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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2009年1月号モニター回答


■ 巻頭言 子どもたちに感動を与えよう 上田 茂

公共工事がすべて悪であるというような最近のマスコミの論調は、本当に正しいのかと疑問に思うことがある。さらに最近は大型プロジェクトも少なく、土木技術者の地位も高くはない。これでは子供がその仕事に魅力を感じて、土木技術者になりたいという思いをいだくとは言い難い。行く末は土木技術力の衰退や社会資本整備の荒廃に繋がっていくのではと懸念している。
(氏名:   )

土木は書いて字の如く つち と き である。即ちあらゆる物の根源である。地球のお医者さんである。と聞いたこともある。上田先生のおっしゃるように学校の教科書に取り上げてもらうように運動すると共に、少年少女達に人気のあるマンガ、コミック、アニメ、等で“みんな!地球のお医者さんになろうよ”と言う作品の製作依頼しては如何だろうか。皆で知恵を出し合えば子供たちの関心を土木に向ける、面白いPR物が出来上がると思う。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤真幸)

巻頭言を読み、ふと昔を振り返ってみました。私の幼少時代は、高度成長期でたくさんの社会基盤が造られ、現在は、それが当たり前かのように現在の都市基盤となっております。当然当時は、そこに従事している方々の苦労など一つも考えたこともありませんでしたし、感動もしませんでした。土木に携わっていない人ならなおさらそうだと思います。しかし、最近この歳になり、「パソコンもコピーもFAXも無い中で、昔の人はどのように仕事を行ってきて、このような基盤を築いてきたのだろうか」と思いました。今の人間は便利な世の中に慣れているが故に、昔の人の偉大さを忘れがちだと思います。この昔の人々が築いてきた土木の歴史・偉大さを、いつの時代の少年少女にも伝えるのが、私たちの役目だと思っております。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原陽介)

今の土木界に魅力が薄れてきたことは、職業の選択をみても、土木系学生の減少をみても少なからず感じるところである。土木の魅力は、人と自然、人と地域が向い合い葛藤し、困難を乗り越えたときに味わえる達成感や充実感だと私なりに思う。以前、黒部ダムや新幹線建設にまつわる当事の関係者たちの話を取り上げる番組があった。様々な経験に裏打ちされた生の話は、実に興味深く、私も視聴者の一人として大変感銘を受けた。ダムや橋などの大規模な建設も土木工事であり、道路を掘削し管を埋設するのも土木工事である。順調に仕事が進むことより、何らかの問題に悩まされることのほうが多く、それぞれに悩み、創意工夫し、完成に向けて困難を乗り越えていく。私たちは、土木を通じて味わった経験、醍醐味を子供たち、学生たち、若い技術者たちに伝える語り部となることが必要ではないかと思う。
(所属:(株)キャプティ 氏名:斉藤実 )

上田先生の次代を担う少年少女に土木界に関わった人物像を広く紹介して、感動を与え、興味を持たせ、土木界に関わるのがたのもしいと夢を持たせるようにすべしとの巻頭言でのご提言は、土木分野の中・ 長期的活動構想としてすぐにでも取りかかれる実に良いアイデアではないかと思います。早速当学会でもこのアイデアを活かす方向で検討課題の一つとして取り上げ前向きに推進を図ってはいかがでしょうか。近年土木界はヘルメット・作業服姿、3K等があまりにも過大に伝わり、特に実態を知らない母親や学童・学生には就業種としては避けたいというマイナスイメージが定着していることを否定できません。一方今や多くの子ども達の夢はサッカー選手や野球の選手になることだという。このような現況の打開策の有効な施策の一つとしてこの上田先生のご提言を義務教育はじめ種々の場、活かしたいものだと思います。
(氏名:福冨幹男)

■ 会長からのメッセージ 第3回 炭酸ガス排出量を2分の1にする社会資本整備計画 栢原 英郎

社会資本整備に対する逆風「じっとしている以外に方法はない」という記者の言葉に悔しさと歯がゆさを感じます。
その反面、少なからず納得してしまうことも確かで、我々土木技術者が何とか(何か)しないと、そのイメージは打破できないと感じています。そのような中で、そのイメージを一掃する一案として「地球温暖化対策:炭酸ガス排出量1/2計画」は必然かつ極めて難題なテーマであると思います。だからこそ逆風を追風に変えるだけの効果も期待できるというメッセージなのだと理解しました。
(所属:(株)大林組  氏名:中村泰)

