土木学会誌
土木学会誌1月号モニター回答


表紙
東京を守るための計画でしょうか?防空と言う言葉が戦争を思い浮かべるのですが,それとも天災に対してのものなのでしょうか?いずれにしても、昭和15年の記録でありその時の地名,言葉使い,あとその時の人口等その上に印刷されている文字の間をかいくぐってなんだろうと興味をもつ記事でありました。
(港湾空港建設技術サービスセンター 高松宜応)

この人に聞く 三峡ダム工事に従事して 畠中勝也
三峡ダムは中国の一大プロジェクトであり,世界的にも大きなプロジェクトである。そういった事業に日本人技術者が従事され活躍されたということで,そのお話に大変興味を持った。この記事のなかでもう少し中国ならではの工法の紹介や,工事の進め方の違い等,日本のそれと対比させて載せていただければより一層興味がもてたのではないかと思う。
(京都大学 福林良典)

昨年の8月にICCI2004に参加し,山峡ダムの見学に行ったので,半年程度しか経過しておりませんが懐かしく読ませて頂きました。中国の工事現場では現場で働く人の数が多く,活気に満ちており,経済成長している様子が感じられました。
日本では機械化,効率化など,現場で働く人が少なくなっており,かえって新鮮な印象でした。
(東電設計 斉藤修一)

大プロジェクトに携わった諸先輩の経験・知恵に触れることができるすばらしい企画である。専門誌には,施工者側の立場からのレポートが少ないが,このインタビューには,現場での苦労,工夫といった経験と知恵のエキスが凝縮されている。これからも楽しみにしています。
(清水建設 樋川直樹)

中国では,これから北京オリンピックや上海万博を控えているだけでなく,「西部大開発」「西電東送」「南水北調」など国家の威信をかけた巨大プロジェクトが進行中あるいは計画されている。年率9%前後の経済成長を背景に空前のインフラ整備が進んでおり,土木に関わる者としては関心のあるところだった。三峡ダムも一連の大規模事業を代表するもののひとつであり,大変興味を持って記事を読ませていただいた。エピソードなどが盛り込まれた報告はとても読みやすく,技術を結集した大事業について格好の事例研究となるだけでなく,土木分野の魅力を伝える宣伝としても効果的だと思った。今後も興味のある事例をぜひ紹介していただきたい。
(東京都 竹口了介)

「事故・災害」ミニ特集 新潟県中越地震 災害速報 第2弾! 
昔,新潟県内に勤務したこともあって,現場に行ったこともあり,また,知り合いが載っていたこともあり,非常に興味深く読ませてもらいました。今回は速報ということもあり,構造物などのハード面の被災状況が中心でしたが,今後は災害対応などのソフト面も含めた検証をお願いしたいと思います。
(国土交通政策研究所 瀬本浩史)

災害発生時には,直ちに公共機関を始め,民間企業,ボランティアたちが一斉に被災地の人々の命,生活を救済し全国いや全世界へ通じるネットワークの復旧に向け活動にとりかかる.一方で調査にやってくる団体もある。○○先生を代表とする調査団であったり○○学会の調査隊であったりする。この人たちは,不便な生活を強いられている人々の中を,調査のための装備をフルに整え,カメラを持って歩き回り話を聞いて歩く。敢えて意地悪な言い方をしたが,だからこそ調査団は使命感や目的意識をもって活動すべきだと考えていた。今回土木学会の調査団の結成の経緯,団長の配慮された点,目的とされた点,意識された点についてお考えを明確に述べられており,同じ学会に属す者として誇りを持つことができた。速報として新聞紙上に団長の見解が載せられることはある。しかし,調査結果に基づく成果は,逐次世の中に還元されていくもので時間がかかるため,世間には印象の薄いものとなってしまいがちである。記事の内容を読み,胸を張って土木学会の役割について説明し声を出してアピールすることができる。
(京都大学 福林良典)

新潟県中越地震で最も印象深かったのは上越新幹線の脱線事故であったが,兵庫県南部沖地震での高速道路の高架橋が倒れ,見るも無残な姿になっていたことと比較すると,土木技術の進歩が確実に進んでいることが感じられた。特に新設構造物については,柱両端に塑性ヒンジが形成され,せん断破壊回避、柱機能の維持という事実は,新設構造物を設計,施工する多くの技術者の励みとなるものだと思う。ただし,鉄道関係だけを考えても上越新幹線の脱線,営業線の復旧の遅れ等は防げる事象は数多く残されており,今後の調査,分析,対策の必要があると感じた。今後の土木学会の多いなる寄与を期待します。
(清水建設 坂井康伸)

