2007年制定 コンクリート標準示方書発刊に伴う講習会 質問事項

 

 

質問事項

回答

 

1. 設計編P.320の表2.1標準的な耐久性を満足する構造物の最小かぶりと最大水セメント比の表中のかぶりcの最小値に関して

 例えば、

  梁の場合かぶりcの最小値は40mm、施工誤差が±10mmとなっています。

 

  1人の講師の方は、W/Cが50%以下でかぶりが30mm以上で耐久性照査を省略してよいこととの整合性を持たしたと説明していたので、梁の場合かぶりcの最小値は40mmと理解しました。一方、もう1人の講師の方は、施工誤差を考慮して梁の場合かぶりcの最小値は40mm+10mmの50mmと図面に示すことと説明がありました。どちらが正しいのでしょうか。

 

1.いかなる場合にも、設定したかぶりと施工誤差を設計図に記す必要があります。一方、設計編P.320の表2.1には標準的な耐久性を満足するかぶりを示したものです。これは、設定したかぶりが表の値以上あれば、耐久性照査を省略してよいという意味です。ただし、表の値は施工誤差によって変わりますので、想定した標準的な施工誤差も表中に示してあります。

なお、講習会(13章 構造細目)では、施工誤差を考慮することを例示して説明したもので、部材種別やW/Cの条件などは明示していません。例えば、W/C55%では、照査に合格するかぶりは概ね(40mm+施工誤差)となります(設計編P.327 解説図3.3.1参照)

 

 

2. 上記表中には、梁とスラブの表記がありますが、PCのボックス桁などのウエブは梁と、上下フランジはスラブと対応していると考えて良いのでしょうか。

                               

2.設計編P.320の表2.1に示した部材ごとの施工誤差は標準値です。対象部材、部位の実際の施工状況に応じて施工誤差を設定してください。ご質問の文にある判断も可能です。

 

 

3.設計編P.113の表8.3.2鋼材の腐食に対するひび割れ幅の限界値の表中で最も厳しい値は、0.0035cとなっています。かぶり40mmと考えると0.14mmとなります。

p.167解説表10.6.1水密性に対するひび割れ幅の限界値の目安が示されており、最も厳しい値は0.1mmとなっています。水密を要するコンクリート構造物とは透水により、構造物の安全性、耐久性、機能性、維持管理、外観などが影響を受ける構造物と記されています。ここで、橋梁(RC、PC)の上部構造は、水密を要する構造物ではなく耐久設計におけるひび割れ幅の限界値は、0.0035cとして良いのでしょうか。

 

3.同じ構造物でも、各種応答値の限界値は要求性能ごとに異なります。水密性の照査では、水密性に対するひび割れ幅の限界値を用い、耐久性の鋼材腐食に対する抵抗性の照査では、鋼材腐食に対するひび割れ幅の限界値を用います。両者は異なって結構です。

 

今回の改訂で、責任技術者の発注者受注者双方配置について明記言及されました。

 

これに関連するかと思いますが、施工本編5.3検査の実施について意見質問させていただきます。

本文に「検査の責任者」、また解説に「検査の責任者は、発注者またはその代理人とし、土木学会上級技術者、技術士コンクリート、コンクリート主任技士あるいは同等以上の者でなければならない」と明記されました。

 

「検査の責任者」は用語定義が特にありませんが、「責任技術者」とは位置付け役割が異なるのでしょうか?資格要件としては責任技術者とほぼ同クラスのようですが。

 

最終的な品質性能確認の合否判定として、この資格級の検査の責任者を付ける趣旨は十分に解りますが、実情としてこのクラスの技術者は、発注者が代理人を立てるにしても工事単位では無理がありますし、発注部署等の単位でも困難が伴うと予測されます。

 

・この解説(2)の全文を読むと、例えば「施工標準」に従って、材料・配合・製造受入れ検査・鉄筋工コンクリート工等施工の検査・出来上がり構造物の検査が全て実施され、合格したことが確実に確認できれば、検査の責任者は明記された資格級でなくてもよいとも解釈できるのですがいかがでしょうか。不合格となった場合の対処法と検査法については、確かに上級クラスの技術者判断が必要かと考えます。

 

・以上、質問と意見が混在して申し訳ありませんが、「検査の責任者」について

上記質問等を踏まえた補足説明をお願いします。

※なお、鉄道の示方書である「鉄道構造物等設計標準」では、『施工で本標準

に記載されていない事項は土木学会示方書施工編を参考に適切に実施する』

と従来から規定されており、2007年制定の示方書により、鉄道会社は発注側

自身の施工時検査体制等の見直しも迫られるような方向になってくるのでは

ないかと弊社内で議題に挙がっていることを申し添えます。

 

ご指摘の点ですが、[施工編:本編]は、新材料の導入や新技術の採用など、さまざまな状況に対応したものとなっております。このため、検査におきましても、一般の工事よりは、若干厳しめの対応を想定しております。

 

ごく普通の工事につきましては、[施工編:施工標準]と[施工編:検査標準]を参考にしていただければと存じます。

 

 

1.「施工編:施工基準」の16.1()の「コンクリートの受入れ検査」について

 16.1 ()の本文では、“施工者が行う検査は、コンクリート材料の受入れ検査、コンクリーの製造設備の検査、コンクリートの受入れ検査および補強材の受入れ検査を標準とする”とありますが、16.1の「【解説】(1)および()について」では、“施工者が行う検査は、主として、コンクリート製造用材料の受入れ検査、構造物の補強材の受入れ検査およびコンクリート製造設備の検査である”となっていて、「コンクリートの受入れ検査」は“主として”の中に入っていません。主ではないということなのでしょうか。

主ではないとしますと、この「施工編: 施工基準」の16.1 ()の「コンクリートの受入れ検査」は、「施工編: 検査標準」5章の「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」を含まない概念の用語のように思われますが、そのような解釈でよろしいでしょうか。そうしますと、この「施工編: 施工基準」の16.1 ()は、生コンは対象外で、「現場練りコンクリート」だけを対象にしたものなのでしょうか。

いずれにしましても、「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」以外の「コンクリートの受入れ検査」をすることが標準とされているようですが、この検査に関する具体的な規定(検査項目、検査方法、時期・回数、判定基準など)が「施工編: 検査標準」にはないように思います。読み違えているのでしょうか。

 以上のような理解に基づいて、敢えて私見を述べますと、「施工編: 施工基準」の16.1 ()の「コンクリートの受入れ検査」にも「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」を“主として”の中に含め、「施工編: 施工基準」を受けての「施工編: 検査標準」のはずですから、生コンだけでなく、それ以外の「コンクリートの受入れ検査」に関する具体的な規定(検査項目、検査方法、時期・回数、判定基準など)を「施工編: 検査標準」の中に盛り込む(「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」に準ずるにしても)べきではないでしょうか。

 なお、「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」や「現場練りコンクリートの受入れ検査」ではない、別な「コンクリートの受入れ検査」が実際にあるのでしょうか。あるとすれば、どのようなケース、目的、形で行われるのでしょうか。お伺いします。

 

1. 本文の記述を優先します。

 

 

1.「施工編:施工基準」の16.1()の「コンクリートの受入れ検査」について(再質問)

 ご回答は〈本文の記述を優先します〉ということですが、本文を受けての解説なのであります。本文中に四つの検査が挙げられ、そのうちの三つの検査が解説で主な検査とされているのに、ある意味で主な「コンクリートの受入れ検査」が“主として”の中に入っていませんと、私のような疑問を持つ者もいると思います。できれば今後の改定で、ご配慮いただければと思います。そもそも最初の「施工者…検査である」は不要ではないでしょうか。

 次に、レディーミクストコンクリートではない現場練りコンクリートはレア・ケースだとしましても、その受入れ検査に関する具体的な規定(検査項目、検査方法、時期・回数、判定基準など)を「施工編:検査標準」の中に盛り込む(「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」に準ずるにしても)べきではないかという私見に関してのコメントをいただきたく存じます。

 なお、レディーミクストコンクリート、現場練りコンクリート以外のコンクリートの受入れ検査はないということで示方書は記述されていると理解してよろしいか、念のためにお伺いします。

 

1.(再回答)

 

 

2.「施工編: 検査標準」5章の「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」について

2.1   圧縮強度の判定基準について

5章の「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」の()に、“検査は、表5.1によることを標準とする”とあり、表5.1の項目の圧縮強度の判定基準は、JIS A5308「レディーミクストコンクリート」の「判定基準」とは異なっています。生コン、すなわちレディーミクストコンクリートの受入れ検査は、受入れる生コンとしての品質を検査するものであります。その目的からしますと、生コンの受入れ検査における強度の「判定基準」は、JIS A5308「レディーミクストコンクリート」の強度の「判定基準」によるのが極めて自然なように思います。これとは別な表5.1の「判定基準」には疑問を持ちます。どうしてJISと異なる強度の「判定基準」になっているのでしょうか。

 

2.