社会資本の整備の目的について、これまでの交通量推計等による理由付けですら批判を受けていることについて、道路事業でいえばその多くが「渋滞の緩和」「代替路の確保」「医療ネットワークの拡充」「災害時の輸送動脈の確保」といったものに終始しています。特に渋滞の緩和という面において「炭酸ガス排出量の減少」についても同時に達成できることが多く、つまり、同じ事象を表現する表裏に過ぎないと考えます。同じ1つのことをやろうとしても、その進め方は昔からのやり方、最新技術、いま注目を浴びて人気のある方法など、何通りもあると思います。さまざまな企業がCSRとして環境への取り組みを大いにアピールしている昨今、大衆迎合するようで不満があるかもしれませんが、一度同じスキームを受け入れて社会資本整備の必要性をアピールしていくのも、土木業界にとって自然な流れだといえるのではないでしょうか。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

この記事を読み、環境問題について再認識させられました。私は、高校受験の際、『世界への提言』という課題論文があり、環境問題について書いたことを思い出しました。それから10年以上が経過していますが、環境問題は改善されているどころか、悪化してるのが現状です。技術は、進歩しているのに、目の前の利益ばかりで、地球を守るという大きな課題を解決できずにいるのが悲しくてなりません。この記事を読んで改めてその思いを痛感しました。もう一度、身近なところから始めようと思います。そして、技術者として少しでも貢献できるよう努力していこうと思いました。
(所属:住友大阪セメント株式会社 氏名:松井彩)

■ この人に聞く 第50回 元・日本国有鉄道総裁、土木学会第66代会長 仁杉 巖さんに伺いました [聞き手]大内 雅博

鉄道分野の権威として知られる仁杉元学会長、90歳を過ぎた今も、現役で活躍していることに感慨深さがある。常に好奇心を失わず、最善を尽くすという姿勢を強調されていた。そのほか、総合的視点の必要性、見識の向上などご指摘は、業務をより密実とし、さらなる発展のためにも必要であると痛感させられた。
(所属:西武建設(株) 氏名:三村卓)

土木が国民から談合や無駄な公共事業という負のイメージで捉えられていることは、土木に携わる人間として、大変残念に思っています。また、現場では若手技術者が土木業界から離職していくことが重要な課題となっています。土木学会がこのような問題に対処するには、会長任期延長などの学会改革案を述べられており、仁杉元会長のお考えがどのような効果を生むのか十分に議論を行い、実効性のある事項については改革を進めて頂きたいと思います。
(所属:大日コンサルタント 氏名:船場俊秀)

この記事を読んで「普通のことを一生懸命やっただけ」という言葉に、深い信念と情熱を垣間見ました。また「第二東名に線路が載せられれば・・・」という斬新なアイディアには目からうろこがでる思いでした。また私たち土木技術者が取るべき姿勢や土木技術者の心情を的確に捉えているとても良い記事だと感じました。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

仁杉先生のご見識とご経験談は私たち若輩技術者には大変勉強になりましたし、励みになりました。有り難うございました。先生は、これからの土木が取り組むべき課題について、「談合問題についても真剣に取り組む必要があります」と話されております。このお話でやはり談合問題は今後の重要課題であるということを確信した思いがしました。私は、今後談合問題に取り組むに当たっては、(1)「予定価格とは何か」(予定価格制度の見直し。予定価格の定義・評価の厳格化。低価格重視でなく予定価格に最も近い提案・応札金額を重視する制度に改善する)、(2)「共存共栄をいかに図るか」(合法的なシステム化を図る)の2点をも要検討事項ではないかとも考えております。
(氏名:福冨幹男)

■ 特 集 産業景観─テクノスケープの可能性─ 企画趣旨 岡田 昌彰

昔、工業地帯といえば、日本の産業のシンボルであるとともに、公害のイメージもありました。しかし現在では、公害対策も進み、記事にあるように負のイメージは小さくなり、テクノスケープとして景観の価値が増しつつあると思います。岡山に住んでいた頃は、水島コンビナートの工業夜景が見下ろせる鷲羽山スカイラインは、有名な観光スポットになっていました。工業地帯は、一見雑然として見えますが、それが合理化・効率化を追求した賜物であることを考えると、不思議に価値を見出します。土木構造物も同様で、存在価値の向上を図るためには、機能や役割をアピールすることが大切だと思いました。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