新潟県中越地震被災地の状況が,写真と図を活かして,よくまとめられている。ニュース,インターネットを通じて得られる情報は,当然,土木技術者の観点で収集,整理したものは少なく,物足りなさを感じていた。調査団の先生方のレポートは,土木構造物の被害というハード面から情報通信システム等のソフト面まで多岐に渡り,我々の知的欲求を十分に満たすものである。
私も,昨年12月に現地の被災・復旧状況を視察してきたが,東京から日帰りで行ける距離である。レポートを見た若い技術者の方々が興味を持ち,現地に直接足を運ぶことを期待したい。
最後になりましたが災害で亡くなられた方々に対してご冥福を祈りますとともに,被害に遭われた方々に心からお祈り申し上げます。
(清水建設 樋川直樹)

学会発動の災害調査をどうすすめるか?の記事の中に,「日頃は交通量の多くない磐越自動車道や上信越自動車道などによって形成された広域的な幹線ネットワークが,地震によって途絶した関越自動車道などの迂回路として機能した」という記述があります。災害時の支援や復旧において,輸送路の確保は重要でありますし,災害による人や物の流れの停止は,社会経済的にも大きな損失となります。この事例のように道路ネットワークのリダンダンシーが活用された事例についての検証もぜひお願いします。本四道路においても,昨年の台風災害で四国内の道路が寸断された際に,同様に迂回路として活用されておりました。日頃は「無駄」といわれていたものが,ここぞといったところで役に立つ。公共事業の見直しをすすめるうえでも、こういった事例からの検討も必要ではないかと感じました。
(本州四国連絡橋公団 大倉章弘)

第二次調査団による災害速報では,交通基盤施設の被害や地盤土構造物の被害についての状況を確認し,科学的解釈を加えて紹介され,迅速な提言がなされた。学会では阪神・淡路大震災を契機に,このような緊急調査を実施するため,災害緊急マニュアルを整備するなどの対応が図られている。また,関係機関の枠を越えた協力体制により災害情報が迅速にデータベース化されているとのことで,少なからずとも教訓が生かされているのではないかと感じた。
(三井建設工業 鈴木茂夫)

学会発動の災害調査をどうすすめるか? 安全には「絶対」も「神話」もあり得ないのと同様,「ゴール」もまた存在しない
緊急調査は,ともすれば災害地の現地調査は,被災者の方々にとっては,非常に不快な印象を与えかねません。その点からも,直接的な社会貢献となるように,調査の使命を明確にすることは,非常に重要であると感じました。そしてなるべく早い時期に情報を公開する必要性も感じました。
各団体や企業などにおいて,やはり予算措置の迅速な対応は,いつも苦心するところのひとつではないでしょうか?体制作りのリストアップとともに,予算措置のシミュレーションは,常時でも準備できることなので,災害が起きる以前に技術系統から事務系統へ働きかける必要があると感じました。
(JR東海 大木基裕)

新潟県中越地震災害 第二次調査団速報 交通基盤施設の被害
新潟県中越地震は,阪神・淡路大震災後,初めての震度6クラスの地震であった。阪神・淡路大震災の教訓が生かされているかが試される確認される結果となってしまった。構造物は,設計どおりの破壊状況になっていない所もあるようだが,損傷による大きな被害は見られていないことから,阪神大震災の教訓が生かされていることがわかる。地震後の解析は,損傷のメカニズムを理解する上で,必要である。今回の損傷が今後の地震対策に生かされることを望む。
(匿名希望)

曲げ破壊先行型で破壊した柱は,せん断破壊が回避され,柱機能は維持されていることが確認できたとのことで,兵庫県南部地震以降に整備された耐震性照査方法は有効とのことであった。過去の経験を踏まえて技術開発を行う必要性を改めて感じることができた。
(東電設計 斉藤修一)

2004(平成16)年 新潟県中越地震における河川被害状況と災害情報の配信・共有化
河川の被害状況が詳細に調査され,河川事業に携わるものとしては非常に興味深いものでした。今後は,堤防破壊のメカニズム,原因解明,今後の対応策への提言などを期待したいです。
(匿名希望)

特集 教訓は十分に生かされているか? 阪神・淡路大震災10周年に当たっての検証
昨年は度重なる台風や豪雨災害や新潟県中越地震およびスマトラ沖地震による大きな地震災害があったので,本特集は正に時宜を得た記事になった。阪神・淡路大震災から10年を経た現在,本特集のひとつひとつの記事は,風化し勝ちな大地震に対する対策を考える上で非常に有用であると思います。
(広島工業大学 中山隆弘)

