土木学会誌
土木学会誌11月号モニター回答


表紙・裏表紙
裏表紙写真3:現場見学会の様子ほとんどの会員の方がヘルメットをまともにかぶっていないところが気になりました(安全上).表紙なので目立ちます.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

なんどかこの場で同様なことを記載しておりますので,しつこいように思われるかもしれませんが,先月号で,女性土木技術者に関する投稿がありましたので,今回の表紙は先月号に用いるべきだったのではないかと感じました.あくまで内容にリンクしたものが良いように思われます.
(函館高専 川口貴之)

今月号の表紙のデザインについてですが,白黒写真を用いることは,古いイメージや暗いイメージが先行してしまい,良い印象を得ることができませんでした.表紙を飾る写真は,オーソドックスになってしまいますが,景観的に優れた土木構造物や風景写真など,明るいタッチのもののほうがよろしいのではないでしょうか.
(室蘭工業大学 :菅野昌生)

時局を論ずる 国立大学の急激な変革
いきなり「はじめに結論」の節名でスタートすること自体驚かされましたが、内容も実にしっかりとしかもそれなりの説得力をもったご意見で吸い寄せられるように読み進めさせていただきました。先週号の「時局を論ず」の丹保前会長のご意見と言い、学会誌の最初のページを飾るにふさわしいテーマ選定、ご意見内容かと思います。今後ともこの傾向が続くことを期待しております。
((社)国際建設技術協会 安永 良)

大学の総長が何を考えているのか,私達が目にすることは案外と機会が少ないと感じます.松尾先生は元土木学会会長でたまたま現大学総長という事だと思いますが,大学総長や研究所所長または会社社長等の高い見識から「今何を考えているか」を学会誌の一コラムとするのは非常に興味深いと思います.
(国土技術政策総合研究所 岡田知也)

特集 ITSは交通問題を解決できるか?
個人的な話で恐縮だが、我が家にも、ついにBB(ブロード・バンド)の波が押し寄せてきた。ADSLを導入したのである。テレビCM等で、8メガや12メガなどで大々的に広報しているあれである。それとは別に、ほぼ同時期に車も購入した。が、ここでは「カーナビ」や「ETC」のITS機器の登載は見送った。両者について導入の判断基準に用いたのは、「コストに見合うだけの効果があるか」ということだ。前者は「ある」と判断し、後者は「当面ない」と判断したことによる。そう言う意味では、今回の特集は、情報を発信する側からの技術的なコメントが多く、利用する側からのコメントは少なかった様に思われる。今後、利用者の立場からのコメント、例えばITSに期待されているニーズやコスト等含めた導入基準等について、記事にしていただきたいと思う。
(中国地方整備局 増本信宏)

ITSについてはこれまで道路交通の効率化,安全性の向上等以外にイメージをもっていなかったのですが,本特集によりITSは広範に将来の社会像と関連付けて考えられるべきものとの認識をもちました.
「世界のITSの動き」で各国の事例が紹介されていますが,日本は他国の後追いではなく日本のスタイルに合ったシステムを構築していくべきではないかと思われました.  わが国のように乗用車を運転すること自体が目的のドライバーが少なくない状況では,ITS導入に際してどのような評価・判断が適当なのか興味があります.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

今回の特集は、自分にとって縁の薄い分野であったことや自分の無学さが障害になったと思いますが、通して分かりにくい内容でした。編集担当の委員の皆さんが伝えたいことは「企画趣旨と特集を終わって」で十分理解できましたが、難解な表現が並ぶ14項もの記事を読むには大きな力が必要でした。正直なところ、学会誌のモニターでなければ、どれくらいの人たちが30頁からなる今回の特集のすべてを読んだのだろうか?と思いました。「特集を終わって」にあるように、記事に利用者のニーズや評価(視点)がなかったことも一因かと思いますが、ITSと言うものがまだ一般の土木技術者には縁遠いという認識が前提にあれば、全体のボリュームを少なくするとか、もう少しそれぞれの記事が平易な表現を使うなど、読み手の立場に立った工夫(そう言う執筆依頼)も必要であるように感じました。学会誌としての権威(レベル)を保つことはもちろん重要ですが、土木学会が専門性の強い学会ではなく、広い範囲で土木に関わる人たちを対象とする学会であると考えるならば、学会誌を手にする多くの人たちは、執筆者となる専門家・研究者の人たちよりも、一般の人たちに近いのではないかと個人的には思います。同じ学会誌の中では、一般の人たちとのコミュニケーションの問題を取り上げ、分かりやすい言葉での議論等が必要云々と謳われていますが、今回の特集等にも、これに共通するものがどこかに感じられれば良いなと思いました。4万人の学会員に広く読まれる学会誌となるために・・。
(清水建設 入江正樹)