この記事で取り上げられている産業景観は、人間の生産活動の結果としての景観だと思う。滋賀県に在住する者として、野洲川に架かるJRの橋梁を見るとき、河川の計画高水位からの余裕高、工事費比較の結果である事は理解出来るが、上路コンクリート桁、桁高の異なる下路コンクリート桁、下路鋼トラス橋の混在は、景観環境の面から見ればナンセンスである。建築の世界では容積率の取引があり、地震国日本で不規則に建ち並ぶ超高層建築物は、都市計画の不在を感じる。イタリアの田舎町で見た鉄道高架の曲面を持った高欄、ローマ地下鉄で見た穏やかな曲面壁の地下通路、見習うべき所大ではなかろうか。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤真幸)

旧造船所や工場跡地といった右肩上がりの時代が残した過去の遺産が、本来の役割を終えた今も、景観という別の役割を得て整備されていることに感銘を受けました。以前、テレビで見たのですが、外国の一部の臨海地区では廃墟化した工場群が放置され、スラム化し、犯罪の温床になっている地域もあるそうです。もちろん、整備や維持管理にはコストもかかることであり、難しい問題もあるのでしょうが、使わなくなったものをただ放置しておくのではなく、別の価値を見出すことで、安全で、文化レベルの高い社会を築くことができるのだと思いました。
(所属:大林組 氏名:村上真也)

この特集はなかなか面白く読ませてもらった。建築ではランドスケープという言葉もあるが、テクノスケープ「人間が構築した構造物が作り出した景観」。景観工学という言葉も初めて聞いた。ただ、構造物を構築するのではなく、景観として街に、地域にどのように影響を与えるのか。今後の事例を含む動向が気になる。
(氏名:上田善彦)

世の中にいわゆる「工場萌え」と呼ばれる人がいて、WebやTVのバラエティー番組で話題になったり写真集が出版されたりしているのは知っていましたが、行政が主体となってツアーを行ったり、工場跡地をそのまま公園として整備したり、といったところまで進んでいるとは知りませんでした。書店で工場や橋梁の「一般向け」写真集を見かけるようになったのも、この流れの一つの現れかもしれません。
ただ、欲を言えば、工場群を無機質でミニマルでアーティスティックなものとしてだけ捉えるのではなく、その背景にある産業そのものにも広く興味を持ってもらえたら、産業景観のたしなみ方にも深みが出てくるように思います。何も知らないで撮った写真と、背景を知って撮った写真では、その奥に見えるものも違ってくるのではないでしょうか。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

非日常的なスケールで、ムダを排除した設備―「工場萌え」と呼ばれる愛好家らの存在は、マニアックな嗜好の一種、と表現するだけでは済まないように思う。言われようのない感動を覚えるのであれば、日本古来の庭園を愛でる事と通じているのではないか。現代版「わびさびの空間」の価値を、より明確に発信していくことに可能性を感じた。
(所属:岐阜新聞 氏名:後藤亜由子)

今回の特集である“産業景観”を読み、改めて発想の転換について素晴らしいと感じました。無機質である工業地帯のマイナスイメージをクールというプラス感覚で捉え、工場の夜景を市の魅力とする。まさに発想の転換である。川崎市に位置する京浜工業地帯は、高度経済成長時に発生した公害地域のイメージが強かった。しかし、最近では某新聞社の“平成百景”の候補にも取り上げられる程有名な地域となっており、地域の現状を認識し市の発展を願う職員の意気込みが伝わりました。
(所属:戸田市 氏名:宇田将人)

産業景観をテクノスケープとして嘆賞するということには、無機的とはいえ、合理的に計算しつくされた姿に心をうばわれ、共感する人が多いということではないかと感じ、そこに価値を見出した川崎市などの先駆的取り組みは素晴らしいと思う。ただし、大々的に取り扱われることで、画一的な後発組が乱立し、更に商業ベースに偏向してしまうことによって、素晴らしい取り組みさえもが埋没してしまわないことを祈りたい。
(所属:東洋建設(株) 氏名:小竹康夫)

