土木学会誌
土木学会誌3月号モニター回答


表紙・裏表紙
私に、感性がないのでしょうか。評価しづらいです。
(日本鉄道建設公団 総務部人事課 上村雅人)

今月号(3月号)が私の手元に届き、休み時間に封筒から学会誌を取り出した瞬間に、「何だかいつもと雰囲気が違う。」と感じました。表紙の写真です。いつもとは表紙の写真が明らかに違いました。私はそのまま誘われるように裏表紙を読み始めました。読み終わってからしばらく複雑な気分でした。その理由のひとつは、筆者が自分のお気に入りの場所を否定的に語りながらその場所が自分にとって「大切な場所」であると言っていること。もうひとつは、「あなたの「大切な場所」は、ありますか?そこにあなたが目指しているものはありますか?」という問いかけに、自分はすぐに答えられないことでした。
前半の件に関しては、いくら私がその真意を考えたところで正解などわかるはすもない事ですが、何となく、無機質で秩序の無い市街化への批判と警鐘的な訴えを感じました。後半の件に関しては、半月ほど考えて、私の「大切な場所」はやはり「故郷」だという結論に至りました。私の場合、「大切だと思える場所」が多すぎて答えが出なかったような気がします。しかし、その「多くの大切だと思える場所」というのは、どこも田舎で自然が多いところばかりです。そして、私がそこに求めているものは「温かさ」です。
私は現在、造成計画やランドスケープデザインの仕事をしていますが、大勢の人々の生活背景となる空間を造るにあたり、「自然の緑と人と人とのつながりの温かさを感じられる空間を創出しよう」という方向に自然と進んでいることが多いです。やはり、幼少からの故郷での生活が、今の私の思想のバックボーンとなっているような気がします。
筆者と私の思うところは、物理的には対極にありながらも、感覚の分類でいえば同じ感覚が感じ取ったものであることを面白く感じました。ただ、どうしても読み取れないことがあります。そして、そのことに大変興味があります。筆者様お聞きします。「あなたの大切な場所。そこにあなたが目指しているものは何ですか?」
(清水建設(株) 佐藤将寛)

空間と時間に身を置き、我々は、渾然一体を一つかつすべての景観として感覚しているのかも知れない。そこに意識的、または、無意識的に活用された感覚は、精神を含め、感覚者の環境と歴史に関して積分したものであり、新たな感動と相互干渉する。この総合の後、さて、なぜ感動したのか、自己分析を開始する。そのとき、初めて、我々の眼前に他己が現れ、その他己こそ、個、または、組織としての自己が行なう解釈である。学会に出席すると、様々な専門用語が飛び交う。それぞれの意味は、空間と時間の中で変化する。その中で、「えいやっと。」という用語がある。えいやと決めるのである。これは、勇気であり、積分の軸を断ち切る抗いであり、宙ぶらりんとなった対象を浮遊した自己がその環境と歴史の中に見出していく。他己を発見する。新たな自己を積分する。解釈とは、そういうものであるのだろう。
(港湾空港技術研究所 柿沼太郎)

送られてきた学会誌を見たとき、少しびっくりしました。この写真は何を伝えようとしているのか、少し考えてしまいました。後で裏表紙のエッセイをみて、そういうことかと心が和む思いがしました。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)

時局を論ずる 道路関係4公団民営化推進委員会の議論と私の考え
昨年末、マスコミ等で、頻繁に議論され、今井委員長の退任で、ゴタゴタした状態で、議論が打ち切られてしまった感があったのだが、この場で、反対派のもう一人!?である中村先生の考えが、まとまった形で記事として読むことができ、興味ぶかかった。
(日本鉄道建設公団 総務部人事課 上村雅人)

道路公団の民営化については、以前から関心があったが民営化をどのような形で行っていくかという議論について詳細に知ったのはこの記事を読んでからである。議論の内容をこれだけ詳しく公開して頂ければ、道路使用者も納得できるし納得できなくても反論することができる。良いものをつっていくためには情報公開が1つの重要な要素だと改めて感じた。
(清水建設梶@佐藤将寛)

エネルギーは現代社会における重要な問題である。だが、これまでは土木技術とは関連の薄い話題であると考えていた。今号の記事を読み、様々な新エネルギーに関わる取り組みがなされていることを知り、土木技術が積極的に関与することのできる分野があるものと感じた。
後記には、「この企画が、人類にとって重要であるエネルギー問題に対して、土木技術者としてどのように取り組んでいくべきか、考えるきっかけとなれば幸いである」と記されている。土木と直結した記事は学会誌として当然であるが、今後も読者に土木技術の新たな可能性を提案する記事が掲載されることを期待したい。
(五洋建設 吉田 誠)

この記事には関心があり,新聞・週刊誌・ニュースなどのメディアをとおして目にしていたが,どれも行革の内容はそっちのけで政治的な背景がクローズアップされていた。特に4つの課題(目標)から整理する中で,筆者の案は至極当然の内容である。社会基盤を整備する上で,事業評価・管理運営コストの考え方・経営感覚など,これからの事業方針として必要不可欠なものだ。議論されていた「全体の組織形態の案」をしっかり読んだのは初めてだったが,自分で読むことで理解できたので,掻い摘んだメディアの情報でなく,わかり易いリーフレットなどで広く一般に紹介されれば良かったと思う。最後に,高速道路が必要であることは理解できるが,現状市民の立場から批判のある高速道路については,計画の見直し又は中断する構えで民営化を進めることを,この案の中で強く出して欲しかった。
(川崎市 高橋)

昨年中は民営化推進委員会の一挙手一投足にいたるまで新聞やテレビで盛んに取り上げられてきましたが,その度に新聞やテレビで中村先生のお考えをもっと詳しく紹介してくれれば良いのに,と思っていました.今回の論説はそのような思いに答えてくれるもので大変ありがたいものでした.欲を言えば,委員会の途中でこのような文章を見ることが出来ればもっと良かったのにと思いましたが,実はウェブページを検索すれば委員会での全ての議論は容易に取得可能であったことが文章の最後に書かれておりました.
(名古屋大学 山本俊行)