土木学会誌ということで、深い記事が並んでいるが、市民というか普通のドライバーが道路や交通に対して何を望んでいるのかという視点での記事も欲しかった。「ITS関連業界の広がり」という模式図(P13)もあるが、土木(学会)として、どのように関わっていくのかを示していただくと、ITSがより身近に感じたと思う。
(大阪府 岡田敏男)

身近な交通問題で、最近良く聞かれるようになった言葉が出てくるが内容については今の業務とあまり縁がないせいかあまり良く理解できなかった。勉強不足と言われればそれまでだがもう少し平易な入門編や、現在のシステムの長所短所がわかりやすくまとまっているとうれしかったのだが。特に、"TOOL"か"TOY"か?というあたりは土木とITSの関わり方の難しさを言い当てているように思う。
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

いつもながら様々な方面(先生や政府関係者、シンクタンク、ゼネコン等)のご意見があり大変勉強になります。メーカーが絡んでいたり、法律にも制約があったり、情報産業とインフラ整備の開発スピードの違いといった根本的な問題等、難しさを知らしめられました。 ただ、今後の土木業務の方向性を議論する意味でも「ITSに対して土木で何ができるのか」というテーマにこだわらず、「これまでの土木の領域を越えた活躍の場」を探すようなテーマでも議論が進むことが大切かと思います。言うは易しですが。
((社)国際建設技術協会 安永 良)

ITS整備においては,ユーザが道路等交通基盤をりようすることが前提であり,この交通基盤整備が重要な役割を果たすことになると考えられる.つまり,ITS整備において,その基盤となるインフラ整備が重要であり,土木分野の果たすべき役割は非常に大きいと感じる.本特集においては,ITSの概論に始まり,現状や課題,将来の方向性当が述べられており,非常に勉強になる内容でした.
(北海道大学大学院 迫井裕樹)

ITSについて,現状・問題点,土木からの視点,今後のあり方が述べられており,大変分かりやすく拝読させていただきました.システムとしての応用など,詳細な部分については様々な研究が進められており,その有用性の認知に大きく寄与していると思いました.本編でも述べられてあったように,今後,市場としての実用化のためには,一般の利用者に対して具体的な便益をはっきり提示するとともに,その有用性をさらに認知させていき,魅力あるシステムとすることが重要であると思いました.社会資本に対する将来的な可能性からも今後の動向に注目していきたいと思います.
(大阪大学 谷本泰雄)

高速道路ではETC車専用の料金所が増え、またVICS対応のカーナビが主流になるなど、ITS関係の話題は身の回りに増えてきている。土木工学の中には、交通工学という分野があり、道路が社会の重要なインフラの一部である以上、土木技術者としてもITSに関わる機会が増えてくると思われるが、そういう意味で、今回の特集は非常に意味があると思う。ITSそのものの全体像が把握できるだけでなく、問題点や将来像、またITSビジネスと土木との関わりなど、多面的な内容は、どのパートも興味深く、考えさせられるものであった。
特に、ITSはあくまで情報技術であり、それを活かした街づくりや魅力的な都市構造、生活構造の実現は土木にしかできないという文章には、土木技術者として勇気づけられ、先行きの明るさを感じることが出来た。
(関西電力 松本明男)

記事の内容には興味を持てたが、横文字が多くて理解しながら読むのに苦労してしまった。
(匿名希望)

今回の特集はITSに関する内容でしたが,大変興味深く読ませていただきました.ITSで用いられている技術が様々な分野に応用できる可能性や,新産業創出の担い手と成りうることがわかりました.また,特集を執筆されている方が土木の世界だけでなく,経済界の方もおり,多角的に理解することもできました.さらに,ITS 関連用語の説明が詳しく掲載されており,特集記事の内容を理解するのに大変役立ちました.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

論説 ITS技術開発における土木技術者の役割
ITSにおける土木分野の貢献をどのように考えるかということが主題であった。第4章では「ITSの行方−光と影−」として、さまざまな課題を提示する試みもあり、少し趣向の変った特集であったと感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)

ITS関連用語集
最近においてITSは業界にとって身近な話題となり、会員の誰もが多少の知識は持ち合わせていると思う。しかし、学会誌の掲載文を理解できるほどの深い知識がある方はほんの一部であろう。
今回、巻頭にITS関連用語の解説が掲載されていた。このことは、非常に良い試みであったように思う。今後も幅広い読者層に対し、読みやすくそしてわかりやすい学会誌を期待しています。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)