■ 1.テクノスケープの諸相 岡田 昌彰

たいへん面白く且つ考えさせられる企画だと思いました。数年前から本屋さんにテクノスケープの写真集が並べられ時代が変わり始めていることをなんとなく感じていました。この特集を読んで「なんとなく」ではなく「はっきり」変化を感じ入りました。おたくだけではなく、数多くの市民が化学プラントなどの景観をネガティブなイメージを持たずに、ちょうど空港や港とくにコンテナバースなどの大規模な運輸交通施設同様に受容できるようになってきたのだと思いました。さらに、「意味」を捨象してしまわないで、稼働中の装置等であれば「ものづくり」の息吹を感じてほしいと思います。製造業に従事する者としてこの変化はしばらく注目し続けることになると思います。
(所属:(株)ブリヂストン 氏名:秀島雄二朗)

■ (2)川崎臨海部における産業観光の可能性 伊藤 和良

記事の夜景写真を見て、以前湾岸の高速道路から眺めた工場群のことを思い出しました。そのときは昼と夜に同じ道を通ったのですが、いかにも工場といった昼の風景が夜には照明に照らされて全く違っており、何とも言えない不思議な感動を覚えました。今思うと、テクノスケープの表象に完全に取り込まれていました。特集を通じて、表象を入口にして地域の理解に至るという、テクノスケープの可能性を感じました。
(所属:京都大学大学院 氏名:木村優介)

初めて身近な川崎市(在住)でも様々な活動や観光誘致があるのだと知り驚きました。「テクノスケープ」としての工場空間は、写真にあるように夜景の中で"ぼんやりオレンジ色"に浮かび上がる様が壮大かつエネルギッシュなイメージとして心に焼きつくのだろうと感じます。今までテクノスケープという観点で、工場群を眺めてはきませんでしたが、夜の横浜ベイブリッジから見下ろす「本牧埠頭コンテナターミナル」など壮大で、それに類するのだと思います。
今後、「テクノスケープ」という新たな視点から、様々な産業景観を見る楽しみができました。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

■ (4)「煙と汗」のしみ込んだ美しき遺産たち 森賀 盾雄

「山間の渓流に沿う道を山の奥へ進むと、うっそうたる林の中に隠れている赤煉瓦の建物が現れる。」、それは私が別子銅山の産業遺産を観光に行ったとき、最初の印象でした。そして、中に入って、別子銅山の歴史を紹介するテーマパークがあり、さらに鉱山鉄道に乗る坑道内の観光、砂金採りまで、遊びの中で楽しく学ぶことができます。最初に別子銅山の環境がこれほど美しいことにただ驚いただけの私は、目の前に工夫された産業遺産の活用に感心しました。別子銅山のような産業遺産はほかにもたくさんあると思いますが、自然遺産のような美しさでもなく、文化遺産のような雰囲気でもないですけれども、産業遺産の価値を世間の人々に十分に伝えられる存在を見せてくれました。
(所属:神戸大学大学院 氏名:彭豊)

愛媛県新居浜市周辺は,現在でも住友系の企業が多く立地しており,隣接する川之江の製紙工場の煙突から立ち上る雲の流れを観ながら,高速道路を往来している。しかし,本記事における地域の実情は,全く知らなかった。むき出しだった煙突山が修景され,周辺と一体化するとともに,忘れ去られようとしている現実も人ごとではない。身近にも,高度成長期に一時代を形成していた町並みや情景が忘れ去られようとしている現実が多いのではないだろうか。幸い,「えんとつ山プロジェクト」を市民の手で立ち上げられたこの地域は一安心である。土木学会も公益法人格の取得に向けて鋭意努力を続けている。建設的な市民活動にスポットをあて,温かく支援していく枠組みが必要となるでしょう。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

■ 3. 鼎談 テクノスケープの美学と社会的可能性[メンバー]伊藤 和良、大野 繁、中村 良夫 [司会]岡田 昌彰

「景観」というと調和景観論が当たり前で、「観光」の対象は自然や、古い建造物或いは大都市のビル群というイメージが強かったのですが、川崎臨海部の工場地帯が「産業観光まちづくり大賞(銀賞)」を受賞するなど、これまでと違う視点で景観を観る世代が出てきたことは大変興味を持って読ませて頂きました。また、このことが脱工業化、情報化社会への変化の中で生まれてきたものであり、日本の歴史の中で変革期には起こっていることも面白く読ませて頂きました。
(所属:大日コンサルタント 氏名:船場俊秀)

