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生涯学習小委員会
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総合学習支援 事例紹介
<土木学会で支援を行っている団体の紹介>

涯学習小委員会:東京都目黒区における活動

◆ 支援活動テーマ:「まちづくり」(平成14年度)

 @「まちづくり」講義
 早稲田大学中川義英教授による「どんなまちにすみたいか」の2時数の講義.
 児童のみならず、担当教諭からも大変好評、客観的に自分のまちを捉えるという視点を持てたと思われる.

 A「まちの環境」調査
 児童の希望により、河川、大気汚染及び騒音調査のグループに分けて実施.
 河川調査は、小学校の井戸水・目黒川の水・水道水の3種類について簡単な試薬検査並びに、川の資料館を訪問して学芸員に目黒川の水質について質問を実施.
 早稲田大学のご好意により後日、水質研究室で公的調査行い、児童達の調査結果との比較資料を作成.
 大気汚染調査は市販の簡易測定器を使用、騒音調査では騒音測定器を用いて、環境の異なる場所を選定し調査.
 簡単に調査結果が見て取れる為、児童達は調査に大変意欲的に取り組んでいた.

 B支援活動への評価
 講義自体を理解させるのが目的ではなく、講義によって興味のトリガーになる事、調査したいことを追求するきっかけになることが重要.大学教授の講義内容を、講義終了後、担当教諭が子供達のわかる言葉でまとめた事も重要なポイント.
 学校は、人的支援を受ける機会が少ないため、対象者全員がきめ細かな学校外での調査(5名程度の班構成)を行えない.
 総合学習は児童の自主性を尊重するが、教室内での調査を主にするのではなく、学校外調査を充実させる良い事例として参考になる.
 土木学会支援というアカデミックな環境下での屋外活動であることから、児童にとって大変有意義な活動となった.



 支援活動テーマ:「住の環境」−「新しい舗装と住みやすいまちづくり」(透水性舗装)(平成16年度)

 @「新しい舗装と住みやすいまちづくり」講義と実験
 日本大学岩井茂雄教授による講義と実験(各1時数)
【講義および実験の概要】
 講義内容(道路の舗装が地球温暖化防止に効果があること)の簡単な説明
 パワーポイントを使用した身近な環境、気化潜熱の説明
 児童が体験出来るものとして、消毒用のアルコールを染みこませた脱脂綿を児童全員に配布、脱脂綿で自分自身の腕を擦りアルコール蒸発による気化潜熱を体験
 実験準備として透水性舗装の説明を行い、通常舗装と透水性舗装の模型を使用して、ジョーロで人工的に雨を降らせ雨水がどのように流れていくかの実験を実施
 児童の感想文からは、「透水性舗装」、「気化潜熱」、「都市の高温化」などのキーワードが印象に残ったと推察

 A総合学習成果発表会への参加
 半年間に渡る「住の環境」学習の中で、児童達が学び得たものや感じたことを劇や人形劇によって発表する会の参観
 ○発表テーマ
      地球温暖化:4件、
      リサイクル、森林破壊防止、ゴミ対策、透水性舗装がそれぞれ1件ずつ
 ○児童たちがもっとも印象に残ったこと
      リサイクル:18名、省エネルギーと森林緑化対策:4名、
      地球温暖化と森林緑化方法:3名、排気ガス対策:2名、透水性舗装:1名
 ○より調査や勉強をしてみたいこと
      リサイクル:13名、森林破壊:4名、地球温暖化:3名、
      山のゴミ:1名、透水性舗装:1名ずつ
 児童たちの印象や興味はリサイクルが多数を占めた。児童たちが行える行為でもあり、直前の冬休みの課題で自分ができるリサイクルを考えさせたことが影響

支援活動テーマ:「川の不思議発見」−「夢の目黒川」計画立案支援(平成17年度)