2.1 コンクリートの強度は、設計基準強度を下回らない確率を、土木では5%、建築では4%としています。

本来ですと、検査の基準もこれをもとに設定すべきですが、従来より、JIS A 5308の基準を満足すれば、上記の条件もクリアすることから、運用上、現場ではJIS A 5308の基準で検査しております。

 

 

2.1 圧縮強度の判定基準について(再質問)

 ご回答の〈コンクリートの強度は、設計基準強度を下回らない確率を、土木では5%、建築では4%としています。本来ですと、検査の基準もこれをもとに設定すべきですが、従来より、JIS A 5308の基準を満足すれば、上記の条件もクリアすることから、運用上、現場ではJIS A 5308の基準で検査しております。〉という、ご説明にコメントします。

 〈コンクリートの強度は、設計基準強度を下回らない確率を、土木では5%〉というのは、構造物中のコンクリートの強度の管理水準要求であります。一方レディーミクストコンクリートの受入れ検査生コンの荷卸し地点での生コンとしての品質の検査でありますから、生コンに関するJIS A 5308の基準で検査するのが筋ではないでしょうか。つまり生コン生産者が約束通りの品質のものを納入しているかを検査するのがレディーミクストコンクリートの受入れ検査のはずであります。しかもJIS A 5308生コンの荷卸し地点までのことしか規定していません(JIS A 53081の注に明記してあります)。荷卸し地点から構造物に打ち込まれる地点(ポンプの筒先など)までの品質低下があり得ますから、荷卸し地点で採取したテストピースに対して、構造物中のコンクリートの強度の管理水準での検査を原則にするのは適切ではありません。したがって、〈本来ですと、検査の基準もこれをもとに設定すべき〉だとして、構造物中のコンクリートの強度の管理水準をレディーミクストコンクリートの受入れ検査の基準にするのは、考え方として適切でないと思います。

本来は構造物中のコンクリートの強度の管理水準の検査は、構造物に打ち込まれる地点(ポンプの筒先など)で採取したテストピースに対して、別に行われるべきでありまして、その際には、コンクリートの強度は、設計基準強度を下回らない確率を、土木では5%〉の管理水準を適用すべきであります。ただし、荷卸し地点から構造物に打ち込まれる地点(ポンプの筒先など)までの品質低下が余りないと判断される場合には、荷卸し地点のレディーミクストコンクリートのJIS A 5308の基準による受入れ検査で十分代用できることになります。

本来、レディーミクストコンクリートの受入れ検査はJIS A 5308の基準で検査を行い、構造物中のコンクリートの強度の管理水準の検査は別に行うべきであります。しかし、実際には別に行わず、JIS A 5308によるレディーミクストコンクリートの受入れ検査で代用しています。これが現状ではないでしょうか。もし、荷卸し地点から構造物に打ち込まれる地点までの品質低下が著しいと判断される場合には、当然構造物中のコンクリートの強度の管理水準の検査を別に行う必要があります。蛇足ですが、ポンプ作業従事者が加水するという違法行為の防止には、ポンプの筒先での試料採取による、生コンの受入れ検査とは別の検査が有効だと、以前から私は思っています。

 

2.1 (再回答)

 

 

 

2.2 5章の【解説】()について

5章の【解説】の「()について」に、“…強度試験により確認することが必要になる。なお、この場合現状では、JIS A5308「レディーミクストコンクリート」においては強度試験を行うことが定められている”とあります。“現状では…定められている”という表現は意味が不明確であります。敢えて解釈しますと、次のような二つの意味にとれます。

@生コン生産者が行う強度試験を流用してもよい(施工者は改めて強度試験を行わなくてもよい)

A生コン購入者である施工者が行う「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」は別に行うが、その基準としてはJIS A5308「レディーミクストコンクリート」を適用するどちらの解釈が正しいのでしょうか。あるいは別な意味があるのでしょうか。

@、Aの何れかが正しいとしますと、この解説は表5.1の規定によらずに、JIS A5308「レディーミクストコンクリート」によってもよいということをいっていることになります。

もしそうであるならば、表5.1の強度検査の「回数」と「判定基準」ではなく、JIS A5308「レディーミクストコンクリート」の強度検査の「回数」と「判定基準」ということになりますが、それでよろしいでしょうか。

 何れにしましても、あいまいな解説ではなく、明快な説明をしていただきたく思います。

実際の現場では、Aのケースが多く、土木学会の「2002年制定 コンクリート標準示方書[施工編]」の「11.5コンクリートの受入れ検査」の「表11.5.1圧縮強度の検査」(前記表5.1と内容は同じ)にある「時期・回数」が用いられ、「判定基準」はこの表とは違う、JIS A5308にあるものが用いられているケースが多いようであります。国土交通省の「土木工事共通仕様書」やJR「土木工事標準仕様書」などでも、強度の「判定基準」はJIS A5308の規定により(よる)”となっているようであります。

なお前項で述べたような疑問もあり、しかも実際にも用いられていない表5.1の「判定基準」は改めるべきではないでしょうか。

 

2.2 コンクリートの受け取り検査は、本来は打ち込み前に品質を確認するべきでものです。理想的には、「セメントのミルシートによる対応」のようなものができればよいのですがコンクリートの場合、それは難しいのが現状です。ある意味、しかたなく28日の強度試験を、受け取り検査としている面がございます。

 

 

2.2 5章の【解説】()について(再質問)

 この項のご回答は〈コンクリートの受け取り検査は、本来は打ち込み前に品質を確認するべきでものです。理想的には、「セメントのミルシートによる対応」のようなものができればよいのですがコンクリートの場合、それは難しいのが現状です。ある意味、しかたなく28日の強度試験を、受け取り検査としている面がございます。〉

となっていますが、お聞きしているのは、〈28日の強度試験を受け取り検査としている〉ことについてではありません。5章の()の表5.1での判定基準とは違う、JIS A 5308【解説】の「()について」に、いきなり出てきていますことから、これを受入れ検査に用いるように示唆しているのかと思いまして、その際にどう解釈すべきか(@、A)について、お聞きしているのであります。

あるいはそんな示唆をしているのではなくて、単にJIS A 5308の強度試験を紹介しているだけだということなのでしょうか。もしそうであれば、「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」に関する解説中の記述としては、理解し難いように思います。

 さて、理想的には、「セメントのミルシートによる対応」のようなものができればよいのですがコンクリートの場合、それは難しいのが現状です〉とのことですが、このご説明には疑問を抱きます。鋼材と違いまして、コンクリートは工場を出荷する段階で強度は確定していませんから、ミルシート(鋼材検査証明書)のようなもので検査ができないという、コンクリートの本来的な性質によって、「セメントのミルシートによる対応」は元々不可能なのであります。つまり〈難しいのが現状〉なのではなく、何時まで経っても、それは不可能なのであります。

この点に関しまして、【解説】の「()についてでも、“コンクリートの強度は、コンクリート材料の品質や配合等を確認することによって、コンクリートが打ち込まれる前に検査することも可能である。しかし、製造設備や製造品質管理体制が信頼できない場合、あるいはコンクリートの製造状況が不明の場合や設定どおりに行われなかった場合には、配合検査からコンクリートの強度を確認することはできない。このため、コンクリートが打ち込まれた後になるが、強度試験を確認することが必要になる。”となっています。そもそも、“コンクリートの強度は、コンクリート材料の品質や配合等を確認することによって、コンクリートが打ち込まれる前に検査することも可能である”とするのは適切ではありません。いくら“製造設備や製造品質管理体制が信頼でき”、“コンクリートの製造状況”が明らかで、“設定どおりに行われ”ても、生コンの荷卸し地点まででさえ、強度に絡む不確定要因は必ず残ります。まして構造物に打ち込まれる地点(ポンプの筒先など)は施工要因が絡みますので、尚更不確定要因は増えます

 ついでにお伺いしますが、「施工編: 検査標準」5章の「レディーミクストコンクリートの受入れ検査」の()の“強度の検査は圧縮強度試験による”という規定が何故必要なのでしょうか。既に(3)で“検査は、表5.1によることを標準とする”とあり、表5.1には圧縮強度について、検査方法、時期・回数、判定基準が明記されているのでありますから。

以上述べましたことから、()の“強度の検査は圧縮強度試験による”という規定と、【解説】の「()について」は、ないほうがよいように思います。

さらに言わせていただきますと、レディーミクストコンクリートの受入れ検査と構造物中のコンクリートの強度の管理水準の検査は本来別である(前者で後者を代用することが多いとしても)ということを明確にしていただきたいように思います(最後の4をご参照ください)

 

2.2 (再回答)

 

 

3.「構造物中のコンクリートの検査」について

 「施工編: 検査標準」の8.4の「構造物中のコンクリートの検査」の【解説】の「(1)について」では、“現場に納入されたコンクリートの受入れ検査、および運搬、打込、養生等の施工に関する検査を確実に行い、これらが合格と判定された場合には、構造物中のコンクリートの検査を省略してよいこととした”とあります。これまでもこのようになっていて、実際にも「構造物中のコンクリートの検査」はほとんど省略されています。

