土木学会誌
土木学会誌1月号モニター回答


編集委員から
今回からのモニターである。まず冒頭の「編集委員会から」を拝見した。魅力ある土木学会誌づくりに向けた編集委員会の意気込みが伝わってくる。実を言うと私自身、これまで学会誌はほとんど読んでいなかった。今回あらためて紙面を眺めると、写真やイラストを多用し、パラパラめくるだけで情報が飛び込んでくる。読む気にさせる紙面づくりは成功しているように見える。今後が楽しみである。欲を言えばこの「編集委員会から」、学会誌を手に取らない人に読んでもらってこそ価値がある。もうすこし短くキャッチーにして、土木学会トップページに掲載してもらうとかしたらどうだろうか。
(所属:山口大学 氏名:関根雅彦)

「魅力ある学会誌」のための誌面づくり ―学会誌の変遷と不易を踏まえて― 
学会誌の編集には大きな労力を必要とし、より良い学会誌とするために編集委員会では様々な議論がなされていることと思う。しかし、目標としている「一定の品位」が確保されていないように思える。読者の中心は、土木技術者であり、一般市民ではないことを考えると、記事の技術レベルが低いように感じられる。高度な技術内容は、論文集の役割であるとしても、もう少し技術的に掘り下げた記事を増やす必要があると思う。読みやすいだけでは、逆に読者は減るのではないかと、危惧している。
(所属:東亜建設工業株式会社 氏名:井上博士)

はじめて土木学会誌なるものを手にした。ぱらぱらとめくった最初の印象は、「読みにくい」、であった。しかも私は右開きでめくった。この幹事長の記事を目にするまでは、どれかの記事の感想を書くつもりでいたが、この記事を読んで、どうしてもここに書きたくなった。記事によると、この土木学会誌は、雑誌の位置づけも含めて、デザイン変更のお試し期間に入ったらしい。私はバックナンバーをみたわけではないので、どのような点が変更になっているのか、全てはわからない。しかし、縦書きが混じった雑誌を左開きで読まされる気持ち悪さというものを初めて経験した。お試し期間なら全ての記事を縦書きにすればよかったのに。それのほうが、読み手に不快感を与えずにすんだと思う。混ぜるのであれば、右開きになるわけだから、お試し期間中にそれも試さなくてはならないであろう。当然縦書きにするだけでは「読みやすく品位あるデザイン」にはならない。この雑誌で言えば、フォントサイズや行間の統一、写真サイズやレイアウトデザイン、目次ページの位置、ページのヘッダなどのデザインコンセプトの統一性、記事の順番、書棚に立てたときのおさまり具合など、これらの点が十分配慮されていなければ、記事を縦書きにしたところで読みやすくはならない。逆に横書きであってもこれらのことをきっちりとしている雑誌は読みやすい。いろいろな細かい点に配慮しつつ、愛情や高い美意識をもってきっちりとつくっていく、そうすることにより「品位」というものは読者に自然と伝わっていくものではないだろうか。研究論文もしかり。長い歴史をもつ立派な学会の学会誌である。今後ますます良いものになっていくことを期待する。
(所属:筑波大学 氏名:山鹿久木)

PHOTO REPORT (3) EUの積雪厳寒地や米国に先行している面もある、北海道の道路防雪対策 
「正直驚いた。」私がこの記事を読んで、素直に感じたことはこれです。道路行政や道路施策等について、私が少ないながらも業務で携わったり、論文や会社の先輩から見聞きしたりした情報等をすべて含めて考えてみても決して日本が進んでいるとは思えず、欧米の道路行政や道路施策に少しでも追い付き、追い越したい、そんな想いを持って、これまでも、この仕事に従事してきた。しかし、蓋をあけてみると、それはまったく違い、自分の浅はかさに気付かされた。この記事を読んだ後で、冷静に考え直してみると、要は簡単で、自分の想いが強すぎて、海外の芝生は日本の芝生より青々と見えてしまっていたように思う。この記事に気付かせてもらったのをいい契機として、日本の素晴らしい地域に根ざした道路施策や道路行政にもっともっと真摯に向き合っていかなくてはならないと今では本当に猛省している。
(所属:パシフィックコンサルタンツ株式会社 氏名:前田鉱太)

PHOTO REPORT (4) 【緊急報告】深刻化するオーストラリアの大渇水 ―100年に1度の大干ばつ(オーストラリア水紀行)― 
情報収集能力が低いためか、オーストラリアの大渇水については、この記事で初めて知りました。大変な状況で、「次の海外旅行先としてはどうだろう?」といった脳天気な関心しか持っていなかったオーストラリアについて、観光面のみでなく、やはり土木的な関心も向けるべきという認識を深くしました。現在はインターネットなど情報収集はやりやすい環境にありますが、情報を集めようという関心を持つきっかけがなければ宝の持ち腐れ、という感じです。私自身、土木関係の雑誌は学会誌、都市計画学会誌、交通工学くらいしか読みませんので、世界中の土木関係の最新の事情に触れる機会が少ないのではないかと危惧を覚えました(日経コンストラクション等を購読していれば別でしょうが・・・)。その意味で、学会誌の中にも、日本や世界の土木に関する最新情報を、表題+5行くらいで紹介するコーナーがあっても良いのではと感じています。学会誌と通俗誌は違うとは思いますが、私のように通常は学会誌しか読まない読者も多いと思いますので、考えていただけないでしょうか。
(首都高速道路(株) 氏名:江橋英治)

この人に聞く 
六花亭も旭山動物園も有名なので興味をひかれた。ホワイトチョコレートもマルセイバターサンドももともと好きな商品だが、エピソードを聞いてさらに親しみがわいた気がする。旭山動物園のエキノコックス発症への対応策エピソードは科学者の責任を自分も持たなければという気持ちにさせられた。また10年間は決めたことをやり通すという小菅さんの姿勢にはなるほど、いいところがあるなと感心した。しかし10年というスパンはなんの根拠なのだろう、とも思った。こういった風に自分の知っているものに関わる人のお話を読むのはおもしろい。
(所属:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 氏名:大坊彩乃)