ITSに関連して,VICS,ETC,AHSなど近年頻繁に耳にする略語が多い。恥ずかしながら私は,今回の特集記事に目を通すまで,それらが一体何の略語であるか正確には答えられなかった。本特集に用語集は,私のような不勉強な読者の理解を助けるために差し伸べられた優しい手のように感じられる。今後の特集記事でも本特集のように初心者に優しい配慮を頂ければありがたい。
(京都大学 菊本 統)

1-2 世界のITSの動き
アメリカ,ヨーロッパ,アジア太平洋地域におけるITSへの取り組み,戦略に興味を惹かれました。中でも,運用開始までに95%の車が車載器を取り付けたという,シンガーポールのERP(ElectricRoad Pricingsystem)の早期普及に向けた徹底した取り組みに関心しました。普及が進まない高速道路のETCなど,日本におけるITSの展開がもどかしく思われます。効果が期待され,既に世界の多くの地域で実施されている様ですから,ITSを早く実現し,普及させ,そして少しでも早く効果を出す,すなわち早く結果を出すことへのこだわりが望まれます。
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

第2章  ITSと土木技術
システムが完成し、普及が進んだ暁には種々のサービスが受けられるものと期待している。しかし、問題はその普及スピードである。このようなシステムでは、おそらく普及率がかなり高くならないとその効果が発揮されないものが多いと思われるが、その辺りの考え方を聞きたいと思った。(例えばETCの普及率がどのぐらいであれば、渋滞が解消するのか等。)
ETCについては、「本来無料であるべき高速料金を払うためにさらに出費する。しかしその便益はすぐには実現されない。…」といった意見をよく耳にする。普及率向上に向けて車載器の一部レンタル等の検討も行われているようだが、さらに抜本的な対策を願うものである。
(前田建設工業(株) 島田敬次)

2-1 スマートウェイと土木技術
スマートウェイの目的,機能および効果が分かりやすく述べられており,興味深く読みました。ETCの説明の中で紹介されていた道路システム高度化推進機構のホームページで,県別ETCセットアップ台数見て残念に思うとともに,なるほどと納得してしまいました。私の地元,石川県内のセットアップ台数はたったの2,050台。富山方面,福井方面へ北陸自動車道を使用することが多いのですが,ETC専用ゲートを駆け抜けていく車を見たのはほんの数回。料金所を通るたびに,いつも全然通らないETC専用ゲートを腹立たしく感じています。専用ゲートのおかげで一般のゲート数が減り,車の列は以前より長くなっている様に思います。
ドライバー側の効果が小さい割に高価なETC車載器,割引率もハイウェイカードと同じでは普及率が低いのは当然でしょう。渋滞緩和,環境負荷の低減,ICのスリム化の他,多くの大きな効果が期待できるとのことですが,高い普及率がその前提でしょうから,現在50万台,しかも5ヶ月で20万台程度しか伸びていないようでは,目に見える効果が出るのはいつになるか判りません。ドライバーが飛びつくような,思い切った特典を期待したいものです。
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

主に高度道路交通システムのアプリケーションソフトについて解説されていた。
今後において、現在整備されつつあるVICSやETCが機能するために重要なことは端末の普及である。ETCに関しては割引制度等を導入して、その普及率の向上に努めている。しかし、私のように利用度の少ない週末ドライバーは、端末が高額であるため、まだ購入時期をうかがっている段階であろう。よって、端末普及への更なる対策やサービスの向上が必要であるのではないかと感じた。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)

2-4 情報通信分野から見た土木のITS技術開発
現在のIT分野の開発速度の速さとインフラ整備の速度差の話に関心を持ちました。さまざまな機能を持つ道路に対して、1つの機能に特化しない広がりを持ったアプリケーションの導入をぜひ実現していただきたいと思います。さらに付け加えると、土木技術者が中心となって実現してもらいたいものです。
(東京大学大学院社会基盤工学専攻 中西雅通)

2-5 建設業から見たITS技術
ITSによる技術が我々土木技術者と密接に関わっていることを改めて認識した。ETCに代表されるように導入の目的を達成するにはまだまだ時間を要すると思われるが、ますます脚光を浴びる技術であることは間違いなく、安全かつ効率的な道路整備が今後ITSの導入によりいっそう発展することを期待したい。
(五洋建設 渡邉浩司)