しかし、荷卸し点で受入れたコンクリートと実際に構造物に打ち込まれたコンクリート、つまり荷卸し地点で採取したコンクリートとポンプの筒先で採取したコンクリートでは、かなり品質の差があることが結構ありますので、このような“構造物中のコンクリートの検査を省略してよい”という扱いは、行き過ぎのように思います。建築のJASS5では、この検査は必須となっています。これも行き過ぎだと思います。“荷卸し時に受入れたコンクリートと比較して、実際に構造物に打ち込まれるコンクリートの品質の低下はないと明確に判断される場合にだけ、検査を省略するとしてよい”とすべきではないでしょうか。

“…運搬、打込…等の施工に関する検査を確実に行い”という条件があるから、実際に構造物に打込まれるコンクリートの品質低下はないという考えがあるかもしれませんが、通常の“運搬、打込…等の施工に関する検査”では、このような品質低下は見つかりません。そのために、上記したように、「構造物中のコンクリートの検査」は、ほとんどまったく省略されているのが実状であります。

 なお、8.4()()では、「受入れ時にコンクリートを採取して、実施工環境と同様の条件を再現して試験を行う」とありますが、“実施工環境と同様の条件を再現して試験を行う”を原則にするのは、適切ではないように思います。コンクリートの品質の一つとしての強度の検査は長期強度で行うべきですから、標準養生を原則とすべきではないでしょうか。

 

3.現状を追認したものです。良い方法がございましたら、ご提案下さい。

 

 

3.「構造物中のコンクリートの検査」について(再質問)

 ご回答は〈現状を追認したものです。良い方法がございましたら、ご提案下さい。〉ということですが、お聞きしていることに、直接、具体的にお答えいただけないでしょうか。

 

3.(再回答)

 

 

4. 補記について

 この項目について、ご回答で触れていただけませんでしたが、敢えて書き加えさせていただきます。以前(例えば平成3年版)の土木学会の「コンクリート標準示方書[施工編]」では、上で指摘しました、【解説】の「(8)について」のような解説はありません。また「レディーミクストコンクリートの受入れ検査は、JIS A 5308によるものとする」と明記されていますし、この検査とは区別されています「コンクリートの品質検査」の項目で、「試験値の設計基準強度を下回る確率が5%以下であることを確かめなければならない」とされています。

二度の書面にてご指摘申し上げました、幾つかの問題点に関しまして、抜本的に見直しをすることについて、ご検討くださいますよう、失礼を省みず、お願いいたします。

 

4. このたびは講習会についてのご質問、ご意見をたびたびありがとうございました。今回いただいたご意見は、次回の改訂の際に生かせるよう努力してまいります。

 

改定された示方書のかぶりに関する記載について以下のように認識しています。

     耐久性照査に用いるかぶりの設計値

 

cdc―Δce

 

ここに、c:かぶり

 

    Δce:施工誤差

 

     鋼材の腐食に対するひび割れ幅の限界値を求める時のかぶり

 

ccd+Δce

 

     曲げひび割れ幅を算出する時のかぶり

 

ccd+Δce

 

 

では、部材の曲げ耐力を算出する時の部材の有効高を算出する場合のかぶりは

 

c(=cd+Δce)を用いるのですか、それともc+Δce(=cd2Δce)を用いるのですか?

 

即ち、プラス方向のかぶりの施工誤差を考慮する必要があるのでしょうか?

 

耐久性照査に用いるかぶりの設計値(cdc−Δce)は、耐久性照査においてのみ用います。それ以外は、かぶりcを用います。

ご質問の例では、

・耐久性照査に用いるかぶりの設計値:cdc−Δce

・鋼材の腐食に対するひび割れ幅の限界値を求める時のかぶり:c

・曲げひび割れ幅を算出する時のかぶり:c

・部材の曲げ耐力を算出する時の部材の有効高を算出する場合のかぶり:c

です。すなわち、ご質問文のとおりで結構です。

 

コンクリート標準示方書の寒中コンクリートの養生の項目に、養生終了時の所要圧縮強度の標準の表があり、この表の中の断面が「薄い場合」「普通の場合」「厚い場合」とありますが、それぞれの厚さの目安をご教示願います。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問いただきました、寒中コンクリートの養生に関します、断面が「薄い場合」「普通の場合」「厚い場合」については、明確な線引きはできません。解説にも記述されていますように、いろいろな条件によって、養生終了時の所要圧縮強度は変化すると考えられます。断面厚さもそれに影響する要因のひとつです。例えば、断面厚さの概ねの目安としての分類は、次のようなものが考えられます。

断面の薄い場合: 20cm〜30cm程度以下

断面の厚い場合: 90cm〜100cm程度以上

普通の場合  : 上記の中間程度

 

 

P167の表4.3.7電気防食工法について、供給電流密度が、0.00010.03A/uとなっていますが、0.0010.03A/uの誤りかと思います。

ご意見いただきました示方書改訂資料記載の表について確認いた

しましたところ、当方の記載ミスと判明いたしました。電気化学

的防食工法の指針より転載する際に、間違って記載したものと思

われます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

下記のように訂正させていただきますと共に、早急に正誤表にて

周知いたす所存です。

 

 

鉄筋の継手に機械継手を使用して、同一断面に継手が1/2以上集中(いわゆる「いも継手」)した場合の、鉄筋母材の許容応力度低減についてです。2002版コンクリート標準示方書(耐震性能照査編)及び鉄筋継手指針(昭和57年版)には低減について記載がありますが、2007版コンクリート標準示方書及び鉄筋定着・継手指針(2007版)には鉄筋母材の取り扱いは記載がありません。

鉄筋定着・継手指針(2007版)では2002版のコンクリート標準示方書(耐震性能照査編)を適用することとなります。機械継手の評価がSA及び1種なら鉄筋母材の許容応力度を低減しないで「いも継手」が許されるのでしょう。なお、鉄筋定着・継手指針(2007版)の表紙に柱のいも継手の写真が貼り付けてあります。参考までに、示方書の内容を整理したファイルを添付させていただきます。示方書の読み込みがたりないのかもしれませんが、よろしくご教授ください。

(添付ファイルあり)

 

2007年版継ぎ手指針では、「機械継手の評価がSAかつ1種なら鉄筋母材の引張降伏強度を低減する必要はない」としています。SAかつ1種の継手は極めて信頼性が高く、母材鉄筋と同等の信頼性を持つと考えられるからです。ここで重要な点は強度を低減するかどうかを規定しているだけであり、使える・使えないは規定していない点です。つまり、適切に強度評価すれば、任意の箇所にいも継手を使える可能性があります。

 

 同指針では、「継手の構造細目は2002年耐震性能照査編に従う」としているだけであり、構造性能の本質にかかわる部分は本文中に記載されていますので、それに従う必要があります。同指針で母材強度の取り扱いを特に記述していないのは、標準示方書と同じだからです。

 

 なお、同指針は2002年版の示方書を参照していますが、これはリリース時点で最新の示方書を参照しているということです。

 

 

塩害における劣化期の対策工法について一般論を教えて頂きたい。

劣化期では断面修復と耐荷力不足のための対策となっていますが、その際の塩分量は鋼材より内部まで1.2kg/m3以上あることが多いと思います。

1.断面修復深さは1.2kg/m3未満となる位置までとしますか。それとも塩分の再拡散を考慮しある程度入っていてもかまわないのでしょうか。

 

塩害などによる劣化が生じているような構造物の補修・補強の具体的な方法の選定にあたっては、劣化の状況とともに、環境条件、将来の劣化予測結果、残存予定供用期間、構造物の種類や重要度、さらには経済性などを考慮する必要があり、最適な方法は構造物ごとに異なってきます。このため示方書では、ある限られた方法に特化した記述とすることで誤解を招くことがないように、補修・補強工法の選定では、あえて「・・・の方法を基本する」というような表現を避けた記述としております。 この点、まずはご了解ください。

 したがって、今回の塩害により劣化期の状態となった構造物の補修・補強の具体的な方法に関する質問に対する下記の回答も、あくまでも一般的なもので、これに限定するものではないことをご理解ください。

 

対象が塩害劣化期である場合、通常、コンクリート部分のひび割れは大きく、はく落部分も想定されますので、構造物の安全性、使用性、第三者影響度を主たる対象とした対策を取る必要があります。その際、一般には断面修復は欠かせないものとなります。

断面修復(はつり)の範囲は、基本的には塩化物イオン量として1.2kg/m3を目安とし、これを超える部分を断面修復するのがよいと考えます。ただし、構造物の構造条件や、補修・補強の施工条件等から、断面のはつり範囲が制限される場合もあります。