土木学会誌の中での「この人に聞く」の記事の位置づけまたは目指すところがよく理解できませんでした.せっかくの学会誌なので,土木建設業に何らかの関わりを持つ人のお話が聞ければと思います.
(所属:名古屋大学 氏名:北根安雄)

この人に聞く 六花亭製菓(株) 代表取締役社長 小田 豊 さんに聞きました―口コミで広がったホワイトチョコ― 
最後の部分の「時間の力を借りて育てる」という話は,考えさせられました.私達が忘れていることかもしれません.個人のレベルでも組織のレベルでも,時間の力を借りるということが少ないと思います.要するに,待つことが出来なくなっているのでしょう.時間の力を味方につけるにはどうすればいいのだろう,としばし思いをめぐらせました.
(所属:山梨大学 氏名:平山公明)

技術、そして強い思いを持ってお菓子作りに取り組む一方で、買っていただく努力、改良といったことを続けていくことにより企業が成り立つ姿は、どの世界でも共通で基本的な技術にこだわりつつ、それを改良していく、あるいは周りの人に伝えていく技術者の姿に通ずるところがあると感じました。私も”マルセイバターサンド”が好きですが、模倣でなくオリジナルであることが人気の秘密なのかなぁと納得しました。旭山動物園もそうですが、指名買いしていただける努力が土木技術の世界でも必要ではないでしょうか。
(所属:西日本旅客鉄道(株) 氏名: 山本信弘)

この人に聞く 旭山動物園 園長 小菅正夫 さんに聞きました―危機に瀕して、考えた― 
素晴らしい記事であり、素晴らしい人物だ。決して交通の便利な場所になく、人口も多くない旭川にある旭山動物園がどうして入場者数日本一になったか、不思議に思っていたが、記事を読んで理由が良くわかった。小菅氏の言葉のうち、心に残ったものが2つある。「どんな状態でも10年は続ける」「科学者の責任は、事実はどうで、どういうことが考えられるかを世の中に伝えることだ」行政判断に陥らず、長期的視野に立った科学者の責任が、いかに重要か、を教えてくれている。ちなみに、旭山動物園の入場料は大人580円、中学生以下のこどもはなんと無料!こどもを是非連れて行きたい。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)

ローランドゴリラがエキノコックス症で死亡した際の判断・行動に感銘を受けました。“隠したまま動物園を続けるという判断は行政判断、科学者の判断ではない”“科学者の責任とは、事実はどうで、どういうことが考えられるかを世の中に伝えることだ”というフレーズには、一技術者として業務を進める上で、さらには危機管理の現場に直面した場合においても信念をもって臨むことの勇気をもらったように感じます。今後とも、今回のように業界をとわず「よい話」を紹介する記事があることを期待します。
(所属:JR東日本 氏名:三島大輔)


「旭山動物園の目標は、地球を救うこと」 という言葉に感心させられました。高い理想を持っているからこそ、これまでの色々な困難に対処することができたのだと思います。見習うべきことが多い、本当に貴重なお話しだと感じました。これからの旭山動物園の益々の発展をお祈りします。
(所属:原子力発電環境整備機構 氏名:安藤一郎)

昨今、どの分野でも改革、危機管理といったことが流行りのように取りざたされる。こんな時代に何が大切なのか、それを分かりやすく気付かせてもらったように思う。表現は異なるが、いろんな場面でピンチをチャンスにといった意味のフレーズを耳にする。本稿を読んで、必要なのは「根本的に考える」ということ、でも人はピンチにならないとそれを考えない、ということなのだろうと自分なりに解釈。
失敗を徹底的に分析して次に活かす、選択にあたっては最悪の状況を想定して比較する、どんな組織にも当てはまることだろう。でも、これを実践するには、旭山動物園の目標「地球を救うこと」のように、自分(たち)の仕事の目標は何か、なぜ、この仕事をしているのか、個人・組織が共有する“思い”が不可欠だ、と改めて認識。
我が身、わが組織に置き換えて、興味深く読めました。
(所属:大阪府 氏名:堀井善久)

技術者倫理を法制度改革で定着させる厳しさを少々マイナス思考で考えてしまったのだが、旭山動物園の小菅園長が述べている“高い理想”に支えられる“科学者の責務”が檄となって響いてきた。土木技術者は科学者なのだと再認識させていただいたことに感謝したい。
(所属:(社)寒地港湾技術研究センター  氏名:石川成昭)

特集 北の大地に見る次代の技術 ―初ものづくし“北海道”― 
まず「この人に聞く」が面白い。かならずしも特集の一部ではないのだろうが、2題とも北海道もの。1編目のホワイトチョコの見出しに引かれて読み出すと、最後まで土木のことが出てこない。それでいて、「時間の力を借りる」など、心に残る部分がある。2編目の旭山動物園は学生編集委員によるインタビュで、園長さんもしっかり学生インタビュアに「高い理想を掲げる」ことを教えてくれている。一方、特集「中谷宇吉郎先生と人工雪」では、「オリジナリティーのない研究や誰かの二番煎じは、学生の演習問題に過ぎない」、「タダ同然の安価な装置を使い、世界最初の仕事をすると“エレガントな実験”といってすごく尊敬する」など、研究者にも純粋な研究心を思い出させてくれる。全体として、土木技術にだけ集中しない、余裕のある紙面づくりがいい。
(所属:山口大学 氏名:関根雅彦)

1月号の特集に北海道をもってくることは、たいへん時宜を得たものと思います。雪に関する話題は、まさに今現場の技術者が頑張っているんだろうなあと感じながら読むことができました。また、特集の内容では、必ずしも土木技術だけではなく、多少の遊び心もあり、たいへん勉強になりました。
(所属:国土交通省 氏名:松浦利之)

