概要  -ポスター発表−


 

 

 

No.1

高大地域連携による地域活性化のための近代化産業遺産活用ワークショップの活動成果の報告

 

西尾 敏和

群馬県立高崎工業高等学校土木科 教諭

近代化産業遺産として価値の高い富岡製糸場と歴史的街並みに建造物などが群馬県富岡市に点在している。このような文化財の保全および活用を富岡市の都市計画に反映するために,「歴史的文化遺産を保全及び活用した住民参加のまちづくり」の推進を富岡市に筆者らは提案した。地域振興策の一環として,高大地域連携による「地域活性化のための近代化産業遺産活用ワークショップ」を2009年9月に実施した。ワークショップでは,富岡市を事例とした近代化産業遺産を保全および活用した住民参加のまちづくりの擬似体験を行った。近代化産業遺産における「普遍的価値」「まちづくり」「観光」という3つの切り口による,地域振興策の一環として,「地域活性化のための近代化産業遺産活用」を富岡市に提案した。文化財の保全及び活用を富岡市の都市計画に反映するために,「歴史的文化遺産を保全及び活用した住民参加のまちづくり」を推進することができた。

キーワード:
高大地域連携地域活性化、ワークショップ

 

No.2

大阪市港区における小学校交通環境学習の取り組みについて

 

林 昌史

小路 一義

山本 貴代子

大藤 武彦

松村 暢彦

大阪市計画調整局計画部都市計画担当

大阪市港区役所市民協働担当

財団法人大阪市都市工学情報センターまちづくり推進課

株式会社交通システム研究所

大阪大学大学院工学研究科

大阪市では、港区をモデル地区とし、転入者TFPや体験型エコドライブ講習会など様々なモビリティ・マネジメントに関わる取組みを産官学連携して実施している。平成20年度に池島小学校(対象:6年生、授業時間:6時限)、平成21年度に磯路小学校(対象:5年生、授業時間:2時限)、市岡小学校(対象:5年生、授業時間:4時限)と協働してフードマイレージ、買い物ゲームを通じた交通環境学習に取り組んだ。フードマイレージ買い物ゲーム学習は、普段の買い物においてフードマイレージを記した様々な食材カードを元に、食材の生産地や交通手段を考えたりすることで、環境負荷が変わることを学習するものである。

授業終了後の児童を対象としたアンケートによると、約8割の児童が楽しく事業に取り組み、内容をよく理解することができた。また、今後の学習意欲についても約8割の児童は前向きな態度を示し、学習意欲の活性化が図れた。さらに、約7割の児童が、家族にこのような意見を伝えたいと回答しており、各家庭から周辺へ広がりも期待できた。

フードマイレージ買い物ゲーム「交通と環境」学習は、交通と環境との密接な関わりを学ぶだけでなく、献立を決めるのに当たり栄養バランスも考えられるなど付加的な要素があることで学校関係者から好評を博している。今後は交通環境学習の取り組みを継続実施するだけでなく、食育との連携など学校教育での深度化を目指していく。

(*フードマイレージとは、食べ物の輸送によって発生する地球温暖化ガスの排出量のこと)

キーワード:
小学校MM環境交通学習フードマイレージ

 

 

No.3

『国土教育』の視点から見た社会科教科書の検証と次世代教育論

 

森田 康夫

国土交通省 国土技術政策総合研究所

総合技術政策研究センター

 建設マネジメント技術研究室 

(※発表時所属: 財団法人国土技術研究センタ−)

現在、われわれが享受している豊かで安全な生活は、われわれのご先祖様が農業基盤や交通基盤を整備し、川を治め、水資源を開発するなど、絶え間なく国土に働きかけることによって、国土から恵みを返してもらってきた歴史の賜物である。従って、現代に生きるわれわれの世代も、国土に対して働きかけを続け、将来世代に対して、より良い社会基盤を引き継いでいかなければならない。そのためには、われわれ日本人の国土への働きかけの歴史について、また世界の国々の国土への働きかけの成果や現在の努力について、不断に学び続けることが求められている。

こうした基本認識のもと、本稿では、『国土教育』の観点から、戦後の小中高等学校の社会科教科書の検証を行うとともに、これを踏まえた次世代教育論(私論)を展開する。

 