このような場合には、例えば供用年数と構造物の劣化状態の関係から劣化予測を行うなどして、残存予定供用期間終了時の構造物の状況を推測するとともに、補修・補強のコスト評価も含めたLCCなども検討して、総合的に判断して対策を決定していきます。このような検討の中で、断面修復後の再拡散を考慮した塩化物イオンの拡散解析を行うことも有効となるといえます。

断面修復が十分に実施できない場合の補修の有効な方法の1つとして、ご指摘のような断面修復+電気防食という方法があります。この場合には、断面修復の出来る範囲は断面修復しさらに電気防食を検討することのほか、劣化の状況によっては、大がかりな断面修復を行わず、コンクリートの浮き部の修復とひび割れ補修のみを行った上で電気防食を行う方法なども考えられます。さらに、残存予定供用期間が短い場合には、可能な範囲の断面修復や、これと表面被覆工法を組み合わせる方法だけでも、鉄筋腐食モニタリングのなどの併用によって点検を強化しながら、供用中の耐久性を確保できるケースもあると思われます。

なお、耐荷性などの構造上の問題で完全に断面修復が行えない場合、橋面上での制約が無ければ、断面修復時に橋面上から補強をして、1.2kg/m3を越える部分を全てはつり取る方法も考えられますが、それでも、PCの場合は限界があります。

また、劣化期には通常、耐荷力や剛性の低下も生じているので、断面修復部への鉄筋の増設、外ケーブル、FRP接着などの対策は、状況に応じて必要となるでしょう。

 

 

2RCT桁などで部材中心位置でも塩分量過多であった場合、断面修復不可能となると思いますが、その際は電気防食+補強(場合により)の組み合わせが基本となりますか。

 

 

9

2007制定コンクリート標準示方書「設計編」のP.278のラーメン構造解析で、図4.2.1ではハンチのある場合の断面検討モーメントについて明示してありますが、ハンチがない場合でも、ラーメン軸線は部材図心として計算した図心モーメントに対して、部材端の断面検討モーメントはフェイス位置でのモーメントを採用して検討を行っても問題ないと考えてよろしいでしょうか。

また、同様にハンチがない場合、剛域を考慮するorしない場合のフェイスモーメントの取り方は、図4.2.1に準拠し、剛域を考慮した場合は図心より低減されたモーメント、剛域を考慮しない場合は図心と同じモーメントを採用することでよろしいでしょうか。

 

いずれも、お尋ねの方法で、よいと考えます。

ただし、これらは、いずれも接合部の剛性が確保されていることが前提となりますので、その点の留意が必要です。 

なお、本規定は標準編に記載されている事項ですので、一つの簡易的な方法を示したものですので、

その点をご理解の上、適用をお願い致します。

 

 

10

施工偏:施工標準において

p.50

3章 3.4.2粗骨材

 ()「骨材として用いる砂利は」 は 「粗骨材として用いる砂利は」

3.4.3

 ()「ふるいに残存したから採取する」 は 「ふるいに残存したものから採取する」

 ()「最大を5.0%にしてもよい」 は 「最大値を 5.0%にしてもよい」

としたほうが「3.4.1 細骨材」の文章とあうのでは?

 

p.105

6章 解説 表6.3.1

 呼び強度 に単位(N/o2)が抜けているのでは

最終行「コンクリートの強度が・・・下回る確率を4.5(2)に定める」 は 4.4.3(2)ではないでしょうか。

 

コンクリート標準示方書[施工編]について、

以下の点を、正誤表として添付するようにいたします。

 

p.50

 3章 3.4.2粗骨材

()「骨材として用いる砂利は」 は 「粗骨材として用いる砂利は」

 3.4.3

()「ふるいに残存したから採取する」 は 「ふるいに残存したものから採取する」

()「最大を5.0%にしてもよい」 は 「最大値を 5.0%にしてもよい」

 

p.105

6章 解説 表6.3.1

最終行「コンクリートの強度が・・・下回る確率を4.5(2)に定める」

は「4.5(2)」 「4.4.3(2)

 

なお、ご指摘の内、p.105 6章 解説 表6.3.1 で「呼び強度

に単位(N/o2)が抜けているのでは」という点につきましては、

JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」では、「呼び強度」には単位を付けないとなっておりますので、そのままといたしたいと

存じます。ちなみに、単位を付ける場合は、「呼び強度の強度値」

というような表現がなされております。

 

 

11

1.施工偏 P346 4行目

 『先組み鉄筋の製作に・・・、所要の条件が満足できる・・・』

 の文章の中で、『所要の条件』とはどのようなことを示すのでしょうか?

 

2.施工偏 P202

  検査標準の圧縮強度の判定基準で、2002年制定までは、試験体3本の

 平均強度が設計強度を上回り、1本当たりの強度は85%以上との判定基準

 だと思うのですが、今回の制定では今までの判定基準がなくなり、

 今回の判定基準となるのですか?

 

  また『設計基準強度を下回る確立が5%以下であることを、適当な生産者

 危険率で推定できること』との文章をもう少し詳しく教えていただきたい

 のです。例えば、『適当な生産者危険率』とはプラント側のことを示している

 のか?危険率の推定とはどのような判断になるのか?

 またコンクリート打設回数が20回未満の場合、全ての試験体の強度が

 設計基準を上回らなければいけなくなるのか?

 

まず、水中コンクリートに関する最初のご質問への回答です。

この場合、先組み鉄筋の品質を満足することが所要の条件となります。先組み鉄筋の品質を現場で直接確認することは難しいので、材料、施工に関して各種の条件を満たすことが必要となります。つまり、施工者が資格を有することや使用材料が規格を満たすことが品質を満たすための必要条件となります。例えば、溶接技術者が所定の保有資格(JIS Z 3801「手溶接技術検定における試験方法及び判定基準」)を有していること、使用する溶接棒はJIS Z 2312「高張力鋼用被覆アーク溶接棒」の規格に適合する「低水素系溶接棒」を使用すること、等です。さらには、きちんとした施工管理がなされていることも必要で、例えば、雨天時や気温が5℃以下の場合は溶接を避ける、などの配慮も不可欠です。[施工編:特殊コンクリート]の「13.3.2 工場溶接」および「13.4.4 現場溶接」の【解説】を参照して下さい。

次に、検査標準の圧縮強度に関してですが、まず確認しておきたいのは、供試体3本の平均が1回の試験結果です。供試体1本のデータが1回の試験結果ではありません。

従来からコンクリート標準示方書では、コンクリートの品質としての強度は、設計基準強度を下回る確率が5%以下としています。通常、レディーミクストコンクリートについては、JISA5308の判定基準を満足することで、この土木の判定基準を満足するものと考えております。

また、レディーミクストコンクリートでは、標準偏差があらかじめわかっているため、3回の試験結果の平均値が呼び強度を上回り、1回の試験結果がそれぞれ、呼び強度の85%以上となることを確認できれば、『適当な生産者危険率』については特に考慮する必要はありません。

 

12

粗骨材の最大寸法ですが、今年から最小断面が1000mmかつ鋼材の最小秋およびかぶりの3/4と書かれています。

ご存知かと思いますが、経済性だけでなく耐久性からもそ骨材を大きくすることが有利です。

そこで、今までは部材の最小寸法の1/520cmの場合はできるだけ40mmのそ骨材を使っていました。それができるように御配慮をお願いたしたいです。

 

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問いただきました、p.74の表4.4.1「粗骨材の最大寸法」にございます「最小断面寸法1000mm以上」の記述について訂正とお詫びを申し上げます。

今回、施工標準の4章「配合」では、スランプの規定を大幅に見直したことは、説明会等でご存じのことと思います。その審議の際に、薄い部材ではGmaxを大きくした場合、スランプによっては豆板などが起きやすいのではないかといった指摘もありました。このときの、条文のたたき台の一部が、そのまま最終案に残ってしまいました。

このため、正誤表で「最小断面寸法1000mm以上」の記述を削除する旨を記述し、コンクリート委員会HPでもこの正誤表を公開します。また、増刷分からは、この記述を削除したものを印刷します。ご指摘の点に関しては、このような対応をさせていただきたいと存じます。

皆様方には、大変にご迷惑をおかけする結果になってしまったことを重ね重ねお詫び申し上げます。

 

 

13

2007年制定コンクリート標準示方書(維持管理編)」のアルカリシリカ反応に関する記述について質問させていただきます。

(1)P165『Cコンクリートの残存膨張量』以下の記述で、P166上から8行目に「促進膨張試験」とありますが、これはJCI-DD2、カナダ法、デンマーク法等を総称した呼称であると理解してよろしいのでしょうか。

 

(1)「促進膨脹試験」は誤記で,「促進養生試験」と書くべきところでした。訂正させていただきます.