第3章  えっ?こんなところにもITS!
地域コミュニティーにおける種々の問題点に対してITSが活用できるという趣旨の記事であったが、むしろITSの利用目的や利用方法を限定して普及させるべきと考える。地方自治体で運用する”システム”には、例えば「統合型GIS”など類似のものが多種存在し、ITSに関してこれらと機能面で重複した方向にシステム運用範囲を広げることは社会資本への多重投資によるコストアップにつながる。他システムと容易に連携可能で、インターネットなどを通じて市民へのインタラクティヴなディスクローズが可能な、”道路交通”に特化したシステムを追求するところにITSの真髄があると考える。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

4-2 ITSの光と影
「ITSの将来はバラ色か?」との問いかけにドキッとしました.時が経つとITS技術は日本全国に普及し,便利な世の中になるものと考えていました.
(西松建設(株) 土屋光弘)

技術リポート
光ファイバーを用いた土中埋設型ひずみセンサーの開発
地盤工学を専門とする者として,大変興味深く読ませていただきました.光技術は今後室内土質試験なでの分野でも応用されていくことと予想しており,その意味では,非常に参考になりました.ただ,紙面の都合上か,あるいは内容が豊富のせいか,どの程度精度が高いものなのか,わかりにくかったように感じられました.利用範囲(分野)が非常に大きいと思いますので,ぜひ,今後別の形で詳細な報告をしていただけると幸いです.
(函館高専 川口貴之)

盛り土や地盤内の災害の危険予知を行うことは地震の多い日本にとって重要なことである。今回の光ファイバーを用いたひずみセンサーは計測精度、耐久性、経済性等の面で利用価値が高いといえる。また光ファイバーの本来の用途はデータ通信であり計測,通信、制御の一連のシステムの効率化が可能になるという意味でも大きな可能性がある技術であると感じた。
(岡山大学 平川陽介)

本文中の例示にはありませんでしたが、河川堤防の監視にも、光ファイ バ−を用いたセンサーシステムの研究・開発がされており、様々な河川で 試験施工が実施されていると聞きます。安全性の向上のため、高度な管理 がされるようになることは非常に有意義であると思います。
一方、本文中に、このセンサーは通常の通信用光ファイバーが使用され るため廉価であるとありましたが、昨今の財政状況を考えると、やはり、 設置コストや維持管理コストが気になります。
(東京都 浅井重政)

土中に光ファイバーを設置するということで、土中の水分や種々の化学物質による光ファイバーの劣化と土生昆虫、動物などによる破損を懸念したが、、現地試験の結果も良好であり実用化がが期待できる。
今後、さらに長期間の試験を行い、精度面、安全面の検証を行うとともに、計測結果の信頼性を向上させる手段(光ファイバーセンサーの多重化など)の開発および運用コストの低下を図ってほしい。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

盛土の観測施工では,定点観測が主流と考えているが,本事例のように,線的・面的な観測・計測が可能となれば,より合理的な施工手法,設計方法の確立に大きな影響を与えると思います.盛土に限定せず,すべての土木構造物に適用可能なのでしょうか.
(西松建設(株) 土屋光弘)

地下深部岩盤内における新しい高圧空気貯蔵技術の開発
「圧縮空気貯蔵ガスタービン発電」という発電方式があること、その実証実験が、この12年間わが国でなされていたことを、この記事で初めて知りました。記事の主な内容は、地下貯蔵施設における新しく開発されたライニング構造についてでしたが、この発電方法の詳細と、地下450mに建設された実験施設の建設工事についても、さらに詳しく知りたいと思います。
また、本文中に注釈がいくつか付けられていましたが、不勉強な私にとって、丁寧な説明が大変ありがたかったです。 
(東京都 浅井重政)

海外リポートAssessment of ....in Pangani River Basin,Tanzania
長野では,ダム建設をめぐる基本高水の設定方法でさまざまな議論がありました.少ないデータをもとにいろんな水理量を決定するにあたっては,いろんな解釈が考えられるので,十分に検討を行った上で,プロジェクトを進めてほしいと感じました.
(信州大学 豊田政史)

連載「緑」第7回 森が水を富ます 森林河川水質とその保全
森林におけるノンポイントソースや平常時と降雨時の栄養塩の水質の変化を紹介されており、興味を引いた。下水道では高度処理を普及させることにより栄養塩を除去しようとしているが、「森林の水涵養機能によって、小さな水量変化で高濃度の安定した水質で流出する。無機態窒素やリンは、富栄養化レベルに達している」、「栄養塩濃度は高くなってプランクトンが増殖し、清流を好む魚類が豊富に育つことになる」との記述に、水質の総合的な管理−−−総合治水で取り組まれている河川と下水の連携だけでなく、それに森林や農業用排水を加え、降雨時だけでなく平常時の栄養塩の管理をする必要があると感じた。この問題を土木学会としてどうように取り組むのかという提案があればさらに充実すると思う。最後に僕の勉強不足ですが、「森林河川」という言葉の解説があれば助かります。
(大阪府 岡田敏男)