学会誌の原稿としては,申し分ないと思う。ただ,近年のマスコミからの批判等を考慮すると,「十分に生かされているか」という問いに対して1ページ程度の回答書で,素人にもわかるページが入っているとさらに良いと感じた。我々の土木という学問体系がいかに世の中に貢献しているかということを学会内だけでなく,そとにも開くようなページや冊子があると良いと思う。(勉強不足で学会がすでに出して配っているのかもしれませんが)
我々がいま,学会としてすべきことは,もっとわかりやすく,世の人々に説明し,土木がいかに重要な産業であり学問であるかということを理解してもらうことだと思う。ことある毎に,わかりやすい説明で我々の重要性のキャンペーンを貼ることが学会,あるいは学会誌の役割として重要ではないでしょうか。
(広島大学 丸山一平)

第3章 社会組織にもたらした変革とは
昨年は,日本国内の至るところで自然災害による被害が発生した。相次ぐ台風襲来,そして,新潟県中越地震。アジアに目を向けると,スマトラ沖地震による甚大な津波による被害。一方,イラクではテロが頻発する中,自衛隊がイラク国民のために支援活動を継続している。このような状況の中で,日本が世界に貢献し,国際的評価を得るためには何が出来るかを考えた場合,土木に携る者としては「防災大国」として是非貢献して欲しいと思う。そのために,土木技術者達が一体となって推進していくべきだと思う。防災を推進するにあたり,災害予防と災害復旧のどちらに重点をおくかは判断が分かれるところである。三位一体改革の中では災害予防対策の補助金を事実上廃止するという提言が出されている。しかしながらこのような話は,私の勉強不足かも知れないが一般にあまり知られていない。そこで,これまでに予防と復旧に投入した税金の額や得られた効果をまとめた形で知りたいと思った。
(JR東海 石川達也)

第4章 土木学会は何をしたか?
記事では地震災害に関する調査研究と実用化のレベルについて,ここ10年間の変遷を具体的に示しており,興味深く拝見した。ただ現在,実用化のレベルに達しているとされる技術についても,その適用にあたっては十分な技術的配慮が必要と思われるものも多数存在する。この点について、技術者教育や人材供給の観点,あるいは技術の啓蒙と普及の観点から,学会としてどのような戦略を描いているのか,さらなる情報発信を期待したい。
一方,課題抽出段階とされる課題は,記事中にも指摘があるように,他の技術領域との連携が求められている分野であると思う。また,単に地震防災や災害復旧戦略の問題ではなく,これからの土木の将来像を描く上でも重要な課題であると思う。
今後は,自然科学的発想と社会科学的発想の融合がますます重要になってくるであろうし,相互の理解なくしては解決できない問題も多いであろう。そのため土木分野の主流がソフト技術を指向するのは自然な流れなのかもしれない。しかし,それは決してハード技術のさらなる進化が不要であることを意味しているのではないであろう。現時点で最善だと思っているハード技術であっても,常に批判的な検討を続けなければ,技術的には陳腐化するだろうし,それでは学会として社会に対する説明責任も果たせないであろう。
これら課題抽出段階の課題が実用化に向けた段階へと研究開発フェイズがシフトしていくのは,もちろん望ましいことである。その一方で,ハード技術に携わる者としては,ハード技術を知識として語るだけの評論家ばかりが増えないこと,技術の空洞化が進まないことを切に期待したい。
(京都大学 小林俊一)

阪神淡路大震災から10年。各メディアでは様々な特集が組まれ,復興の様子を紹介しながらも,まだまだ途上であるしまた,震災を忘れてはいけない。ということを伝えていたように思います。学会誌の特集記事も様々な視点からの記事があり,興味深く読ませて頂きました。昨年,国内外で大きな災害がありましたし,近い将来発生すると言われている地震もあることですので,阪神淡路大震災から10年で区切りにすることなく,今後も震災の教訓,および研究・検証の成果をとりあげて頂きたいと思います。
(本州四国連絡橋公団 大倉章弘)

第6章 来るべき巨大地震への備えは?
阪神大震災以降,設計法の改定や既設構造物の補強等が行われていることが分かりました。また,震災の記憶を風化させないように様々な試みが行われていることも知りました。とても興味深く読めました。
昨年は,相次ぐ台風の上陸や中越地震,さらに海外ではスマトラ島沖で起きた地震に伴う津波等,日本や世界で大きな災害が相次ぎました。
これらの災害で過去の経験が十分に生かすことが出来たのかを検証して,今後起こると予想される災害の被害を減らす対策を考えていかなければならないと感じました。
(若築建設 佐藤恵流悟)

