創刊10年を迎えた「土木史フォーラム」と今後

 土木史フォーラム小委員会委員長 五十畑 弘(日本大学)

土木史フォーラムの創刊は1995年11月のことで、本号はちょうど10年目となります。今回からは、年2回のフォーラムの発行となりますが、あわせてウェブ版のニュースレターも発行してゆくことと致します。

10年前の土木史フォーラムの創刊に至るまでは、「土木史学」という用語も使われて土木史研究のあり方に関し、いろいろの議論がありましたことが思い起こされます。土木史研究は、入り口の広さの一方では、奥の深さと取り組みの難しさもよく指摘されるところではあります。このため先輩の土木史研究者の中には、初学者の安易な取り組みを戒める声も一部にはありました。しかし、土木史研究を広く発展させるためには、研究の専門家だけではなく、他の専門分野の研究や業務の傍ら参加してきた研究者、愛好者、初めて土木史研究を志す人たちが、積極的に土木史研究に関わることが必要ではないかとの考え方もあり、この土木史フォーラムの創刊に繋がりました。すなわち創刊の趣旨は、土木史フォーラムを幅広い土木史研究の関係者に交流の場を提供しようというものでありました。

土木の社会に対する役割が変質しつつある今日において、専門分野、年齢など広範な参加者によって土木史研究を盛んにしてゆく意味はますます高まっています。10年目の節目にあたり、創刊の趣旨を改めて確認し、今後さらに、幅広い関係者の交流の場として、土木史研究の活性化の一助となればとの方針で誌面を充実させて参りたいと考えております。

土木史研究を始めて間もない人、若手研究者、学生などからも積極的に話題を提供して頂ければと思います。土木史フォーラムが、土木学会会員、土木専門分野以外の人たちへの働きかけや、研究者予備軍へのアドバイスにつながって行くことを期待しております。

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