■ 学生記事 クロスボーダー 新連載にあたって(予告編) 近藤 由美

「土木と多分野の意外なつながり」を見ていろいろ想像してみると世の中には沢山意外なつながりがあると考えてしまいます。今回は募集案内でしたが、幾例か興味をそそる例が掲載してあります。私は、学生の視点からみた「つながり」を是非期待したいです。昨今土木業界は暗い話が多く世の中の景気もこのような状況だけに明るい話題に繋がるような「つながり」を楽しみにしております。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原陽介)

学生の皆さんの新しい視点が、今後の土木の魅力を新たに発見できるような予感がします。大いに期待しています。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

パラパラと見ての第一印象。私の専門は「建築構造」なので「土木学会誌」を読んでもまず技術的な背景がないからすっと理解はできない内容がある。寄稿であったり、インタビューであったりが多いな?!確かに技術の専門書月刊誌として「日経コンストラクション」もあるし、専門知識がほしければ専門書を買えばいい。「学会誌」としてどのように特色を出そうとしているのかな?目に入ったのは学生編集委員による企画が組まれていることだ。今回は予告編なのだが、テーマは「土木と他分野の意外なつながり」である。次の次代を背負う世代である彼らがどのような記事を書いてくれるのかが楽しみである。
(引用開始)その線を一歩乗り越えれば、新しい発見があるかもしれない。そして、乗り越えた先にはもっと広い世界が広がっているかもしれない。そんな想いを私たち学生編集委員はタイトルに込めている。この新連載では、土木と他分野が、従来の分野の枠組みにとらわれずに手を取り合うことで、プラスの価値を生み出そうとしているような現場を、学生の視点から探していく。(引用終了) 今回、建築が専門の私がモニターに推薦され、応募してなったことと関係がありそうだな。あと、「モニターのご紹介」で30名の2009年度のモニターが紹介されていた。当然ながら私の名前もある。.....うん、仲間と同姓同名の方がいる。多分ご本人だろう。
ただ、ちょっと残念だったのは、「氏名」と「所属団体名」のみの記載であったこと。「所属団体」については、記載不可の条件もあったから記載されていない方もある。他分野の方も参加されているのだから、せめて「専門分野」ぐらいは記載すべきではなかったのだろうか?後付け加えるなら「年代」も、年配の方、中堅の方、若い方もいるはずだ。
「所属団体」記載の目的が分からない!!記載したほうが良いことの、「層別」の考え方、「優先順位」に問題ありと思う。モニターの選定理由があったはずだが...
(氏名:上田善彦)

■ 博物館で土木を学ぶ 企画趣旨 松田 曜子 第1回 鉄道博物館 松田 曜子

新コーナーのスタートとして、地元である埼玉の鉄道博物館が選ばれたことは大変うれしい。会館当初から話題を呼んでいたが、その後も人気が衰えていないようである。私も家族で見学に行ったが、子供から大人まで楽しめる施設となっていると感じた。鉄道(車体)展示のみならず、鉄道の動くしくみなど大変勉強となる。一方、施設整備に対しての取り上げは見当たらなかった。ぜひ、鉄道施設の変遷や構築など土木・建設的要素についても展示してほしい。それにより、鉄道土木等への興味や理解が広く深まってゆく社会となることに一貢献できると考える。
(所属:西武建設(株) 氏名:三村卓)

今回は鉄道博物館ということでストレートに土木関係の博物館がとりあげられていた。一方、全国各地に自然史系博物館があるが、土木は「社会的営み」そのものであることから、地元に密着した土木関係の情報を提供しているものも数多くあると思われる(例えば富山市科学博物館では急流河川で知られる常願寺川についてのコーナーがある)。今後どのような博物館が紹介されていくのか楽しみにしていきたいと思うが、各地方の博物館にも目を向けていただければ幸いである。
(所属:富山県 氏名:山中久生)