コラム2 阪神高速道路倒壊訴訟の経過―何が問われたか―
阪神大震災という想像を遥かに超える地震でありながら,公共構造物が倒壊した場合に,設置管理者である公共団体の責任が問われた本訴訟は,私にとっても非常に注視すべきものでした。
論点となった「橋脚の物理的な欠陥はなかったか」「供用開始後の知見(設計基準の改訂等)に基づく緊要な耐震補強の欠如という管理の不備はなかったか」という2点についは,土木技術者が最も大切にすべき「品質・施工管理」「事業実施計画」の重要性と直結しており,今後,こういった犠牲者が一人でも少なくなるよう身近なことから高い意識を持って取組む必要があることを改めて感じました。
(JH 竹縄謙作)

「耐震補強計画のあるべき姿」について,一構造物の管理の不備の存否という道路管理者的な視点だけでなく,道路網(ネットワーク)を意識した国家的な視点からも耐震補強を行っていくことも必要と感じました。
(本州四国連絡橋公団 大西貴浩)

コラム6 Lessons Learned From Kobe Earthquake On The Influence of Disaster Mitigation of Chi-Chi Earthquake
英文の記事については、概要を日本文で掲載していただければと思います。
(本州四国連絡橋公団 大西貴浩)

学会の動き 平成16年度新潟県中越地震への土木学会の対応
地震に関するニュースを見ると,そのエネルギーの大きさに驚くと共に,その被害に心を痛めています。地震災害に対する学会の対応は,研究や経験を重ね,迅速で充実したものになり,その成果について,地震防災対策に寄与し被害の縮小に結びついていることと思います。
これから起ると考えられる地震のことばかり心配して,日常の社会生活をおろそかにしてはいけませんが,今までの教訓を生かし社会に呼びかけることが学会の責務であると思います。
責務を実行させるためには研究に重点を置くのではなく,計画・建設・利用に携る人々の繋がりが大切な事ではありますが,このことを進めるのは容易ではありません。これからは,これらの繋がりを結ぶための場や人の役割が重要になることと思います。
(港湾空港建設技術サービスセンター 島田伊浩)

海外リポート 「投稿」オマーンにおける地下水油汚染対策のための技術支援事業
新しい世紀になり「水」に関する関心が高まる中,水資源の人為的な汚染の問題について近年相次いで出版されている「水」関連の書籍でも報告されています。これらの書籍の多くは,海外の書籍の翻訳かそれらの情報をベースにしたものとなっており,紹介されている事例もよく知られたものが多いようです。そのような中,今回のレポートのような現場からの最新の情報提供は具体的な事例を知る上で非常に貴重なものであると感じました。特に,今回のケースは我々が日常使用する石油のために他国が水ストレスを受ける可能性を持った事例であり,水に関する複雑な国際的問題を考える非常に良い材料にもなったと思います。
(九州大学 矢野真一郎)

オマーンはかつて旅行で訪れたことがあるが,延々と乾燥した岩と砂の大地が広がっていたのが印象的だった。この国では地下水が貴重な「資源」であることは,短期間の旅でも十分身をもって実感させられた。地下水の油汚染が問題となっていることは今回の記事で初めて知ったが,このような国で水源が汚染されることがどれほど深刻な問題であるか容易に想像されて,興味を持った。地下水は表層水のようにそれ自体を直接コントロールすることは困難だが,記事のように圧縮空気の注入により揮発成分を洗い取る技術があること,また,その方法より安定した浄化効果が期待できることに驚かされた。
(東京都 竹口了介)

シリーズ特集 地方の息吹 第1回 自然の力で町おこし!雲のうえの町 高知県梼原町
梼原町の取組みは,町民のために何ができるのかを考え,町民の気持ちを引き出す具体的な計画を持って行政を行っている非常に魅力的なものであると感じました。決して大きくはない町が風力発電の導入や千枚田のオーナー制度など工夫を凝らしており,健康・教育・環境を基本とした住民と一体となった町づくりへの取組みは真に有効なものへの財源の活用,住民への還元といった素晴らしい循環を生み出していると思いました。「梼原町に住めば電気代が半額で済みます」という大きな夢が実現されるよう今後も期待したいです。
(JH 竹縄謙作)

