
(所属:首都高速道路 氏名:石原 陽介)

伊能忠敬記念館の紹介のみにとどまらず、記念館の周辺環境についても触れられているのがよかった。記念館の対岸にあるという伊能忠敬旧宅も、水面(みなも)近くにあって気持ちよさそうな雰囲気がよくわかり、ぜひ一度訪ねてみたいと感じさせてくれた。
(所属:富山県 氏名:山中久生)

■  第11 回 カワウ [文・写真]中田 一真

初めにこれまでの描写とは随分異なる、デザインのような画像を目にし、何故か不安を覚えました。次いで文章とどんな関係があるのか気になりました。近くにいるのに遠い。姿があるのによく見えない。互いに気付いているけれど共存している実感は希薄。一部の人にとっては希薄どころか軋轢と敵対の関係(一方的に?)ですが、文を読むとこの画がそんな雰囲気を醸しているように見えました。作者の述べる通り、鳥たちに人間の営みについて語ってもらいたい。そう思いました。
(氏名:秀島 雄二朗)

■ 第3話 偶然の出会いが生んだ逆転の発想 松田 曜子

5000年の昔であっても,経験や伝承に基づいた力学,工学があったことは,何もコンクリートだけに限ったことではない。本号の直江兼続治水利水施設群であっても,地域にある資源を最大に活用しながら,災害に備え知恵を絞った先人達の営みが感じられ,感動する。コンクリートといえば,配合表に代表される無味乾燥なイメージがあるが,実際は季節変動,骨材特性,水質など,自然物と対峙しなければ道は開かれない。実際のモノに触れて,先入観を排除して,トコトン頑張った技術者の皆さんを賞賛します。
(所属:香川高等専門学校 氏名:向谷光彦)

■  第28回論説(2009年9月版) 公共事業の意思決定法はいかにあるべきか 山田 正

政権交代による、国土交通大臣のダムに対する大胆な発言に対し、山田先生は、きわめてまじめな立場から、気候変動や事業が長期間かかることに対する事業の再評価、合意形成と事業の管理委員会の設置とその運用など国民の生命と財産を守るという観点から提案をされている。これは一つ立派な提案である。  しかし、門外漢から見ると、(現在の収用法のあり方の是非はおくとしても)一つは、(減反政策の下での)農業用水の真の需要、二つは、不特定用水のカウントの仕方などを考えれば、今後本当に水が足りない地域はほとんどないという意見もある。四国はともかく、九州では水産業との調整と発電用水の活用の工夫で水は十分にあるのである。また、活字にしにくい話ではあるが、事業を行うこと又は居住権というものが一種の利権とならないようにどのように管理委員会でコントロールしていくかという厄介な問題もあるのではないだろうか。
(斉藤 恒孝)

ご論説の「治水・利水事業は国民の生命と財産を守り、云々」という観点にも今後のダム事業における前向きな取り組み方についてのご提案にも敬意を表します。序でに、私は一案として周知のような気象・地形・地質等の厳しい自然条件を有する日本に住んでいる国民に広く「水資源の大切さと有効利用のあり方や人力では如何とも手に負えない程の規模の豪雨時災害発生等から流域住民の生命を守る事の難しさ」等を現実問題として真に認識して頂いて、その理解の基に、必要な治水・利水に関わる諸事業の本質をも考えて合意が得られるような環境を創り出すための策として、現行の日常生活の天気予報等の大衆向け気象情報公開における降雨量の表示を、降雨高「ミリ、mm」から流域毎の降雨水量表示「?、トン」に切り替える(並記でも可)のが良策ではないかと考えます(生産雨量?で、うち何?が調整・利用され、何?が無駄に海へ流出したと云うような概念)。
(福冨幹男)

最近の公共事業に対する偏った報道、特に反対意見を強調した議論については問題を感じる。本論説はダム事業に関するものであるが、私が携わっている道路事業においてもまったく同様の状況である。これまでの20年、30年来の計画は無視され、現在の価値観による必要性に議論が集中している。山田教授が提案されているように、公共事業のすべてにおいてあらたな枠組み作りが必要であり、自然現象の変化に対応した50年先、100年先の国土形成、基盤作りを考えた議論をすべきである。
(所属:オリエンタルコンサルタンツ 氏名:橋元 健二)