キーワード:国土教育社会科教科書人と国土

 

 


No.4

生き物と環境のつながりを考える学習の実践 −河川の氾濫原環境を題材として−

 

 

 

真田 誠至

岐阜県世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

(※発表時所属: 独立行政法人土木研究所自然共生研究センター)

 氾濫原は河川が洪水時に冠水する領域のことを指し,半止水水域(以下,ワンド)にはイシガイ目の二枚貝やコイ科魚類のタナゴ類が生息している.これらの共生関係として,タナゴは二枚貝に産卵すること,二枚貝の再生産には寄生宿主となる魚類(ヨシノボリ等)が必要であることが知られている.また,最新の研究成果によると,洪水は河川とワンドにおける生物の移動を可能にするだけでなく健全な氾濫原環境の維持にも関係していることが明らかになりつつある.

 氾濫原環境の仕組みは複雑であるため,ここでは学習項目を@ワンドに生息する生物間のつながり,Aワンドと本川の物理環境の違い,B洪水によるワンドと本川のつながりの3つに分けて構成した.

  これまでに行なった学習の実践場所は,木曽川下流域のワンド群,岐阜県各務原市にある土木研究所の実験施設(以下,実験河川),岐阜県関市の未改修水路,全国豊かな海づくり大会である.木曽川下流域のワンド群では,2007年10月に高校生SPP事業,2009年9月にJICA研修を実施し,二枚貝の採捕等を行なった.土木研究所の実験河川では,2008年8月,9月に小学生を対象にした環境学習を行い,二枚貝の採捕と物理環境調査,洪水観察等を実施した.岐阜県関市の未改修水路では,2009年6月に小学校総合学習を行い,生物の観察会を実施した.全国豊かな海づくり大会は2010年6月に開催され,地域に生息する二枚貝の生息情報等を出展した.

 本報告では,これらの氾濫原環境を題材とした環境学習の位置づけと実践の事例について紹介する.

 

キーワード:河川環境氾濫原二枚貝

 

 


No.5

「日本の国土を知ろう」ホームページコンテンツ

 

 

 

佐々木 正

財団法人国土技術研究センター

小学校高学年から中学校地理教育では日本の国土の姿を学習するが、外国との比較によって客観的に日本の国土の姿を理解するためのホームページコンテンツである。日本の国土は何と比較して狭いのか・広いのか、地震や台風が来るのは知っていても外国はどうなのかなど、教科書から発展的に紹介するものであり、クイズ形式で遊び気分で学ぶことを目的としたコンテンツである。

 

キーワード:国土の姿外国との比較

 

 


No.6

小学校における「交通・環境学習」プログラムの効果的な進め方

 

 

 

清水 彰

酒井 弘

山口 喜久治

稲垣 学

松村 暢彦

株式会社まち創生研究所

株式会社まち創生研究所

近畿地方環境事務所環境対策課

和泉市都市デザイン部道路河川課

大阪大学大学院工学研究科

大阪府和泉市地域の小学校では、平成14年度より毎年継続して「交通・環境学習」が取り組まれてきている。平成20年度は環境省のEST普及啓発事業において、これまでの取り組みの成果として小学校での取り組みを広く広報するためのツールとして『小学校の【交通・環境学習】教材事例集』が作成されるなど、「交通・環境学習」を進めるためのツールは一定、整えられたといえる。

しかし、このツールを活用して実際に授業が行われる現場の状況は、様々であることが予想される。したがって、このツールを真に利用されるものにするためには、取り組みの定量的分析による効果検証もさることながら、実践事例を積み重ね分析し、記録を蓄積していくことが重要であると考えられる。

このような視点から平成21年度のEST普及啓発事業の一環として「交通・環境学習」に取り組んだ実践事例について報告する。特にツールを基に、小学校側と出前授業の内容構成等について相談した際、児童の興味付けや集中を高めるために留意すべき点として担任教諭から受けたアドバイスや授業後の感想文に書かれていた児童の生の声やそれに対する保護者の反応を中心に報告する。

 

キーワード:交通・環境学習学校教育、コミュニケーション

 

 

No.7

当別町における小学校MMの実施について

 

 

 

新森 紀子

大井 元揮

原 文宏

社団法人北海道開発技術センター

社団法人北海道開発技術センター

社団法人北海道開発技術センター

北海道石狩郡当別町は人口約18,000人の農村部を有する町であり,平成18年4月より民間送迎バス・自治体バスを一元管理し,路線・ダイヤの合理化・効率化を図ったコミュニティバスを運行している.このコミュニティバスの利用促進と普及啓発並びに将来の自動車利用者となりえる児童への意識啓発を目的として,当別町内の小学校全校において学校MM(モビリティ・マネジメント)を実施した.