読み進む上で,ひとつの疑問が頭をよぎった。題名にまでした「自然の力で町おこし!」というフレーズ,確かにそうではあるが,どちらかといえば「住民のアイデアで町おこし!」の方がしっくりくる気がした。 日本全国の地方の村で問題となっている過疎,高齢化。それらの現実に目を向け,「今あるものを,今いる人たちで」行う地域の活性化,いろいろ考えることはあるのだなと思った。特に補助事業に関する調査,100%の補助をもらうため「やったことのないことをやる」というポリシー,感心させられた。他の市町村でもこのようなことを考えているのだろうかと大変興味を持った。
電気代が半分になるというキャッチフレーズ,大変いいものだと思う。このようなことを全国の市町村は言えるのだろうか?わが町自慢を,役場の方々は持っているのだろうか?いつも頭では考えながら,楽しく,充実した仕事をしている梼原町役場の方たちの姿が容易に想像できる。私も是非行きたくなった。
ただ、文末において、土木の3Kを引き合いに出すのは,どうかと思った。
(日本道路公団 木村 泰)

地方の活性化が叫ばれている今日において,とても元気のある町があっていいなあと感じました。具体的にはいかにその地方またはその町で個性を出していくか。それが,どのように対外的にアピールできて,その町に住む人に還元できるかという具体的な施策については,地方のみならず実は都市部に本当に必要なことではないかと感じました。
(若築建設 井上 譲)

規模は小さいながらも数々のアイディアで町おこしを図り逞しく生きる梼原町のお話。自主財源や補助金の問題,ボトムアップ的な行政アイディアの集積など,地域の特色を活かしながらコミュニティを盛り上げていくための具体的なヒントが示されており,大変興味深く拝見しました。今後の連載にも期待したい。
PS学会誌には「梼原(ゆずはら)」とありましたが,正しくは「ゆすはら」ですね。
(京都大学 小林俊一)

人口が減ることが明かな今後の日本の産業全体の行く末を見る上で,地方の動向は日本の未来を先取りしているといわれている。そういう意味で,この特集は非常に注目に値する。今後は,地域社会がいかに豊を蓄積していくべきか,というビジョンを示唆するような記事にも期待したい。
(広島大学 丸山一平)

地域地域で土木技術者が果たす役割を見つめ直すべく,いろいろな地方の取組みを紹介するという,土木学会誌としては毛色の変わった(?)の企画がスタートしました。
学会誌のちょうど真ん中あたり,ずっとしかめっ面して読んだ後にちょっと肩の力を抜いて読めるところに配置したのが良いと思います。一度は訪ねてみたいと思わせる魅力的でユニークな取組みをしている地方がたくさん取り上げられること,そしてシリーズが継続することを希望します。
シリーズ番外編で,「海外・地方の息吹」というのも期待します。
(日揮 本間 学)

海外ほっとライン 第8回 Mind the Gap 紛争解決という大きな産業
パートナリングは契約マネジメント方式として,非常に興味があります。社会的な背景等の違いもあるとは思いますが,契約マネジメント手法や土木分野の国際化についての特集をして頂けるとありがたいです。
(国土交通政策研究所 瀬本浩史)

土木紀行 若桜橋
大きく二つの意味で興味を持った。ひとつは,比較的規模の小さい橋にもかかわらず「山紫水明の小都に美観を添える橋」と評価されているとのことから,当時の技術者はもしかしたら今の技術者以上に景観に配慮して橋梁を設計していたのではないかとの思いを抱かされた点である。二つ目は,この橋が当時の時局匡救事業によって構築された点である。公共事業の必要性に対して風当たりの強い昨今であるだけに,興味深く読ませていただいた。
(広島工業大学 中山隆弘)

鉄道ルネッサンス ―見直される鉄道3― 高齢化社会と鉄道―人と環境に優しい鉄道を目指して―
鉄道・バスなどの公共交通機関でバリアフリーやユニバーサルデザインといった対応がはじまったのは,ここ十年程度のことであり,未だに道半ばの状態であるし,より高齢者の利用率の高い地方の交通ほど,進んでいないという状況もあります。
バリアフリー化を進めることが公共交通の復権につながるということを認識すると共に,それを実現するために,何ができるのかということを考えさせられる内容でした。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 増田康男)

