土木学会誌9月号モニター回答
特集1 土木学会仙台宣言特集

 なんだか土木学会の宣伝記事、それもいいとこどりっていう感じで好感がもてない。
(大阪大学 岡田保恵)

 「2000年仙台宣言」は、宣言を出す意義や内容において時宜を得たものだと思う。この中で、一つ考えたことは「土木技術者の決意」となっている点である。たしかに、土木学会倫理規定によると、「土木学会は土木事業を担う技術者、土木工学に関わる研究者等によって構成され・・」とあり、技術者、研究者を主とした学会である。しかし、土木事業は土木技術者だけで遂行されるものではなく、政治、経済、社会学、哲学など多くの分野が関わっていると考えられる。そこで、この宣言は、土木技術者が他の分野の人々に宣言したと、とらえて良いのだろうか。また、鼎談の中にあるように、自分たちに向けて言っているのだろうか。
 私は、土木学会は土木技術者だけの学会ではなく、社会基盤整備に関わる多くの分野の人々が参加する学会へと進化していくと良いと思う。多彩な視点で物事をとらえ、議論し、判断し、実行していくことが、21世紀の社会基盤整備には、必要ではないだろうか。
(株)地域みらい  北原良彦

 これからの時代は,土木技術者も今までとはちがったいろいろ変化が求められるような気がしています。この仙台宣言についての特集を読ませていただいた感想として,もっと今までにはなかった”新しい”と感じられる部分が無いように感じました。「2000年仙台宣言」を21世紀へ向けての宣言として,そういう部分を望むのは私だけなのでしょうか。
(本州四国連絡橋公団 高木 久)

 タイトルを一目見たとき、なんて仰々しい言葉を使うのかと思いました。
 今さらながら「宣言」とは?という思いもしましたが、記事を読んでみると、結構これがしっくりとした言葉であることに気がつきました。
 宣言(案)は、とても誇り高い決意表明であり、頼もしくすら感じました。
 今号への掲載ばかりでなく、毎号の裏表紙に載せるとか、ホームページのトップに掲載する等して、広い理解を得るのも良いことだと思います。
 以前制定された土木技術者の倫理規定も大変立派なものでした。
 社会資本整備について正当な評価を得る為にも、現状認識を踏まえ、有言実行の実現に向けて、この宣言が広く正しく理解されることを期待しています。
(熊谷組 土木部 道村未佳)

 まず題名を見たときに、いったいこれはなんだ?と興味をひかれ、記事を読んだ。学会の倫理規定を具体化したものを社会に向けて宣言として発表するというものであった。今回の宣言が、今の時代において、土木技術者に対して、また社会に対してどのような影響を与えるかはわからないが、とにかく影響を与えるためには、皆に知られることが重要なことであろう。その宣言があることすら知らなければ、なんの意味もない。この宣言を土木技術者に、社会にどのように知ってまらうことができるかが、この宣言を意味あるものにするかどうかも鍵であると感じた。
(大成建設 古池章紀)

 「2000年仙台宣言」については、学会誌が届く前に一部新聞紙上において学会が建設業界に一石を投ずるとしてその改革の姿勢に対し概ね好意的な論評があった。期待して読んでみると宣言とは社会資本整備に関する理念と方策の表明であった。裏を返せば宣言内容が実際にはできていないという自己批判である。単なるきれい事の表明に終わらないように、公正な評価と競争など、一つ一つの項目の背景にある現実の問題を掘り起こし認識する必要があると思う。でも、このような理念を出して、社会資本整備の意義を問うということは大変良いことだと思う。最近、凶悪犯罪の増加、家庭の崩壊、政府への信頼の低下など「社会秩序の大崩壊」に対して、集団の中で共有され人々の協力の基盤となる一連のインフォーマルな価値観や規範という意味での「社会資本」の再構築が必要という見解がある。いわゆる社会資本整備を進める上での「広域性と地域性の接合という問題」を解決するには、秩序の面での社会資本整備が必要である。本宣言が建設業界にとどまらない議論を投げかけることになればと思う。
(新日本製鐵(株)藤井康盛)

 今回の宣言では、今後土木技術者が仕事を進めるにあたって常に心にとめておかねばならないことが非常によくまとめられており、学会としてこのような宣言をだすことは意義深いと思う。ただし、この宣言は土木技術者自身と一般社会の両方に対する決意表明ということであるが、後者のこの宣言に対する反応はまた違ったものであろう。現実は社会から土木をみたとき、決意表明だけではおそらく誰も土木技術者のいうことに耳を傾けてはくれないのではないだろうか?やはり社会にとってはその決意に基いた具体的な行動とその結果のみが評価の対象となるだろう。具体的な行動をとるのはひとりひとりの土木技術者であり、今後は自分自身も土木技術者の一人として、この宣言を振り返りながら日々の業務に取り組んでゆきたいと思う。
(大林組 西川直仁)

 宣言の中で、特に方策−3の時間管理概念の導入に期待します。公共事業に対する悪いイメージとして事業工期の長さがあり、早く工事を完了させるための総合的な技術が必要不可欠ではないかと考えます。
(水資源開発公団 塚本 守)

   土木技術者にとって当然の倫理規定であるが、確かにわれわれも時にはそれを忘れたり、あるいは気づかないときもあることを考えると、素晴らしい文章でまとめられた今回の宣言を常に心にとどめておくべきである。
 いずれにしても21世紀では、巻頭論説での西澤先生の最後の言葉のように、数々の難題に取組んでいかなければならないと思われる。今回の宣言を頭の中において、今までのように各技術者が責任を持って新しい問題や適用すべき技術の解決に向けて結果を出して行けば、現在問題となりつつある社会からの土木技術に対する不信や批判の多くは”誤解”だったで終わるであろう。
 最後に、今回の宣言には直接関係しないことであるが、今月号の付録の方には産官学のそれぞれの分野で活躍された人々が例年以上に数多く名誉会員として推挙されている。学会の発展に貢献される方々が数多くなることは素晴らしいことで、これからもその数が多くなることを期待しているが、常に陰ながら学会の雑務等を積極的に果たしておられる方などにも何らかのねぎらいの形が示されることも望んでいる。良い形の学会発展は、学会員からはもちろん必ず社会等からも理解が得られるであろう。
(福山大学 梅田眞三郎)

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