Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2007, JSCE
Landscape and Town planning of KANEYAMA
所在地:山形県最上郡金山町  地図
事業者:金山町
授賞対象者
氏名
所属(当時)
役割
林寛治
林寛治設計事務所代表 金山町景観審議会専門委員、建築および建築に伴う外構設計監理
片山和俊
東京藝術大学美術学部建築科教授 金山町景観審議会専門委員、建築およびランドスケープ設計監理
住吉洋二
(株)都市企画工房代表 金山町景観審議会専門委員、マスタープランの策定および取りまとめ
松田貢
金山町長 金山町風景とまちなみ景観条例、全町公園化構想の推進
岸宏一
前金山町長 金山町住宅建築コンクール、風景とまちなみ景観条例の発案と推進
金山町景観審議会
金山町町域まちなみづくり施策の推進と調整
講評

昨年の小布施に続き、今年、高く評価したいのが、金山町の取り組みとその成果である。金山町の取り組みは、いわゆる「金山型住宅」が有名であるが、眼に見える存在としてはむしろ、土木的環境の整備を高く評価したい。つまり、街並み景観の形成にとって、建築の世界だけでなく、その他のいわゆる土木的世界が重要だということを、1986年の街並み景観条例の制定時から強く意識し、実践してきたことである。もちろん、建築と土木の世界の連続性に意識が向けられていることは言うに及ばないが、そこで地域資源という考えと眼を養い、地べたや目線、目線下の空間の整備がうまくなされていることを高く評価したいのである。地域資源を活用し、標準としての工業化製品は極力使わず、金山の生活空間が実現している。例えば、裏道が素晴らしい。素材とそれゆえのディテールが素晴らしい。木もうまく使っている。腐ったら取り替えるというディテールと使い方がある。(江川)

金山町では、すれ違うどの子もが元気に「こんにちは!」と挨拶をくれた。せせらぎで騒ぐ子らがいると思えば、悪戯しているのではなく、落ちたゴミを拾いつつ戯れていた。そんな情景は、このまちが、生きられる場所としての本質性を有している証左であるように思えた。見渡せば、細部に至るまで丁寧に造り込まれた家並みや街路・広場があった。決して華美ではない。舗装もストリートファニチュアも、コンクリートや木質の素地が生かされた、むしろ質素とすらいえるものだ。だが擬似的な素材は一切ない。手作りの風合いと創り手の誠実さがない交ぜとなって風景を形づくっている。さらに目を凝らせば、川沿いに柵がない。抜け道に「通り抜けできます」というサインがある。──など、責任と信頼の雰囲気がそこかしこににじみ出ている。この景観が一朝一夕に形成され得ないことは明らかである。時間を掛けて創り手と住まい手が会話を重ね、想いが共有されなければこのクォリティに到達しない。練熟のまちづくりといっていい。(小野寺)

「まちづくり」は、人づくりである。そして、人々の熱意のもとに、長い時間のなかで計画が熟成され、本物のまちが生まれてくる。金山町のまちなみ整備計画は、まさにそうした「まちづくり」の好例と言えるであろう。このまちは、二十年以上にわたって取り組んできた、地道な努力の集大成によってかたちづくられている。金山町らしさを生み出すために、地場材の杉を活かし、地域の職人自ら住宅を作り続けてきたのだ。その努力の上に、歴史的流雪溝を活かした面的な整備が行われている。特筆すべきは、道路の表側からではなく、生活空間としての裏側から整備を進め、まち全体の質的向上が図られていることである。その結果、非常にヒューマンな空間が、緻密な質を保ちながら形成されたのである。こうした、結果はそこに住まう人々の、「町への愛着」によって生み出されたのであろう。高質にして、息の長い計画として高く評価したい。(田中)

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