 

 

(2)P168『Aコアの促進養生試験を用いる方法』の「促進養生試験」という記述は、上記(1)の「促進膨張試験」を指すものと考えてよろしいのでしょうか(その場合、「促進膨張試験」と「促進養生試験」という用語は、どのような観点から使い分ければよいのかご教授いただけないでしょうか)。P165『BコンクリートのASRに対する抵抗性』以下の記述では、「コンクリート試験体による促進養生試験」とあるため、これらの用語がどのように使い分けられているのか混乱してしまいました。

 

(2)「促進養生試験」は,JCIASTMなどで定められている複数の方法の総称として用いています.

 

 

(3)P168『Aコアの促進養生試験を用いる方法』以下の記述で、P168下から4行目に「促進養生試験による膨張量が0.1%以上」とあります。

この膨張量というのは、JCI-DD2でいうところの解放膨張量と残存膨張量の合計(全膨張量)に相当するものであると理解してよろしいのでしょうか。

JCI-DD2では、コアを標準養生したときに生じる膨張を解放膨張、解放膨張終了後の促進養生によって生じる膨張を残存膨張と定義されていますので、示方書の「促進養生試験による膨張量」がJCI-DD2の促進養生による残存膨張量に相当するものを指しているのではないかと混乱してしまいました。

 

(3)促進養生試験による膨張量は,ご指摘の通りJCI-DD2でいうところの全膨張量です.

 

 なお,上記に従い,今後,示方書の関連個所を修正する予定であること,付け加えさせていただきます.

 

14

2002年版コンクリート標準示方書「施工編」42ページにあるひび割れ照査に関する文言に「外気温平衡時温度」の意味を教えて戴きたいと思いますので宜しく願いいたします。

 

このご質問は、2002年版コンクリート標準示方書[施工編]に対するご質問と思います。2007年版では、温度ひび割れに関する検討が設計段階で行われるべきと判断し、[設計編]に記載されていますので、ご参照いただければ幸いです。ご質問の「外気温平衡時温度」は、外気温の変化に対して部材の内部温度がほぼ平衡状態になる時期の温度を意味しています。用語の定義はされていないため、「外気温と平衡状態になるときの部材内部の温度」と記述するべきで、くどくなることから、このような簡略化した表現をしたとご理解ください。なお、厳密には同温度になることはなく、外気温の変化に若干の位相のずれを生じながら部材内部温度は変化しますが、温度応力に対しては、これをほぼ平衡と見なすのが一般的です。

 

 

15

コンクリートライブラリー1292007年版コンクリート標準示方書 改訂資料」のp29(4)式のせん断耐力式(ディープビーム式)は標準示方書本編(設計編)p140の式と違いますが、どちらが正しいのでしょうか

 

示方書本編の式(解9.2.4)は,改訂資料p29の式(4)に,軸力の影響をβnで考慮したものです.示方書本編の式(解9.2.4)を適用してください.なお,軸力が作用していない(βn=1.0)場合,両式は同じとなります.

 

回答ありがとうございます。回答に対して質問があります。

引張力が大きくなり、βn0になった場合には耐力は0となりますが、その場合には、他の評価式を使うなどの方法はあるのでしょうか。

 

 

16

ライブラリーのダム編、改訂資料P-188の図2.3ですが、拘束度マトリクス法及びFEM解析の詳細な解析条件が知りたいのですが、教えていただけるでしょうか?

 

この解析は2つのダムモデルで検討しております。

1つのケースはダム堤高50m程度で、高炉セメントB種を用いて56リフト打設するもの、もう1つはダム堤高10m程度で、中庸熱セメントを用いて10リフト打設するものです。有限要素法では二次元平面応力モデルで、ダム軸直角方向の断面をモデル化し、外部配合(単位セメント量210kg/m3)と内部配合(130kg/m3)を検討対象としました。コンクリート打込み温度は25℃とし、外気温および最終案低温度は18℃としております。拘束体は岩盤を要素でモデル化しました。その他の解析定数は2002年制定コンクリート標準示方書[施工編]に基づいた定数設定をしております。拘束度マトリックス法は一次元解析とし、解析定数は有限要素法と同一として、必要なものを取り出して使用し解析いたしました。

 

 

17

2007年制定 コンクリート標準示方書の説明会が名古屋地区においてありました。新しい示方書の中では、はく落防止に対する記載が付加されており、今後、短繊維を用いたはく落対策コンクリートを、当書籍を参考に打設する計画をしております。そこで、配合設計を実施していく中で、以下の点について、詳しい資料がありましたら、教えていただきたいと思いメールさせていただきました。なお、短繊維を用いたコンクリートの試験練りを、6月上旬に予定しており、お忙しいところすみませんが、可能な範囲で、早期のご返答をお願いいたします。

【内容】

標準示方書(施工編)P270 はく落防止の項

はく落対策効果を確認するための、ハンマーによる打撃試験を例として挙げている。

その中で具体的に、教えていただきたいのが、

@静的破砕材を注入する孔の径および明確な位置・本数(5?)

A供試体に孔は、全貫通させた状態で、注入するのか

B静的破砕材は、いろいろなメーカーが提案している。この試験に用いる破砕材は、どの程度の膨張率の材料を選定すればよいか、または規定を設けるべきか

C打撃回数の比が8程度となる混入率とあるが、8以上という解釈でよいか(例えば、7という結果になった場合、判断が非常に難しいため)

Dその他、試験時に注意すべき事項はあるか

 

JR東日本()の「合成短繊維の添加による剥落防止効果(打撃試験)および分散性確認方法」を添付(別紙PDF資料あり)いたします。示方書はその別紙(PDF資料)を参考にして記述したものです。したがって、以下の回答となります。

@添付の資料に詳細が記述されています。本数は5本です。

A全貫通させた状態で注入します。

B膨張率で200μ以上としています。

C8以上と解釈して下さい。

D添付の資料を御読み下さい。

 

 

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コンクリート標準示方書施工編、第5章の最後のページに記載してある、「施工時強度」型枠・支保工の取り外しに必要な圧縮強度参考値についてお聞きいたします。この参考値の基となるものを教えて下さい。

 

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただき

ましてありがとうございます。このご質問は、2002年版コンクリート標準示方書[施工編]に対するご質問と思います。同様の記述は2007年版[施工編:施工標準]の解説 表11.8.1にもございます。

この表に近いものは、既に昭和24年版のコンクリート標準示方書

に出ております。ちなみに昭和15年版までは、気温と養生日数で

規定していたようです。その後、この表の規定を変えるほどの明確なデータの蓄積がなく、ずっと継続してきたというのが正直なところです。従いまして、現状では、どういう経緯で定まったのかは明確には判りません。

昭和24年版等の古い示方書の同表には少し解説がございます。土木学会のデジタルアーカイブスから閲覧可能ですので、それを参考にされてはいかがかと存じます。

 

 

19

コンクリートライブラリー129 「2007年版コンクリート標準示方書改訂資料」の「100ページ図5.11.1環境区分」において、「H.W.L朔望平均干潮面」となっておりますが、「干潮」ではなくて「満潮」ではないでしょうか?

 

コンクリートライブラリー129について、ご指摘をいただきまして

ありがとうございます。ご指摘いただきました部分につきましては、ご指摘の通り、記述の間違いでございます。既に、この点につきましては、正誤表を整えHPで公開する予定にしております。また、増刷分につきましては、修正の上印刷にかける予定でございます。関係各位にはご迷惑をおかけしましたこと、深謝いたします。今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

 

 

20

コンクリート示方書(施工編)の施工の章で管内圧力損失と吐出量の関係のグラフがありますが、

記載されているスランプ以外のコンクリートと管径と吐出量の関係が知りたいのですが、

このことが記載されている書簡等ありましたら、教えてください。

 

示方書(施工編)では、施工標準としてポンプ圧送を示しています関係で、あらゆる条件での管内圧力損失を示していません。これに対して、土木学会では、コンクリートライブラリー100号「コンクリートポンプ施工指針」を刊行しています。ポンプ圧送技術の詳細については、これをご参考にしていただければ幸いです。

なお、そのほかの刊行物として、日本建築学会「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」、日本コンクリート工学協会編「コンクリートポンプ施工技術調査委員会報告書」などがあります。

 

21

こちらの職場で、土木工事の中間や完了検査を担当しています。

近い時期に職場の研修会があり、講師として工事の品質管理や施工管理の留意点を説明することになっております。コンクリートは、土木工事の主体ですので遵守しなければならない項目も多岐にわたります。仕事上、土木屋としても「バイブル」のように使い、説明しています。

そこで、基本的なことで恐縮ですが、知識として理解しておきたいので次のことで教えていただければ幸いです。

@記載内容は、根拠は実験とか試験で決められた数値なのでしょうか。

 ・P118 打ち込み・・・「たとえば、外気温が25℃を超える・・・許容打ち重ね時間、2.0時間」

 ・P119  1層の打設高さ・・「内部振動機の性能を考慮して4050cm」・・もし、内部振動機が縦長で、性能を満たせば、50cm以上もありでしょうか。

 ・P120  締め固め・・「挿入間隔 50cm以下」 「振動時間 515秒」

 ・P120  打ちあがり速度・・「30分につき11.5m

A日平均気温は、工事現場で「自記記録計」などで測定するという、理解でよろしいでしょうか。

Bこれは、示方書の内容ではないのですが、水平打継ぎ目はレイタンスを取り除いて、十分吸湿してから打ち込み・・・とありますが、レイタンスを固める処理剤を使う例が増えています。コアを抜いて、打継ぎ部のコンクリート引張強度を試験した機関は、ありますでしょうか。筑波の土木研究所に聞いたほうがよろしいでしょうか。