厳しい自然に立ち向かう(共存する)ために北海道の方々が大変な努力と試行錯誤の末に様々な「初もの」を生み出していく様子が伝わった。ともすれば設計者(発注者)は指針等を満足するような設計をしておけばよいと安易に考えがちだが、自分の住む地域についてより深く理解することで標準から逸脱してもその地域にベストな(過不足のない)設計が出来るのはないか、またそうするべきなのではと感じた。
(所属:千葉県 氏名:鈴木善也)

寒冷地における土木技術には高度なものが要求される一方で、学生時代の講義を振り返ってみると、確かに我が国では、寒冷地の土木工学に関する技術教育がなされていない事に気付かされました。米国やカナダの大学においては、60校近くが寒冷地土木工学に関する教育を実施しているという記事を拝見し、非常に驚きました。これには、地域の特色を考慮し、寒い地域でものをつくる施工技術を伝承しようというスタンスが感じられます。一方我が国の大学においては学術的な研究に重点が置かれ、ややもすれば、技術の伝承に対する関心が薄れているのではないかとの思いがあります。大学において、土木とはものづくりであるという原点にかえった講義や、地域の特性を考慮したバラエティ豊かな講義というものがあってもよいと思うのです。こうした取り組みにより、現在若者の土木離れが進んでいる状況に、何らかの変化が期待できるのではないでしょうか。
(所属:清水建設 氏名:高本絢也)

大自然を相手に、さまざまな技術が開発されていることを改めて感じました。普段当たり前のように思っていることが、日本の高い土木技術に支えられているのですね。
(氏名:小川哲史)

石狩川流域の治水事業 ―湿潤原野を肥沃な平野に変える― 
石狩川の治水事業がまもなく100年を迎えるとの報告であり、興味深く拝見しました。草創期の岡ア式護岸工法が現在もアメリカで改良を加えつつ技術として活用されていることは驚きでした。100年の間に湿地が田畑に変わった面積が東京都の約半分ということでも、あらためてその事業のダイナミックさを感じるところです。また近年は自然環境の復元と治水の両立を目指す蛇行復元試験が行われているとのこと。時代に合った技術を追求することがわれわれ土木技術者の務めであると認識いたしました。今後の報告が待たれる内容です。
(所属:東京ガス 氏名:小原裕之)

当時の石狩川総合治水計画を推進した岡崎技師、彼の卓越した治水思想に基づく、自然と共存した洪水防御策とその実現を図るコストと施工性に優れた護岸工法は、現在の多自然型河川整備を凌駕す るものであった、と思いました。
一方で、維持管理費の負担や財政難などにより、氾濫防止を第一とした捷水路方式が広く採用されたことにより、自然の多様性が失われ、いままた河川の蛇行を復活させようという点は、土木技術及び技術者に求められているものの移ろい易さを端的に表していると思いました。
(所属:東京都都市整備局 氏名:荒木成文)

1. 中谷宇吉郎先生と人工雪 
雪の結晶の美しさを科学に昇華させた中谷先生の業績を、若濱先生がわかりやすく記事にしてくださった。ナカヤダイヤグラムという、シンプルでオリジナリティのある業績が、物理学の自称主流派に攻撃されたという事実には、身につまされるものがあった。分野にこだわらず、オリジナリティを大切にできるひとが、大きな業績を上げることができ、主流派か反主流派かどうかは、全く意味のない議論である。中谷先生が、文学者であり科学者であった、寺田寅彦の弟子であったことが、美しさを大切にする、先生の科学に対する姿勢に大きな影響を与えているのであろ。細分化の進んだ現代の理系人間には、 先達に学ぶことが多く残されている。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)

「自然に対する素朴な知的好奇心こそが科学の原点である」「オリジナリティのない研究や誰かの二番煎じは学生の演習問題に過ぎない」「基礎研究は必ず役に立つ」などは忘れがちな原点を思い出す、示唆に富む表現であり共感できます。自分も派手で画期的な報告に目が向きがちであるがこのような報告に目が見開かされた思いがします。
(所属:東京ガス 氏名:小原裕之)

この記事を通して,基礎研究の重要性,研究の原点を改めて認識しました.中谷先生の人工雪装置は,雲物理学の基本で,非常にうまく作られていることを聞いています.ただ,記事にもあるように,この装置は,安価な「ガラクタ装置」でしょう.実は,このガラクタが,現在多くの研究分野に貢献していることを認識させられます.つまり,どんなに最先端の研究でも,初歩はガラクタからスタートしているようですね.昨今,研究費の不足,その他諸々で,余裕のない研究者が増えているように思えます.しかし,時代がどうであれ,研究費があってもなくても,付加価値を生む安価なガラクタ作りが研究の原点であることを忘れてはいけないということ,そして,そのことが, 最先端の科学へ繋がる一歩であることを,中谷先生が教えてくれているように感じます.
(所属: 九州大学大学院工学研究院環境都市部門 氏名:西山浩司)

COLUMU:DMV 
DMVについては、昔から発想自体はあったのであろうが、実現していなかった。おそらく技術面よりも運行時の費用対効果を考え、どこも手を出さなかったものと思われる。しかしながら、ここ最近、JR北海道での開発をうけ、富士市でも実験が行われるなど広がりを見せている。一方、似ているものとして、名古屋ガイドウェイバスがあるが、経営的には、苦戦していると聞く。鉄道&バスという乗り物好きには堪えられない融合が社会的・経済的にも成功することを心から願うばかりである。
(所属:大阪府 氏名:大賀浩一)

3. 高炉スラグと合体したビーライト系セメント ―北海道発世界基準の高強度・高耐久性コンクリート用セメントの開発― 
改質ビーライト系セメントに高炉スラグ微粉末を併用したセメントの開発が、日本で最も寒いとされる北海道で行われたことには驚きました。(ビーライト系がどちらかというと高温環境下というイメージがあるので)しかも耐凍害性の面でも性能が良いというのは大変興味深い結果だと思います。一般的に高炉セメントは状況次第では乾燥収縮ひびわれ等の危険が多いと言われますが、その点は改善されているかにも興味を感じます。
(所属:奥村組  氏名:齋藤隆弘)