マスコミでも大きく取り挙げられた道路関係4公団民営化推進委員会の中での中村先生の考えであり、たいへん興味深く読みました。この中でひとつ気になる点がありました。日本での高速道路の満足度をその総延長をドイツのそれと比較して十分でないとおっしゃっているような気がしました。昨年機会があり、ドイツのアウトバーンをバスにて走行した際にはその充実度には驚かされましたが、日本と異なる点にも気づきました。1つは、地形によるものが大きいと思いますが、トンネル・橋梁などの構造物が少ない点。2つめは高速道路と立体交差する道路が非常に少ないため、高速道路により土地が分断されている点です。このように、建設費が割安になること、土地を分断されることについて住民の合意が得られていることなど、ドイツと日本とは事情が異なっていると感じました。
(電源開発株式会社 笠原 覚)

高速道路やダムをはじめとするインフラの余剰がいわれていますが、むしろ多くの人は便利さを求めている。この問題の本質は「税金の無駄使いはやめよう」ということだと思っています。
無駄をなくす方法論について、いろいろなところで議論されていますが、国民のニーズとの相違があるように思います。むしろ多くの人は、「システムをこう変えます」というような議論よりも「これからは公平にやります、無駄づかいはしません」というような強い意思のメッセージが欲しいのではないでしょうか。明日にでも。もちろん、言ったからにはやらなければいけません。むしろ、そういう言ったことが正しく守られているかを測るモニタリングの機能を強化して欲しいと多くの人は望んでいるように思います。また、モニタリングの結果を広く国民にむけて情報発信することも必要です。本誌においても業界紙にとどまらず国民に開かれたプラットホームとして貢献できることも多いのではないでしょうか。
(西武建設 関谷成人)

特集 都市再生
特集記事の「都市再生」については、誤解を恐れずに換言すれば、「都市再生」を「まちづくりにおける景観に係る問題」とも捉えることができると感じました。  「お読みいただく前に」や各筆者が課題として指摘・危惧されているように、まちづくりの長期的な理念や方策などを損なうことなく、従来から景観論で指摘がなされている、「日本の景観は経済により造られ、経済の発展が優先・重視されてきた」ことが繰り返されないよう、最大限の配慮が必要であると考えます。
ここで話しは変わりますが、「東京都における都市再生プロジェクトの現状」では、主に都市開発の視点から面整備の事例が紹介されています。
都内ではこの他にも、都市再生プロジェクト(第三次決定)において、「大都市圏における都市環境インフラの再生」分野で水循環系の再生として、河川の再生や海の再生などの構想策定に着手する計画があります。河川の再生の事例を簡単に紹介すれば、都内でも高度に市街化された渋谷区、港区を貫流する渋谷川・古川の流域で発生する溢水や下水道の内水氾濫に対処するため、河川と下水道が連携した水害のない都市構造の構築を目指した事業を検討しています。具体的には、洪水時に河川及び下水道から雨水を受け入れる施設を河川の直下へ縦断的に整備し、浸水被害の発生を防止するとともに、汚濁負荷の高い合流式下水道の初期雨水の貯留施設を併設することにより、公共用水域の水質改善を図って行くというものです。
(東京都 石原成幸)

都市再生をキーワードに様々なプロジェクトが進行しつつある昨今のタイムリーな話題として、興味深く読ませていただきました。
地方分権により「国土の均衡ある発展」を図るというこれまでの政策から一転しての「大都市域を中心とした都市再生」には経済再生の側面が大きくあるようですが、その中で取り残された多くの地方都市は、競争力をますます失い活力を失うことになりはしないか。それにより大都市域と各地方都市との様々なネットワークまでもが衰退し、逆に経済全体が活力を失うことになりはしないか疑問を持ちました。さらに経済的側面を重視するあまり、ビジョンなき都市開発を進め、そこに暮らし活動する人の視点をおろそかにすることになりはしないか懸念します。
都市づくりは、50年〜100年先を見据えたものだと思います。次世代を見据えた真の都市再生を望みます。
都市再生については、本特集に限らず、今後の動向についても学会誌で取り上げていただけるよう期待します。
(清水建設 影山 雄)

今話題のテーマに対して様々な角度から論じられており興味を持って読み通すことが出来ました.中でも都市再生を経済を刺激するための手段として捉えられている論者とは反対に,地方分権と市民社会生活からの視点で論ぜられた福田氏の主張に共感を覚えました.事例紹介のところで挙げられていたものの中には美しい写真は魅力的ではあるものの,福田氏が指摘するように地域社会とのつながりを必要としない新住民を対象としたものも含まれており,将来的にそれらの地域がどのようになるのか気になりました.また,ファイナンスの視点から論じられた中で,公共サービスの料金について,PFI方式にすると値上がりする場合もあること,真に公共事業として低価格で提供すべきものであれば,差額は公共で負担すべき等の記述がありましたが,もともと民間が経営して利益が出るようなものは規制緩和等により民間に任せれば十分で,PFI方式をとる必要はないような気もしました.このあたり,私の知識が不足しているようで,もっと勉強する必要を感じました.
(名古屋大学 山本俊行)

都市再生に向けての問題点や現状を具体的な事例をあげて紹介されており、興味深い特集であったと思います。ただ、少し専門的な表現や図表が多いためか、少し読みにくいかなと感じました。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)

近年のグローバル化の中,我が国の国際競争力を強化するには,その経済の中心地である都市の競争力を高めることが重要であり,そのためには「都市再生」が必要不可欠であると考えている.
今回の特集は,その「都市再生」というテーマであるが,様々な視点のうち,特に「ファイナンス」は今の閉塞した経済状況の中で,どのように「都市再生」を進めていくべきか参考となる記事であった.また,第5章の記事は公共交通に関わるものとして,日本と諸外国の違いを記事どおり,再度,冷静に考えさせられる内容であり,非常にタイムリーな特集だったと感じている.
(東海旅客鉄道(株) 永尾拓洋)

公共事業が年々減少し、先行きが不透明な状況で、都市再生プロジェクト候補が紹介されるのは、我々ゼネコンに希望を与えてくれていると思います。今後この課題に産官学一体となって取り組み、住みよい社会になるよう貢献していくのがゼネコン本来の使命であると思います。都市再生本部の引き続き活発な活動に期待し、学会誌においても続報を期待します。
((株)竹中土木 長澤太郎)

本記事を読んで、地域住民を中心に置いた「まちづくり」にこそ国際意識が必要なのだと思いました。本記事の論調は、住民を主体としたまちづくりなのに、国際競争力といった国際的視点を持ち込むのはおかしい、というもののようにも受け取れます。地域生活と国際社会とが分断しているのです。しかし、地方自治体はそれ自体独立した運営主体であると同時に日本の一部、世界の一部であるということを念頭に置くべきだと思います。そのとき必要となるのが、たとえば経済的利潤と美しい景観、地域的コミュニティーの再生と国際化、といった一見噛み合わない事柄をいかにして共存させるかという努力なのだと思います。 
(東京大学 阿部敦壽)

