故田中 豊博士は、関東大震災後の首都の復興に際し、帝都復興院初代橋梁課長として
隅田川にかかる永代橋、清洲橋など東京の象徴として一般にもなじみの深い数々の名橋を
生み出されたことで現在でもよく知られています。先生は当時の橋梁・構造工学会の権威
者であり、あげられた業績は文字どおり日本の橋梁界、鋼構造界の育ての親と呼ばれるに
ふさわしいものでした。 先生のご逝去後、ご遺族から斯界振興の一助にと、土木学会に基金のご寄付がなされました。
一方、有志の間には博士の功績をしのび、これを記念する事業を企ててはとの申し出があり、
昭和40年、「田中豊博士記念事業会」が発足しました。その結果、数多くの個人、団体よ
りご寄付が寄せられ基金がつくられました。同記念事業会はこれを土木学会に寄付し、学
会では記念事業として、橋梁・鋼構造工学に関する優秀な業績に対して毎年「土木学会田中賞」
を授与することとなりました。すなわち、昭和41年度より土木学会賞の一つとして田中賞
が発足したのです。以来三十余年を経過し、多くのご厚志、斯界各方面の御援助御協力を
得ながら、極めて名誉ある賞としての評価が定着し、橋梁技術のさらなる発展に大きく 貢献してきました。
田中賞の内容は下記の三部門より成っています。
(1)研究業績部門・・・橋梁に関する技術の進歩、発展に顕著な業績を上げたと認められる者
を対象とします。研究業績部門は平成5年度より設けられた比較的新しいものですが、我
が国の代表的な橋梁技術者に贈られる賞として、すでに確固たる位置を占めています。
(2)論文部門・・・・・・・土木学会刊行物に発表され、計画、設計、製作・施工、維持管理、考案、
歴史などに関連して橋梁工学の発展に大きく貢献したと認められる論文、報告の中から
選ばれます。
(3)作品部門・・・・・・・・橋梁およびそれに類する構造物の新設または改築で、計画・設計・製作・施工・維持管理などの面に
おいてすぐれた特色を有すると認められるものについて選考します。作品部門は、橋梁が
多くの人びととの共同作業の成果という点から、受賞対象は企業者、設計者、施工者など
の組織あるいは特定の個人ではなく、あくまでも作品そのものと考えています。これは他
の土木学会賞と異なる特色です。(1)研究業績部門・・・橋梁に関する技術の進歩、発展に顕著な業績を上げたと認められる者
を対象とします。研究業績部門は平成5年度より設けられた比較的新しいものですが、我
が国の代表的な橋梁技術者に贈られる賞として、すでに確固たる位置を占めています。
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