都市間旅客交通研究小委員会

■小委員長
奥村誠(東北大学)

■活動期間
平成25年6月~平成28年5月

■活動趣旨

1.背景
全体の需要が縮小傾向にある日本では,航空,鉄道,高速バスなどの幹線交通サービスを,同時に維持することは困難である.我が国において経済活動への影響を最小限に留めつつ,低炭素化に対応した持続可能な幹線交通サービスを成立させるためには,相互の乗継ぎを活用してサービスの重複を避けながら,少数の路線に絞ってサービスを残存させるという「選択と集中」が必要となる. この課題は,国土の都市間を結ぶ主要な交通サービスを整備した後に交通需要が量的に縮小する状況で初めて認識される問題であり,現時点では日本のみが経験している.しかし近い将来,世界の多くの国が同様の課題に直面すると予想されるため,先進的な研究の蓄積によって,調査・計画の両面における技術水準の向上を図る必要がある.

2.目的
本研究は,申請者らのこれまでの研究を発展させる形で都市間旅客交通ネットワークの計画方法論の開発と実用化に取り組むものであり,需要減少期に始めて本格的にデータが取得された第5 回旅客純流動調査(2010 年)の結果を活用するところに特徴がある.また次回の幹線旅客純流動調査に向けた小規模需要調査手法の開発を行うとともに,航空,鉄道,高速バスなどの交通サービスの統合利用を軸に,環境負荷も小さく持続可能なネットワークを計画するための数理計画モデルを提案する.

3.主な研究課題
土木計画分野の研究者および実務者からなる複数の研究ユニットを形成し,以下に例示する課題について研究する.
(1) 需要減少期における旅客行動について,第5 回純流動調査データと追加的な需要調査データを結合して,行動の不可逆性やリスク対応行動の分析方法を確立する.
(2) 需要と頻度との累積的相互関係を踏まえ,人口縮小下でも利便性が確保できる持続的な交通ネットワーク構造,運行頻度を求める最適化手法を確立する.
(3) 上記の研究成果と,今後の経年的変化,アジアレベルの航空業界や規制等の状況を総合化し,都市間交通ネットワーク計画の方法論を確立する.
(4)2015年に実施予定の第6回幹線旅客純流動調査に向けた新しい調査手法の提案,ならびに関係調査との統合分析方法を確立する.

■小委員会HP
http://strep.main.jp/modules/pico3/index.php?content_id=25

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