 @「川とまちの共生」講義
 東京工業大学池田駿介教授による「川とまちの共生」というタイトルの講義
【講義概要】
 目黒川はどうしてこんな川になったか/目黒川の問題は何か/水に親しめる川つくりとはどうあるべきか/国内外の共生の良い事例を紹介
 サンアントニオの水辺写真に子供たちが歓声を上げていた。見たこともないようなきれいな写真は重要である

 A計画取りまとめの支援
 児童が考える「夢の目黒川」の計画を取りまとめるにあたり、早稲田大学並びに日本大学の学部生及び院生諸君による支援活動を行った.
 計画取りまとめの支援は2回実施、1回2時限(90分)、各学級2名にて支援各学級概ね6班〜8班に分散して、個別テーマの取りまとめを行った.

 B計画発表会への参加と講評
 講計画取りまとめ終了後、学級毎に計画内容の発表会が開催され、学級選抜として2班づつ選出、その後学年発表会を開催
 選出された計画は、河道内にワンドを形成するもの2件、堤内地や堤外地に住居や遊園地を建築するもの3件、水質浄化や堤内地の環境改善により河川の環境改善を行うもの2件、流水量を増加し水中バスを運行するものの計8編
 学年発表会では、児童は自分が所属する学級以外の計6編の発表について順次説明を受け、児童によるその計画に対する質問や意見の交換が行われた

 C支援活動への評価
 専門的な知識を教育せずに、児童の発想による「夢の目黒川」にしたことは、児童が積極的に学習する動機付けとなった.
 川に対する考え方は、専門に研究している大学教授による説明及び土木工学を専攻する学生が参加することで、児童並びに教諭の勉強にもなった


木学会関西支部「FCC」における活動
◆ FCC(フォーラム・シビル・コスモス) http://www.fcc-kansai.com/

 @シビルコスモスとは
 「土木学」。既成の土木工学の枠組みでは議論できないパラダイムの構築に対して作られたことばであり、京都大学の河田教授が提唱されました。また、フォーラムシビルコスモスのフォーラムは、自由に討論できる場をめざすためにつけられました。

 A設立背景は
 設立当時において、土木技術や業務に対する理解の不足、土木のビジョンのアピール不足などに対する取り組みが各分野で開始されはじめていましたが、土木界全体として、問題点の解決を話し合い、また討論する場が存在していませんでした。

 B設立趣意は
 土木界が抱えるさまざまな問題の解決をめざして、21世紀の社会資本整備を円滑に実施し、豊かな国土づくりを進めるために、土木界がいかにあるべきかを議論する場、また、それらに関する情報発信・受信基地となる場を提供することにあります。

 Cいつ設立されたの
 1990.11.18(土木の日)です。当時、関西支部ではすでに創立60周年記念事業として市民への広報活動を行っていましたが、「土木の日」本部関連行事の実施を契機としてより活発な土木啓蒙活動を行うためにFCCを設立しました。

 D組織と構成員は
 産官学のみならず広く市民をも交えた組織を目指し、関西における各種機関、企業の重責の方々、および市民としての文化人の方々から構成される組織です。特徴は、土木学会関係者によらない自由な議論が可能となる委員構成となっていることです。

 Eどのような活動方針なの
 FCCは問題点の解決策を単に提示するためのものでなく、問題点解決のための討論を通じて解析策を探っていこうとするものです。ここでは、広く会員の皆様方にも参加していただきながら、市民との関わりを重視することを基本としています。




◆ 支援活動テーマ:「総合学習」教材提供支援<ビデオ教材プロジェクト>  http://www.fcc-kansai.com/about.html

 @活動目的
 次代を担う小学校・中学校・高等学校の児童生徒に対して、土木(技術)に関する正しい理解を得るとともに、将来にわたって土木(技術)の大切さや社会基盤整備の必要性などを身をもって認識してもらう観点から、土木・社会基盤整備に関するプロジェクト、事業、技術に関する記録を収集整理し、小中高の「総合的な学習の時間」の教材提供支援と、将来的には土木と社会のコミュニケーションツールとしてのビデオライブラリーの構築を企画いたしました。