「大半の高齢者は運転免許を保有しており,鉄道・バスの対応が不十分であると,マイカーへの依存度合いがさらに高くなっていくことが十分予想される。」の部分を読んだとき,真っ先に長野県に住む祖母のことが思い浮かび,高齢化社会に向け駅設備の改良に本格的に取組まなければならないと感じた。私の祖母は70歳をとうに過ぎている。膝が悪いため,階段の昇り降りがキツイようで,駅の跨線橋を超えるのが嫌い,名古屋まで150キロの道のりを電車に乗らず,軽自動車を自分で運転してやってくる。祖母の家からは最寄り駅(特急が停車する)までの距離はわずか200mしかないのにである。
エスカレーター,エレベーターの設置駅数は年々増えているが,高齢者にとって使い勝手のよいものになっているか甚だ疑問を感じる。と言うのは特にエレベーターは,既存の施設に支障しない箇所に設置することが多いため,結果として,上下方向の移動は便利になっても水平方向の移動距離が長くなることが多いからである。そこで,今後は上下と水平の移動距離を短くする方法をいろいろと考えるべきではないだろうか。例えば,記事の写真にあるようなホーム段差解消装置をもう少し大掛かりにして,隣のホームまで線路を跨いで直接結ぶなどはいかがだろうか。自分が高齢者となり歩行が困難になる姿を想像しながら,高齢者にとって使い勝手のよい設備が積極的に導入されていくことを願っている。
(匿名希望)

このような高齢化社会と環境問題への取り組みというものは,とても興味深いものであります。駅内エスカレーター・エレベーター設置数が年々増加している傾向がありましたが,今後もこのような活動はぜひ進めて頂きたいと思います。また,このような活動に加えて,地域に密着した駅作りも推進して頂ければと思います。私がヨーロッパを旅行した時、主要の駅では,インフォメーションツーリストというものがあって,ホテルの予約や,観光地案内等,駅でその街の情報を入手することができました。日本にはこのような案内所が少ないのではないかと思います。今後は,観光立国の仲間入りができるように,観光客に優しい駅作りも推進して頂ければと思います。
(JFEスチール 堀川慎司)

鯰太郎の この指,とまれっ!
気軽に読んでみました。 何はなくとも話のネタとして面白いと思います。ひょっとしたら掘り出しの情報に出会えるかもしれません。新企画ということもあり,注目しています。今後,どのように展開していくのか楽しみです。
(日揮 中島 晃)

学会誌にしては,奇をてらった文面を狙ったような作りをされたのかもしれないが,バックの色使いや図・写真の配置の関係だと思うが,非常に目に優しくないものに感じました。
内容は,決してつまらない内容ではないので,レイアウトをもう少し考慮してほしいです。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 増田康男)

内容的には嫌いではないが,記事が短く,構成も良くない。このレベルだと,何が言いたいのかよくわからない。文章が,口語調なのは悪いとは言わないが,無駄な「・・・」が多すぎる。もう少しスペースを有効にした方が良いと思う。それは文章だけでなく,写真の使い方(ページの構成の仕方)が,良くない。今後この企画でつづけるのであれば,ページの構成にもうひと努力必要であると感じる。
ただ,このような文体,内容の記事が今まで無かったのも事実,今後に期待したい。
(日本道路公団 木村 泰)

似非科学のように思える記事が学会誌に掲載されることに少なからず抵抗を覚える。土木を盛り上げようという気持ちは理解できないわけではないが,学会誌という性格を考えると,当該記事は相容れないものであると思う。別のアプローチから土木を盛り上げる企画を期待したい。
(京都大学 小林俊一)

斬新な構図で,本文よりイラストや写真のスペースの方が多いところにまず目を引かれた。期待して読むと,また内容がおよそ土木学会誌らしくない,「土地を癒す」技術を取り上げていた。前文で「ビックリ」技術を紹介とありましたが,まさにビックリというかなんだか煙にまかれたような気がした。学会誌を読んでいてこんな経験はまずなかったが,土地に関するこういう視点はどこかで触れることがあるかもしれないし,記事を読んで知ることができてよかった。
(京都大学 福林良典)

つながる 第1回 板倉雄一郎氏に訊く「失敗を成功へつなげるために」
成功と失敗を経験し,さらにそこから何かを学んだ人の言というのは重い。そんな素晴らしい人と直接話をする機会を持てた二人の学生をうらやましいと思いました。文中に「いい仕事をする人たちは,(中略)楽しんでやっているはず」という下りがありますが,学生編集委員の二人がまさに楽しんでいい仕事をしてくれたと思います。一気に読ませてもらいました。
(日揮 中島 晃)