■ 第28回論説(2009年9月版) 森林の現状をどう見るか 太田 猛彦

いままで何度も見聞きして理解しているはずでしたが,森林は荒廃していないという論題に驚いてしまいました.それだけ自分の意識の中に「森林は荒れている」という意識が根強く残っているのでしょうか.とにかく多くの人が森林の荒廃を問題視していることは事実だと思います.環境問題のグローバル化に伴い,東南アジア諸国やアマゾンの森林減少が危惧されていますが,身近な里山をどう扱うか,あるいは放置林となってしまった国内の杉林をどのようにするのかといった問題が影を潜めている気がします.身近にある森林の現状を受け入れ,今後それをいかにすべきかとの考えから環境を再考する必要を感じました.
(所属:京都大学大学院 氏名:木村優介)

■ 水底表層のメタンハイドレート資源開発に関する取組み 西尾 伸也、杉山 博一

PHOTO REPORTを見て一刻も早く実用化して欲しく思い、記事を読んだ。大国などへの間違った援助や、民衆を救うための“大義と称する”戦争などに国民の血税を使うべきではない。以前から、資源小国の日本にとって救世主となる可能性を秘めたクリ−ンエネルギ−など、日本の将来に取って必要となる開発に多くの経費をさくべきだと考える。今回の調査がなぜ、バイカル湖なのか?是非国内で行っていただきたかった。今、国民的課題の二酸化炭素削減につながる有意義な開発であることは言を待たない。2009年にはこのような開発計画が了承され、国のロ−ドマップも提示されているようだが今後10年もかけて“商業化の実現に向けての技術の整備では”とても希望を持てるものではない。遅遅とした施策の多かった従来の政治から脱却できるこの時、学会も積極的に環境に優しい次世代のためのクリ−ンエネルギ−開発に関わるべきと考える。
(所属:(株)てすとぴあ 氏名:坂本 和雄)

■ 2011年より土木学会論文集が大きく変わります! 土木学会論文集編集委員会

土木学会通常号と特集号の購読料について、本文中には、「すべての通常号に加え、特集号についても、・・・、学会員はこれまでと同額の購読費で閲覧することができるようになります。」とある一方、表-2では、特集号は、「号ごとに個別の設定がなされる予定」とあり、矛盾しているように思われる。 どちらが正しいのか?
(所属:富山県 氏名:山中久生)

■ News

今年も、コンクリートカヌー大会が無事開催された報告を見て学生時代に大学3年生の貴重な夏休みを、カヌーの設計・製作等に費やしたことを思い出しました。学生時代に、一つのプロジェクトに参加しやり遂げることは、参加された学生さんにとって大きな収穫になったと思います。学生さんが土木の素晴らしさに触れる良い機会だと思いますので、今後もこの大会が盛り上がっていくことを願っております。
(所属:首都高速道路 氏名:石原 陽介)

■ その他

職場の雑談で指摘されたのですが,学会誌の著者で肩書きが「元編集委員」ってどんなもんかと。そのあたりのルールを決めていないと,編集委員を退いてからも,投稿しなくてはならないといった間違ったメッセージが読者に伝わり,編集委員の立候補が減り,各支部からの割り当て委員でやらなければならないという連鎖になるのではないですか,とのこと。
(所属:香川高等専門学校 氏名:向谷光彦)

些細なことではあるが、42,43ページ 46,47ページ で 文字の濃淡に微妙な違いがあるように見えるが、何か意味があるのだろうか。特に42ページは濃く、43ページは薄いように見える。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

以前,固有名詞については説明がないと分かりづらいといった指摘をさせて頂きましたが,今月号の特集記事では,一般的な用語についても注釈が副えられており,大変分かりやすく感じました.同じ土木学会でも,分野が違えば日常的に接する単語も変わりますし,これから経験をつんでいくであろう学生さんたちにとっては,新しい用語を吸収していくチャンスになったのではないかと思います.
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会