北海道の風土と技術開発 ―時間と空間の融合を目指して― 
モエレ沼公園に行ってみたくなった。写真のガラスピラミッドが目を引いてよい。貯雪施設やその利用などについて知らなかったので興味深かった。後半の概念的な部分も思考が刺激された。
(所属:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 氏名:大坊彩乃)

「北海道という場所の特殊性と固有の時間に再び埋め込まれた技術の開発は、これからの北海道に求められている1つの可能性を示唆しているだろう。」この記事の結びにこう書かれているが、標準化や差別化、特殊性や普遍性、こういった言葉がいくつも思い浮かんできた。普遍性を望むがあまり、本当に必要な地域性であったり、特殊性であったりが失われつつある現代。また、パスモやSuicaに代表されるように、差別化や特殊性よりも標準化、普遍性が求められている現代。どちらも相反するようで、世の中が求めている現代に間違いはないと思う。しかし、私はこの記事を読んで、北海道や沖縄等の地域性は決して失うことなく、普遍性も同時に追い求めていかなくてはならないと感じた。これからの技術開発に向けて、私達は、特殊性と普遍性、標準化と差別化、これらをバランスよく調和させながら邁進していかなくてはならないのかもしれない。
(所属:パシフィックコンサルタンツ株式会社 氏名:前田鉱太)

ミニ特集 「技術者倫理」について考える −土木における「誇り」と「社会理解」―   第3回 「技術者倫理」の定着に向けて 
品確法の制定、独禁法の改正など、制度が大きく変わっている現在は、時代の転換期にあるように感じます。「倫理」や「技術者倫理」には曖昧な部分があり、人によって捉え方が違う場合もあるように思います。アンケートでは「技術者倫理に関する情報があればもっと入手したい」と答えた企業が78%にのぼることがわかりましたが、こういった情報は官にも必要だと思います。技術者倫理をある一定の共通認識としていくためには、OJTだけでなく、研修などの教育によって補っていくことも不可欠になるでしょう。今後、土木学会が積極的に情報提供するなどして牽引していくことは、とても良い試みになるのではないでしょうか。
(所属:東京都 氏名:馬場 敦)

「技術者倫理」の定着に向けて考えるべきことは、技術者としての倫理を踏みにじることによりどのような不利益・被害が発生するのか、極端に言えば誰が泣かなければならないのか、を明確にすることと、それを常に意識させために教育し続けることだと思います。
土木業界だけでなく、日本社会全般で倫理観の欠如・喪失を実感させる事例が相次いでいる今日、可能な限りの法改正や高等教育だけでなく、幼少期からの「倫理意識」向上に向けた幅広い取り組みが必要と感じました。(昔、「一日一善」とか言っていた、CFがありましたよね。)
(所属:東京都都市整備局 氏名:荒木 成文)

建設業界の不祥事が頻繁に報道され、業界全体の社会的信用は、大きく低下している。倫理に関する問題は、建設業に限ったものではなく、自動車や食品など他業種でも同様の問題が起こっている。
これらの不祥事に対して、建設業以外の業種では、問題を起こした企業が非難されるのに対し、建設業の場合は、業界全体が非難されることが多い。公共事業を請負う建設会社を国民が直接選定することはできないが、商品やサービスを提供する企業の場合は、消費者が直接選定することができることから、このような差が生じるように思われる。
したがって、建設業の信用回復は、業界全体で取組む必要があり、それと同時に一般国民に対する説明責任を果 たすことが重要であると考える。この3回に亘る特集は、倫理について改めて考える良い機会となった。
(所属:東亜建設工業株式会社 氏名:井上博士)

営業などにあまり立ち会わない研究者・教育者にとっては大変有益な記事でした。しかし、実務を知らない私のようなものには次の文章は判り難く感じました。39頁左欄の9行目付近の「国と地方公共団体と公共工事の発注者と発注者とが・・・・・・」「国と地方公共団体と公共工事の発注者と受注者とが・・・・・・」 と読み替えて良いのでしょうか。「国の公共工事発注者と地方公共団体の公共工事発注者とが・・・・・・」と読み替えるべきでしょうか。
(所属:大学OB 氏名:荻原能男)

1.「技術者倫理」を取り巻く環境変化 ―公共工事品質確保法、独禁法等―  
 「職人気質」の伝承が希薄なことが技術者倫理の問題につながる一要因ではないかという指摘はありうることだと感じる。侍が武士道を体現するように、また西洋の貴族がノブレッス・オブリージュの精神を養うように、土木技術者が高い誇りをもって“ものづくり”に関り、その作品が人々の賞賛を得て技術者が尊敬されるようになることが重要だと思う。さて、そのために私たちは何をすれば良いのでしょうか。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石井信隆)

著者の意図を読み取るのが困難な記事でした.「品確法」の施工と独占禁止法の改正について述べていますが,そのことから,技術者倫理について何を言いたいのか把握できません.最終ページに図がたくさん載せてあります.この図についても解説らしいものがなく,読み手に解釈を任せている感じです.著者が何を伝えたかったのかわかりませんでした.
(所属:山梨大学 氏名:平山公明)

制度的アプローチが、技術者倫理を保持するための手段だという説明がよく分かりませんでした。制度的アプローチでは、厳罰化やある種のインセンティブの導入によって、談合の防止、品質の確保という点では効果があるとは思いますが、これは技術者が法令に従っているだけです。法令遵守は、技術者である以前に人間として求められる倫理であり、「職人気質」、「技術者倫理」と取り立てて言うことではないと思います。制度的アプローチは、「技術者倫理を保持するため」というよりも、「技術者倫理で保持されるべきものを法令によって保持するため」というほうがふさわしいように思います。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)

「倫理」を保つための制度的アプローチといった切り口でしたが、最低限のことは守られる仕組み、きっちりしたものが報われる仕組みは確かに必要なのでしょう。そういった見方で品確法や独禁法を見ていなかったので新鮮に感じました。また、最終ページに法令の主旨が簡潔にまとめれれており”切り取り保存”してしまいました。
(所属:西日本旅客鉄道(株) 氏名: 山本信弘)

