Civil Engineering Design Prize 2001, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2001, JSCE
門司港レトロ地区環境整備
所在地:福岡県北九州市門司区港町、東港町、他 地図
氏名
所属
役割
中野恒明
株式会社アプル総合計画事務所 計画設計全般にわたる総括責任者
萩原 貢
株式会社アプル総合計画事務所 はね橋・旧門司税関および船溜まり周辺地区の環境デザインの担当者、現地に常駐し(1993〜)監理・地元関係者との調整
小野寺康
元株式会社アプル総合計画事務所、現小野寺康都市設計事務所 マスタープラン段階(1989〜90)、西海岸緑地・歩行者プロムナード、駅前広場等の設計・デザイン監理担当者
重山陽一郎
元株式会社アプル総合計画事務所、現高知工科大学 西海岸緑地の設計担当
南雲勝志
ナグモデザイン事務所 初期段階における照明計画および街路灯デザイン
・評価の視点として、私は募集要項に「プロジェクトを実施するにあたり、さまざまな制約条件があると思われるが、それぞれの制約条件とどのような緊張関係を保ちながら、折合いをつけ、周辺環境との調和をはかったかに、評価の重点をおきたい」と書いた。この事業はこの視点に十分に応えるものであり、文句なく最優秀賞に値すると思った。すなわち、比較的広い区域を対象地域としながら、10年に及ぶ時間をかけ、設計者・行政関係者・地元市民が緊張ある関係の中で、周辺の自然環境を前提としながら、歴史的資産を積極的に保存するとともに、細部の素材や維持管理にまで配慮し、その活用にあたっては継続的な市民の参加を実現しており、それに敬意を表したい。特に、港湾水面そのものも歴史的建造物と捉え、第一般溜まりを埋め立ての危機から救い、旧門司税関との関係性を確保し、はね橋である必然性の中で、親しめる歩行者空間を創造したことを高く評価したい。(大熊)

・これは門司の歴史遺産を守りかつ十分に生かし、10年間にわたる計画と質の高いデザインの集積の成果として、活気ある場所に変貌した港湾再開発にふさわしい力作である。日本各地で港湾再開発が行われてきたが、門司港の事例は行政と市民とコンサルタント事務所による、様々な困難を乗り越えて達成された理想的な連携として十分に評価できる。それは年間300万人の入り込み客まで成長した観光地として社会的にも評価されている。ここの特徴は門司港駅から旧港の船溜まりを一周して配置された歴史的モニュメント群、レトロを基調としながらも時を経て味の出る本物の素材を使い、歴史を模倣しない抑制された公共空間デザインである。公共空間のデザインは様式の模倣や、奇をてらったデザイン創造よりも、普通の素材とモノの組み合わせを重視すべきであろう。また歴史の重畳が空間の価値をつくることは、桑子の指摘する「空間の履歴」にほかならない。(北村)

・テーマ性をもって継続的にまちづくりを行った努力に敬意を表する。最優秀賞に値する素晴らしい空間を造り上げている。しかし、それだけに、余計気になることがある。移築された旧門司三井倶楽部、レプリカである国際友好記念図書館である。それぞれ、記念性の強い、そしてそれゆえにそれらが元来あった土地と深く結びついているはずの表現である。別の、独自の文脈をもつ場所にもってくることで、意味ある建築を“引用のデザイン”に貶しめ、その場所自身を、まちというよりテーマパークまがいにしていることにならないか。また、致し方のなかったことなのだろうが、海への視線確保のために建物を撤去までする一方で、上空を圧して聳える超高層マンションを許していることも惜しまれる。門司港ホテルもボリュームは大きいが空を占領しているわけではない。広場、跳ね橋を含む遊歩空間、そして、とくに歴史的資産活用のデザインは、公共空間のデザインとして積極的に評価する。(榊原)
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