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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

論文・講演などの募集

12.2014年度河川技術に関するシンポジウムおよび「河川技術論文集
 第20巻」論文募集


河川部会は、「従来の河川の概念にとどまらず、水・土砂・物質循環系としての広義の河川と、人だけでなく様々な生物との関係をより良いものとしていくための実践的技術の総体」として河川技術をとらえ、産学官を問わない広い裾野から精力的に行われる研究や技術開発が河川や流域の現場に広がることで現状をより良いものへと変えていき、そのことが国民や流域住民から肯定的に認知されることで、河川技術の発展とその現場への適用がさらにいっそう促進されるという好循環の形成に貢献することを目指しています。それを実現するために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川に関わる学術分野との学際領域への展開など、河川技術に求められる様々なインターフェ−スとしての役割を担うことを志向しています。
その一環として、河川部会では2014年度も標記シンポジウムを下記の通り企画いたしました。「河川技術論文集」も今回で20回を重ねることになり、これまで蓄積されてきた技術を活かし、さらに河川技術が実践の場でより機能的に発揮されるよう、研鑽してきたいと考えております。ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。

・開催期日

2014年6月5日(木)・6日(金)

・開催場所

東京大学農学部 弥生講堂(文京区弥生1-1-1)

・参加費

一般(会員)6500円、一般(非会員)8000円、学生(会員・非会員)4000円
※いずれも論文集代を含む

・シンポジウム募集課題

本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、後述する投稿ジャンルに示すように、論文、総説、報告があります。河川部会では、その目的に沿って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術と密接な関係を有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見を基に、問題設定がなされ研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。

(1)特定課題1:「河道計画・管理のための流れ・地形変化の解析技術力向上に向けて」
河川の流れや地形変化を解析する技術の開発は、まさに河川技術の主要課題であり、これまで数多くの研究が行われ、その成果が実務にも取り入れられてきました。とりわけ近年、計算機の能力向上を背景に実河川で生じる複雑な現象を扱うべく解析手法の改善・開発が進展し、その中で解析手法は高度化と多様化の道を辿ってきました。
河道計画・管理の現場では、それぞれの河川で直面している課題について、その適用性を勘案しながら種々の解析手法を使い分けて検討を行っています。しかしながら、解析手法の適用範囲を理解し、うまく使いこなして有用な情報を引き出せているでしょうか。個々の解析手法の適用範囲や技術的制約が精査され、目的に応じた適切な使い分け・組み合わせが行える解析技術の体系化が必ずしも十分ではない状況と考えます。
さらにこれからの河道計画・管理には、これまで経験したことのない大出水も視野に入れた減災対策、大河川から中小河川までそれぞれが有している地形・植生情報や河道特性を踏まえた河道・構造物管理の高度化などが求められています。こうした課題に対して、既往技術の限界を克服するような新たな解析法の開発は常に必要な視点ですが、課題の性質から継続的な取り組みとなることを考慮すると、水文観測や地形測量などの高度化が進む中で、観測結果との比較、検証、フィードバックを通じた継続的な解析手法の改善・更新、あるいは観測情報の質・量に応じた適切なパラメータ設定手法の確立なども重要な取り組みとなります。
特定課題「河道計画・管理のための流れ・地形変化の解析技術力向上に向けて」では、河川計画・管理のための根幹技術の一つである「流れ・地形変化の解析」に焦点を当て、新たな解析手法の提案はもちろんのこと、これまでに開発されてきた様々な解析手法がどのような現象や機構解明に優位であるか等の観点による整理や比較分析、種々の観測手法を用いたパラメータ設定の確度や解析精度の向上の取り組み、解析手法を応用して河道計画・管理の合理化などを試みた事例、さらには精緻な解析法による数値実験を通した現象解明などに関する論文を幅広く募ります。
(2)特定課題2:「降雨・洪水予測技術の高度化と防災情報・対策への応用」
2013シンポジウムでは、「危機管理の実務に供する洪水予測技術」と題し、比較的規模の大きな河川における洪水時のリアルタイムの河川水位予測技術を対象とし、このような技術が必要とされる背景や河川計画に用いる予測技術との違いを明確にした上でリアルタイムの予測技術が果たす役割の再考、技術研究開発の動向の整理、実務で運用するに当たっての課題を共有し、危機管理の実務に資する予測技術の研究開発、現場適用に向けた予測精度や方策が議論されました。その中で、水位・流量換算の課題をはじめ精度の確保・向上に関する課題等が再認識されました。
(昨年度報告:http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/system/files/2013_OS1.pdf
その一方で、洪水予測の外力となる降雨や気象予測技術に関しては、集中豪雨の正確な予測や局所的大雨の事前予測においてはまだまだ課題はありますが、高性能なレーダによる雨量・気象観測技術や数値モデルでの雲の解像や同化技術進歩、アンサンブル予測の導入などにより、洪水予測技術にも変化をもたらすことが期待されるところです。
また、近年、集中豪雨の頻度が増加している中、今年も局地的集中豪雨が全国で多発し、各地で大きな水害被害が発生しました。その中でも時間100oを越える豪雨も多く、迅速な住民避難や企業の防災活動などに向けて洪水予測を含む防災情報をどう伝えるのかといった課題も浮き彫りになってきております。
このような情勢を踏まえ、改善されつつある降雨・気象の観測・予測技術を組み入れた洪水予測技術を、危機管理上の防災活動に寄与させていくため、2014シンポジウムでの議論を更に深めていきたいと考えます。
特定課題「降雨・洪水予測技術の高度化と防災情報・対策への応用」では、降雨・気象予測技術の動向や進展に関する研究や、それらを組み入れた洪水予測やより精度高くリアルタイムに水位を予測する手法、さらには洪水予測を住民避難や企業の防災活動等に役立てる防災情報システム等の研究開発に関する論文を広く募集します。
(3) 一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。

・論文集投稿ジャンル

論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。

・発表形式

特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。

・投稿資格

河川の技術に求められるさまざまなインターフェ−ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。

・投稿料

参加費とは別に投稿料を取ることはいたしません。ただし、カラーページを含む原稿については別途カラーページ負担金をいただきます。

・要旨による応募方法

応募方法は、2013(平成25)年12月上旬までに河川部会ホームページに掲載しますのでご覧ください。同ホームページに掲載された形式で下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。また、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください。第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先:(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)

・応募締切り

2014年1月29日(水)17:00

・スケジュール

要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月中旬〜下旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2014年4月3日(木曜日)17時を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後5月中旬以降にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。

・問合せ先

河川部会長 松田 寛志
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-2
日本工営株式会社 コンサルタント国内事業本部 流域・防災事業部
TEL: 03-3238-8350 FAX: 03-3238-8080
e-mail:MATSUDA-HR@n-koei.jp、 kasen-bukai@jsce.or.jp
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