土木学会誌10月号モニター回答
地下鉄日比谷線脱線事故の原因調査

 学会の社会に対する貢献として,正しい情報の提供がある.この観点から,今回の記事のように,事故に対する学会の見解を掲載することは非常に有意義なことだと考える.今後,学会内部だけにとどめるだけではなく,ホームページや新聞記事を通じて,正しい情報を正確に伝えるようにしていただければ,社会における土木学会の位置づけがますます高まるであろう.
(大阪大学大学院工学研究科 松村暢彦)

 鉄道のことはあまり詳しくないのですが、報道によれば、脱線防止ガードがあれば、このような事故は防げたようです。
 今回の報告が、事故調査検討会の中間報告の段階のもので、要因についての記述は、大変興味深いものでしたが、最終的には、緊急措置として行われた脱線防止ガードの設置基準(半径200mの円曲線)と今回の要因が複数ある脱線との整合をとらないと解決したことにならないのではと思います。
(水資源開発公団 大島伸介)

 この事故は普段鉄道を利用しているものにとってはかなり衝撃的だったので、この原因調査の報告記事は大変興味深く読むことができた。
(大阪大学文学部 岡田保恵)

 中間報告と言うことで事故原因の推定にとどまっている.死者5名,負傷者60名を出した惨事を二度と繰り返さないため,また,公共交通機関の安全に対する信頼を取り戻すためにも,さらなる原因の究明と事故再発防止策の検討が必要であろう.計画・設計手法にまで踏み込んだ検討を期待している.
(運輸省港湾技術研究所 森屋陽一)
 技術者として、日比谷線の脱線事故をどのように受け止めたらいいか、非常に考えさせられる。死者が出たことは非常に遺憾であるが、では技術的に未然に防ぐことができたと何人の技術者が考えているか非常に疑問である。そんな不純ともいえることを考えている私にとって、淡々と原因追求に終わってしまったレポートは若干物足りない気がしてしまった。しかし、我々技術者はこうした事故を教訓に一歩一歩前に進んで行かなければならない。これは絶対に大切なことである。
(日本鉄道建設公団東京支社調査課 依田淳一)

 事故を知ったときの衝撃は強烈なものであり、この現代においてこのような事故がおこるのかと感じた。詳しい原因追及の記事を見たのはこの学会誌での記事が初めてであったので、とても興味深く読まさせていただきました。原因追及につながる事故再発防止策が今秋にとりまとめられる予定であるということ、機会があれば、また学会誌でもとりあげていただきたい。
(大成建設(株) 古池章紀)

 身近な話題。
(アジア航測梶@天野 篤)

 まだ記憶に新しい日比谷線脱線事故について,原因推定を中心とした中間報告書の概要が紹介された.
 さまざまな検討の結果,複合的に要因が重なりあった末に脱線事故が生じたことが理解できる.中でもレ−ル温度やレ−ルの摩擦係数及び列車本数の時刻暦を示した上で,事故が生じた午前9時ごろに脱線が生じやすい状況にあったとの説明は興味深い.
 中間報告の内容は,事故をうけて行った検討を主にまとめたものであろう.これまでの設計検討に不足点があったのか,今後,事故を防ぐにはどのようなことが必要かなどについて,続報の掲載を期待する.
(大成建設技術研究所 石井裕泰)

←戻る