土木学会誌11月号モニター回答
福岡県志免町の給水拒否裁判と給水規制要網について

 志免町では,20戸を超える開発行為や水を多量に使う工場・店舗などには給水しないとの要綱があることを知り,驚いた。確かに水資源に限りがあれば,その対策をとることは必要である。しかし,実際のところ,給水制限によって自治体より給水を受けることができない集合住宅は,専用水道として地下水を利用しているとのこと。これは,地盤沈下などの危険を孕んでおり,本質的な問題解決には至っていない。水不足が問題になっている自治体は,給水制限という形ではなく,水資源を観点とした地域開発を計画し,それに基づく地域開発を行っていくべきではないでしょうか。
(鹿島建設 新保裕美)

 当該記事を読むまで,やむをえぬ事態を除いて市町村に給水の義務が法的に定められていることを知らなかった.考えてみれば,そういう義務があるのも当然の様にも思えるが「やむをえぬ事態」を客観的に定めるのは難しいだろう.だとするなら,この種の法はおそらく,市町村の心構えを明文化したものと解釈すべきものかも知れない.がいずれにしても,この様な行政側の心構えの対局として,水が有限であるという人々の側の心構えが不可欠だろう.節水・給水を巡る議論は重大な問題をいくつも含む,重要なテーマだと感じた.
(京都大学 藤井 聡)

 水道水源の確保については、行政の大きな仕事の一つと思う。今回のケースは、周辺の宅地化のスピードに整備が追いつかなかった事例と思う。結果的に止むを得ないとされているが、住民としては納得できないものと思う。この辺のさじ加減を予測しながら事業を進めなければならない所に公共事業の難しい側面がある。繰り返しになるが、今回止むを得ないとされているが、逆の場合でも公共事業は無駄なものが多いといった論調の昨今ではあまり過大な事業も先行して実施出来ない状況もある。この辺をどうやって国民・住民に理解していって頂けるかについて考えて行かなければならない。
(中電技術コンサルタント(株)  佐々並敏明)


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