*** 第8期第1回環境問題研究小委員会議事録 ***

 

  時:2002426() 13301600

  所:土木学会F会議室

出席者:青木滋、篠文明、松尾幸徳、松崎基、八子章、柳沢満夫

 

1.第Z期の研究成果に関する整理

1)第5小委員会最終報告書

既に3月末に完成し、第5小委員会全員に配布済みである。

2)第Z期コンサルタント委員会活動報告書

第5小委員会編の構成は第1章 総論・第2章 建設プロジェクトの環境配慮指針・第3章 関連研究報告・委員名簿とし、第1章はドラフトどおり承認された。第2章は担当委員がドラフトを校正すること及び第3章は現在担当委員により校正中であることが確認された。なお、最終原稿は5月17日までにコンサルタント委員会幹事長に提出する。

3)第30回環境システム研究論文発表会

前記の活動報告書を圧縮し、第30回環境システム研究論文発表会に発表する。その申込書に添付するアブストラクトについて審議し承認された。

 

2.研究報告:P港湾拡張計画に関する事例調査(海外プロジェクト)

報告者:鞄本港湾コンサルタント 八子章

事業概要:このプロジェクトは、P港湾を2000年に6バースで開港しコンテナ取扱量205万個の港湾を拡張する第2期事業である。第2期事業は6バースの岸壁新設、入港航路拡幅のための浚渫及びコンテナ置場などの建設により取扱量を増加させ、外貨収入の増大を図るものである。現在は浚渫と埋立て工事の入札が終了した段階である。

環境アセスメント:1996年1月に報告書が提出され4月に承認されたが、環境配慮の重要課題は住民移転とマングローブの保護である。続いて1997年1月には、環境管理計画書を工事前に提出することを条件として、浚渫土捨場(海中投棄)について承認された。なお、関連事業のアクセス道路及び鉄道は、個別に環境アセスメントが実施されている。

社会環境のEIA確認調査:住民移転用仮宿舎に関する居住者へのインタビュー、漁民用仮桟橋に関する地域住民へのインタビュー、住民移転用の新住宅団地の現地調査を行った。用地取得及び住民移転に関する国レベルの手順は港湾事業者が作成し連邦政府経済企画庁により承認された「港湾民営化計画書」に基づき実施される、また、州レベルの手順は港湾事業者が作成し州行政委員会により承認された「港湾開発マスタープラン」に基づき実施される。2002年1月現在、再定住地の建設は約80%終了し移転253所帯の住民に対する説明が終了した。このうち、約100所帯は港湾区域内に臨時移転を行い今後恒久定住地に再移転する予定である。この恒久定住地には診療所・警察・学校・スポーツ等の公共施設が整備される。

自然環境のEIA確認調査:第2期工事では民間所有地を買収し35万haのマングローブ林が伐採されるが、環境保全の措置として港湾区域内の対岸埋立地にマングローブを植林する。

水質環境のEIA確認調査:浚渫は水質汚濁の少ないホッパーサクション浚渫船を使用すると共に週1回のモニタリングを行うこと、土捨場は水深が深く航路から離れていること、埋立ては良質の海砂を使用とすることから水質に影響を及ぼすことはない。

 

 

*** 第8期第2回環境問題研究小委員会 ***

 

  時:2002524() 13301540

  所:土木学会A会議室

出席者:荒岡邦明、石川一、泉浩二、田山宏二、松尾幸徳、柳沢満夫

 

1.研究計画

研究計画書の原案について説明と審議を行った。その結果は次のとおりである。

@ 研究テーマとして「循環型社会における建設プロジェクト」を提案する。その目的は循環型社会を構築するために建設コンサルタント技術者として貢献可能な対象・内容・方法等を提示することである。なお、研究方法は概念調査、特定プロジェクト及び包括プロジェクトの事例調査とする。

A 研究テーマを「循環型社会を目指した社会資本整備」と変更するが、必要に応じて、建設プロジェクトまたは建設コンサルタント等のキーワードにより報告書の内容を適切に表現可能な副題を加える場合がある。その他の項目は原案どおり承認された。