独占禁止法の改正は、ここにも記述があるように「倫理的アプローチは必ずしも十分な効果が期待できない」ことから踏み切ったものであり、技術者としては残念なことだと思います。これは、モラールの低下、倫理観の欠如に歯止めが利かず、罰則を強化したということであり、第1回(11月号)で紹介されていた「コールバーグの道徳性発達理論」によれば、「処罰や報酬のシステムがなければ、社会秩序を保つことができない“低道徳水準”」への措置ということになります。
「技術者倫理」を考えようとするとき、土木工事(公共工事)の特質から、「発注者」「予算」(「発注システム」「予算制度」)という用語が必ずつきまといますが、われわれが一番意識しなければならないのは、その施設を利用していただく「利用者」なのだと思います。そのためにも「発注者」と「受注者」は甲乙の関係ではなく、互いに信頼関係(コミュニケーション)を持った協力関係になければならないと考えています。
工期短縮の目的は「一日も早く利用者や地域の環境を改善するため」であり、品質確保の目的は「安心、安全な施設をいつまでも利用者に快適に利用していただく」ためです。そして、そのための技術者であり技術力なのだと思います。今回の特集は、「技術者倫理」、「技術者としての誇り」を改めて見つめ直おす機会となり、とてもよい内容であったと思います。
(所属:東京急行電鉄株式会社 氏名:野川達也)

制度的アプローチの紹介でありながら、筆者の倫理的アプローチの重要性を訴える思いが伝わってきた。冒頭に職人気質のことが事例的に紹介されているが、個人や少数で形成・伝承される職人社会では、頑固や生真面目といった規範が成立しやすいのではないか、一方、多人数の協調や連携を重視する企業社会では、規範的な行動=正直者が馬鹿を見るような矛盾が存在しやすいために、職人気質の形成が難しいのではないかと感じた。経済的にも厳しさを増すだろう今後、企業社会での倫理的アプローチの限界が顕在化し、「手段に過ぎない」と筆者も述べている制度的アプローチに頼らざるを得ないのではないかと、少々心細くも感じた。
(所属:(社)寒地港湾技術研究センター  氏名:石川成昭)

2.「企業」での社会人教育 ―企業倫理の実態― 
技術者倫理の問題について、背後要因としての「社会システムや組織における構造的問題」に着眼した上での実態把握調査結果という特集であったが、企業の取組や希望に関する調査結果の紹介にとどまっており、今後企業がとるべき方向性についてはわかりにくい。技術者を取り巻く「構造的問題」とは何か?企業が整備すべき環境基盤とはどういうものか?これらの問題について、例えば倫理問題のあった現場の実態を掘り下げて見てみるといったアプローチが必要ではないかと感じた。
(所属:JR東日本 氏名:三島大輔)

企業倫理の確保―古くて新しい永遠の課題といえるのではないか。拝見したレポートにおいても、各企業でご苦労されているのが伺える。中でも企業倫理の確保に向けた教育・研修は、さまざまな方法が工夫されているが、これといった妙案はないようである。私の教育研修部門での勤務経験上からも、確かに、OffJTを集中的に実施しても、仕事に戻れば、日々の業務に埋没して忘れられがちであるし、OJTを体系だったプログラムで実施しようにも、時々刻々と変化する企業環境の中で困難であったりする。今後とも具体的な教育プログラムの充実に向け、試行錯誤が続けられるものと思うが、やはり大切なのは、企業倫理の確保に向けたトップからの強いメッセージの伝達と、絶え間ない意識醸成への努力に尽きるのではないかと改めて感じたところである。
(所属:大阪府 氏名:大賀浩一)

低入札の増加等で、企業あるいは技術者が倫理的判断を迫られる場面の増加が危惧されているという指摘がありました。しかしアンケートによれば、ほとんどの企業で倫理教育の必要性を感じ、組織的な取り組みを行っているとの回答がなされています。その取り組みが実を結ぶことを願うとともに、倫理的判断を誤らせないような仕組みも、発注者側において構築すべきではないかと思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:山崎良介)

学生班の研究室へ行こう  第1回 東京工業大学 藤井研究室(計画系) 
このような情報を、「これからどこの大学のどの学部を受験しようかな」と考えている高校生とかに届けることはできないだろうか(既に取り組まれているようでしたら申し訳ございません)
(所属:国土交通省 氏名:松浦利之)

同じ大学の中でも、他の研究室がどのような感じなのかよく知らないことがあります。そのなかで、研究室を紹介していくという企画は、とても面白いと思いました。また、同じ学生ということで、学生がこのような記事を見てよい刺激をうけると思いました。興味深い企画なので、同じ研究室の中でも、もっと多くの学生の方のインタビューを読んでみたいと思いました。
(所属:金沢工業大学大学院 氏名:山本恵理子)

モリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場  JR新宿駅  
カラフルで、新鮮な視点で描かれたイラストは、大現場の様子を短時間にわかりやすく紹介するのにふさわしく、良い企画である。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)

今月から始まった新しいコーナーということですが、部外者は見ることのできない事柄がイラストで事細かに紹介されており、興味深く拝見しました。素朴な視点が散りばめられており、学生さんをはじめとして、これから土木を目指す方々には、よい情報源になるのではないでしょうか。今回は新宿駅でしたが、鉄道の営業を続けながら工事を行うための安全確保の観点や、夜間作業の状況などを加えていただければ、都市土木としてのダイナミックさがもっと伝わったのではないかと思います。
(所属:東急電鉄(株)鉄道事業本部工務部土木課 氏名:山本隆昭)

学会誌としては大変ユニ−ク編集です。文章、写真、図表などでは表現できない現場の雰囲気が醸し出されています。これからも期待されます。
(所属:大学OB 氏名:荻原能男)