 A授業実績
  1. 大阪府松原市立天美西小学校4年生 2002(H14)3.13.〜14.「有馬太閤橋」
  2. 兵庫県姫路市立広畑第二小学校3、4年生 2002(H14).5.2.「呑龍トンネル」
  3. 大阪府立西野田工業高校土木科3年生 2002(H14).6.21.「インテリジェントシールド」
  4. 兵庫県加古川市立氷丘小学校6年生 2002(H14).6.28.「JR山陽本線連続立体交差事業」
  5. 大阪市立常磐小学校4年生 2002(H14).7.17.「有馬太閤橋」
  6. 大阪府立西野田工業高校 2002(H14).9「日本の近代土木を築いた人々」
  7. 大阪市立河合小学校5年生 2002(H14).10「ピラミッド建設技術の謎に迫る!」
  8. 中央実務専門学校2年生 2003(H15).4〜5「有馬太閤橋」「ピラミッド建設技術の謎に迫る!」「青函トンネル」
  9. 奈良県大和郡山市立矢田小学校5年生 2006(H18).3.2. 「有馬太閤橋」

木学会関東支部栃木会の総合学習支援について

◆ 支援状況 http://www.jsce-tochigi.gotohp.jp/so-gaku.htm  

 土木学会関東支部栃木会では、平成15年度の幹事会における話題提供が契機となり、総合学習支援への取り組みが始まった。現在では、学術研究部会が中心となって具体的な支援活動を進めている。当初は、学術研究部会内に「総合学習支援ワーキンググループ」を設置し、支援活動に関する具体案の作成や準備が進められた。
 活動開始初年度の平成15年度には、FCCなど土木学会関係の他団体における支援活動状況の紹介や宇都宮市および栃木県の教育委員会に対するヒアリング調査が実施され、出前授業の具体的な内容についても検討がなされた。次年度の平成16年度には、出前授業コンテンツの作成、小学校に対するアンケート調査やPR活動を実施した。PR活動の際には、宇都宮市内の小学校のうち数校を実際に訪問し、出前授業コンテンツの一部について具体的な説明を行った。昨年、平成17年度には、学会等において栃木会の総合学習支援活動に関する事例報告を行うと共に、宇都宮市内の小学校において出前授業を実現させた。
 平成18年度に入ってからも、総合学習支援活動は発展的に継続されている。出前授業については、宇都宮大学および宇都宮工業高校が既に栃木県内の複数の小学校に対して実施済みであり、今後も数校の実施を予定している。また、学術研究部会と広報交流部会とがタイアップし、栃木会内外への総合学習支援に関する情報発信に努めている。特に、栃木会のホームページ内(http://www.jsce-tochigi.gotohp.jp)には、「総合学習支援」のホームページ(上記URL)を設け、今年度の出前授業の概要や実習の動画を掲載している。さらに、PR活動の一環として、宇都宮市小学校教育研究会の夏季全体研修会において、栃木会の総合学習支援活動を紹介させていただくことができた。
 今後は、出前授業実績の蓄積および授業内容の拡大を図っていくことが当面の目標である。さらに、県内の小学校や教育委員会に対するPR活動を含め、栃木会の総合学習支援活動に関する情報発信を積極的に行っていく予定である。

 支援活動テーマ:「コンクリートのおはなし」(平成18年度)