博物館好きで、日本全国の変わった博物館を見つけては訪ねている私にとってうってつけの企画です。第1回として取り上げられた鉄道博物館は、移転開業間もない休日に友人と訪れましたが、あまりの人の多さにろくに展示物や体験施設が見れず、日を改めて再チャレンジした記憶があります。
「?」「!」な博物館をいろいろ取り上げてください。期待しております。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

企画趣旨を読んで、土木を選択した学生の頃を思い出した。「土木技術や土木工学は、人間社会の生活と密接にかかわっており、これからもずっと必要なものだ」。土木工事が悪者扱いされやすい昨今ではあるが、無くてはならないものであることも事実であり、例えて言うなら、土木は空気のような存在かもしれないが、このような企画を通じて、土木の必要性をアピールすることも重要と感じた。
(所属:東洋建設(株) 氏名:小竹康夫)

■ 見どころ土木遺産 第54回 箱根登山鉄道 小野田 滋

箱根は首都圏に住む人にとって、身近に自然を満喫できる観光地であり、私自身も何度か箱根登山鉄道を利用したことがあります。レトロな車輌と景色が旅のプロローグ(エピローグ)にはぴったりの大好きな路線なので、目次を見てまず読んでみたいと思いました。自分と何らかの接点があると興味がわきます。鉄道については素人なので、土木と関わりのない人と同じ感覚で読ませていただきました。土木は範囲が広く、技術的な内容で万人が興味を持つ記事を作るのは難しいと思います。一般人にも興味が持てる「見どころ土木遺産」、今後も期待します。
(所属:オリジナル設計(株)氏名:緒方文彦)

「芦ノ湖へ至るルートは箱根観光の定番ルート」とのことだが、箱根観光に行ったことがなく、また、土地勘のない人間にとっては、ルートの位置関係がよくわからず、いまひとつピンとこない。記事では記念切手等に芦ノ湖の絵や路線図等が記載されてはいるが、文章に記載がある以上は、箱根登山鉄道・ケーブルカー等のルート図が記載されていてもよいのではないだろうか。
(所属:富山県 氏名:山中久生)

これほど見どころの多い箱根登山鉄道もモータリゼーションが進み、利用客が減少傾向にあると聞きます。古い構造物であるが故にメンテナンスも大変だとは思いますが、逆にそれを生かした観光計画を成功させていただきたいと思います。
そのためには、「土木遺産」という制度の価値をもっと高め、広く知られるように努力していく必要があるように思いました。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

箱根登山鉄道がシステム全体として土木遺産として認められたと聞いた時、嬉しかった。自然の偉大さを味わえる鉄道が維持されていることの価値が認められたからだ。自然を傷めず、出来うる限り地形に沿うように敷設された路線の維持管理は、並大抵の苦労ではないだろうと思う。しかし、豊かな自然溢れる我が国でこの路線のような観光鉄道が少なく、また注目されていないことは、非常に残念である。箱根登山鉄道と姉妹提携を組んでいるスイスのレーティシュ鉄道を始め、山岳地に存在して観光施設のみならず、生活の足にもなっている路線が世界には多くある。環境が叫ばれている今こそ、鉄路によるアクセスを観光地においても取り入れる土壌が創られることを願いたい。
(所属:戸田市 氏名:諸井敬嘉)

■ 土木屋の海外生活 技術者編 第8回 砂漠の中の大都市ドバイにおけるLRT建設 秦 勲

海外勤務には、たくさんの問題点が潜む。特に治安の悪い途上国ではなおさらのことである。しかし、グローバル化が進行する中、子供にとっては異国の文化に触れる良い機会ではないかと考える。むしろ、大人の方が海外生活に対して順応性が低いのかもしれない。家族同伴できる環境であるならば、同伴することを希望したいと思う。
(氏名:    )

■ 土木学会主催『黒部の太陽』(石原裕次郎主演作)特別上映会のお知らせ 社会コミュニケーション委員会・土木技術映像委員会

「黒部の太陽」特別上映会をとても楽しみにしています。まだ鑑賞前ですが、この「幻」の映画が、土木の魅力に一役も二役も役立つことだと思います。今後もこのような「土木の魅力」を存分に伝えられる催しの開催を大いに期待しています。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