学校MM実施にあたっては,当別町内小学校3校において学年別に異なる手法を用いた.低学年向けとしては,当別町の地理的状況とコミュニティバス・JR路線をイメージした「当別町交通すごろく」を用いて交通と環境の学習を行った.中・高学年向けには交通日記を用いたアドヴァイス法,バスマップを用いた行動プラン法による学習を行い,授業実施後にアンケート調査を行って手法毎の意識変化を比較した.

調査結果から,行動プラン・アドヴァイス法を用いた学校のでは,9割の児童が環境問題に興味を持ったと回答し,“自動車利用を控えるべき”と感じた児童が9割を占めるなど,多くの質問項目で自動車利用抑制の傾向を示した.またバス利用の行動意図については,アドヴァイス法よりも行動プラン法を実施した児童の法が高い意図を持ったことが確認された.

 

 

 

No.8

まちづくりルールに基づいた都市づくりゲームの開発と実践

 

 

 

松村 暢彦

大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻

日常生活では気づかないまちづくりのルールにもとづいてまちの模型をグループで作成するプログラムを開発し、茨木市都市計画課の協力を得て、夏休みに「まちづくり塾 小中学生コース」を行った。プログラムは、以下のような手順で行った。

・まちは、「安全」、「保健」、「効率」、「快適性」などのバランスを考え、つくられている。

・市内の特色ある場所の様子を観察する。

・「商店街」、「工場」、「田」、「山」、「住宅地」をどこに配置するのか考え、模造紙のうえに「まち」の模型をつくる。

その結果、市内の小学生36人が参加し、まちづくりのルールを学ぶことができた。

 

キーワード:まちづくり小学生

 

 

No.9

土砂災害避難行動誘発のための授業実践 〜高知県興津小学校の取り組み〜

 

 

 

谷口綾子

近森教諭

松岡校長

菊池輝

佐藤慎祐

藤井聡

矢守克也

林真一郎

西真佐人

小山内信智

伊藤英之

 

筑波大学

四万十町立興津小学校

四万十町立興津小学校

東北工業大学

京都大学

京都大学

京都大学

国土技術政策総合研究所砂防研究室

国土技術政策総合研究所砂防研究室

国土技術政策総合研究所砂防研究室

岩手県立大学

 

近年、頻発する土砂災害被害を最小限にとどめるため、砂防堰堤や防護柵などのハード対策や、気象庁と都道府県庁が協同で発表する土砂災害警戒情報等のソフト対策など、様々な対策が実施されている。土砂災害の原因の多くは降雨であるが、どの斜面で起こるかの予測が困難であり、住民の自主避難が不可欠である。

 本授業実践では、高知県四万十町興津小学校5−6年生を対象とし、土砂災害での自主避難を促す授業を、下記に示すさまざまな活動を入れ込んで試行した。

(1)  土砂災害の概要と、危険箇所のポイントの講義

(2)  立体地図と3Dメガネによる、興津地区における土砂災害危険斜面の把握

(3)  危険斜面のフィールドワーク: 国、県の専門家とともに児童が気づいた点をまとめる

(4)  フィールドワークの結果を模造紙のマップにまとめる作業

(5)  お菓子を土砂に見立てた砂防堰堤模型による、砂防堰堤の役割把握

(6)  砂防施設の建設コスト、土砂災害警戒情報の講義

(7)  施設や情報の限界と、心理的バイアスの存在、自主避難の重要性の講義

 

ポスター発表では、上記授業の概要を報告する。

 

キーワード:土砂災害避難行動総合学習

 

 

No.10

中学生による「構造物の破壊強度」に関する研究報告

 

 

 