”都市再生”には多額の資金が必要であるため、昨今の経済状況を考慮しても、今後の都市再生において本稿で述べられているようなPFI、プロジェクトファイナンスなの新たな資金調達手段を検討する必要がある。ただし、都市を構成する要素には必ずしも金銭的利益をもたさないものばかりではない。”錬金術”の一種として都市再生を捉えると本質を見誤る可能性がある。つまり、本来都市に存在するはずの人間や、人間味が失われるのではないかという不安に陥る。都市再生に対するファイナンシャルな観点のベースとして、そこに生きる人々のtめに都市再生を行うのであるという概念があってほしい。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

都市再生を土木の分野からではなく,金融機関の側からみてみることには興味を持ちました.しかし,経済用語が多く理解しにくい部分もあるように感じました.自分の知識不足もありますが,用語の説明も加えた文章にしてほしいと思います.また,土木と経済の関わりは深いと思いますが,それについての特集も学会誌でしてほしいと思います.
(生水良幸)

最近,私の勤務先の周りでは,テナントの入らない古い商業ビルが取り壊され,ひょろ高いマンションがどんどん建設されている.これらの建設が計画的に行われているとはとても思えないし,今の無秩序な街の雰囲気が維持されることは間違いないように思える.確かに,東京駅周辺や汐留等では再開発が進み,劇的に風景が変化している.その一方で,虫食い的な開発が行われている現状があることについて,また秩序だった都市再生が進まない原因についても取り上げて欲しかった.
(中央復建コンサルタンツ(株) 畠中 仁)

本記事において圧巻だったのは、都市を単に居住空間・商業空間・レジャー空間などのように現在の利用目的からのみ捉えるのではなく、優秀な人材を集積しさらなる発展を生み出す拠点として、未来を見据えた捉えかたをしている点です。これこそがまさに戦略と言うものなのでしょう。企業経営においても、最近は垂直的統合のような形式的・固定的な捉え方から、必要に応じて関係をつなぐ流動的なネットワークのような捉え方が一般的になってきています。本記事のような流動的な人材貯蓄といった捉え方は今後益々一般的になってゆくものと思います。
(東京大学 阿部敦壽)

世界の都市再生の事例がよく説明されていました.今後の日本の都市再生のヒントになると思います.都市はそこに住む人達が主役なので,いかに人を集めるかが都市計画において重要だと思います.そのため,その都市に住む人,活動する人に配慮した計画を行い,世界に誇れる,手本となる都市となるように都市再生を早急に進めていく必要があると感じました.
(生水良幸)

ベルリン、アムステルダム、上海の都市再生事例の記事であった。記事を読んで強く感じたのは、すべての都市開発に「夢」と「将来性」があるということであった。「ベルリンの壁」で遮られてきた40数年分の鬱積を、一気に取り戻すかのような勢いのある都市再生事業、世界中の優秀な人材を呼び集めるような街作りとその集まった人材によるさらなる発展、自国の資本だけでなく海外資本を積極的に取り入れることによる飛躍的な開発速度の実現。これらの都市には、「今後どのように発展していくのだろう?」、また「どこまで発展していくのだろう?」という将来についての強い興味を覚えた。
記事の最後にもあるが、これらの都市と比べると、「東京」という都市がいかに頭打ちの状態にあるかということを強く感じずにはいられない。
(東亜建設工業株式会社 吉川靖彦)

本記事において最も残念だったのは、主な主張に出てくる「いなか」「メリハリ」「落ち着きの大人社会」といった言葉について明確な概念規定がなされておらず、読んでいてイメージが湧きませんでした。豊富な写真はイメージを提供するものですが、ともすればそのイメージを一般的なものとして捉えてしまう危険性もあります。読者の目をひくような言葉を使用する際には、端的かつ具体的に定義を行なうべきだと思いました。
(東京大学 阿部敦壽)

「都市再生」の再定義に始まり、都市再生に向けての簡潔かつ実効的な提案がなされており、大変読みやすく面白い記事でした。ただ、「沿道の開発抑制原則の徹底」とありますが、現実に今存在しているものを撤退させるほどの強制力を持った法制度を制定することができるのでしょうか?とはいえ筆者の仰るとおり、私も合理的な制度改正が都市再生に必要だと思います。
(東京大学大学院 本島貴之)

最近落ち着いてきたが,まだまだ流行である「都市再生」について,パット見「ウルトラマン」が出てきたので,硬く重々しい「都市再生」を相手に「ウルトラマン」がどう活躍するのか興味があって読み出した。 ちょっと騙された気分であったが,「ウルトラマン」ならぬ筆者が,その前では「誰もが従う」といった都市再生の動向に対して,「一言ものを申す」といった感じだった。先行き不安な社会の中で,「集中と選択」という国の事業のあり方に,節度ある意見だったと思う。特に,筆者の「いなか」の回復は同感である。また,「規制緩和」や「インセンティブ付与」のあり方は特に重要であり,まさに「メリハリ」が必要であると思う。
(川崎市 高橋)

写真を多く用いており,我が国の都市再生の問題点が分かりやすく説明されていると感じました.特に関心を持ったのは「メリハリ」というところです.郊外の都市は「いなか的」で,都心部は環境に配慮した都市計画を行うことにより,「メリハリ」の効いた国土になると思います.また,郊外と都市の対比が国土におもしろみを与えると思います.今後の都市計画を考える上で重要な要素になると思います.
(生水良幸)

都市再生プロジェクトは,これまでに多くの地方自治体で計画案がだされているが,計画案ばかり出るだけでなかなか実行できていないのが現状のように思われる.ウオーターフロント計画などのように,未開発な土地への計画は進行していくが,開発済みの土地の整備となると計画が中止されたのかと思わせることもある.また,市街地の住宅地,市街地から住宅地への境界の整備の変貌は,目に余るものがある.自治体と住民がもっと納得し,都市の隅々まで行き届いた都市再生プロジェクトはないものだろうか.
(信州大学大学院 杉山周平)