 

以上三点です。お忙しいとは存じますが、よろしくお願いいたします。

 

追伸・・いつも、図書館のライブラリーで、ビデオをお借りし研修に活用しています。

@示方書の施工標準に示されている標準値の根拠

示方書施工標準に示されている諸値は、実験結果をもとに提出された論文や報告を基にし、示方書の見直しのたびに委員会で学識経験者と実務者のなかで審議し、決定しています。実験をもとにしている場合が多いのですが、経験的、理論的な考えによるところがあります。

118頁 打重ね許容時間について

⇒凝結試験と、打継ぎの性能を確認した複数の実験報告を参考にしています。

119頁 1層の厚さについて

⇒振動機の振動部分が50cm程度であることのほか、コンクリートの流動に伴う横移動時の材料分離(骨材が沈み、モルタルが先行する)を抑制するために高さを抑えるための標準値です。振動機が満遍なく締固めをでき、流動しても分離しにくいコンクリートとなるように配合を検討しているのであれば、50cmにこだわる必要はありません。この値は、経験的な数値です。

120頁 内部振動機の挿入間隔

⇒振動機の振動はビンガム流体であるコンクリート内部では伝わりにくく、振動の及ぶ範囲を考慮して、50cm程度以下としています。実験と経験を考慮した数値です。振動時間は515秒としていますが、これは経験的な数値です。コンクリートの軟らかさに応じて、感覚的に現場で判断するべき数値です。

120頁 打ちあがり高さについて

⇒断面が薄い壁状構造物のように、コンクリートの施工される面積により、打上がり高さが大きくなる場合があります。急速の打込むと側圧が大きくなります。経験的な値を超えると、想定外の側圧で型枠が解体する恐れがあるために示している値です。その準備ができていれば、これにこだわる必要はありません。

また、あまり早い打ちあがりの場合は、型枠内で高さの異なる状況をつくることになり、コンクリートが横方向に流動して材料分離を生じる要因をつくることになります。そのため、急速な打上がり高さをさせないための標準値を示しています。

A日平均気温の確認方法

暑中コンクリートや寒中コンクリートで、日平均気温による対応をするように示していますが、これらは目安に過ぎません。それぞれの現場で確認する必要はなく、現場の近くの気象データから判断し、そろそろ準備をする必要があると感じてもらうための値です。最近の異常気象などでは、この数値に拘らない方がいい場合もあるかも知れません。

B水平打継目のレイタンス処理について

打継ぎ面が平坦であると大きなせん断力が働いたときに抵抗できません。そのため、打継ぎ面は骨材の頭が見えるまで洗い出しをすることと、脆弱層であるレイタンスを除去することが勧められています。レイタンスの処理剤はこのうちの後者の目的の材料です。鉄筋コンクリート構造で、前者の必要がない場合には使えます。この材料の評価は、メーカーの試験結果(技術資料)やユーザーの確認実験データ(文献)を参考にすることができます。なお、打継ぎ面に大きなせん断力が作用する可能性がある場合は、設計段階でせん断キーなどを設けることが示されています。

 

22

今朝、TVニュースやインターネットのニュースに「神奈川県の生コン会社で、違反原料溶融スラグ混入」の記事が出ていましたので、溶融スラグについて調べました。その結果、一般廃棄物や、下水道汚泥を原料とする溶融スラグはJIS化されていること、産業廃棄物を原料とする溶融スラグはJIS化されていないことがわかりました。

更に、2007年度制定のコンクリート標準示方書(土木学会)を調べたところ、骨材の箇所で溶融スラグの記述はありませんでした。そこで、なで、一般廃棄物や、下水道汚泥を原料とする溶融スラグの記述が記載されなかったのか教えていただけませんでしょうか。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。

ご質問のことですが、コンクリート標準示方書では新しい材料や工法につきましては、それらが出てきたときに、直ちに示方書に取り入れるのではなく、ある程度普及したり、普及の目途がついたものを取り入れる方針をとっております。これは、コンクリート標準示方書が汎用的に広く使われるため、リスクの大きなものを取り上げるのはふさわしくないと考えているためです。

通常、コンクリート委員会では、新しい材料や工法が出てきたときには、将来性がありそうなものや普及を促進すべきと判断したものについては、指針やマニュアルを作成し、コンクリートライブラリーとして刊行しております。そして、その中から一般化したものについて、示方書に取り入れております。

例えば、JIS A 5011に示されたいくつかのスラグ骨材を、今回新たに示方書に取り入れました。これらにつきましては、JIS化とコンクリートライブラリーの指針作成の後、かなりの時間をおいて、示方書に取り入れております。(例えば、フェロニッケルスラグ細骨材のJIS化は1992年、土木学会の指針化は1998年)

ご指摘の溶融スラグ骨材は、確かにJIS化されておりますが、利用実績も乏しく、また、土木学会としては、指針類も整備しておりません。このため、今回の示方書改訂では、記述するに至っておりません。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

 

23

2007年制定 コンクリート標準示方書[施工編]P74 表4.4.1の解釈について、教えて下さい。

構造物の最小断面寸法が1000mm未満(1m未満)であれば、鉄筋コンクリート無筋コンクリートを問わず、粗骨材の最大寸法は、20mmまたは25mmにしなければならないということでしょうか?

それとも、鉄筋コンクリートについてでしょうか?

【解説】の文末3行には、無筋コンクリートは、一般的に40mm程度のものが多く用いれれていると記載されているので、鉄筋コンクリートについての表現だと思ったのですが。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。

p.74の表4.4.1「粗骨材の最大寸法」にございます「最小断面寸法1000mm以上」の記述について訂正とお詫びを申し上げます。

今回、施工標準の4章「配合」では、スランプの規定を大幅に見直したことは、説明会等でご存じのことと思います。その審議の際に、薄い部材ではGmaxを大きくした場合、スランプによっては豆板などが起きやすいのではないかといった指摘もありました。このときの、条文のたたき台の一部が、そのまま最終案に残ってしまいました。

このため、正誤表で「最小断面寸法1000mm以上」の記述を削除する旨を記述し、コンクリート委員会HPでもこの正誤表を公開しております。また、増刷分からは、この記述を削除したものを印刷しております。

 皆様方には、大変にご迷惑をおかけする結果になってしまったことを重ね重ねお詫び申し上げます。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

 

24

コンクリート示方書における責任技術者の内容等についてご教授願居ます。

 2007年制定版において、計画、設計、施工、維持管理にあたっては、責任技術者を発注者と受注者側のそれぞれの組織に配置することが記述されましたが、

 Q1:これは、今回改訂から新たな運用となったものか?

 Q2:本記述がなされたことにより、責任技術者の配置をどこまで縛るものか?絶対に必要となるものか?

 Q3:これは、コンクリート配合設計以外に関するコンクリート構造物としての詳細設計や詳細計画にも携わることとなるのか?

 Q4:「責任技術者を組織の中で配置できない場合は、技術的に同等の能力を有する代行者を配置してもよい。」とあるが、同等の能力を有する代行者とは何か?

ご質問にお答えします。

Q1)過去のコンクリート標準示方書において、責任技術者に言及した記述が行われた経緯はありますが、責任技術者の役割を明らかにし、発注者と受注者の両者に配置すると明記したのは今回の改訂が初めてです。

Q2)コンクリート標準示方書は、構造物の信頼性確保のための、責任技術者の必要性を述べているものです。土木学会としての考えを理解していただいた上で、現実的にはコンクリート構造物の建設に関わる組織の規模、構造物の重要性などにより個々の技術基準において責任技術者の配置の必要性が検討されことになると考えます。

Q3)責任技術者の業務範囲は計画、設計、施工、維持管理のコンクリート構造物のライフサイクル全般に亘ると考えます。

Q4)技術的に同等の能力を有する代行者とは、責任技術者が所掌する業務に対応できるだけの経験・知識を有するもので、コンクリート標準示方書では、必要な技術的能力を示す公的資格として土木学会認定資格「特別上級技術者」,「上級技術者」を挙げています。例えば、必要な資格を有するコンサルタント会社の技術者などが該当します。

 