柴田 純

宝仙学園中学校

筆者は物理の出身であり、土木工学・構造力学については素人の中学校教師である。

今から3年前、中1の担任であった私は校外学習の引率を担当した。行き先は調布市の都立神代植物公園であった。神代植物公園は大きなバラ園で有名である。5月初旬、まだ多くのバラはつぼみの状態であったが、人は多かった。そこを一望できる高台に立派な石造りの休憩所があった。あたかも古代ギリシャ時代の神殿のような見かけであり、生徒たちはパルテノン神殿と呼んでいた。重厚なパルテノン神殿を支える柱は太い円柱形であった。

それを見たある生徒が「この柱が折れたり潰れたりしたら石の屋根が落ちてきて、休憩をしているみんなは大怪我だね。柱は簡単に壊れないようなものにしないといけないけど、どんな形の柱なら潰れづらいんだろう」という素朴な問いかけがあった。植物園で構造力学との出会いであった。後日学校で彼らは大いに議論をしたが結論は出なかったようである。ある生徒が「分からなければやってみようよ!」と。大変中学生らしい発想である。筆者の胸も高鳴った。彼らは今年高校1年生となった。3年間を費やして彼らが実験を行ったことを報告する。

彼らは現在、建築・土木工学方面への進学を目指し、勉学に励んでいる。

 

キーワード:実験柱の強度

 

 

No.11

続・高大連携教育プログラム事例報告

 

 

 

末武 義崇

足利工業大学都市環境工学科

昨年度の第1回フォーラムに引き続き、高大連携教育の事例報告として、足利工業大学と足利工業高校との連携教育プログラムを取り上げる。特に、筆者が担当しているテーマ、「アーチ橋の歴史探訪と模型作成」を具体例として報告する。ここ数年間に蓄積してきた成果と、一応の完成版となる今年度の成果との比較を行う。併せて、高大連携教育に取り組む際に指導者として心がけるべきポイントや、高大連携に関する問題点や課題などについて、筆者の見解を提示する。

 

キーワード:高大連携、教育支援、アーチ橋

 

 

 

No.12

小学校における交通環境学習の実践

 -石川県金沢市と岐阜県御嵩町の継続実施に向けた取組み-

 

 

 

岡本 英晃

交通エコロジー・モビリティ財団

交通エコロジー・モビリティ財団では、交通環境学習(モビリティ・マネジメント教育)の普及を目指し、自治体に対しノウハウの提供や資金面での支援を行い、継続的に実施するための拠点づくりに取り組むとともに、学識経験者や関係団体等と連携し、普及ツールの作成などを行っている。本発表では、当財団が支援をしている石川県金沢市と岐阜県御嵩町での実践事例を報告する。

金沢市では、市内の全小学3年生を対象として実施される自転車安全教室を活用した導入版交通環境学習プログラムと交通すごろくなどを行う発展版プログラムを完成させた。

導入版交通環境学習プログラムは、自転車安全教室の前にDVDを用いてバスの乗降方法やバス利用のメリットを学習し、自転車安全教室当日のバス乗降の実践によりバスの乗り方を習得する流れとなっている。また発展版交通環境学習プログラムは、二酸化炭素測定や交通すごろく、自動車利用削減プラン作成の3種類の実践プログラムの他、標語の作成や新聞作成などの表現手法も備えたプログラムとなっており、教員が自由に組み合わせることのできる内容となっている。

岐阜県御嵩町ではモデル校1校で、町にある中山道や名鉄広見線、生活環境保全林であるみたけの森などを題材として、総合的な学習の時間や生活科、社会科を用いて、小学校1年生から6年生までの学習を通じて学習するプログラムが開発された。どの学年とも能動的に学習するだけでなく、実際のフィールドに触れる機会や地域の人、講師の人とのコミュニケーションの場、資料などを調べる場、そして自分の考えを発表する場などを設けることにより、学習の基本的な目標である思考力・判断力・表現力の育成を念頭に、教員が主体となってカリキュラムや学習指導計画の構築が行われた。

 

キーワード:交通環境学習(MM教育)自転車安全教室

 

 

No.13

モビリティ・マネジメント教育(交通環境学習)の普及

 

 

 