冒頭の説明文にあった「土木工学はあらゆる局面でつながりを持つ工学である。また,人との心のつながりが大事になる世界でもある」という文言,土木業界に生きる人間として改めて考えさせられた。そしてそこから考え出されたこの企画,今後も大変楽しみである。
やはり,外から見た土木,特に今回のように普通の人ではない方(といったら失礼かもしれないが)からの言葉というのは,ある意味新鮮であり,勉強になる。「土木でベンチャーを起す」,「土木のよさ=後世に残る」といった意見,確かにそうだが,それだけではないとは思いながらも,楽しく読んだ。
余談になるが,板倉氏の著書の中で,失敗から学ぶ「復活学」を提唱されているとのことであるが,どこかの教授で同じような学問を「失敗学」として提唱していたなということをふと思い出した。
(日本道路公団 木村 泰)

「同じ過ちをする人は,すぐ立ち上がる人」この言葉には考えさせられるものがあります。失敗から学ぶ,失敗を生かす。人生の教訓として身の引き締まる思いです。
「失敗を資産にする」ように努力していかなければならないと感じました。
(若築建設 佐藤恵流悟)

話の広場 長良川中流部の挑戦 伝統工法による多自然への回帰
粗朶沈床,木工沈床など初めて耳にしましたが,環境への優しさ,柔軟性・しなやかさ,など最近の様々な対策工の改良に向けたキーワードを有する,優れた工法であると感じました。また,川を守ることで山を守り,そこで暮らす人々の生活も含めた里山の循環・再生につながる事は,土木の本来有する理想的な姿をあらわしているように感じました。古くから伝わる工法の利点を学び,技術的背景を把握することは,性能設計への移行が進む昨今において,新たな工法を考える上でも非常に重要であると思います。
(JR東海 大木基裕)

伝統工法による水理構造物の現代における施工事例の紹介であったが,大変興味深く読ませて頂いた。特に,多孔質空間を作ることで生態系に好ましい環境を創造できる点はおもしろいと思った。既に予定されているかもしれませんが,環境面での改善効果を事後のモニタリング等で明らかにしていていただきたいと感じた。また,このような施工事例がどの程度あるのか分からないが,今後も増えていくことは予想されるので,これらの情報をデータベース化していただきたいと思う。
(九州大学 矢野真一郎)

多自然創出型の川づくりについて,伝統工法の復活とあった。これらは,近年のビオトープの問題や自然環境保護が叫ばれている中で大変貴重な話であると感じました。いろいろな場面で合理的に安くそして早くということから二次製品の利用,自然を無視した施工方法をとったツケが現在廻ってきていると誰もが感じていると思います。土木技術者として,この伝統工法を理解するとともに,「お金で買えない価値」をどう守っていくのか土木技術者の真価がこれからの時代問われていると思います。我々土木技術者はもっと勉強を重ねて精進していかなければならないと感じさせられました。
(若築建設 井上 譲)

積年によって得られた知見・習慣・技術というものは,たとえ,現状の学問から評価した場合に,良い評価が得られなかったとしても,反論しがたい魅力や正当性があるものである。本原稿は,専門外の人間から見ても,古来の伝統技術をどのように再評価していくべきかということに関する知見を示す例として,非常に興味深いものであった。
(広島大学 丸山一平)

話の広場 土木学会特別座談会 女性技術者の使命 より良い世界を築くためにいかに貢献するか
女性技術者への取組みがやっと始まったということは喜ばしいことであるが,遅きに失したという感じもする。これからはその活動に注目していきたい。
女性技術者はまだ少なく,個々に悩みを持たれている方も多く存在すると思う。現状でも女性技術者のパイオニア的な存在の方々がいらっしゃると思うので,その方々をロールモデルとして取り上げ紹介して行かれたらどうかと思う。
(匿名希望)

女性の地位の問題についての記事であるが,私は男性であるためどうしても男性という立場で感想を持ってしまう。男女平等,というのはもちろん賛成なのだけれども自分の潜在意識の中でどこかで差別をしてしまっているのかなという不安を抱いている。私は男性と女性,区別をしてもいいと思う。なにも男性と女性が同じことをする必要は無いと思う。これまでの歴史の中で,差別があり今もその影響があるのは認めるが,その習慣をただ非難するだけでなく,女性ならではの提案や発信が女性側からあってもよいのではないかと考える。委員会からそういう発信があることを是非期待する。
(京都大学 福林良典)