 @「コンクリートのおはなし」講義と実験
 宇都宮大学工学部、構造・材料工学研究室(藤原浩巳助教授)の大学院生による、“コンクリートの説明(講義)”と“モルタルづくり(実験)”に関する約140 分の出前授業である。
 内容は、前半がパワーポイントを用いたコンクリートの説明で、間に休憩と展示物の見学をはさみ、後半に体験型の実験に取り組んでもらう構成となっている。前半の講義では、コンクリートでできている構造物やコンクリートが固まる理由、コンクリートの長所・短所、環境問題との関わりなどを説明した。後半の実験では、モルタルで壁飾りや手形などを作ってもらい、小学生にコンクリートの感触を体験してもらった。
 実験終了後に行った質疑応答では、コンクリートの起源や名前の由来についてなど、小学生から活発な質問が寄せられた。
 写真-1および写真-2は、今年度実施した出前授業の様子である。昨年、平成17 年度にも宇都宮市富士見小学校の3 年生124 人を対象に、同様の内容で出前授業を実施している。

 A総合学習成果発表会への参加
 授業の前後にアンケートを実施し、児童のコンクリートに対するイメージや授業の感想を調査した。アンケートの結果、授業を行う前はコンクリートについてほとんど知識のない児童が大半であったのに対し、授業を受けた後には、半数近くの児童がコンクリートについて知識が得られたと感じていることが分かった。また、「授業が楽しかった」、「また授業を受けたい」という感想が多く、児童は楽しく興味を持って授業を受けることができたと考えられる。
 さらに、児童のみならず、担当教諭や当日参加していただいた保護者にも大変好評であった。

写真-1.鹿沼市津田小学校(H.18.6.23,参加者:小学生約150 名+保護者)

写真-2.日光市落合東小学校(H.18.7.7,参加者:小学生約50名)
支援活動テーマ:「環境紙芝居」(平成18 年度)

 @「環境紙芝居」講義と実験
 宇都宮工業高校の土木研究クラブ(粂川高徳教諭・相原良孝教諭の指導)に所属する高校生による、環境問題に関する自作の紙芝居公演(講義)と清涼飲料水のpH 試験(実験)を組み合わせた約50 分の出前授業である。
 宇都宮工業高校では、環境教育の一環として、土木研究クラブの部活動を通じ、環境問題に関する調査・研究や実践的な活動が行われてきた。これまでの研究や活動の課題として、酸性雨の調査やミミズによる生ゴミ処理コンポストの実践、炭による河川浄化活動などがある。土木研究クラブは、こうした部活動の実績を紙芝居にまとめ、小学校の総合的な学習の時間や環境問題に関する地域のイベントの際に、「環境紙芝居」として公演を行っている。
 「環境紙芝居」の公演は、栃木会の総合学習支援活動に先駆けた形で平成14 年からスタートしており、公演回数は既に20 回を超えている。小学校の総合学習支援に限定しても、宇都宮市西原小学校、壬生町安塚小学校、壬生町壬生北小学校など、宇都宮市周辺の小学校を中心に、これまで約5校、10 数回に上る公演を行っている。
 これまでに製作された「環境紙芝居」は、河川浄化1、酸性雨1、温暖化2、ごみ問題1、水の循環1 の合計6 作。紙芝居の紙自体も、資源ごみから再生した手作りである。紙芝居の所要時間は1 作につき、15 分程度である。
写真-3は、今年度実施した出前授業の様子である。対象学年は6 年生で、この日は河川浄化・酸性雨・温暖化3編の公演を行った。紙芝居に見入る児童たちの笑顔が大変印象的である。

 A支援活動への評価
 紙芝居公演という授業スタイルや作成・公演者が教員ではなく高校生であることから、小学生にとって大変親しみやすく、「環境紙芝居」の公演は毎回大好評である。
実際、児童の反応は大変良く、紙芝居を熱心に見入ってくれるだけでなく、質疑も活発に行われている。また、「環境紙芝居」の公演が契機となり、訪問先の小学校の環境教育に発展的な広がりを見せている例もある。実演側の高校生に対しても、「環境紙芝居」の作成と公演は、教育指導上極めて有効な役割を果たしている。


写真-3.壬生町壬生北小学校(H.18.5.10,参加者:小学生約 60名)

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