岡本 英晃

唐木 清志

藤井 聡

交通エコロジー・モビリティ財団

筑波大学大学院人間総合科学研究科

京都大学大学院工学研究科

『「モビリティ・マネジメント教育(交通環境学習)」とは、一人ひとりの移動手段や社会全体の交通を「人や社会、環境にやさしい」という観点から見直し、改善していくために自発的な行動を取れるような力を育むことを目指した教育活動』を指す。

近年これらのモビリティ・マネジメント教育の実践事例は増えてきているが、それらは土木技術者からの働きかけで実施されているものが多く、得てして土木の観点からの目標設定や評価測定だけになりがちである。その結果として、学校教員は教育的意義が見出せず、単発的な実施に留まってしまう可能性がある。

そこで交通エコロジー・モビリティ財団では、学識経験者と関係団体からなる委員会を立ち上げ、教育学的見地からモビリティ・マネジメント教育の整理を行い、主に学校教員を対象とした普及ツール「モビリティ・マネジメント教育のすすめ」の検討を行った。

「モビリティ・マネジメント教育によって育まれる力」を『知識』、『能力』、『態度』の3つの要素に分けて整理するとともに、これまでの各地での実践事例を「地域の公共交通について考える学習」、「クルマ社会について考える学習」、「交通まちづくりについて考える学習」、「モノの流れについて考える学習」の4つに分け、小学校社会科の内容と単元事例との関連性などについて取りまとめた。

また、モビリティ・マネジメント教育の実施校拡大と新たな教材事例の増加を目的として、今年度から教員向けの支援制度を開始した。

 

キーワード:MM教育小学校社会科

 

 

No.14

京都市の環境副読本におけるモビリティ・マネジメント教材の紹介

 

 




藤井 聡

水山 光春

京都大学大学院

京都教育大学

今日,交通行政に於いて,一人ひとりの自発的な協力行動をコミュニケーションを通じて促すことを目的とした「モビリティ・マネジメント」の取り組みが,全国各地で実施されている.そしてその中で,小学校,中学校の教育現場で,地域の交通渋滞や地域モビリティの水準低下などの問題を取り上げ,その問題を回避するために一人ひとりの協力行動が必要であることの理解を促す「モビリティ・マネジメント教育」が実践されている.こうしたMM教育は,日本の学校教育課程において重要な教育目標として認識されている公民的資質,すなわち,シティズンシップの涵養に資するものであると期待されている(藤井他,2009).こうした背景の下,筆者らは,京都市の小学五年生に配付される,環境教育についての環境副読本の中で,過度なクルマ利用が環境問題をはじめ,渋滞や公共交通衰退の原因となっていることを述べた上で,その問題を解消するには技術開発だけでは不十分であり,一人一人が自分自身の交通行動を振り返ることが必要であるという主旨を教示する内容を取り上げる頁を盛り込んだ.本発表では,その副読本の内容を紹介する.

 

キーワード:モビリティ・マネジメント教育環境交通教育、小学校MM

 

 

No.15

「日本に住む人の防災意識の再構築」に向けた土木学会の取り組み

― 「日本に住むための必須!!防災知識(DVD,教師用小冊子)」の紹介 ―

 

 

 

日比野 直彦

政策研究大学院大学 准教授

我が国は災害多発国にもかかわらず,国民の防災に対する関心不足から,多くの情報が提供され,教育がなされていても防災意識の向上につながっていないとの指摘がある.このような状況を打開するために,土木学会は2003年より議論を始め,基礎編(国土,気象),台風・豪雨編(暴風雨,洪水,高潮,高波,土砂被害),地震編(地震,津波),火山編の4部門について,災害現象,危険外力,予兆現象,被害時対応,常時の対応に関する教材を作成してきた.対象は,小学校低学年,高学年,中学生,高校生の4つにわけられ,内容は,各20分の映像を各対象4編ずつ,合計16編となっており,DVDに加えて教師用のテキストも作成されている.

これらのDVDおよび教師用小冊子は,日本に住む人々が最低限知っておくべき防災知識を身につけてもらうためのものであり,ここでは防災教育のための学校教材として紹介する.なお,このDVDおよび教師用小冊子は,国土交通省,教育委員会等を通して,全国の小学校に11,450セット配布しており,全国23,124校の約50%となっている.

 

キーワード:防災DVD小学校