森林河川の生態系は絶妙なバランスで保たれており、人間が関与するとそのバランスが崩され、生態系に打撃を与える。これからも森林河川の調査、管理の重要性はますます高まるだろう。
(岡山大学 平川陽介)

環境改変を行った場合、改変を行う以上、様々な面に影響が出るのは自明の理である。問題は、改変を行う側が、その影響をきちんと認識し、必要な対策、対応を行うかどうかという点にあると思う。そういう意味で、今回の記事のような基礎的なデータによる状況整理は、非常に重要であり、直接役立つかどうかは別として、改変の影響認識に資する記事である。
(関西電力 松本明男)

森林は、いわゆる癒し効果で、人々に安らぎを与える。水のせせらぎや鳥のさえずり、土の香りなどが、人間の五感に好感を与える。
はやりのマイナスイオンも多く発せられているようだ。森林河川の生態系や水質維持は、土木を唱えるものの原点の一つと思う。
(清水建設 遠藤和雄)

森林の生態系がいかに人間の活動と微妙なバランスをとりながら成り立っているかを知った。しかし、林業の担い手不足や材の価格下落等の理由から放置され、荒廃している森林が多いと聞いているので、今後が懸念される。利便性ばかりを追求した身勝手な活動は慎み、自然といかに共生するかをみんなで考えていく時代になってきていると痛感した。
(匿名希望)

森林があれば栄養塩濃度が増加し,生物にとってはかっこうの生息場所となる.はたしてこの研究だけでそこまで言っていいのでしょうか?例えば,いくら栄養塩が流下してきても魚類や川虫の棲家となるような礫の下の流れが緩やかなところなどがなければこれらの生物は棲む事ができない.荒廃河川であっても生物にとっては棲み良い環境であることも十分考えられる.もう少し河床形態,河床材料なども考慮に入れた上で議論していただきたい.
(京都大学 木下篤彦)

土木とコミュニケーション第5回 調べてみよう! Win-Winへの道
最近の学会誌上では,これまでの土木関係者と一般の方々とのコミュニケーションについて,土木関係者側の無関心・無対応を指摘する意見が多かったように思われます. このような記事には多少の違和感を覚えていたのですが,本記事の堀氏の「事実とは違うことを報道されること」への対応で,実は土木技術者も積極的にマスコミ等に働きかけ,その成果を上げているいたということを強く感じました.
また,コミュニケーション以前に「奥深い土木技術,知識が必要」というご意見に土木技術者としての本分を再確認させられました.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

掘所長の「正しい現場の事実を、全包囲的に、同時に、かつ直接伝える」という姿勢で相対する自然保護団体とその対立をニュースに利用するマスコミに当たられ、見事に事業を完遂された姿勢に感服しました。また、学生委員の質問も良い意味で市民の目線で分かり易く、好感を持ちました。
(大阪府 岡田敏男)

毎号,ここの学生のページは大変興味を持って読ませていただいておりますが,今回も非常に参考になる内容だったと思います.現在技術者として働く方々には,一つのケーススタディとして,これからを担う,学生諸君にとっては将来このような問題にも直面するという知識財産として,価値が高いように思われます.今後も期待しています.
(函館高専 川口貴之)

今後、一つの事業分野として土壌汚染対策が注目されており、様々な取り組みがなされているが、実施するに当たり重要なポイントの一つが、ここに取り上げられた事例のように、情報公開を行うことであると思う。ただでさえ、周辺の方々が不安に思う工事であるはずであり、公開せずに行えば、余計な憶測や不信感を持たれてしまう可能性が非常に強い。情報公開しながら行うことで、不安を取り除けると共に、ひいては土木全体のイメージアップにも繋がると思う。
(関西電力 松本明男)

環境に対する話題をあちこちで耳にする時代になって、こういった環境対策工事も住民に受け入れやすくなってきていると思う。公共工事の透明性が叫ばれる中、土壌の工事は完成後もほとんどその効果を目にすることが出来ないため、趣旨を理解できない住民に取っては目障りでしか無かったはず。環境問題が重要視されるようになって来たことに加えて、現場技術者のアイデア(工事看板・スクリーン型万能塀)を取り入れたことで、受け入れやすくなっていると思う。今後もこのような事例が多く報告されることに期待したい。
(清水建設 遠藤和雄)