B 平成14年度における役割分担として研究報告者と報告年月を決定した。

 

2.地球環境委員会「自立・循環型都市研究小委員会」

 都市における既存の「水・ごみ・エネルギー供給処理システム」を評価すること及び将来の自立・循環型都市と暮らしの環境情報システムを構築することを目的とし、ワークショツプ方式により研究を実施する。第1回ワークショップは5月10日に開催され、@都市と環境問題〜自立・循環型都市づくりの視点から(芝浦工大、松下教授)及び、A社会実験地での循環複合体のシステム構築と環境調和技術の開発(阪大、盛岡教授)について報告と討論が行われた。

 

 

*** 第8期第3回環境問題研究小委員会 ***

 

  時:2002626() 13301530

  所:土木学会C会議室

出席者:荒岡邦明、石川一、篠文明、松尾幸徳、真鍋章良、八子章、柳沢満夫

 

1.一般議題

1)研究計画

前回の小委員会(4月26日)における審議結果に基づき訂正された研究計画書報告が承認された。主要な訂正個所はタイトルを「循環型社会における建設プロジェクト」から「循環型社会を目指した社会資本整備」に変更したことである。

2)地球環境委員会報告

 委員会(6月5日)及び幹事会(6月1日〜2日)における第10回地球環シンポジゥム(7月16〜17日)の準備状況及びヨハネスブルグ・サミットの情報提供とアジェンダ解読に関する地球環境委員会としての活動方針について報告された。なお、平成14年度全国大会・研究討論会における地球環境委員会のテーマは「地球温暖化に関わるCDM/JI事業の展開における土木の役割と可能性」である。

3)コンサルタント委員会報告

 6月13日に開催された委員会における第Z期報告書の審議状況について報告された。なお、平成14年度全国大会・研究討論会におけるコンサルタント委員会のテーマは「コンサルタント進化論〜その立場と役割・使命の変化〜」である。

 

2.研究報告:新交通システム建設計画に関する事例調査(海外プロジェクト)

報告者:潟gーニチコンサルタント 松尾幸徳

事業概要:この新交通システム(AGT)は国際空港のアクセス交通として計画されたものであり、空港は都心から約10q南方、ビジネス地区から約5q南方に位置する。計画路線は国鉄新駅(計画)〜空港ターミナル〜埋立て地(開発計画地)をU字型に結ぶものであり、総延長は約7.4qである。計画路線は第1フェーズ約5.3qと第2フェーズ約2.1qに分割されている。ここに紹介するF/Sでは第1フェーズの空港ターミナル〜埋立て地間約5.3qの路線について建設の可能性が調査され、事業として適格であると報告されている。第1フェーズの約5.3qはL字型の路線であり、ターミナル駅とその取付け部を除き全線が高架構造である。車両基地は、路線が東西方向から南北方向に方向転換する付近の地上に設置される。車両はゴムタイヤ方式の6輌固定編成であり、全長は約54mである。

環境影響評価制度:当該国では環境影響報告書(EIS)の作成と提出が必要なプロジェクト(ESP)及び環境的に脆弱な地域(ECA)が定められ、環境対策が必要なプロジェクトについては環境応諾証明書(ECC)が発行される。そのため、環境に問題のあるプロジェクト(ECP)は、環境影響報告書(EIS)を提出しなければならない。また、環境的に脆弱な地域(ECA)のプロジェクトは初期環境影響評価(IEE) を提出しなければならない。

環境影響と環境保全の措置:初期環境影響調査の結果によれば、建設前にはボーリングや測量による影響が発生する。工事中には植生・道路の利便性・騒音・振動・大気・交通渋滞・廃棄物・水質に対する影響が考えられるので保全の措置が計画された。また、供用時には騒音・振動・廃棄物・大気・景観・住居・商業基盤・市民移動・経済・雇用に対する影響が考えられるので保全の措置が計画された。これらのうち、大気・住居・商業基盤・市民移動・経済・雇用についてはプラス効果と評価された。

温室効果ガス(CO)と大気汚染の削減:AGTの建設による排出ガスの削減量として、2005年におけるCO及びNOが予測された。

 