■ 日本の土木技術の国際的存在感を確保せよ 日下部 治

わが国では、土木構造物の老朽化が進み維持管理が重要になっています。インフラ整備が進んでいる先進諸国の中でも、地震等の災害が比較的多いわが国は、早くから維持管理が重要な位置を占め、その技術も他国と比べ進んでいると思います。構造物を建設することから始まり、維持管理を行い、その寿命を全うするまでの一連の技術は、わが国が世界に最もアピールできるものであると思います。インフラ整備が、先進諸国以外にも急速に広まりつつあるときに、日本の土木技術の国際的存在感を示すことは、それに携わる人々の存在感の向上にもつながると思います。土木学会がそこに到るプロセスを進める指導力を発揮することを期待します。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

日下部先生のご意見に賛成する。社会基盤整備とは,まさに市民のためのエンジニアリングであり,その地位を明確にするためには,海外に目を向けなければならない。特に,隣接するアジアと遠くアフリカの地域でも日本の土木技術が求められているはずだ。本号の別頁でも大韓民国やカンボジア,アラブ首長国連邦の記事が掲載されている。大学院を修了した学生が,「もうお腹一杯土木の勉強をしたので,就職は別分野に就きます」と将来を悲観されてしまうようではいけない。その一方で,依然として実践技術者,即戦力的な人材の育成システムも考えなければならないのではないか。日本の独自教育システムは,多用な人材育成と,再チャレンジが可能な優秀なものである。海外に出て仕事をするにも,リーダーもNo.2も実務屋も必要となろう。JABEEだけではなく,日本独自の教育システムを海外に売り込む方法論も面白そうだ。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

■ CE リポート 世界遺産に登録された「石見銀山遺跡とその文化的景観」について 尾 敏和

5年ほど前、仕事の関係で温泉津温泉へ宿泊したときに立ち寄ったことがある。当時は世界遺産登録前で、観光客の姿はほとんど見られずゆっくり見学することが出来た。コアゾーン区域の鉱石敷き山道にも車で入って行き、パンクしないか心配しながら進んだ覚えがある。本文では区域沿い民家への騒音、振動問題が発生する程までに観光客数も延びているという記述があり、観光資源として高い成果を収めたのだと感じた。石見銀山遺跡のように、どこの地域にもその土地に根ざしていた産業遺産が必ず存在する。筆者も述べられているが、それらを観光資源やコミュニティ活動の中核として有効に活用し、地域活性化へつなげていく必要があると考える。
(所属:日本水工設計(株) 氏名:佐々木隆)

■ その他:[学会誌全般・編集委員会へのご意見など]

受け取り時に全体を眺め、興味のある記事を読むようにしている。 保存していた6ヶ月前の会誌を再度眺め、残したい記事をスクラップして処分している。 全体の印象として一つ一つの内容は良いと思うが、なにしろ記事に入りずらい (1)本文の活字が小さい(巻頭言程度で良い) (2)記事の配置バランスがしっくりこない(タイトル・記事・項目大きさ、配置?) (3)記事上部スペ−スが大き過ぎ ちなみに、読んでいる他会誌の印象は 技術士会誌:全体バランス良く読みやすいが、活字が大きすぎ
建築防災:見やすいが、B5でスペ−スが狭く、暗い印象 建築士会報:活字OK、写真と記事がアンバランス 地盤工学会誌:読みやすいがメリハリが無い 橋梁と基礎:おもしろいと思う、必ず時間をかけて見る 古い会誌から見ると格段に読みやすい紙面になったと思います。
編集担当者の努力にエ−ル!
(所属:(株)てすとぴあ 氏名:坂本和雄)

6年前にモニターとしてやらせていただいたので、今回は再登板となる。その間、土木をめぐる情勢は大きく変化した。学会誌においても各編集長の方針の下、さまざまな取り組みや工夫がされ、新コーナーが設置されてきた。また、Web上で過去の学会誌を閲覧ができるので、先人の考えが伝わり、伝統のある学会誌ならではの楽しみ方がある。これから、どんな紙面となっていくのか期待したい。
(所属:西武建設(株) 氏名:三村卓)