出産に代表される女性のみが与えられた特権は,企業あるいは研究機関にとっては特権とは言い難いのものである。しかし,土木技術者として求められている能力は,女性,男性を問わず同じ能力であることはまちがいないとも思う。このことを前提に,女性技術者の不満を想像すると,「仕事の能力では負けないのに,他には変えられない時間が男性と比べて多いため,どうしても男性と比べて仕事に影響を与える機会が増えてしまう」というものではないだろうか?そんな想像のまま話を進めると,企業側の対応としては,求める成果を細かくし,一つ一つの必要な時間を短くすることが必要であると考える。実はこの求める成果の細分化は,女性技術者のためだけではなく,仕事の効率化や正確さにつながることだと思われる。(細分化した成果の担当者を決めないことが前提であるが)
このようなことが実現できれば,あらゆる要求に,期待に応じた成果を挙げられる技術者(女性,男性を問わず)の活躍の場は広がると思われる。
(清水建設 坂井康伸)

付録 平成16年度全国大会報告
●特別討論「地土木事業への市民参加」お名前と所属の紹介だけではなく,顔写真があってもよいのではないかと思いました。誰の発言か,より鮮明にイメージでき,分かりやすくなると感じました。要約を前段にまとめていただけると,良いと思いました。
(匿名希望)
内容としては大変興味深く読ませていただきました。しかしながら,小さい字で12ページにわたって議事録的なものを読むのは,読者にとってはなかなか辛いものがあります。編集作業に時間を要すことは十分理解できることなのですが,やはり編集した形でダイジェスト版のほうが頭のなかにすっと入って来ると思います。
(JR東海 石川達也)
学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等
土木学会誌の内容にそぐわないのかもしれませんが,土木技術者として,最低知っておくべき技術を紹介するコラムを新設するのは如何でしょうか?以前月間下水道を読んでいた時に,そのようなコラムがあり,なかなか面白かった記憶があります。
2月号以降に掲載されるのでしょうが,スマトラ沖の津波の被害報告についても期待しています。
(匿名希望)

最近の学会誌(昔も?)では,写真や図面の非常に美しいものや貴重なものが多数含まれています。講義や講演などで使用するパワーポイント教材などへの2次利用が可能となるように,これらの画像を学会HP等で自由に使用できる形で公開して頂けると大変有効ではないかと思います。PDF形式での試験的な公開や歴史的なものについては土木図書館のデジタルアーカイブによる公開が行われているようですが,是非ご検討頂きたいと思います。
(九州大学 矢野真一郎)

いつも興味深く読んでいます。貴誌は専門的で難解な内容にのみ偏ることなく,マスメディアのようにセンセイショナルに走ることなく,シビルエンジニアのための情報誌として恥ずかしくないだけのものがあると思っていましたが,今回モニターとして意見を書くために精読をしてみて,その思いを強くしました。 私は,基本的に反対意見を言ったり,酷評したりすることは嫌いではないので,このモニターの期間中にそのような機会があることを楽しみ(?)にしております。
(日揮 中島 晃)

久しぶりに購読させていただきました。内容が結構変わったなと思ったら,今回から新連載されるものばかりでした。今までは,内容的に言えば他の土木業界誌と同じようだと考えていましたが,今回の新連載で,少しは変化が見られるのかなと期待しています。しかし,まだ日経コンストラクションの方が,読みやすいし,興味を持てる記事が多いと思います。いろんな業界誌がある中で,土木学会誌の位置付けは,目指すものとはなんなのでしょうか?
(日本道路公団 木村 泰)

学会誌を購読して10年になります。その頃から比べると記事の内容も施工技術の紹介ばかりでなく,環境や住民合意形成といった現在直面している問題を取上げている内容が多くなっているように思います。こういう時代の中で,以前の土木の範囲に環境を当てはめるようなことでなく,環境を第一に考えた時に土木屋としてどんな貢献ができるのか,もっと国民や全世界に向けてまだまだ土木は発展していかなくてはならないと感じました。今後の学会誌の中で環境対策の施工事例などを特集で紹介していただければと思います。
(若築建設 井上譲)

最近の学会誌は巻頭だけでなく,比較的カラー写真が多い構成になっているのでわかりやすくなっている。
このまま続けて頂きたい。
(東電設計 斉藤修一)

例:話の広場 pp.081中段
「今後の社会基盤施設のサステナビリティを実現するため・・・・」
「サステナビリティを実現する」
私には何を言っているのか分かりませんでした。実現したいことは何だろう。
巻頭で,「サステナブル・エンジニアリング部門」では、構造物の材料から構造全体までの基盤設備等の経年劣化による構造安全性の評価と維持管理技術を開発するための研究をする。と説明がありますが・・・・。 学会会員の皆さんは理解されているのでしょうか?ボンクラでも分かるような言葉で編集してもらえると助かります。
(匿名希望)

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