土木学会誌12月号モニター回答
利用者の立場から見た新しい交通と都市

 近眼の人は,めがねをかければ何の不自由もなく電車に乗れて,目的地までたどり着けますが,めがねがなければ駅の料金表や時刻表が読めず,他人の力を借りなければならなくなります.近眼の人は,めがねがなければ移動制約者になり,逆に,めがねさえあれば,移動制約者ではなくなります.バリアフリーの例として,駅の階段に付いている車椅子用のリフトのことが述べられています.使っているところを私は見たことがありませんが,車椅子用のリフトによるバリアフリーでは,車椅子の人は結局は駅員さんの力を借りなければならず,移動制約者のままなのです.
 今後の少子・高齢化社会において,生産者人口の減少が心配される中で,高齢者の積極的な社会活動を行いやすくするためにも,移動制約者を特別扱いするのではなく,移動制約者が移動制約者でなくなるような対策が必要だと思います.そのために,階段の横にスロープを付けたり,段差をなくしたり,計画・設計段階でユニバーサルデザインを行っていくことは非常に重要だと思います.また,最近はロボットがダンスできるようになってきました.このような技術を積極的にバリアフリーのために活用していくことも有効ではないかと思います.
(運輸省港湾技術研究所 森屋陽一)

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