7月の行事と募集


断層進展およびこれに直接関連する被害研究小委員会

              
1.設立趣意――――1999年8月17日のトルココジャエリ地震,そして9月21日の台湾集集地震と
         立て続けに発生した巨大地震は,その希有な規模の断層変位と断層上に位置した構
         造物被害の甚大さという点から,地震工学に携わる研究者に多くの深刻な課題を投
         げかけるものとなった.これらの地震は,我々地震工学の研究者に,地盤の強いゆ
         れで構造物が揺すられるという従来の想定シナリオにとどまることを許さず,断層
         進展に伴う著しい地盤変形を想定し適切な対応を検討することを強く迫っている.
         実際,台湾集集地震の石岡地区に現れた断層の上下方向の食い違いは石岡ダム地点
         でおよそ10mにも達し,ダムを破壊し,導水トンネルを上下に食い違わせるなど,
         構造物を破壊させずにこれに対応することは不可能であるように思われる.カリフ
         ォルニア州で地表に現れている断層上での開発を規制する州法を1972年に制定
         し,その後,必要な整備が順次進められている状況は,このような断層による被害
         の実態を考えれば合理的な対応と思われる.しかし伏在断層を含め多数の活断層が
         存在し,かつ人口過密な国や地域で,これらの疑わしい箇所をすべて避けて諸施設
         を建設する対応もまた非現実的である.
          このような認識に立てば,単に開発の規制に頼るばかりでなく,構造物の破壊を
         許容した上でその形態を制御し,関連する被害の規模を最小限に押さえる工夫も必
         要になる.さらにそのような踏み込んだ対応を社会的に受容する合意の形成も必要
         になる.そのための第一段階として断層の進展に伴ってどのような変形が発生する
         か入力情報として把握しておくことは欠かせない.断層に伴う変位は必ずしもナイ
         フで切ったように一面に集中(localize)しない.特に都市部が広がるような地域
         では柔らかい河川堆積物が地表を覆っていることが多く,これがある幅を持った帯
         状の区域に地盤ひずみを分散させ,また雁行状の断層を発生させることもある.ま
         た断層直近の地盤面では単に水平動ばかりでなく上下動,ねじれ,回転を伴う地盤
         の動きもその上に存在する構造物の応答を考える上で重要である.本小委員会は(1)
         断層活動による表層地盤および基礎岩盤の変形と関連する被害の既往事例を調査
         し,(2)断層活動による地盤変形の予測技術と関連する調査手法の方向性を探り,
         そのような変形と構造物や施設に期待される機能に応じた(3)適切な破壊形態の制
         御やソフト面での可能な対応,波及的災害の軽減策などを検討する.このような検
         討結果をもとに,あるべき耐震技術や施策への提言を行う.

2.活動期間――――2000年9月〜2002年8月

3.応募方法――――本小委員会に参加を希望される方は,氏名,所属(勤務先・所属部課役職名),土
         木学会会員番号,連絡先住所,電話,FAX 番号,E-mailアドレス,および応募す
         る理由(参加の目的)をご記入の上,E-mailないしFAXにて下記にお申し込み下
         さい.
		 申込期日は2000年7月31日[月]とします.なお,本小委員会の運営上,希
         望者多数の場合にはお断りすることがありますのであらかじめご了解下さい.

4.申込先―――――〒113-0032 文京区弥生1-1-1 東京大学地震研究所
         堀 宗朗
         E-mail:hori@eri.u-tokyo.ac.jp
         TEL/FAX 03-5841-5740

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