丸の内仲通り

所在地:東京都千代田区丸の内 MAP
事業者:三菱地所株式会社 他

 

受賞者

氏名
所属(当時)
役割
矢崎勝彦 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 ・プロジェクト・マネージャー
植田直樹 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 ・設計チーフ・監理チーフ
矢島健康 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 ・設計・監理 担当
塚本敦彦 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 ・設計・監理 担当
渡邊倫樹 株式会社三菱地所設計 都市環境計画部 ・設計・監理 担当
一般社団法人 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会 ・ 「まちづくりガイドライン」を踏まえた まちづくりの推進

 

講評
  審査委員会の日程の影響を受け、極力涼しくなってからと頑張っても、現地をじっくり見たのは9月末の猛暑が少しだけ勢いを減じたころであった。街路法線にぴったり業務ビルの壁面が揃い、30m程度まで垂直に建ち上がっている街なみであるから、午後の日陰の中ではそんなには暑くはなく、休日の業務街は落ち着いた様相を見せていた。地域が進めた低層部の商業施設化の効果は高く、休日であっても適度な賑わいを見せている。場所もよければ、土地利用も良い。街の管理体制も磐石である。そこへ、横綱相撲とも言うべき落ち着いたデザインと材料の選択。この通りが最優秀賞を受けるのはわが国の街路及び沿道環境の中にあって当然であり、特に高容積で業務街を形成する地区にとって、お手本とすべきだろう。行政と地権者が一体となって地域の将来像を取り決める「まちづくりガイドライン」に基づき、官民一体となって交通機能優先の道路から賑わい軸へと生まれ変わらせた、この通りの意義は高い。自動車が業務交通の主流となり、歩行者が道路端のガードレールの外へと追いやられてから久しい。すでに自動車社会は一定の成熟をみせ、場所ごとにドライバーは節度を持って車を操ることができる。交通安全の観点だけからの道路整備を振り返り、地区のまちづくりに相応しい道路へと「道路空間の再構築」の期待が高まる時代にあって、素晴らしい実行例と言えるだろう。(高見)

丸の内仲通りの姿は大きく変わった。以前は、端正だがどこか暗いイメージがあり、ゆっくり散歩したくなるような空間ではなかった。歩道沿いにはオフィスビルのロビーが並び、仕事中に足早に通り過ぎる人々だけが通るそんな空間だったのが、ウィンドーショッピングが楽しめ、オープンカフェがあり、背もたれ付きのベンチで休憩する事ができる場所になるとは、20年前には全く想像できなかった。
改修前に仲通りの整備計画について耳にしたとき、道路沿いの建築の機能が変わらない限り道のデザイン改修だけでは空間そのものが変わることはできないだろうと思った。改修された仲通りは私の想像以上に建築の用途が多様になり、街ににぎわいが生まれている。
街路のデザインで注目したいのは、並木道の樹種の配置の多様さである。一般的街路植栽は、主木の繰り返しでデザインされる。昔の仲通りはユリノキの並木道であった。葉っぱが大きくて落ち葉の扱いが厄介であるというクレームがあると小耳に挟んだ。そんな中で新しい通りの樹木は、ケヤキ、シナノキ、アメリカフウ、カツラ、シマトネリコなど多様で、線状の空間を強調する街路樹という見せ方ではなく、「都市の居間」と言うコンセプトを具現化し、庭的な空間を作り出す事に成功している。これに加え、オープンカフェやイルミネーション、ショーウィンドーの華やかさ、観光客そのものが、まちの風景に四季折々の変化をあたえ、楽しい通りを作り出している。(戸田)