25

コンクリート標準示方書[施工編]P.744.4.1粗骨材の最大寸法(3)に記載されている表によると、部材寸法が1000mm未満であれば、粗骨材の最大寸法は20mmまたは25mmにすることが標準であると読み取れますが、無筋コンクリートの場合であってもそのように考えるべきなのでしょうか。また、部材寸法を1000mmで区分したのは、実績や経験に基づく数値なのでしょうか。ご教示頂きたくお願い致します。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。

p.74の表4.4.1「粗骨材の最大寸法」にございます「最小断面寸法1000mm以上」の記述について訂正とお詫びを申し上げます。

今回、施工標準の4章「配合」では、スランプの規定を大幅に見直したことは、説明会等でご存じのことと思います。その審議の際に、薄い部材ではGmaxを大きくした場合、スランプによっては豆板などが起きやすいのではないかといった指摘もありました。このときの、条文のたたき台の一部が、そのまま最終案に残ってしまいました。

このため、正誤表で「最小断面寸法1000mm以上」の記述を削除する旨を記述し、コンクリート委員会HPでもこの正誤表を公開しております。また、増刷分からは、この記述を削除したものを印刷しております。

 皆様方には、大変にご迷惑をおかけする結果になってしまったことを重ね重ねお詫び申し上げます。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

 

26

施工標準の第8章の「8.2 湿潤養生」の解説及び第11章の「11.8 型枠および支保工のとりはずし」の解説に「表8.4.1」と記載されていますが、これは「表8.2.1」の誤りかと思います。

ご指摘いただきました部分につきましては、ご指摘の通り、

記述の間違いでございます。

 正誤表を準備するとともに、今後の増刷分につきましては、

修正の上印刷にかける予定でございます。

 関係各位にはご迷惑をおかけしましたこと、深謝いたします。

 

27

コンクリート標準示方書の内容について質問させて頂きます。

1、設計偏 185ページの12.3収縮に伴うひび割れの照査について、

【解説】の中段より下方に「構造物の所要の性能に影響しないことを

設計段階で確認しておくことが望ましい」とありますが、この設計段階は、コンクリートの配合設計段階なのか、構造物の設計段階なのか教えてください。

 

2、施工編 130131ページの9.2打継目について、「せん断力が大きい位置に打継目を設ける場合には、ほぞまたはさし筋で補強・・・・

とあり、これらの対策は設計で照査したうえで実施」となっていますが

このことは、一般的に無筋構造物の事でしょうか?過去に鉄筋構造物で打継部に補強の鉄筋やほぞを設けた事はありません。また、補強の鉄筋を設けたとしても、少量の鉄筋で対処できるため鉄筋構造物には該当しないように思いました。

以上2項目について、回答をよろしくお願いいたします。

1.構造物の設計段階です。

示方書では構造物の設計段階、すなわち構造物の断面形状、使用材料、配筋を設定し、それによって実現される構造物の安全性や使用性等の性能が必要とされる水準を満足するかどうかを照査する段階において、初期ひび割れに関しても検討を行うこととしています。これは、収縮ひび割れに関しては、コンクリートの収縮特性を設定し、そのコンクリートを用いて打設した構造物にひび割れが生じるかどうかを、応力解析に基づく収縮ひび割れ予測や、実験、実績などの手段により確認することを意味しています。

 コンクリートの配合設計段階では、上記の設計段階で設定した収縮特性を満足するコンクリートを実現するように配合設計を行なうことが求められます。

 

2. コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきまして誠にありがとうございます。

ご質問に回答します。

この解説文は、無筋だけを対象としたものではありません。鉄筋コンクリートを主たる対象としております。また、文章をよく読んでいただくとわかりますように、「やむを得ず、せん断力が大きい位置に打継目を設ける場合には、せん断力に対して、ほぞまたは溝の凸凹に……方法などの対策を講じることがある。」としております。あくまでも「講じることがある」であり、このような対策を講じることが一般的であるとは、決して言っておりません。小規模の構造物ではこのような対策を実施しないのが普通ですが、大規模構造物などではまれに実施することがあるため、このような記述となっております。

 

 今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。9/29回答済み)

 

28

 

 

コンクリート標準仕方書 施工編(2002年制定)

10章施工 10.3.3打込み(P118

(4)一区画内のコンクリートは、打込みが完了するまで連続して打ち込まなければならない。

(6)コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合、上層のコンクリートの打込みは、下層のコンクリートが固まり始める前に行い、上層と下層が一体となるように施工するのを原則とする。また、コールドジョイントが発生しないよう、一施工区画の面積、コンクリートの供給能力、許容打重ね時間間隔等を定めなければならない。許容打重ね時間間隔は、表10.3.1を標準とする。

         表10.3.1 許容打重ね時間間隔の標準

 

外気温

許容打重ね時間間隔

25℃を超える

2.0時間

25℃以下

2.5時間

 

 

 

 

1.上記(4)において、連続して打ち込むこととしておりますが、(6)では許容できる時間として2.0時間、2.5時間を標準としております。

2.0時間という間隔は、一般的に「連続して」の範囲を超えているのではないかと思われますが、(4)と(6)の解釈について、教えて頂けないでしょうか。

@(4)の「一区画内」とは、2層以上に分ける場合を含む1リフト内と考えてよいでしょうか。

A(4)「連続して」の望ましい時間間隔(早いほどよいとは思いますが)。

及びその理由(逆に言うと連続しなければコンクリートの性状としてどうなるのか)

次ページに解説がありますが、時間的な根拠があればお願いします。

B25℃以下であれば2.0時間未満であれば連続していると解釈して問題ないでしょうか。

  C(6)の2.0時間、2.5時間を標準としている根拠となる資料がございましたら、教えて頂けないでしょうか。

以上、恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。2002年版へのご質問ですが、2007年版では「施工標準」の7.4.2に同様の記述があります。

 

@ そうです。ただし、2007年版では、ご指摘のような疑問を生じないように「一区画内」の表現を削除しております。その代わり「計画した打継目以外では、コンクリートの打込みが完了するまで連続して打ち込まなければならない。」という表現にしております。

A まず、条文(4)と条文(6)は関連していますが、基本的にはそれぞれに別のことを記述しています。条文(4)の「連続して」という表現と、条文(6)の「許容打重ね時間間隔」の数値とは直接的には対応していない点だけは十分にご理解いただきたいと思います。条文の「連続して」という表現が意味するところは、「計画した以外の場所に打継ぎ目が生じない」ように「打込みを中断しない」ということです。

  条文(6)は2層以上に分けて打ち込む場合の各層の一体性の確保についての記述です。コールドジョイントを防ぐための留意事項として、打重ね時間間隔の標準的な数値が示されています。

打重ねが不適切でコールドジョイントが発生すると、計画以外の打継ぎ目ができてしますことになりますが、「連続して」打ち込むという意味と「許容打重ね時間間隔」時間の数値は直接対応するものではありません。ダムを代表とするような大型のマスコンの施工計画を立てる際には、許容される打重ね時間間隔を守りながら、いかに連続して多くのコンクリートを打ち込むように計画できるかが、全体の施工合理化に大きく影響することはご存じのことと思います。もちろん、ダムの場合は、許容される打重ね時間間隔、はここで示された「許容打重ね時間間隔」とは異なる時間を取っている場合が多いですが。

 なお、条文(6)については、2007年版では「なお,上層のコンクリートを打ち込む際には,7.5(4)にしたがい,下層に対しても内部振動機を挿入し,締め固めなければならない.」という文章を追加し、より一体性を高める配慮を行っています。

B 通常の条件では、そう解釈してよいと思います。

C       この時間を示したのは、コールドジョイントができる可能性を低く抑えることが目的です。セメントの凝結時間、過去の実績、関連する実験結果等を総合的に考察し、それに安全率を見込んで設定しております。

過去には、この時間的根拠に関する、たくさんの実験がなされております。まとまった情報としては、土木学会コンクリートライブラリー103「コンクリート構造物のコールドジョイント問題と対策」等が参考になります。(もし、砂防ダムを検討されているのなら、ダム関係のデータは膨大にあります)

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

(9/30回答済み)

 

29

これまではコンクリートの品質に関して、港湾の施設の技術上の基準・同解説にて記載されていましたが、基準改訂にてスランプ値等の記載がなくなりました。

 コンクリート標準示方書より、各種施工条件を考慮して設定が可能となった反面、個人差による判断の相違等、統一性がとれないのではといった懸念もあります。

 スランプ値の記載内容は鉄筋コンクリートであり、無筋コンクリートの場合についてはどのような考えになるのでしょうか?

 耐久性に応じた設定、例えば、単位セメント量を決めることで、スランプ値を設定することはできるのでしょうか?

 「施工性能にもとづくコンクリートの配合設計・施工指針(案)」(手元にないのですが)にて、詳細な考え方が記載されているのでしょうか?