モニターになって土木学会誌を読むようになってから気になる記事はやはり環境関連です。これまでは自然と闘いながらいかにして無駄を無くしてコストを下げるかが目標でしたが、環境問題が大きく取りざたされてきている今後は自然との共生、いかに自然を壊すことなく人間の活動場所を広げていくかに重点が置かれるようになると思います。また、無駄の無いスリムな設計よりも無駄と思われるものをうまく配置するようなセンスのある設計が必要とされてくるような気がします。自分もまだまだ勉強する事が多い事を痛感しました。
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

「イヌワシ」についてはダム建設では名前くらいは耳にしておりましたが、具体的なお話しを読むことができて大変うれしく思いました。ただ、紙面の都合もあったのかもしれませんが、状況をもう少し詳細に述べていただくとなお勉強になったかと思います。マスコミや自然保護団体とのやりとりはもっと多く、複雑であったと予想されます。なかなか載せられるものではないのかもしれませんが。他にも「イヌワシ」の話しは日本全国であるのではないでしょうか?もう少しお話しが聞ければよかったと思います。
((社)国際建設技術協会 安永 良)

この記事を読み,編集委員の方と同様,「満足いく状況」に達する事は非常に難しいと感じました.
土木事業においてPIの必要性が盛んに叫ばれている今日,様々な異なる立場の方(住民,自然保護団体,マスコミ等)と事業についてコミュニケーションする場は,今後ますます増えると思われる.その中で,コミュニケーション能力は基より,高い専門性,幅広い知識の重要性・必要性を改めて感じました.
(北海道大学大学院 迫井裕樹)

様々な分野から土木と関わるコミュニケーションについて紹介されており,土木技術以外の知識の重要性について考えさせていただいています.また,毎回具体的な問題の事例を挙げ,その対処について書かれているため理解しやすいと思います.
(大阪大学 谷本泰雄)

本文は、奥只見ダムでの事業に伴う環境対策で起こった事態とその対応について、かなり率直に話されているインタビューだと思います。当時、様々な対応で苦労された様子がよく伝わりました。私も工事現場で専門家の方と共にオオタカの対策を経験しましたが、生態系の頂点にいる猛禽類の保護対策は、それを狙う密猟者対策も含めて、非常に神経を使うものでした。
(東京都 浅井重政)

簡素ながらも重みのあるインタビューで印象に残った。
(西武建設(株) 三村 卓)

土木においてもPIや合意形成が主要なキーワードになりつつありますが,それを実際の現場で実践している方に対するインタビューであるだけに,記事には非常に説得力がありました.しかし,正しい現場の真実を伝えることには,当然,事業の負の側面についての情報を伝達するという行為も含まれるだろうと思います.そのような場合に,今回の現場ではどのようにしてマスコミや自然保護団体に説明されていたのかを,もっと詳しく知りたいと思いました.
(東京工業大学 福田大輔)

「胸中には高い専門性を,一般の人々にはシンプルでわかりやすい説明を」という堀さんの言葉に感銘を受けた。どの分野においても,優秀な技術者になるためには深い理解と高度な技術,幅広い知識が必要であり,一方で,他者の意見を冷静に聞き,的確で説得力のある説明ができる能力が必要であると感じた。
(京都大学 菊本 統)

個人的にも、環境アセス関係の仕事をしたことがあり、この記事で書かれているような経験をしたことがある。奥只見発電所で対応されたほど、マスコミ関係の対応を行った訳ではないが、土木工事と環境保全というテーマで、色々な立場の人と話をする機会があった。自分の実感としても、情報を正確に直接伝えるというのは非常に大事な事であると思うが、特に重要なのは事業計画に対する理解を得る事であると思う。その事業が必要なものであるという共通認識さえ持つことが出来れば、どのような立場の人とでも理解し合う事は可能である。その意味でも、この記事にも書かれているように、本当のエキスパートになる必要があると思う。
(関西電力 松本明男)

自然を相手にする土木事業では、地域住民の理解、自然保護に対する対策等を常に考慮し、現場を進めていかなければならないが、そのための努力や調査は多大なものだと耳にしている。正確な情報をより詳細に伝達し、安心と信頼を得るためには本記事にあるように種々の知識、技術に長けていることが大切であり、私もこのような技術者を目指さなければならないと感じるものであった。
(五洋建設 渡邉浩司)