土木技術者でない視点からで大変興味深い記事でした。土木の世界の外にいる人に土木事業の一端を伝えることができる内容だと思います。ただ、学会誌に掲載されていると、会員以外の目にどれくらい触れるのだろうか というのが気になりました。読者が土木関係者に限られるとすると、少しもったいないように思います。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)

土木分野に関係にない視点から土木工事の現場を見るとどう感じるのか、非常に興味があります。土木に携わるものには当たり前の気配り(単管パイプのふたなど)が新鮮に映ったり、こんな危険な状態をほっとくのか!というようなこともきっとあると思います。今後の展開が楽しみです。
(所属:千葉県 氏名:鈴木善也)

最初にこのページを見て、イラストで詳しく工事現場が表現されているのに驚きました。機械の詳細から資機材 の配置、仮設備からカラーコーン、さらには単管キャップ等に至るまで、非常によく表現されており、さすがイラ ストレータの方だと思います。このイラストを描くのにどのくらいの時間がかかるのでしょうか? 現場のイメージアップとして、このようなイラストで表現するのも一つの方法かもしれないと思いました。
(所属:前田建設工業 氏名:内田治文)

外から見えない仮囲いの中の様子がライブな感じで紹介されていて、スッと読んでしまいました。特にジャッキでの横取りに”合成洗剤”を用いるところなど、いいところ押さえてくれており、こんなわかりやすいイラストが仮囲いに描いてあったら、普段は工事を疎ましく思っている人、関心がない人にも少しは興味を持ってもらえるのではないかと思います。私が担当している現場であれば、いろいろな場面で使用したいと感じる記事でした。
(所属:西日本旅客鉄道(株) 氏名: 山本信弘)

工事現場という、通常はみることのできない裏側を、土木分野に関係のない方の視点で観察するというのは、とても新鮮で、面白い記事だと感じました。また、内容についてはとても詳細に、イラストで描かれていることで、一度みるだけでもとても印象に残りました。文章と写真にて詳細に専門用語を織り込んで書かれていることも、もちろん勉強になりますが、イラストで描かれていると、また違った印象で興味を持つことができました。
(所属:金沢工業大学大学院 氏名:山本恵理子)

非常に分かりやすいイラストで,土木分野に普段関わりのない人の視点から説明・感想などが加えられていて,大変面白く読ませていただきました.「穴を掘るヤツかな?」と疑問などもありますが,現場に詳しい方の注釈などがあるともっと良いのではないでしょうか.
(所属:名古屋大学 氏名:北根安雄)

イラストは細かいところまで描かれており、楽しく拝見させていただきました。土木関係でない人の視点 であるところが良かったと思います。次号ではどういうイラストを見させていただけるのか楽しみです。この 企画はできる限り続けて欲しいと感じました。
(所属:原子力発電環境整備機構 氏名:安藤一郎)

事故・災害 【緊急報告】深刻化するオーストラリアの大渇水 −大干ばつは大陸を干上がらせる!?− 
この報告を見るまではオーストラリアがこのような状況になっていることをよく知らず、あらためて深刻な事態なのだということを認識した次第です。わが国の渇水状況であれば、狭い国土の中で短期間対策すればまだ何とかなり湖が干上がるところまでは行かないという程度の意識でした。が、オーストラリアでは想像を絶する状況であるということが紙面の報告からも十分に伝わってきます。いち早く、日本を含めた先進諸国の支援がなされることを切望したいと思います。
(所属:東京ガス 氏名:小原裕之)

まず、オーストラリアが大渇水であるという事実を私は知らなかった。オーストラリアというとリゾートのイメージがあり、渇水とは無縁のイメージがあった。しかしこの記事には2002年からの渇水で国全体が深刻な問題に直面していた!ただ驚くばかりである。日本でも数年に一度起こる渇水が4年連続で続くという事態は私には到底考えられない。日本では2006年の鹿児島県さつま町での洪水対策の研究が進められているのに…なんとも皮肉なものである。オーストラリアでは渇水対策が選挙戦のテーマだという深刻さである。このようにまだ私達の見えないところでこのような死活問題が露出しているはずである。私は水環境問題が目立つ地域に住んでいない、しかし、このような問題は見つけることはできるはずである。このような問題を発見し、問題について考えることの重要さを確認できた。
(所属:長崎大学工学部社会開発工学科 氏名:丸尾教博)

オーストラリアの大干ばつがすでに5年続いてるという事実をこの記事で知りました。異常気象現象のニュースはちょっと見た記憶があったが、ここまで干ばつによる被害が大きいとは思わなかった。特に湖が干上がってしまったのには驚くべきことである。
日本においても何年に一度かはどこかの地域でダム貯水率低下のために節水を余儀なくされることがある。地球温暖化の影響も加わり、このような異常気象による被害はこれからも増加していくと考えられる。
われわれ土木技術者は、これまで自然を相手に戦いを挑み、様々な技術で克服してきたが、環境破壊やエネルギー問題は目の前まで迫ってきており、人々が安全で安定した生活を営むことができるよう、もう一度改めて考える時期が来ているように思います。
(所属:前田建設工業 氏名:内田治文)

CEリポート わだい 四国の小さな町から発信するまちづくり ―地域住民・行政・学識経験者・専門家の連携による取組み― 
新年早々、テレビでアマゾンの熱帯林が広大な大豆畑に変わって行く画像を見た。海外から日本に輸入される木材も多い。以前、多摩地区の自然観察会で材木市場に並んでいる松の木1本が大根1本と同じ価格という説明も聞いた。昨年末、NPO法人BIN(バイオマス産業社会ネットワーク)が東大農学部で開催した例会で、「まちづくりが趣味」の上勝町長から「どう工夫しても林業の採算が取れない」との現状を聞いた。町営施設で燃料に間伐材や樹皮を利用し、町の予算で林業従事者を支援しているという。遠くから眺めた上勝町の山は木々の緑に覆われて美しい「宝物のような地域」だが、間伐されず日光が当たらない斜面には下草が生えず、雨で貴重な黒土が流失している。今は日本の林業が産業として成り立ちにくいが、上勝町のような中山間地域ならではの多様な地場産業を支える基盤として、「守るべき美しい自然」に国の税金投入が必要、との声も上がった。地域の緑を保護しつつ、じょうずに利用するために、「都市部の問題でもある」という視点に立った今回のような記事を期待している。
(所属:鹿島建設 氏名:小坂順一)

