構造実験の手引きは,みなさまにご愛顧いただいた,構造実験指導書[平成12 年版]を改訂した ものです.構造実験指導書は,1970 年に刊行され,その後1977 年,1982 年そして2000 年(平成 12 年)に改訂されています.今回の改訂では,広い読者層に,より親しんで活用頂けることを念 頭に改訂にあたりました.そのために,長年の歴史をもつ本書の名称を,構造実験の手引きと改 名致しました.

 そして,平成12 年版改訂時にならい,本書を活用いただける,全国の工業高等学校,工業高 等専門学校,そして大学の土木系学科の先生方,さらには土木学会構造工学委員会の委員の方々 に,本書に関するアンケート調査を2008 年1 月から2 月にわたって実施致しました.お寄せ頂い たアンケート回答での貴重なご意見に,厚く御礼を申し上げる次第です.なお,ご回答の概要集 計結果は,当小委員会のホームページ:http://www.jsce.or.jp/committee/struct/comm2/にて掲載 させて頂いております.

 今回の改訂では,アンケート回答に沿って,まず,多くのご要望があった座屈挙動に関する実 験を新規に掲載致しました.ついで,教室内でも手軽に実施できる,専用の機材や模型を必要と しない実験学習法として,大半の章の概論末尾に「体験してみよう」と名付けた実験例を示しま した.さらに,平成12 年版から設けられた,構造実験に関連した話題を提供するコラム欄も,そ の半数を,近年のトピックスへと更新しました.なお,編集において平成12 年版から割愛した項 目につきましては,上記ホームページに掲載しました.

 改訂にあたりましては,構造実験指導書[平成12 年版]の内容のかなりの部分を受け継がせて頂 きました.これまで,この本の編集・執筆に携わってこられた多くの方々,特に六郷恵哲委員長 をはじめとする旧編集小委員会の皆様に,厚く御礼を申し上げます.

 本書が,多くの皆様に活用され,机上での学習を補完・発展し,構造力学に対してより多くの 興味を抱く機会を導くこと,ひいては土木系教育の一助となることを願っております.

平成20 年10 月
土木学会 構造工学委員会
構造実験指導書編集小委員会
委員長 鬼 頭 宏 明