このレポートを読んで積年の胸のつかえが解消した思いである。水を貯めるべきダムが土砂も貯め、このため平野部での河床低下が数多く起こり、愛知県岡崎ではその例を身近に見たこともある。海岸においては砂の供給を断たれた侵食海岸が日本各地に見られる。 山ではダムに土砂が貯まり沿岸部では砂浜がやせ細り極端に言えば日本列島断崖化が振興しつつあるといえる。この「土砂を貯めないダムの実現」により、そのような状況が改善されることになろう。ただし、水産生物のことを考えると流砂系総合土砂管理は河川における濁度管理が最重要事項となることであろう。このことに配慮されて、この技術が日本全国に広がり、日本列島断崖化を解消してくれることを期待します。
(センク21 乃万俊文)投稿

ダムの排砂は、河床の土質、河川の流量、ダムの貯水量、浚渫、下流の水質や生物、洪水等非常に幅広い分野にまたがる問題であり、またそれぞれのダムと河川で状況が違うため、これからもっと研究されるべき課題と思います。ダムのリニューアルという観点から見ても緊急に取り組むべきダムもあろうかと思います。続報を期待します。
((株)竹中土木 長澤太郎)

出だしでリポートと書いてあり,限りあるページの中で本工事の重要性と工夫点をまとめた苦労がわかる。しかし,文章が数字と説明文ばかりで,筆者の「思い」が感じられなかった。
(川崎市 高橋)

2001年6月、土砂で濁った黒部川河口部の航空写真を全国紙夕刊一面のカラー写真で見た記憶があります。大量降雨時に河口部が濁る現象は自然であり、記事を目にした読者は、連携排砂イコール海域環境悪化という偏った認識を抱き続けるのではないかと危惧しました。正しい情報がそのまま地域の人々に伝わっていくことの重要性と、説明責任を十分に果たそうという事業者の態度を国土交通省黒部工事事務所をはじめ、地方局のホームページを見る度に感じます。
(五洋建設 山本省吾)

貯水容量の持続的な確保および流域一貫の総合的な土砂管理の観点からダム排砂が重要であることが理解でき、連携排砂などの最新の技術について興味深く勉強させていただきました。排砂時に問題となる河川環境への影響に関しては、内水面漁業対象魚の生活史等も考慮した期間に、河川流量が豊富な出・洪水時にあわせて排砂し、モニタリングを適切に行うことでその影響を極力軽減できるとの報告は今後のダム堆砂管理に役立つ大変貴重な報告だと思いました。ただし、同じ排砂条件であっても貯水池底泥の性状・量によって放流先の河川環境への影響は異なると考えられることから、排砂時における対処に加えて、土砂・有機物・富栄養化にかかわる栄養塩類等の流出入、貯水池内での生物化学的変換も含めた貯水池の総合的な管理が、今後ダム排砂による河川環境への影響軽減の観点からも一層重要になるのではないかと思いました。
(高知大学 藤原 拓)

黒部川水系のダムは,資源の乏しい国土において,日本の高度経済成長を支える電力供給を果たしてきた.私も「黒部の太陽」や「高熱隧道」などの小説を読み,また,実際にアルペンルートで黒部ダムを眼下に眺めながら,先人の苦労や自然に対する考え方,人の命の大切さを土木技術者として深く考えさせられたものである.
そのような事を思いながら,トロッコ電車に乗っている時,この「 し平ダム」と「宇奈月ダム」が,本格的な排砂設備を持っていることを知り,ダムの機能確保と自然調和を図ったすばらしい技術だと,当時,入社した頃に訪れた旅先で感銘したことを今でも覚えている.しかし,排砂によるSS(浮遊物質濃度),DO(溶存酸素濃度)を含む様々な問題が,環境・生物・漁業に悪影響を与えたのではないかとマスコミ等で取り上げられた時,自然は甘くないことを,再度認識させられた.ただ,今回の記事のようにそれで終わりではなく,その後の問題解決に取り組む姿勢を,文章として公にしたことは非常に有意義であり,新しい社会資本整備やPIの有り方を示したものと高く 評価されるべきではないだろうか.できれば,これが学会誌だけでなく,一般の人々にも目につくメディアでも取り上げられることを今後望みたい.
(東海旅客鉄道(株) 永尾拓洋)

GISを用いることでウィンドウ上での直感的な操作により分析を行うことができるという、利便性の高いシステムであり、私も実際に実務の分析に使用してみたいと思います。多少私自身で調べてみたところ、一般への販売等はおこなっていらっしゃらないようですが、そういったことは日本鉄道建設公団様の方では考えていらっしゃらないのでしょうか?例えば、鉄道会社や建設コンサルタント、学術機関等での需要はあると思います。
(東京大学大学院 本島貴之)

自らの所属する機関の開発した成果が、世の中にあらわれているのだと、実感できるだけでありがたく思いました。もっとも、GRAPEの開発の成果が今後、試されていくのだろうが、今回紹介して頂いき、持たれた期待を裏切らないよう、努力していかなかえればならないとも感じました。開発側、読者側、双方の立場で今後を見守っていきたいと思います。
(日本鉄道建設公団 総務部人事課 上村雅人)

GRAPEは、これまで別個に行われていた交通計画に関する諸作業を一連のシステムで行うことと、それらを視覚的に行うことが、作業効率の向上に多大に貢献するものと評価できる。さらに、システムのバックボーンとして構築されているであろうデータベースは、それ自体でも、昨今各自治体で整備が進められている統合型GISや、建設CALS/ECなど、他の電子システムと連携が可能なことを想像させ、かつ、インターネットなどオープンシステムにおいて交通関連情報を”社会全体の共有資産”と成すことができるため、本システムは非常に有望であると言える。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

興味深く読ませていただきました。私は,以前,京王線橋本駅を利用していたのですが,数年前,それまで20分に1本の割合で運行していた特急がなくなり,すべて急行に取って代わられました。停車駅を増やし,より多くのユーザーが利用できるようにとの改正であったものと思われますが,都心への速達性が何の説明もなく失われたことに釈然としないものを感じたことを覚えています。記事で紹介されているGRAPEのシステムはあたらな鉄道計画の評価のみでなく,このようなケースにおける利用者への説明手段としても非常に有効であると感じました。
(東海大学(非常勤)  橋本哲子)

アフリカのザンビアとジンバブエいう比較的なじみの薄い国での建設ということだけでなく、国境に架ける橋という点で非常にご苦労も多かったのではと思います。外国に出かけ、日本の援助で建設され、地元の人に親しんでもらえている橋(に代表される構造物)に出会うと、非常にうれしい気持ちになります。チルンド橋もザンビアとジンバブエ、そして日本との友好の架け橋になることを希望します。
(電源開発株式会社 笠原 覚)