アカウンタビリティーに対する取り組みによって、事業の進行が大きく作用されるということが実経験の視点で述べられており非常に興味深かった。また、アカウンタビリティーを行うには、協調性や幅広い専門性、コミュニケーション能力が問われることなど、その達成にもかなり高度な能力が要求されることがわかった。本文ではT型の専門家と言っているが、今後公共事業に携わっていくには、ますますそのような人間像が求められていくであろうし、その事を意識していく必要がある。
(苫田ダム工事事務所 尾崎精一)

土木は常に自然を相手にする故に、自然保護団体と論争する事は少なくない。今回のイヌワシの例のように、生態系への影響を極力避ける努力をしていること、また、生物協調を目的として施工する構造物も少なくないことを忘れてほしくない。土木は決して自然と争っている訳ではなく、協調を目指しているのだ。
(清水建設 遠藤和雄)

この記事の中で最も印象的だったのは、自分の主張ばかりをする専門バカになるのではなく、他分野の話が聞ける能力が必要だということと、専門家として極めて高度な知識があると、その余裕から冷静に相手の話が聞け、相手に説明する時に説明能力が生まれる、という部分だった。様々な分野の人と交流し、色々な価値観に触れることで、このような“余裕”えをを持った「専門家」になれたらと思った。
(匿名希望)

毎月,このコーナーを興味深く読ませていただいております.
今回の記事では,ダムの増設を行うにあたっての地域住民や環境保護団体,マスコミとの対応を中心に書かれておりました.一般的には,ダムを建設する事業者が「悪」で,自然保護団体の主張が「善」であるようなイメージが少なからずあると思われます.今回の記事に掲載されている奥只見,大島発電所の増設工事のように,事業者が周辺住民,マスコミおよび自然保護団体に対して正しい情報を包み隠さず提供し,お互いが理解し合える環境をつくることができれば,誤解されることが少なくなり,既存のイメージを変えることに寄与するものと思います.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

学生のページですが,社会人6年目の私にとっても,新鮮な記事と感じました.
(西松建設(株) 土屋光弘)

近年進展している情報化社会においては,さまざまな誤った情報が送受信され,あちこちでトラブルが起きています.このような社会において,堀さんの行った「正しい情報を全方位的に,同時に伝える」という当たり前のことが行われれば,トラブルの元になる「誤解」も減るんだなと思いました.
(信州大学 豊田政史)

マスコミと対立姿勢を深めるのではなく,対話を進めたところに堀さんたちグループの成功への秘訣が隠されていると思います.この姿勢は我々研究者も学ぶべきところがたくさんあると思います.「専門バカ」にならず世のため人のためいい研究をしたいと思います.
(京都大学 木下篤彦)

事業実施に携わった当事者としての貴重な発言は重みがあった。開発と自然保護を巡る問題でよく耳にするように、やはり情報を伝達することとその方法が重要であることを改めて認識した。また、研究者や技術者はともすると専門的内容そのものではなく、専門的内容を知っているということで一般住民を納得させられると考えがちであるが、簡単な言葉で内容を十分説明できてこそ本当の専門家といえるのであろう。
(山口大学 樋口隆哉)

話の広場 特別史跡「三内丸山遺跡」を活用した都市公園整備
三内丸山に限らず、遺跡や名所旧跡を利用した”テーマパーク”の開発は、その位置づけが難しい。地方自治体のホンネとしては、地域振興の観点からすれば”観光の目玉”としたいところであろうし、記事中に「東北新幹線はやて開業」のフレーズが複数回標記されていることにその一端が垣間見える。個人的には、遺跡の学術的意義を重視した周辺開発を行うべきと考える。
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

青森の三内丸山遺跡には、機会あって今秋に訪れた。そのため、思い出すようにこの投稿記事を読ませていただいた。整備途中であったが、縄文時代の地層や集落が再現されていて古代ロマンにあふれたスペースであると強く感じた。また、公園内は土と芝生仕立てであるため、くつろぎにも適していた。今後も整備が続くとのことなので、また再来したいものである。ただ、入場料もとらない公園施設であったので、今後の運営が少し心配である。
(西武建設(株) 三村 卓)

建設プロジェクトに先駆けて行われる調査で,古代の遺跡が発見されたため着工が延期されたなどという記事をよく目にする。本記事で紹介された三内丸山遺跡は,建設計画の変更を余儀なくされるような遺跡の発見を逆に都市環境の向上のために活用した好例だと思う。記事の中で紹介されたホームページを閲覧してみたが,説明が詳細かつ丁寧で内容も興味深い。今度,機会があれば一度訪れてみたいと思った。
(京都大学 菊本 統)

