丸の内仲通り

所在地:東京都小金井市中町1丁目~東町5丁目 MAP
事業者:東京都建設局北多摩南部建設事務所

 

受賞者

氏名
所属
役割
平井 正風 野川第一・第二調節池地区自然再生協議会会長 ・自然再生協議会における設計内容の検討とりまとめの主導及び指導
奥田 好一 株式会社地域開発研究所/株式会社 東京建設コンサルタント(当時)
東京建設コンサルタント(現在)
・自然再生事業に係る設計
東京都建設局北多摩南部建設事務所 ・計画から事業までの調整と実施
・施工監理
野川第一・第二調節池地区自然再生協議会 ・事業内容・設計内容の検討とりまとめと合意形成
株式会社地域開発研究所 ・第一期自然再生事業の設計
・協議会意見のとりまとめと設計への反映
野川自然の会 ・自然再生事業区域の管理運営
(モニタリング、維持管理活動、自然とのふれあい活動に基づく、整備形態に対する提言)
株式会社東京建設コンサルタント ・順応的管理(第一期事業の検証)による第二次実施計画の策定(第二期事業の方向性の決定)
・第一期自然再生事業の設計,協議会意見のとりまとめと設計への反映

 

講評
環境デザインのプロジェクトはいつも新築ではなく、改修計画である。現代社会のニーズにあわせて新しい価値へと空間を更新していく作業である。このプロジェクトはそういう基本的な事を丁寧に実現しているプロジェクトなのだと思う。また、そのプロセスの中に市民の意見が含まれるのも、とても現代的なアプローチである。
ただ、自然再生という言葉は実はとても困った言葉である。エコロジー的な発想において同じ自然など存在しないからだ。その場所と時間の関係で、自然そのものも遷移しつづける。遷移の途中のどの部分を「自然」としてとらえるのか?人が管理する自然は、ある一瞬の静止した状態を保つのではなく、遷移の途中の一連のサイクルを繰り返し再生する事のようなものだと私は思っている。
今後我々は、切り取った遷移の途中の「繰り返し再生される自然」を、さらに大きなスケールの中で評価できる手法を構築しなくてはいけない。(戸田委員)

7月下旬、暑い。子どもたちが野川に入って魚捕りをしている。その脇に野川第一調節池がある。背丈を超えるヨシをかき分けてドジョウ池に入っていく。ちょっと怖いけど覗いて見たい。こどもの頃のドキドキ感がよみがえる。メダカやおたまじゃくしの姿が見える。小さな田んぼには市民が植えた稲が穂をつけている。顔を上げて西を見やると武蔵野公園の樹林に囲まれた谷戸の風景が広がる。くっきりとした青空。懐かしさを感じる。
 都市化によって失われたもの。それはこのような谷戸の風景。つまり生き物が賑わう風景である。洪水調節池の中での小さな自然再生によって生き物が戻ってきている。そこに子どもがわいて出てくる。身近な生き物とふれあえる場を次代に伝える。大事な視点だ。市民団体の身の丈に合った自然再生(持続的な維持管理)、段階的整備、保全と利用を調整する植生管理。市民との合意形成を含めて丁寧な取り組みがなされていると思う。(吉村委員)