土木学会誌3月号モニター回答

技術リポート 超低周波電磁界と健康影響

 これも土木屋には”原理的に”縁遠くて、直感的ではない問題であるが、それを表現するに言葉ばかりでいまいちわかりにくい。もう少し、ヴィジュアルな資料による説明があったほうがわかりやすいと感じました。
(新日鐵  冨永知徳)

 この報告に関連して、鉄道関係では、リニアモ−タ−カ−がある。最近の走行実験では、山梨実験線でMLX01が世界最高速度531km/h(有人走行)、550km/h(無人走行)を記録し、東京−大阪1時間という夢が技術的にはすぐそこまで来ている。しかし、財源の問題のほかに、強力な磁界中に人体を置くという危険性が指摘されておりその確認と対策が課題となっている。そこでこの記事に興味をひかれたわけであるが、結局、影響の有無は今後の更なる研究を待たねばならないということであった。いずれにせよ、電磁波を発するものの中で我々は生活しているので、徹底的な研究が望まれる。
(日本鉄道建設公団 松田康治)

 いわゆる土木という工学には幅広い他の工学分野が関連していることは承知しているが、今回のリポートは更に数量的に微弱な問題をも含むことを痛感させられるものである。
21世紀を迎えるに当り、土木工学=総合工学としてそれに携わる者は、これまで人類が作ってきた技術の大半を見直すリーダーとして寄与しなければならないという自覚を持つ必要があろう。そのような環境の中で、会誌編集委員会が周辺専門分野のエンジニアに執筆を依頼し、平易な文章で先端科学の情報提供をして頂けるのは有難いことである。
このリポートでは、文末に「 このような環境リスクの問題は単に影響のありなしというような単純な見方ではなく、リスクの存在やその大きさをどのように人々に伝え、また人々がどのようにそれを受け入れて行くか、いわゆるリスクコミュニケーションやリスク認知などを含む広く環境リスク管理の問題として取り組む必要がある。 」と述べて、今回のテーマについての読者の注意を喚起している。
この文章からわれわれは逆に、周辺分野のエンジニアに対しても同様な考え方で、土木工学分野に関しても噛み砕いた先端技術紹介の機会を積極的に作らなければならない年が来ていると感じている。
(鹿島建設梶@ 中込國喜)

 電磁界と白血病の関係はあるのかどうかは重大な社会的関心事である.本文では電磁界はガンのイニシエイターにはならないが,弱いプロモーターにはなるかもしれないというのが,多くの研究者の一致する見解だと述べられていた.さらなる研究が望まれる.
(室蘭工業大学 矢吹信喜)

 環境問題に関心の深い人々の一部に、高電圧送電線や電磁波に関する健康被害の憶測や不安が飛び交っている中で、扱いにくい問題を正面から論じていただいたのは、非常に勉強にもなりましたし、興味深く読ませてもらいました。
 ただ、用語として50/60Hzの周波数を「超低周波」と呼称するのは、既に一般的なのか、知らないせいもあって違和感を感じました。
 電気については(特に直流を扱えば)極性の交替は、幾らでも間隔をおける話しなので、幾らでも周波数の小さい電磁波は生じうるように思われます。環境問題の中では騒音では概ね100Hz以下を低周波と呼び、聴覚に感じない20Hz以下を通例で超低周波と呼んでいますが、公害振動の方では元々周波数の低い領域の問題であるため、1Hzの振動でも低周波と呼ぶことはないように思います。つまり超低周波等は、事象によって定義すべき用語だと思われます。
 他の電磁波との比較として用いられたと思いますが、つまり何が低周波であるかの定義を示していただけるともっと良かったと思います。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

 我々の生活の中で、電気を使わないものはないと言っても過言でない。電化製品から発生する超低周波電磁界に我々は知らず知らずのうちに曝されているわけである。環境ホルモン同様、生体への影響について調査が進むことを期待したい。
(九州大学大学院 龍 崇)

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