青森県の風土・文化が好きで,学生時代はよく訪れていました.しかし,都市部からのアクセスが悪いため,観光収入はのびていないと聞いたことがあります.東北新幹線の開業とともに,多くの人がこの遺跡を訪ねることにより活気が出ればいいなと思う一方で,あの素朴な心安らぐ青森県の雰囲気を失わないでほしいなと思いました.
(信州大学 豊田政史)

10年前に佐賀県で吉野ケ里遺跡が発見されると以前は人もまばらな土地だったところに大きな公園ができ、立派な道路ができ一大観光スポットとなった。当時高校生だった私も興味を持って現地を訪れた覚えがある。三内丸山遺跡は縄文時代ということで吉野ヶ里遺跡よりもさらに歴史ファンの興味を引くことは間違いないと思う。特に縄文人の生活・風習などは興味が引くであろう。私もぜひ現地を訪れてみたい。
(京都大学 木下篤彦)

全国大会 全体討論会速報
私も全国大会の全体討論会を会場で聴きました。学生委員の方の感想に書かれていましたが、各パネリストの深い体験に基づく生のディスカッションは聴くに値するものでした。今月号においては、ITSの特集に30頁も割くよりも、討論会の抄録内容を増やした方が良いようにも思いました。討論会での4人のパネリストの中では、やはり星野知子さんのお話が新鮮でしたが、番外でモニターが取り払われたパプニングのことなどは、もう少し詳しく報告されても良かったのではないかと思いました。堅い?学会誌の一服の清涼剤になったのではないでしょうか?いずれにしても、あの場で星野知子さんが言われたことは、われわれ土木技術者がハッとさせられることだったと思いますし、とても大切な感覚のように思いました。私も会場では大きな拍手を送りました。
(清水建設 入江正樹)

当日の雰囲気を味わえてよかった。昨年の報告より詳細になっていたように感じた。一般市民の方々も多数観衆として来られているにも関わらず、カタカナ文字が多用されていたような感を持った。
(西武建設(株) 三村 卓)

全国大会に関する報告が3ページというのは,少々短すぎるのではと思いました.全体討論会以外にも,例えば,学生交流会の模様や議論の白熱したセクション,研究討論会の報告なども掲載するべきであると思います.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

全体討論会のテーマに関心を持ちながら参加できなかった者にとって、このように内容をまとめてもらうとありがたい。高野氏の発言にあった、情報の中心地から遠くなっても自分自身が情報の発信源になればよい、という楽天的考え方は、地方を拠点として活動する者にとって一つの重要な視点であろう。
(山口大学 樋口隆哉)

意見の募集の結果
道路関係4公団の民営化についての多彩なご意見が掲載されており,興味深く拝読いたしました.記事内容のバランスもうまくとれているように思われました.今回記事内容に関してではないのですが,テレビ報道で公団の功の部分が話題にならないのが気になります.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

土木に関連する社会・政治的問題は道路関係4公団の民営化の他にも多々あると思います.それらに対して,会員の皆様がそれぞれの立場でどのように思われているか,今回のように示すことは意義あることと思います.匿名でも良いと思います.
(国土技術政策総合研究所 岡田知也)

学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
土木学会認定技術者資格制度に対して異議,疑義を唱える人が多いように思います。 特集までは望みませんが,この制度の説明,意見紹介に紙面を割いてもらえないでしょうか。
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

非常に興味深い特集だったかと思います。著者を依頼するのも大変ではなかったでしょうか。特集の充実はとても大切なことかと思いますが、特集以外の記事について、例えば記事全てが英文ではなく概要は日本語で記述して欲しいとか、イヌワシのお話しはもう少し情報を加えて欲しいとか、特集以外の充実も期待しております。
((社)国際建設技術協会 安永 良)

ところで、特集記事の内容は、いつ頃、どのようにして決められている のでしょうか。ご紹介いただきたいと思います。
(東京都 浅井重政)

全国大会に出席して、社会人よりも学生の方が活発な意見が出ているように感じました。構造、土質、水理など、大学で学ぶ土木の授業にそのまま関連するような分野は多くの人で溢れているのに、施工系や研究開発系はスカスカと感じたのは私だけでしょうか。社会人も、学生の活発な議論から学ぶべきところがあるかも知れません。
(清水建設 遠藤和雄)

全く専門外の記事を読んで、おもしろかった、或いは、つまらなかったという感想を書くことは非常に難しいと痛感している。
(匿名希望)

土木の領域は広く、自分の専門以外の記事になると用語が分からないために目もくれずに読み飛ばすことがあります。紙面の制限で難しいでしょうが、キーワードについては簡単な用語説明の欄を作っていただくと、より多くの読者の関心が向くと思います。
(山口大学 樋口隆哉)


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