 

*** 第8期第4回環境問題研究小委員会 ***

 

  時:2002725() 13301530

  所:土木学会D会議室

出席者:荒岡邦明、石川一、泉浩二、篠文明、松尾幸徳、真鍋章良、八子章、柳沢満夫

 

1.一般議題

1)第10回地球環境シンポジウム(7月16日〜17日、東京)

参加者約180名で研究発表47件とパネル展示24件があり、それと併せて市民公開講座が行われた。最終日には、地球環境論文賞(平成13年度英文論文集より1編)、地球環境技術賞(パネル展示から2件)、地球環境貢献賞(パネル展示から3件)の表彰が行われた。

2)地球環境委員会・幹事会合同会議(7月17日)

 地球環境シンポジウム開催中に委員会と幹事会の合同会議が開催され、平成15年度シンポジゥムの準備を進めること、委員会主催行事としてヨハネスブルグ環境サミットに関するワークショップ(14年12月頃)とシンポジゥム(15年3月頃)を開催することになった。

3)地球環境委員会第2回自立・循環型都市研究小委員会

 7月19日に開催され次の3件について報告と討論が行われた。@人口減少下の社会資本整備のあり方〜拡大から縮小への処方箋〜:小池俊雄(東大)、A都市計画の動向と循環型社会の課題:岸井隆幸(日大)、Bインバース・マニュファクチャリングとライフサイクル設計:梅田靖(都立大)

4)建設事業における環境マネジメントシステム

土木学会論文集 706に掲載された「建設事業における環境マネジメントシステムへの取組みの現状と望ましい連携」について、共著者の八子委員による報告が行われた。

 

2.研究報告:バイオプラント建設計画に関する事例調査

報告者:潟hーコン 石川一

積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクトの事例として、バイオプラント建設に関する事例について報告が行われた。

プロジェクトの背景:平成11年11月「家畜排泄物の管理の適正化および利用の促進に関する法律」が施行された。北海道は大規模酪農基地なので乳牛飼育頭数は約88万頭(全国比47%)あり、この乳牛から年間約2千万dの糞尿が排出され水質汚濁の原因となっている。また、化学肥料や農薬の過剰利用等により土壌が疲弊し、国民の健康や食料の安全性に対する関心が強まっている。これらの問題を解決する方策の一つとして、地域環境を保全しエネルギーを供給する酪農バイオプラントは、地域住民へ安全な食料として牛乳や乳製品を提供すると共に酪農を核とした循環型社会を構築するシステムとして役立つことが期待されている。

プロジェクトの目的:現在、大量に野積みされ水質汚濁と土壌汚染の原因となっている家畜糞尿を適切に処理すると共に、積雪寒冷地において効率の良い家畜糞尿処理技術を確立する。

プロジェクトの概要:@乳牛の糞尿処理システムは受入れ設備・メタン発酵設備(タンク)・脱硫設備・ガスホルダーで構成される。A乳牛100頭から消化液(化学肥料で9,000円/日相当)、電気(一般家庭20戸/日の需要に相当)、熱水(一般家庭45戸/日の需要に相当)等のエネルギーが発生する。

プラント建設事例(1):この地域の平均飼育頭数は約100頭/戸の酪農専業地帯である。現状では大規模経営であるが労働力が不足しており、結果として乳牛の糞尿は未成熟のまま草地に還元されている。ここに大規模集中型(草地へ還元)のバイオプラントを建設する事業であり、対象規模は乳牛1,000頭程度である。期待される効果はサケやマスの遡上河川及び湖沼の水質保全であるが、将来は水産廃棄物や地域の生ゴミを受入れ、有効活用することにより循環型地域社会の実現を目指すものである。

プラント建設事例(2):この地域の平均飼育頭数は約70頭/戸の酪農畑作混合地帯である。現状では中規模酪農と畑作が混在しており、乳牛の糞尿の一部は循環利用されている。ここに小規模分散型(草地と畑地へ還元)のバイオプラントを建設する事業であり、対象規模は乳牛200頭程度である。期待される効果は海洋と湖沼の水質保全であるが、将来は水産廃棄物や地域の生ゴミを受入れ、有効活用することにより循環型地域社会の実現を目指すものである。