インタビュー記事ですが,話し手の回答文章だけでなく,尋ね手の検証記事(と思われるもの)が加えてあり,話し手の内容がより引き出されて良かったと思います.インタビュー記事は,「質問と回答」になりがちです.検証部分を加えることで内容が深まっていると感じました.
(所属:山梨大学 氏名:平山公明)

上勝町の取組みの楽しそうな雰囲気はよく伝わってきます。けれども、概して大きなイベントをすると、本来まちづくりのためのイベントであるにもかかわらず、イベントそのものの成功が目標であるかのようにすりかわってしまい、打ち上げ花火のようにあとはショボショボ・・・ということになりがちなものです。本文中にもでてきますが、まちづくりを成功させるためには、10年20年というスパンで継続して取り組む必要があります。そのための仕組みづくりについての記述がほとんどなかったのが物足りませんでした。
(氏名:小川哲史)

見どころ土木遺産 千葉県水道局 栗山配水塔 
70年前の排水塔には見えないというのが第一印象でした。
別稿の小樽港北防波堤も同様ですが、当時の土木技術者の情熱、心意気等を深く感じました。
現代を生きる私たちも、後に土木遺産と呼ばれるような社会資本を遺せるよう心がけたい。
(所属:清水建設 氏名:稲井隆司)

Joker2号 大内雅博の当たらずといえども遠からず 第10回 日本の建設投資は多いのか? ―世界との比較 
世界との比較というのはとても気になる。他国の経済や政情についてはよくニュースなどで報道されるが土木についてはあまり知らなかったのでなおさら「どうなんだろう?」と素直に筆者の疑問に乗れた。しかし、結局よくわからない。世界を平均して比較してしまっているが、先進国と発展途上国では大きくセメントの使用量が違うのではないか、結局日本はヨーロッパと比べて建設をたくさんしているのか、アジアやアフリカと比べて建設をたくさんする国なのか、日本の世界での特徴ははっきりしなかった。筆者の結論では日本は建設投資が多い国、最近になって普通になってきた、ということだが単に最近になって世界中どこでも建設をするようになったというだけではないか。世界平均との比較にも意味はあるが、それで世界の中での普通、特殊は論ずることにはすこしひっかかりを覚えた。連載なので続きでこういったことに触れてくれるのではないかと期待をしている。
(所属:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 氏名:大坊彩乃)

わが国のセメントの消費量が減少しているのは承知していた。しかしながら、今年あたりに一人当たりのセメント消費量が世界平均と同程度になるとは・・・。
セメント消費量が多いことが豊かな生活に直接結びつくわけではないと思うが、社会基盤を形成する重要な材料であるセメントの消費量の多寡は、生活の質のひとつのバロメーターであろう。GDP1000ドルあたりのセメント消費量という指標を使ってみたら、日本と世界平均ではどのくらい違うのだろうか。資源をどこまで効率的に使って、豊かさを得られるのかというヒントが得られるかもしれない。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:小島 宏)

日本の建設投資が多い、とは昔から言われてきたところでした(反発のほうが強かったですが・・)が、セメント消費量の世界平均値という比較指標があったんですね。世界平均より確かに多いことが分かっただけでなく、戦前から多かった、一時は4倍程度まで増加し、現在普通の国(世界平均並み)に向かってまっしぐら・・ ということは、それだけ人が不要になる、建設労働者の受け皿が必要ということですね。非常に参考になりました。
(所属:東京都都市整備局 氏名:荒木 成文)

毎回、おもしろく読ませていただいています。今回は世界との比較とのことで、一層楽しく感じました。いわいる世界一本という大括りでも十分におもしろいとは思いますが、コンクリートの消費量については、低開発状態では投資が少なく、開発途上で多く消費し、整備が概成したらまた少なくなるという傾向にあるのではないかということが日本の”常識”とされているように思います。その意味で、収集できるデータの制約はあるのでしょうが、例えばアジア・アフリカ諸国とヨーロッパ諸国の比較、ヨーロッパ等の先進国での時系列的変化等も検討されてみれば、世界レベルでも、この”常識”があっているのかという観点からおもしろいのではないかと思います。大変な作業を伴う労作かとは思いますが、ご検討のほどお願いします。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:江橋英治)

建設投資の多少について、セメント消費量を用いて論じておられますが、なぜセメントを選んだのか、セメント消費量の統計は信頼できるのかという前提になるところがふれられていません。専門家の中では常識なのかもしれませんが、その説明がないと一般人には説得力が弱いのではないでしょうか。そもそも、統計データの信憑性についてはどのように検証しておられるのでしょうか。最近信じられないようなデータ捏造もありますから。
(氏名:小川哲史)

忙中ペンありパート2 第1回 土木工学者の精神 ―丹保憲仁 北大前総長・土木学会元会長―  
土木の技術を学ぶ機会は多くあっても、土木工学者としての精神を学ぶ機会は多くはないと思います。正直、難しいという印象を持ちましたが、ここに書いてあることは、土木に携わることを考えたとき、とても印象深い記事でした。
(所属:金沢工業大学大学院 氏名:山本恵理子)

「土木屋は地球の医者だ」「諸々の学問を統合し、人々の役立つことをする。それがシビル・エンジニアリングである」「教育は理系方式、発想は文系」「学者(研究者)は古典を残す」等なかなか含蓄のある言葉だと思いました。旭山動物園の園長『小菅正夫』さんのお話しにも通じるところがあり、高い志しを持つことの大切さを改めて考えさせられました。
(所属:原子力発電環境整備機構 氏名:安藤一郎)