過去に例のない2か国間の無償援助工事独特の難しさが具体的に記述され,状況がよく理解できました。また,現地作業員の作業達成に対する感覚を養うために「各グループにノルマを与えて・・・・徹底した」との記述に,援助工事の性格とその大変さを垣間見た気が致しました。
(東海大学 橋本哲子)

現場のことを全く知らないので,「1つのプロジェクトで企業者が2か国という無償援助工事は,過去に例がない」というのを読んで,「もうそんなことはかなり行われている」と思いこんでいた私は大変驚きました.海外援助は長年行われてきているが,これから先もまだまだやることがあるんだと改めて感じました.
(信州大学 豊田政史)

Civil Engineeringという単語が持つ意味をあらためて教えてもらった。
この橋は、企業者であるジンバブエ、ザンビア両国にとって、経済の発展および活性化に大変意味のある構造物のはずである。そこに住む人々が、豊かで快適な生活を営むのに必要なものを造ることが、「土木」という分野の基礎であるということを再確認できた。
施工に当たり、大変な尽力またご苦労なされた工事関係者の方々に敬意を表したい。
(東亜建設工業株式会社 吉川靖彦)

ある公共団体では、一定条件のもと価格を加味したコンサルタント選定を行っているが、アジア開発銀行のように2割も価格評価に重きを置いてはいない。それでも、質の低下が心配されているし、現実的にコンサルタント側としても、通常のプロジェクトでは下げた価格をどこかで取り戻そうとしているような動きも感じられる。アジア開発銀行のこのシステムの今後が興味深い。
(匿名)

記憶にも新しい大規模洪水災害でに関する報告ということで興味深く読ませていただきました。その後の復興や支援の様子等を機会があればまた掲載していただけたらと思います。
(匿名)

20代後半で後世に残る土木構造物を創った中島氏のエネルギーに感服する次第です。私は、働いて(work)築き上げたものはその人の作品(work)、そしてそれが価値を持つことにより、はじめて“商品”になると思います。中島氏が設計架設した橋も立派な商品であると思います。
(電源開発株式会社 笠原 覚)

コンクリートローゼ桁は、鋼材不足によって考え出された橋のようですが、その土地の特色をさらに強調するような重量感や存在感を感じます。土木工学のおもしろさを改めて感じさせられました。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)

航空写真から都市の様子を見るのは、私個人としては非常に好ましい記事でした。多岐にわたる記事や、難解な記事もある学会誌の中でコーヒーブレイク的な記事に成り得ると思います。今回の内容にヒントを得て、都市の移り変わりを写真で(出来れば航空写真でも)紹介してもらえたらよいのではと思います。
(清水建設 影山 雄)

私は航空写真を見るのが大好きです。人間では見ることのできない視点から街や山を見下ろすことができる航空写真が昔から大好きでした。鳥の視点を手に入れたようなものですから。
しかし、最近になって、開発事業の計画等に仕事上で航空写真を使うようになってからは見方が変わりました。と言っても、悪い方向に変わったわけではありません。じっくりと航空写真を見ていくと、そこには非常に多くの情報が含まれていることに気が付くようになりました。最近まで、私が以下に漠然とそれらを眺めていたに過ぎないかを思い知りました。今回の記事ではスペース等の関係から航空写真が若干小さいため、ちょっと読み取り辛いかも知れませんが、それでもじっくりと見ればその情報の多さに気が付くはずです。
そしてもうひとつ、私が航空写真を見るにあたっての楽しみがあります。それは時代の流れによる地形や土地利用の変遷を明快に読み取ることができるということです。もちろんそれらを知ることによって、その地域の生活環境の変化も読み取ることができます。この方法は、基本的には撮影時期の異なる航空写真を見比べるというものですが、熟練した勘が身に付いてくると、一枚の航空写真から、その土地の経歴をある程度読み取ることができるようになるようです。私はまだそれには至りませんが・・・。パソコンなどを使って、撮影時期の異なる2枚の航空写真を重ねるとより一層その変化がわかり易く見えてきたりします。
私と同じように、航空写真を漠然としか見ておられなかった方は、騙されたと思って一度じっくりと見てみてください。きっと楽しみが増えるはずです。
(清水建設(株) 佐藤将寛)

この記事をみて、震災後1週間程たった神戸に行った時のことを思い出しました。当時、まだライフラインがほとんど寸断されており、長田区の一部はテレビで放映されたとおりの一面焼け野原で、自然の猛威をまざまざと感じさせられました。その後の外見上の復興はご存知の通り目を見張るものがあり、現在ではその傷跡をほとんど目にすることがなくなったかと思います。しかし、記事にもありますように人々の心の痛手というものはそう簡単に消えるものではなく、全国から集まったボランティアの方々が最も御苦労されたのもこの点であり、ボランティア活動に参加していた私自身「心の復興=真の復興」の達成ということがいかに困難を極めるかを身をもって知らされました。阪神・淡路大震災以後、土木技術者だけにとどまらず、メンタルケアも含めた他分野にまたがる地震防災の研究が動き始めました。その成果が日の目を見ないで済む(すなわち災害が起きない)ことに越したことはないのですが、我が国の国土の成り立ち上地震災害は避けて通れないでしょうから、この研究が着実に進み、少しでも被害が抑えられるようになることを期待したいと思います。
(日本鉄道建設公団 村上 明)

「息抜きができて肩のこらないコーヒーブレイク的な記事」という主旨通り,読みやすい記事でした。ただ,正直なところ,単なる観光案内文という印象が強く,読みやすいにもかかわらず,読み飛ばしがちでした。学会誌を読む際には,無意識に何らかの新たな専門的情報を探しており,それに欠ける記事というのは,難解な記事同様,読み飛ばしがちになるのかもしれません。学会誌におけるコーヒーブレイク的な記事というのは,「易しいことを易しく」ではなく,「難しいことを易しく」記述するのが理想なのではないでしょうか?
(東海大学 橋本哲子)

日頃,雪に対して雪害というまでの感覚を抱くような地域に住んでいないため,記事を興味深く読ませて頂いた.ただし,最近ではそのような地域であるがゆえ,一たび雪が降った場合の都市の脆弱さを目のあたりにさせられている.できれば,今後はそのような大都市が抱える問題を含めて記事にして頂ければと,特に「[特集] 都市再生」の記事を読んだ後なので感じさせられた. 
(東海旅客鉄道(株) 永尾拓洋)

