白土 博通 委員長 ご挨拶






構造工学委員会委員長
京都大学大学院工学研究科
社会基盤工学専攻 教授
白土 博通

2015年度より構造工学委員会委員長を拝命しました.構造工学委員会委員の皆様はもとより,土木に携わる皆様のご協力,ご指導を宜しくお願い申し上げます.

東日本大震災から5年以上経過しましたが,以前の生活,社会に比べて大きな変化を余儀なくされている住民や自治体も少なくない事実に接します.一方,2014年には広島,2015年9月には関東,東北地方に起きた集中豪雨による土砂災害,水害が発生し,2016年4月には熊本が短時間に2度も震度7の地震に見舞われました.また同年は既に過去65年間で台風上陸数2位を記録し,各地で強風,浸水,地盤災害などの報道が度々メディアに流れています.様々な自然災害の広域化,激甚化を指摘する声が高まる中で,我々社会が備えるべき強靭さとは何か,土木に関係する者の責任や使命とは何か,の問いかけに対し改めて熟慮が必要と考えます. 一方,多様な構造物,材料別に定められている設計基準の共通項を横断的に俯瞰し,土木構造物に共通の用語,作用・荷重,要求性能,構造計画および土木技術者のあるべき姿について,学会として統一された全体体系を明示すべきとの要望が過去において多数寄せられました.これを受け,2006年より土木構造物共通示方書の策定が構造工学委員会で開始され,2010年に「土木構造物共通示方書T(総則・用語・責任技術者・要求性能・構造計画)」および「土木構造物共通示方書U(作用・荷重))」が刊行されました.その後増補,改訂の議論が構造工学委員会のもとで継続的に進められ,2016年には「土木構造物共通示方書(基本編)」「土木構造物共通示方書(構造計画編)」「土木構造物共通示方書(性能・作用編)」の3編構成として刊行される予定です. 構造工学委員会は,調査研究部門の委員会として長い歴史をもち,上記の活動のみならず国際・継続・次世代各教育活動,構造工学シンポジウムの開催,構造工学論文集,橋梁年報,構造実験指導書の編集・刊行,安全性,耐風工学,鉄道工学に関する関連学会との協働を継続的に実施しています.さらに時宜を得た研究テーマのもとに,複数の研究小委員会が組織され精力的な活動を展開しています. 本委員会の活動について,皆様のご意見,ご提案を頂ければ幸いです.