コンサルタント委員会


 

土木学会平成12年度全国大会研究討論会 概要版(詳細はこちらへ

テーマ『公共事業と住民参加―コンサルタントの役割―』

1.開催日時・場所

 日時:平成12921日(木)16:1018:10

 場所:東北大学川内北キャンパスB104

2.座長、話題提供者

 座   長:澤本 正樹(東北大学大学院工学研究科教授)

 話題提供者:阿部 重憲(株式会社 地域計画研究所)

加藤 哲夫(せんだいみやぎNPOセンター代表)

木村 達司(株式会社 建設技術研究所)

3.討論の概要

【座長:澤本正樹氏(東北大学)】

 国民のライフスタイル・価値観の多様化に伴い、社会資本整備・公共事業のありかたについても多くの見直しが議論されている。河川法などの改正によって計画の策定に当たっては公聴会などの開催によって住民の意見を反映させることが義務付けられた。しかしながら、法改正や通知のみで国民の意見が反映される仕組みが十分機能するわけではなく、住民参加におけるコンサルタントの役割が期待されている。

 住民参加において成功し得た例では、住民側の意識を高めるために事前に十分な情報開示がなされていること、地域に根のついた活動を行っているNPOがあること、が多い。国や県では2,3年で担当者が交代することから、コミュニケーションを信頼されるものにするために学識経験者やコンサルタントの役割が重要である。

【話題提供者:木村達司氏(建設技術研究所)】

  治水事業は地域性が強く、もともと地先主義でやってきたが、いつしか地域の手を離れてしまった。近年、「荒川市民会議」や「じげの川づくり」など住民参加型の川づくりの先進的な成功事例が みられるようになり、また、河川法の改正にともなって住民の意見を反映するシステムが確立されつつある。 しかし、住民への十分な情報開示がなされず、が単なる意見の出し合いで終わったり、ようやく軌道に乗った活動も行政側の担当者の転勤によって尻すぼみになったケースもある。  住民参加では、ともに学びともに考える情報の公開・共有化、一人一人が主役となる参加機会の多様化、その場限りで無い関係を築く継続性の確保、わかりやすい評価システムの確立、行政・専門家・市民組織間の連携などが大切である。  コンサルタントの果たすべき役割には、技術的支援、データの作成・管理、第三者評価の実施、行政と市民の間の翻訳、住民参加の仕組みの運営・支援 などがあげられるが、そのためには、社会面を含めた総合的な技術力やプレゼンテーション能力 の向上、得意分野を活かしたコンサルタント間の連携などが課題となってくると考えられる。

【話題提供者:阿部重憲氏(地域計画研究所】

 仙台市における本格的な市民参加の先導的モデルとなった「枡江の森・散歩道づくり」では、行政やコンサルタントが主導するワークショップではなく「住民コミッショナー」を選出して住民間の意見を調整した。住民間の合意形成のポイントは、「モノ(施設や地域の利用計画)」でなく「コト(活動や取り組み)」である。コンサルタントや学識経験者などアドバイスする側のより具体的な説明力、技術力が問われる。

 仙台市長町地区のまちづくり計画策定では、従来の行政・コンサルタント主導の「住民参加」を転換し、住民発意・提案による「住民主体」のまちづくりを目指した。商店街の主要メンバーが中心である「長町地区まちづくり検討会」は、当初「言うだけの住民」であったが、「まちづくりのスタートは問題の共有」という点に住民自ら気がつき、活動も定着し防災を中心としたまちづくり計画が検討された。さらに活動のひろがりとして「恒常的なまちづくりの論議の場」の必要性が認識されつつある。

 市民参加においては市民の意見まとめ役としての推進組織がないと成功しない。行政や専門家は推進組織を支援する役割となる。学識経験者やコンサルタントに対する住民の評価は厳しいが、パートナーシップの時代にふさわしい自立(特定の政治権力や資本等から)した調整役が求められている。コンサルタントには「行政発注という錯覚」があるが、基本的には市民からの要請である「市民対象のコンサルタントビジネス」を意識しなければならない。

【話題提供者:加藤哲夫氏(せんだいみやぎNPOセンター】

 NPO法によって自由に非営利法人を設立できるようになるまで、日本の民間公益セクターは官許法人と草の根市民活動団体の二重構造だった。「公」のことは「官」に任せることによって、顔見知りとその周辺の集団である「世間」が身内の利益を優先する私たちの行動原理となった。ボランティア活動、市民活動を通して、市民自身が公共を担うものであるという認識が高くなってきた。河川法改正後、NPO法、情報公開法、地方分権一括法、介護保険法によって地方分権、市民自治、情報公開、住民参加が「例外から原則へ」の大きな転換期を迎えた。

 行政の公共サービスに市民が関与することが市民参加ではなく、地域における公共サービス(政策)の創造に行政も市民セクターも企業も市民も参加することである。そのためには、情報公開、その情報が理解できるような学習機会の提供、参加して出した意見が生かされる仕組みとコーディネーターが必要である。

【会場からの意見と質問】

 参加する利害関係者の範囲(市民と住民の違い)

 市民の事業の理解を深めるために学会としての責任

 コンサルタントは行政の黒子役から脱却しなければ市民の信頼は得られない

 住民参加における住民投票など多数決の意義

 サイレントマジョリティの意見の集約

 地域に根づいたコンサルタントの重要性

 住民参加における行政側の障害(工期、前例主義、倫理法など)

 

以上


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