地球温暖化の影響なのか、日本における降雪量は年々減少し、それに伴って豪雪による被害(雪害)も少なくなってきている印象があった。しかし、社会システムの変化により新たな雪害が発生することが本稿に述べられている。雪害に限らないだろうが、時代なり社会状況に即した災害対策が必要だということであろう。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

雪害に限らず水害等にも言えることですが,事前対策としてハード面に費用をかけることが簡単ではない時代にはむしろ,事後復旧のための設備やシステム等のソフト面を行政・住民と共に構築していくことも,土木技術者の仕事だと思います.
(横浜国立大学 田中真史)

雪崩の発生予測に向けた現状を学べ、有意義な記事でした。ハザードマップの作成が雪崩についてもなされていることは知りませんでした。積雪の表面、内部情報のモデル組みこみによる発生予測技術開発が人命の防護につながることを期待しています。気象庁の雪崩注意報の予報技術手法が現状ではどのようなものかと気になりました。
(五洋建設 山本省吾)

インタビューの中で、「7世代後の子孫にとって良いと思えばその開発を行うことにYES、良くないと思えばNO」と言う言葉があった。考えさせられた。
7世代後の世の中を、正確に予想して、その時代に良い開発を行ったとして、それがすばらしいのであろうか?それを作った世代、あるいは、その開発が適していない6世代後までの子孫にとって、さらに、8世代後の子孫にとって、その開発はどんな意味を持つのであろうか? 前述の言葉、確かにカッコいい。しかし、私には納得できなかった。では、いかなる開発であればYESなのであろうか?難しい問題だ。
私は、こう考えました。そもそも、万人にとって一様にプラスとなる施策など、存在しないはずである。しかし、万人に受け入れられる施策は、あるのかもしれない。万人に受け入れられる施策とは、ストーリーが明確であること。「この施策は、こういう正の効果があり、こういう負の効果があるが、種々様々の状況を鑑みると、今、この施策が必要である。」いや、この施策が万人に、受け入れられることはないだろう。ひょっとすると、過半数の支持も、取り付けることができないかもしれない。
いよいよ、考え込みました。世に言う悪徳政治家も、ひょっとして、7世代先のことを考えているのかな、なんて考えたりもしました。結局、自分のできることを、一生懸命やるしかない、そう思えただけでも良かったかもしれません。
(匿名)

全体を通してこの記事は、我々土木屋にとって耳の痛いものの様な気がしました。無論、批判しているわけではありません。「ごもっとも!」としか言いようが無いほど、的確なご指摘だと思うということです。
前半の「土木の哲学」や「長い時間軸で考えて・・・」などというお話は、世間一般が言うところの土木という分野の役割からして、まさにその通りであると思うのですが、やはりそこは人間ですからどうしてもこのようなご時世にあってはなおさら、目先のことが気になり、成果の早期発現を目指してしまうのではないでしょうか。実際、過去の事例でも伝説的な土木事業として語り継がれているものは、即効性の事業が多かったこともあるからではないでしょうか。
しかし、現在においては、気が付けば本来であれば当然考慮すべき事項を見落としたり、ともすれば本末転倒の結果を招いてしまっていることが多いのも事実だと思います。人間社会の生活レベルの高度化を目指すのであれば、土木分野でもより一層の計画技術の高度化を目指す必要があると思います。しかしながら、時代はどれだけ進もうとも我々人間が暮らす世の中の整備を考える上で、我々土木技術者あくまでもアナログな「人間としての心」を大切に考えて行かなければならないと感じています。
後半の「これからの土木事業はコミュニケーションの専門家と協働しないと進みません。」という言葉も、結構ずっしり来るお言葉だと思います。確かに、土木屋は口下手だと言われていますし、コミュニケーション能力は比較的低いのかも知れません。しかし、こうきっぱりと言い放たれてしまうのも寂しい気がします。
ただ、プロジェクトの大型化か余儀なくされている現在では、やはりコミュニケーションの専門家の介在が必要なのかもしれないと思うのも事実です。しかし、ひとつのプロジェクトの中で、役割の分担が進むとしても全員の目指す方向性は一致していなければ、本当に良いものは造りあげることはできないと思います。そのためにも、コミュニケーションの専門家を含めたプロジェクトの推進側の内部でも十分な意思疎通を図り、一つの目標に向って確信を持って進む体制を築くことが非常に大切だと考えています。
(清水建設(株) 佐藤将寛)

心の中の「おかしい」というつぶやきを形にしていかないと,そのツケは弱者や次世代にまわる.話の次元が違うが,此度のイラク戦争もそうであるように思う.戦争をしたいのは一部の政治家だけで,一般市民はもちろん前線の兵士でさえも「何かおかしい」と思っているに違いない.我々は,このツケが次世代,次々世代の人々にまわらないようにと願うことしか出来ないのだろうか?
(中央復建コンサルタンツ(株) 畠中 仁)

阪神大震災のときに,消防団が日頃から訓練していた地域では,初動が早かったため火災に巻き込まれなかったと聞いたことがある.時代から考えて,濱口氏は日頃から津波に対する意識をもっているとは考えにくく,とっさの判断でこれだけのことができたと思うと大変感銘を受けた.
(信州大学 豊田政史)

良い技術者になるためには、高い技術力を身につけることに重きを置いていた。高い技術力=良い技術者と考えていたが、この記事を読んで、プロジェクトマネジメントを行える能力も必要だということを認識した。市場の国際化に伴い、今後リスク管を行える能力を有していることは当然のことになって行くのだろう。
(五洋建設 吉田 誠)

建設技術者に要求される能力について再認識させられる記事であった.日本の技術者には,プロジェクトマネジメントに対する理解が不足しているとの指摘であったが,その他にも学会誌3月号において,法律やファイナンス関する記事があり,コミュニケーション能力についてはシリーズ化されている.建設技術者がこれら能力をどのように要請していくかは,建設業界全体の大きな課題であると思われる.出来れば学会誌でプロジェクトマネジメントについて勉強できる特集を組んで欲しいと思う.
(中央復建コンサルタンツ(株) 畠中 仁)

記事にあるように,国際建設市場は飛躍的に大きくなっていくことは事実であろう.それと同時に,学生のページに連載されている住民参加や合意形成など,地域レベルでも従来より細かいことが求められる時代になってきている.土木技術者の守備範囲は確実に広くなってきていることをしみじみ感じました.
(信州大学 豊田政史)