会告他
【目次】
日頃、時間をかけて学会誌に目を通す時間がなく、ほんの「拾い読み」程度が実情です。 この場合、表紙と目次で掲載内容を把握し、手持ちの時間との兼ね合いでページをめくるか考えます。そのため目次は非常に重要で、ここで読者をどれだけ獲得できるかが決まるといって過言ではないでしょう。しかし、現在の学会誌の目次は、単調で読者に訴えるものが不足しているようです。デザイン、タイトルなど工夫の余地が大きいのではないでしょうか。
(所属:鹿島建設 氏名:横塚雅実)

【表紙】
表紙について、表と裏がつながっていることを知りました。最初は両面に似たような絵があると思っていた程度ですが、ほどなくしてこれはつながっているのだと想像できました。さっそく、雑誌を開いて伏せまして、絵の全容を眺めてみたところ、雪の舞う小樽運河の夜景が目に飛び込んできました。運河のゆるやかなカーブ、河に沿って並ぶ倉庫の情景には、雑誌を閉じていては決して味わえない立体感がありました。皆さんも是非、本を開いて表紙をご覧になってみて下さい。
(所属:科警研 氏名:森健二)

学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等 
大内雅博氏の「当たらずといえども遠からず」の記事にもあるように、世界平均に比べて突出していた、日本の一人あたりセメント消費量が世界平均に近づきつつある。これは、量的な日本の建設投資が、世界標準に近づいたということであろう。大きな変換点にある土木の世界を、自らの変革により、表現していこうという編集委員会の意気込みが随所に感じられて、良いと思う。ただ、表紙の色調が若干暗めであり、明るく元気にした方が 良いと感じた。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)

「技術者倫理」の問題については、一朝一夕に結論のでることではないとは思いますが、定期的な特集などを組んでいただければ・・と思います。
(所属:東京都都市整備局 氏名:荒木 成文)

興味深い記事が多く楽しませていただいてます。これからもがんばってください。
(所属:長崎大学工学部社会開発工学科  氏名:丸尾教博)

【雑誌の体裁についての感想】
本号より一部記事が縦書きになりました。縦書きの記事を読んでいて気づいたのですが、私の場合、縦書きの記事のほうが読む速度が遅いようです。横書きに慣れたせいなのか、視力が減退したせいなのか。私だけでしょうか。
また、以前は綴り込まれていた「全国大会報告」が別冊になりましたが、何か理由があったのでしょうか。別冊では紛失しやすいのではと思うのですが。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石井信隆)

【縦書き記事について】
これも思い切った編集です。先日、特急電車の中で学会誌を読んでいたとき、この縦書は大変な気分転換になりました。会員の皆様はどのくらい読んで下さり、どのように評価されるでしょうか。
(所属:大学OB 氏名:荻原能男)

農業土木学会誌は2007年1月号から誌名が「水土の知-農業土木学会誌」と表紙が一新されました。学会誌の編集者も昔に比べると創意工夫して読者に喜んでいただくことを考えているように思います。土木学会誌の編集委員の皆様も格段の努力をされていることが誌面から読み取れます。
(所属:大学OB 氏名:荻原能男)

土木学会誌の取扱うテーマは非常に幅広いので、土木学会誌に目を通すといっても、 目次をながめたり、パラパラとめくったり、目にとまった見出しがあればその記事を 熟読するという読み方をしている読者が多いのではないかと思います。 そういう読み方をしようとすると、1月号はその前の12月号に比べてかなり 読みにくくなっているように思いました。
まず、目次の活字の色、大きさのメリハリが少なくなり、学会誌全体の構成が 分かりづらいように思います。また、今月号から一部縦書きになりましたが、パラパラとめくっていると 縦書きのページで一瞬どこを見たらいいのか分からなくなるところがあるように思います。
縦書き横書きが混在している他の雑誌、広報誌と比べても、とくに読みにくいという感じがしましたので、一部縦書きにしたことそのものが原因ではないと思い、縦書きのページが読みにくい原因を素人なりに考えてみました。
・「この人に聞く」は、横書きだと見出しがある位置に写真があるので、めくって最初はそこに見出しがあると思い込んでしまう。また、他の縦書きの記事に比べて罫線などが目立たないので、特別に意識して縦書きだと思わないまま見てしまう。
・74-75ページは、「わたしの本棚」のページが目に入って縦書きだと思うと、「忙中ペンあり」の見出しは横書き風で、しかし「忙中ペンあり」の本文が縦書きなので混乱する。といったところだと思います。
最近では数式を多用する記事がほとんど無いので、むしろ原則として縦書きとしてもいいのではないかと思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)

今月号から縦書きを試行されていますが、縦書き部分は一括してまとめるようにしてもらえないでしょうか。散文的な記事を縦書きとされていると思いますが、縦書・横書が混在しているとページを繰りながら読み続けるときは、読みづらいと感じます。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:江橋英治)

例年、1月号の巻末に記載されていた全国大会報告を今年は別冊としたのはなぜでしょうか?散逸しやすい ように思いますし、また製本コストも高くつくかと思うのですが。
(所属:国立保健医療科学院 氏名:島崎 大)

今年から目次のレイアウトが変わったのでしょうか? 去年の目次レイアウトの方が私にとっては分かりやすいです。
(所属:前田建設工業 氏名:内田治文)

仕事の場などでは、関係する情報にしか接することがありませんが、幅広い分野の記事が載っている最近の学会誌の総合誌的なつくりかたは、他の分野でどのようなことが行われているかを知る良いきっかけになっています。専門的な内容が少ないと意見もあるかとは思いますが、1つの記事が多くて4ページという今のスタイルが私にはちょうどです。
(所属:西日本旅客鉄道(株) 氏名: 山本信弘)

どの記事も、見やすく、わかりやすい記事で、中には難しい内容(技術者倫理)もありましたが、どれも何年か後にまた読み直してみたいと思う記事でした。
(所属:金沢工業大学大学院 氏名:山本恵理子)

学会誌というものをはじめて読みました。思ったより読みやすいですが、楽しみながら一気に読みきるようなものではありませんね。
(氏名:小川哲史)

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