 

 

*** 第8期第5回環境問題研究小委員会 ***

 

  時:2002927() 13301530

  所:土木学会C会議室

出席者:荒岡邦明、石川一、泉浩二、篠文明、田山宏二、松尾幸徳、真鍋章良、柳沢満夫

 

1.一般議題

1)コンサルタント委員会報告

9月4日開催されたコンサルタント委員会において、 第8期コンサルタント委員会の新体制が報告されると共に各小委員会の活動方針が承認された。なお、研究小委員会は5委員会で構成され、第5小委員会の名称は環境問題研究小委員会に変更された。

2)環境カウンセラー研修

 9月4日開催された環境省・環境カウンセラー研修について報告が行われた。この研修会は環境省の登録を更新するために3年間で1回の参加が義務づけられているものであり、プログラムは、環境行政の動向、環境NPOからの提言、環境カウンセラーによる事例発表、地球温暖化対策(選択科目)、コミュニケーション能力向上講座であった。なお、当小委員会では数人の委員が登録している。

3)地球環境委員会第3回自立・循環型都市研究小委員会

 9月9日に開催され、@持続可能な社会に向けた流域管理:玉井信行教授(金沢大)及び、A河川の水量・水質一環管理と流域のあり方:清水裕氏(国土交通省)について報告と討論が行われた。

4)第30回環境システム研究論文発表会

10月26日(土)〜27日(日)に開催される第30回環境システム研究論文発表会において当委員会が報告する「建設プロジェクトにおける環境配慮指針作成の試み」の提出済み原稿について説明が行われた。

 

2.研究報告:ゼロエミッション ・ロードに関する事例調査

報告者:潟Iリエンタルコンコンサルタンツ)田山宏二

定義と目的:国土交通省のゼロエミッション・ロードは資源循環型道路を意味し、発生物の抑制やリサイクルと無害化を進める事業であるが、道路事業のみならず地域社会における他の公共事業や産業と連携する必要がある。これらの連携は産業・エネルギー・情報分野の三者間における連携であり、廃棄物減少と再使用・再利用・発生抑制の二要因間における相互関係を構築しながら段階的に進めて行くことになる。従って、ゼロエミッション・ロード事業は、二酸化炭素の排出削減と廃棄物の低減を目標とし、具体的には建設資材の縮減、建設副産物の発生抑制及び建設副産物のリサイクルを推進するものである。

モデル事業:ゼロエミッション・ロード・モデル事業として平成11年度に指定された秋田県内の道路では、風力エネルギー・かき殻と伐根材の有効利用・消融雪溝における海水利用・道路除草と剪定枝の堆肥化が計画されており、平成14年度に終了する予定である。

道路技術開発:ゼロエミッション・ロード関係では、石炭灰・かき殻・刈り草と溶融固化・溶融スラグの有効利用、路面凍結対策の技術開発及び、クリーンエネルギー型の消融雪施設の開発などが行われ、モデル事業に取り入れられている。

建設発生土情報交換システム:国土交通省では建設発生土に関する情報の一元化を図るため、オンライン・システムの運用を平成11年度から開始した。例えば、一般国道における約15千mの建設発生土を県道路改良事業で利用することにより、当初計画の土砂運搬距離を20qから3qに短縮することが出来た。その結果、軽油2万gが削減されると共にCOの排出量も約4トン削減された。

ゼロエミッション・ロード事業の課題:地域特性への適合性・経済性・需給バランスが重要である。例えば、地域特性への適合では消融雪施設のクリーンエネルギー利用として、路面凍結対策における風力エネルギーの利用や帯水層蓄熱方式の開発が有効である。地方自治体では一般ゴミから溶融スラグを生成する溶融炉の導入が進められており、建設廃棄物でも溶融固化技術の開発が期待されているが、経済性の問題から普及が遅れている。また、東北地方では大量の貝殻が発生し処分が困難なので、土壌固化材の利用技術を開発し需給バランスを均衡させる必要がある。

 

以 上