Galloway女史は、建設技術者が幅広い役割を果たすことを期待されているとし、建設技術者は政策、倫理観、マネジメント力と言ったものが要求されているとしているが、全く同感。さらに要求し過ぎかもしれないが、プロジェクト マネージャーにはその地域での歴史及び文化への深い理解をし、しかるべき歴史観をも有することを求めたい。
(匿名)

社会資本ストックについての紹介でしたが,1月号で社会資本ストックに関する特集があったのでその時も興味をもって記事を読みましたが,今回もタイミングの良い紹介だと感じました.1月号を見てから紹介を書かれたのか,編集の方にもともと準備してあったのか分かりませんが,後者だとすると,1月号にこの本の紹介があればなお良かったのにと思いました.前者であれば,社会ストックの計算法に関して等,1月号の特集との関係についても紹介していただければと思いました.
(名古屋大学 山本俊行)

今回の特集「都市再生」の第三章のようにある問題を異なった複数の視点から考えることができるような構成はとてもおもしろく、有益だと思います。さらに、例えば今回の3者の意見について比較検討をした記事があるとまた面白いと思います。
(東京大学 阿部敦壽)

今月号に限ったことではありませんが,執筆者の顔写真や,できれば簡単な自己紹介・経歴などを載せて頂きたいです.どのような方の発言なのか,大変興味深いところです.
(横浜国立大学 田中真史)

現在,技術者倫理についていろいろ議論を呼んでいますが,学会誌においてこの問題について取り組んでほしいと思います.土木技術者として必要な倫理とは何か,また目指すものとは何か,などについていろいろな人の話を聞いてみたいと思います.このようなことは全て学校などで教わるのではなく,自分で問題を提起して結論を出すものだと思います.その手助けとなるような記事をお願いします.
(生水良幸)

今月号は、都市再生に関する特集、海外リポート、シリーズ雪等、今後日本の土木技術者が真剣に取り組んでいかなければ行けない問題について多く書かれているように感じた。
漠然と業務に従事するのではなく、人のためになる「構造物」を造り出すことを目標にしながら、日々努力していかなければいけないということを痛感した。
(東亜建設工業株式会社 吉川靖彦)

親土木入門など、さらによいものをと色々と企画されていることに敬意を表します。また気づいた点などお伝えしたいと思います。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)

2月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

国際会議ニュースはどのような基準で記載されているのでしょうか。
((財)電力中央研究所 今村正裕)
【編集委員会からの回答】
国際会議ニースは、土木系で、広く一般から論文を募集している国際会議のうち、学会事務局・編集委員会が情報を得たものについて掲載しております。ただ、学会事務局や編集委員会でも、すべての土木系国際会議に関して情報を得ているわけではありません。読者の皆様も、もし国際会議についての情報がありましたら、学会誌編集委員会までお知らせいただければ幸いです。お知らせいただく内容は、主催・開催日・開催地・問い合わせ先・論文(アブストラクト)提出締切日などです。連絡先は、iad@jsce.or.jpです。

新土木入門
記事のなかで、とくに「新土木入門」はいつも興味をもって読ませていただいています。今後も是非シリーズ化していただいて、ある程度の記事が蓄積された段階で、さらに一般の読者向けに単行本化してはいかがでしょうか?
((独)港湾空港技術研究所 平山克也)
【編集委員会からの回答】
好評とのご意見ありがとうございます。「親土木入門」は、少なくとも12月号までは連載を続ける予定でおります。その後に継続するかどうかは、3月号(p.65)でも補足させて頂いたように皆様の反応、およびテーマの選択の都合等を考慮して決めさせていただきたいと考えております。
ご好評を頂いた連載の単行本化は、皆様のご意見のほか、販売見込み数と必要経費などを勘案して決めておりますが、編集委員会としても、せっかくご好評頂いた記事を、可能な限り、単行本などの形で残したいとの考えを持っております。最近の連載では、連載「緑」を単行本化することが決まっております。

表紙・裏表紙
私の周囲では、表紙の写真があまり評判がよくありません。
これは、決して写真やエッセイの内容を批判しているのではなく、表紙の写真として写りが良くない(画質が荒い、ピントが甘いなど)ということに対しての発言です。モニター回答を作成するため、学会誌を職場の机上に置いていたところ、職場の内・外から様々な声が聞こえてきました。「学生作品募集」という趣旨を説明すると理解は得られますが、「ただ学会誌の表紙なんだから、もう少し頑張って・・・」といった反応が返ってきます。作品の募集にあたっては、既にデジタルカメラでの撮影時の条件として高解像度が指定されております。
また、旅先の写真のように取り直しが難しいものもありますが、採用が決まった時点で表紙のサイズへの拡大に耐えられない場合には、当初のイメージを変えない範囲において、取り直したうえ掲載することに不都合はあるでしょうか。
せっかくの優れた作品ですから、綺麗に表紙を飾って頂けたらと思います。
(東京都 石原成幸)
【編集委員会からの回答】
表紙の学生作品募集の企画を立ち上げる際に、写真を職業としたい学生や、土木の学生が撮影した写真に関して調べたところ、土木をテーマにした写真を撮影するということが少ないということを改めて確認しました。したがいまして、御指摘にありますような写真の質がいわゆる表紙として不十分であることは予想をしておりました。その中で少しでも質の高い写真を応募頂きたいと考え、募集要項でも具体的な御願いをし、可能であれば採用作品の撮り直しも御願いすることにしておりましたが、作品の殆どが特別な機会を捉えたものでありましたので、そのまま掲載することになりました。
学会誌の表紙に対しては、プロの写真家が撮影したもの,またはそれに近い作品が期待されていることを重々承知した上で、綺麗に撮れていても心がない作品よりも、多少画質に問題があっても心がある作品を紹介したいということを考えております。また、本企画は土木の心を写した作品が世の中に少ない(土木関係の写真を探しますと、土木遺産に関するものは比較的存在しますが、それも何人かの特定の個人の作品に集中し、またその使用料も高額です。)というということを認識していただくとともに、今後土木をテーマに撮影してみようという方々が現れるきっかけにしたいというものでもあります。
学会誌の写真の質を上げるということにつきまして、これからも最大限の努力を致しますので、皆様におかれましても、よりよい作品が現れるような雰囲気造りに御協力いただけると幸いです。
(表紙企画主査 石井)