日本社会が大きく変化する中で、土木学会員、土木技術者が、今後、どのような視点、見識を持って、仕事を行っていくべきか、トピックス的な事例紹介だけでなく、数年先を見据えた専門性の高い具体的な内容に踏み込んだ特集を組んでほしいと考えます。会長が述べられているように「環境」は重要なキーワードと考えますが、私が勉強不足なだけで他にも様々なキーワードがあるものと思います。それぞれの専門分野の見識者(他学会でも良いと思いますが)に専門的な観点から、各テーマの今後の方向性、そこで土木技術者が活躍するために、身に着けるべきスキルなど土木及び土木技術者が生き残っていくための特集を組んでほしいと希望します。
(所属:大日コンサルタント 氏名:船場俊秀)

いま、日本なり世界で行われている土木技術の最先端なり、土木精神の一端の情報にふれたいという期待と要望もありましょう。また、世界遺産やランドスケープなどのように記念なり歴史的位置付けという大事なテーマもありましょう。たまたまこの1月号は、前者に対し後者の比重が高くなっているという印象を受けました。現下の社会経済情勢の下ではなかなか難しいとは思いますが、前者の役割も十分に考えていく必要があるのではないかという印象を受けました。
(氏名:斉藤恒孝)

第43巻5号を取り出して見た。手持ちの一番古いものである。B5版左ホッチキス止め、横書き、広告を含む総ページ数78、表紙は灰色一色、字体は横書き、下に土木学 会とある。文字ポイントは小さく、紙質も悪く質素である。その後A版、縦書き、右綴じ、表紙の体裁、読みやすさ、親しみやすさを求めてのご苦労を感じる。技術誌で あるので横書き、左綴じの方が良いのではないか。また旧版を探し易い様に、年毎に表紙に特徴をつけ、年、巻、月、を大きく明示してはどうか。(旧版でそのように なっているものもある。)近年の版は編集技術の進歩のせいか少し衒い過ぎを感じ、かえって読み難くなっている様にも感じる。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤真幸)

各記事の誌面構成が、見開き2ページとなり、かつ写真があるため、読みやすく、わかりやすい構成になったように思います。数年前の文字数が非常に多い記事内容と違い、 (1)読んでみようと思う興味がわき、(2)丁度良い文字数で、(3)数段読み易くなり、身近な誌面となったように思います。これからも「土木界隈 四季の鳥」のような斬新な記事等を楽しみにしています。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

四国支部商議委員をしており,図書を買うようにとリストを渡されました。会員増のために担任をしている高専3年生(=高校3年相当)に学会の入会案内を配布しました。学会誌等を回覧,HRに掲示しております。興味を持った学生から次のような質問が来ました。1)土木学会の図書は,なぜコンクリート関係が多いのですか。先生は,土木は多用な分野があると話していたはずです。土木学会≒コンクリート土木学会ですか。2)全国大会の優秀発表者を見ました。他高専では,優秀発表賞を受賞している方もおられるようで,すごいなと思いました。ところ,全国大会は大学生や大学院生の発表の場所なのでしょうか。実務の技術者の発表が少ないようです。実践技術者は,論文発表には興味がないのですか。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

現在の学会誌は会員には関心のあるテ−マが多く有益である。ところが、読みづらい。学会誌は頁をめくると、特に項目は文字を追って読まなくても瞬間的に内容を判読(理解)できるのが普通だと思う。読み辛い最大の要因は、縦書文章のデメリット、縦書と横書の併用の頁の場合の不調和にあるのではないでしょうか。
(1)縦書文章のデメリット
○項目、執筆者等が不揃いで読みづらく、難解(例えば、目次)
○技術的文章における数式、数値、英字、英字人名、図・表等の記載に工夫が要る 
○国際化時代の技術文書は横書きがスムーズである○IT時代の文章には横文字多用が多い 
○学会記事、公募情報、案内等は横書が主体である(P34〜P35、P63〜P81など)
(2)縦書文章と横書き文章の不調和等 
○要工夫 例えば、P42の土木に見る数字、P62のお知らせなど
○調和的で良い 例えば、表紙、P14〜15の特集など
(氏名:福冨幹男)

今回の学会誌は少し量が少なかったようですが、パラパラとページをめくった時の全体的な印象と記事の内容はとてもよかったです。記事の中で写真が多く使われていたからでしょうか。あるいは特に興味のある産業景観が特集に組まれていたからかも知れませんが、大変興味深く読み進めました。年明けの第一号にふさわしい、期待の持てる学会誌でした。来月からもよろしくお願いします。
(所属:京都大学大学院 氏名:木村優介)

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