土木学会誌1月号モニター回答

土木紀行 銀河鉄道「めがねばし」

 橋には不思議に人の心をつかまえる何かがあって、それがどんなに不粋なものでも、人をものがたりの世界にいざなうことがあると思う。
 それにしても「めがねばし」はメルヘンチックだと思う。それに宮澤賢治のイマジネーションが「岩根橋」のある風景を通して「銀河鉄道」にいたったという仮説は面白い。しかし、現存する「めがねばし」は架け替えられたものだという。もしかすると、賢治の見た「岩根橋」を、現存する「めがねばし」に架け替えた土木技師は、賢治のものがたりの世界にいざなわれたのかも知れない。
 列車の速度は遅かっただろうが、たおやかな時間の流れとファンタジーの世界に生きることを許された大正人をうらやましく思った。
(広島大学工学部建築学教室助手宇高雄志)

 私は事務系の職員なので、こういった切り口で橋について語ってくれると非常になじみやすい。私も東北を旅したときに記事も場所を通ったがなかなか趣き深いところである。一昔前に戻ったかのような日本の風景がある。宮沢賢治の童話が現実味を帯びてくるような景色だったことを記憶している。めがね橋は決してきれいな橋とはお世辞にも言えないが、かえって景観にそぐっている。そういうう意味では、最新の橋である。これから作る橋もこうあって欲しい。
(首都高速道路公団 福田朋志)
     
 他の学会誌等でも、この種の紀行文は短編でかならず見られる。専門的でかつ息抜きとして設定してあるようだが、経費削減かつ資源の有効利用の観点から、不要ではないかと思う。
内容的にはおもしろく違った視点から捉えているので、ある意味で勉強になる。しかし全体の学会誌の構成からみれば、なくても不自由しないだろう。
(CRC松島研究所 小川真一)

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