特集 持続可能な循環型エネルギーの実用化に向けて
持続可能な循環型エネルギーの技術開発や具体的な適用事例などが盛り込まれていてとても興味深く記事を読ませていただきました。特にバイオマスという概念は初めて聞くものでしたが、きちんとした説明がなされており、容易に理解することができました。ただ、自治体の取り組みの事例が二つだけと、やや寂しい気がしました。
(横浜国立大学大学院 五十嵐 学)
【編集委員会からの回答】
自治体の取り組みについては、多くの自治体がエネルギービジョンを策定し、新エネルギーの導入に向けて取組を進めておられます。今回の特集では、これらの中でも、比較的早い時期にビジョンを策定し、新エネルギーの導入を様々な形で実現している自治体と、特集企画を立てた時点に最も近い時点でエネルギービジョンを策定した自治体の考え方を特集しました。
(編集委員会A班 堀口)

風力発電、海洋温度差発電、バイオマス、太陽、地熱、中小水力、雪など、新エネルギーに係わるトピックで興味を持って読みました。二酸化炭素の排出量を抑制する意味でも、様々なエネルギーを活用していく必要があると思います。ただ今回の特集では、上記のエネルギーに関する一般的な紹介が主で、必要とされる技術や費用に関する内容は少なかったような思います。
(電源開発株式会社 笠原 覚)
【編集委員会からの回答】
ご指摘のとおり、今回の特集は、新エネルギーの普及に貢献する為に土木技術に求められるものを明確にすることでした。しかしながら、今回紹介したエネルギーは、いずれも開発の緒についたばかりのものであり、必要とされる土木技術は、土木技術者であるわれわれ自身が考えなければならないものであることが、今回の特集で明らかにできたものと考えております。今後、新エネルギーの導入に関連する土木技術の特集が組めるよう、土木技術者も考えていかなければならないのではないでしょうか。 
(編集委員会A班 堀口)

エネルギー問題に対して、将来土木技術者を目指す学生達が学んでおくべき複合領域(土木以外)の基礎的な学問について、少し触れて頂けると有り難く感じました。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)
【編集委員会からの回答】
エネルギー問題のみではなく、土木技術者にとって複合領域の基礎的な学問は重要なものであると重います。今後の特集企画の参考にさせていただきたいと思います。
(編集委員会A班 堀口)

2月号のエネルギー特集、時宜に適っていて結構でした。面白く読みました。ところで下記の点もほしかったと思います。
1.水素燃料電池についての記事。
2.新エネルギーについては、投入するエネルギーと産出するエネルギーの差が重要だと思います。
機器生産、搬入、施設建設・据付、運転、撤去、廃棄[リサイクル] 各段階での必要エネルギーとコストとGHGの発生量の現在と将来の推計についての情報。
(フェロー 石井弓夫)(投稿)
【編集委員会からの回答】
今回の特集では、“設備”に着目をしたので、水素燃料電池をテーマに掲げることはしませんでした。また、“土木技術の新たな展開”に着目してテーマを構築したため、ご指摘のような新エネルギー導入に向けての根本的な議論が欠けておりました。今後の特集企画の参考にさせていただきます。
(編集委員会A班 堀口)

私は風力発電に関する知識が乏しいので、本文中でわからない用語が多かった。用語説明をもう少ししていただければありがたい。
(五洋建設(株) 吉田 誠)
【編集委員会からの回答】
同様のご意見は、しばしばお寄せいただいております。編集部においても、平素からわかりやすい記事とするために注意はしておりますが、今回は解説等が不十分であったかも知れません。今後、さらに注意して参ります。

「p23 写真−1」は、写真が表裏逆ではありませんか?文字が、ひっくり返って見えます。
(電源開発株式会社 笠原 覚)
【編集委員会からの回答】
ご指摘のとおりで“ひっくり返って”おります。申し訳ありません。今後とも、校正の段階でのチェックをより慎重におこなうよう注意してまいります。
(編集委員会A班 堀口)

技術リポート 新型人工リーフ工法の開発と施工
リポートは施工が無事完了したところで終了しておりますので、次回は是非人工リーフの性能検証報告などの続報を執筆していただけるとありがたいです。
(鹿島建設 朝倉良介)

今後生物的な調査も実施すると述べてありますが、その結果についてもまた報告してほしいと思います。
(生水良幸)

現地では高波浪で、スリット内部への堆砂による機能低下が生じないか気になります。1年後等の現地でのモニタリング結果を、また他の機会にでも紹介していただければ、海岸保全施設の長期供用とメンテナンスの意味から、新たな知見が得られると思います。よろしくお願いします。
(五洋建設 山本省吾)
【編集委員会からの回答】
技術リポートは、学会員からの投稿や事例紹介に基づき作成しています。執筆者の方に、続報を望む声が多かったことをお伝えし、次の結果が出たところで投稿して頂くようにお願いいたします。
(技術リポート主査 斉藤、得丸)

海外リポート
海外リポートで全文英語の記事があるが、とても読む気になれない。合わせて日本語の翻訳版は載せられないか。
(日本道路公団 眞東健一郎)

海外リポート 英文できれば日本語訳も掲載して欲しいです。読みたくても読めません。学会誌の読者のほとんどは英文を読めない(読まない)と思うのは私だけでしょうか。
(中央復建コンサルタンツ(株)丹羽信弘)
【編集委員会からの回答】
海外レポートでは外国人にも執筆を依頼することがあり、その時にはレポートが英語で書かれることがあります。ご意見では、英文のレポートだと読めない、読む気にならない、しかも読者のほとんどがそうではないかとのご指摘です。会員に読んでもらうために学会誌に掲載しているのですから、もしそうだとすると非常に残念なことです。会員サービスの向上のため、英文のレポートには翻訳版を併載する方向で検討してみたいと思います。

連載の基礎講座のようなものがあればと思います。
(土木研究所 山下尚之)

学生も読んでためになる内容(概論的な記事ではなく、勉強教材となるようなもの)もあるといいと思います。
(高知工業高等専門学校 山崎慎一)

「土木紀行」でもいろいろ紹介されていますが、各都道府県の土木構造物について都道府県ごとに特集を組んでほしいです。自分の出身地の土木構造物について改めて認識することや、他の都道府県にどのような土木構造物があるのか知りたいと思います。そのようなものがあれば旅行などの際に訪れるなど利用できると思います。
(生水良幸)
【編集委員会からの回答】
ご意見ありがとうございます。いずれも、記事の企画のご提案と思いますので、今後の参考にさせていただきます。