委員長挨拶

 

大村達夫(東北大学教授)

 

東日本大震災後の23年度に環境工学委員会の委員長をお引き受けして以来、ホームページでの就任御挨拶をすべきでしたがすでに一年が経過してしまいました。大変申し訳なく思っております。その間、前任の津野委員長はじめ藤井幹事長そして幹事を含む委員会のメンバーの方々には絶大なサポートを頂き、23年度の環境フォーラムを初めとする委員会行事を無事運営することが出来ました。ここに改めてサポートして下さった方々に、今回の委員会を代表して心から御礼申し上げます。

 

さて、東日本大震災により三陸沿岸の殆どの下水処理施設は津波により壊滅的な被害を受けました。その復旧・復興には、土木学会の第G部門に所属され、また本研究委員会の活動に参加されている多くの方々が関わってこられていると思います。本委員会においても幹事の佐藤弘泰東大准教授が中心となり、23年度末に地震・津波の小委員会を立ち上げ、24年度は被災直後からの様々な状況調査結果をもとに、震災に強く21世紀の未来社会を見据えた下水施設はどの様な姿にすべきか考えることにしたいと思います。これまでの、下水道施設は人々の生活の場である社会が形成されてから、様々な制限の中で整備されてきています。したがって、震災を期にという言葉は良くないかもしれませんが、この機会に21世紀の課題であるエネルギーと物質の循環などを考慮した新たな下水道施設への転換を考えることは環境工学に携わっている産学官の研究者にとって意味あることと考えています。

 

しかしながら、本研究委員会は下水道施設だけでなく環境工学に関わる多様な研究テーマについて研究成果を持ち寄り議論する場を提供してきています。本委員会の構成が産学官の研究者の集まりであることを考えたとき、それぞれの所属する場によって得られる研究の性格と成果は異なることは当然として、お互いの成果を有機的に繋ぎ社会に貢献する技術として定着させることが委員会に課せられた一つの課題と思っています。行政に携わっている方々は環境に関わる制度改革や技術導入に、民間に所属されている方々は技術開発にそれぞれイノベーションの風を吹き込んで頂きたいと思いますし、大学などの研究機関にはブレークスルーを伴う研究を期待したいと思います。これらの成果を融合することによって21世紀の未来社会の環境創造に資することが出来るのではないかと思っています。

 

委員長就任1年の時期に、御挨拶することを改めて御容赦させて頂くと共に、残された一年の期間を委員の皆様と共に頑張りたいと思いますので、御支援の程宜しくお願い申し上げます。