 

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

まず、最初のご指摘の「個人差による判断の相違等、統一性がとれない」というのは、港湾の施設の技術上の基準・同解説の改訂のことでしょうか。もし、コンクリート標準示方書施工編の内容のことであれば、ご指摘は逆だと思います。2002年版まではスランプの標準値をひとつの表で示していました。個人の判断の相違よる差は、今回の改訂で具体的な区分を多く示したことで、少なくなったと考えております。

なお、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。絶対的な仕様を決めるような意図はもっておりません。まして、各現場で使用されるコンクリートの個別の仕様までを規定することは想定しておりません。それは、各現場の状況をよく知っている現場技術者の仕事です。従いまして、現場ごとに差が出るのは当然のことと考えております。

 

 無筋コンクリートの場合は、対象となる構造物がダムのようなものから、無筋の側溝のようなものまでございますので、断面寸法や打設方法、運搬方法などに応じて適切なスランプを決める必要があります。

 

 3番目のご質問は、無筋コンクリートの配合のことでしょうか。無筋であっても、配合は強度、耐久性、施工性から決まりますので、4章に示した手順と基本的には変わりません。

 

「施工性能にもとづくコンクリートの配合設計・施工指針(案)」は、基本的には鉄筋コンクリートを対象としております。無筋を意識した記述はございませんが、考え方は共通です。配合の考え方については、より詳細な記述がございます。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。

(9/30回答済み)

 

30

2007コンクリート標準示方書(設計編)において「15.5耐久性に関する照査」で腐食性環境等ではPC構造を適用する場合についても、プラスチック製シースを用いることを推奨されています。一方、2007年版コンクリート標準示方書改訂資料P58では、図14.1のように塩化物イオン濃度分布曲線のように、シース部では、腐食発生限界濃度を超えることはないと思われ、このような場合は腐食に対する照査を省略してもよいこととなっています。このようなケースで考えると、シースをプラスチック製にしなくてもよい気がしますが、それでもプラスチック製シースが良いのでしょうか。また、その理由もお聞かせ願います。

先般、設計編のプラスチックシースの適用についてお伺いしているところですが、もう一点下記についてもご教授願います。

 設計編の15.5耐久性に関する照査では、PRC構造の場合は、プラスチックシースを原則とされており、PC構造については推奨という説明になっております。ところが、施工編12章プレストレストコンクリート12.4.3シースでは、構造の説明なく塩害対策等要求する場合は、プラスチック製シースを原則とされております。PC構造の場合も「原則」という方に見れますが、どちらでしょうか。

 

コンクリート標準示方書2007年版に関するご指摘をいただき、

ありがとうございます。

ご指摘にように、設計編15.5と施工編特殊コン12.4.3で、プラス

チック製シースの採用に関する記述で、微妙に整合していない

ところがございます。

コンクリート標準示方書を改訂する際の議論といたしましては、

塩害地域などでPC構造を採用する場合には、積極的に2重、

3重のPC鋼材の腐食抑制対策を講じる方が良く、また一般

環境でも鋼材腐食の防護に効果的なプラスチックシースを

推奨しようという、意見が大半を占めました。

これは、PC鋼材の腐食は、PC構造物にとって致命的な

損傷となること、塩化物イオン浸透の予測にはバラツキが

大きいこと、PCグラウトの施工に対する信頼性が必ずしも十分で

ないこと、設計耐用年数経過後も橋梁を供用することが

ほとんどであると予想されること、などを考慮したものです。

このため、厳しい腐食環境では、PC鋼材を保護するために、

プラスチック製シースを採用していくことを、積極的に推奨し、

今後は「原則」に統一していきたいと考えております。

皆様方には、大変に判断に迷う記述をしてしまいましたことを

お詫び申し上げます。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと

存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡

下さいますよう、お願い申し上げます。(9/24回答済み)

 

31

質問:

2007年制定 コンクリート標準示方書【設計編】

p363に間違いがあるようなのでご確認下さい。

 (3) (2)の条件の両方が

 (3) (1)の条件の両方が

p364【解説】の中身が2002版を流用しているせいか、番号と本文の整合がとれていません。

 (1)について  これは不要では?全体にかかっている。

 () (2)の間違い?

 ) (3)の間違い?

 ) (6)の間違い?

 ) (7)の間違い?

以上、ご確認よろしくお願いします。

 

ご指摘を頂きありがとうございました.ご指摘の通り,記述の誤りでした.この点につきましては、正誤表を整えHPで公開いたします.9/3回答済み)

 

32

質問:2007年制定 コンクリート標準示方書【設計編】に関し、下記の質問があります。

お手数ですが、ご回答の上、ご指導願います。

Q1. p.363 6.2 軸方向鉄筋の継手 (1)

「配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上」とは、継手ラップ部の鉄筋量は無視した鉄筋量のことを指すのでしょうか?

 あるいは、継手ラップ部の鉄筋量を考慮するのでしょうか?同径以上の鉄筋同士で重ね継手を行えば、見かけの鉄筋量は2倍以上になりますが、そのこと言っているのでしょうか?

Q2. p.363 6.2 軸方向鉄筋の継手 (1)

「配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上」でいう必要な鉄筋量は、断面が決定する限界状態での鉄筋量を指すのでしょうか?

Q3. p.363 6.2 軸方向鉄筋の継手 (2)

いも継手はではないが、継手位置を鉄筋直径の25倍を加えた長さ以上確保できない場合は、重ね合わせ長さは基本定着長Ld1.3倍以上とすればよいでしょうか?(計算上必要な鉄筋量の2倍以上確保された場合)

Q4. p.194 13.6.2 標準フック

“半円形フック”および“鋭角フック”の形状について。

鉄筋の曲げ内半径は同じですが、フック長は道路橋示方書のものより小さい値となっています。どのように取り扱ったらよいでしょうか?フック形状の根拠、経緯を教えて下さい。

Q1への回答:「配置する鉄筋量」とは当然のことながら設計で考慮することができる鉄筋量を指します.重ね継手部のある断面を取り出して単純に計算される鉄筋量のことではありません.ご質問で言う,見かけの鉄筋量ではありませんので,ご注意下さい.

 

Q2への回答:設計計算で必要となる鉄筋を指しています.従って,一般には,断面が決定する限界状態での鉄筋量となります.

 

Q3への回答:(1)の条件の一方が満足されないという意味でしたら,そのとおりです.しかし,いずれの条件も満足するように配筋を行なうのが原則ですので,ご注意ください.

 

Q4への回答:フックの形状は,従来と変更しておりません.

 

9/29回答済み)

 

33

質問:コンクリート標準示方書【維持管理編】に関するご質問

2007年に改訂されましたコンクリート標準示方書【維持管理編】につきましてご質問させて戴きます。
P98
にある解説 9.4.1 構造物の外観上のグレードと対策について、V(劣化期)が全て空欄となっていますが、これは誤りでしょうか?取り扱いについて教えてください。
よろしくお願い致します。

 

先日、P98にある解説表9.4.1についてご質問させて戴いたのですが、これとは別にグレードと対策に関する一連の表についてご質問させて戴きます。
解説表9.4.110.4.1などでは、予防的に実施される対策は○**で表記されておりますが、解説表14.4.1では(○)で表記されております。解説表11.4.1では、(○)について特記されておらず、おそらく予防的な対策を解釈しているのですが、解説表9.4.111.4.1などの()の取り扱いについて教えて戴ければと思います。
よろしくお願い致します。

平素は,土木学会にお力添えいただきありがとうございます.

 さて,改訂されましたコンクリート標準示方書(維持管理編)に対するご質問に対し,以下に回答させていただきます.なお,今回ご質問いただきました内容の多くは,改訂の際の校正ミスによるものです.この点につきましては,今後このようなことがないようにするとともに,早速,訂正

 について周知いたしますので,御容赦ください.

土木構造物において中性化が単独で生じる場合には,劣化期になることはほとんど考えられないため,今回の改訂では,外観上のグレードで判断する場合の参考となる表9.4.1中には,あえて,対策を明記しないことにしました.これは,中性化に対してあまりにも過剰な対応を強いる可能性があることを考慮したことによります.ただし,空欄として残したために,混乱と誤解を招くことになったと思います.     たとえば,「V劣化期」の各欄に「ー」をいれ,欄外にその説明を注釈として説明すべきでした.

 

解説表14.4.1の補修の項にある「(○)」はご指摘の通り,     「○**」に統一すべき個所でした.2001年版の記述がそのまま残ってしまいました.校正ミスです.なお,解説表11.4.1

および解説表16.4.1にも同様に記述がみられます.統一が図られておらず申し訳ございませんでした.

また,解説表11.4.1では,点検強化にも「(○)」があります    が,これは,単に「○」です.

 

解説表9.4.111.4.1などの()の取り扱いについても校正時のチェックミスで( )を付ける必要はありませんので,外してください.

また,解説表11.4.1には,「※」の説明もありませんでした.これも,付け忘れですので,「※:外観上のグレード以外の基準により実施される対策」を加える必要があります.

なお,この件に関連して,解説 14.4.1の脚注で,「※」とすべきところが「*」となっています.これも校正ミスです.申し訳ございませんでした.2008/11/11回答済み)

 

34

質問: コンクリート標準示方書「施工編」2007年度版 14章 工場製品 のP428、14.5.2(2)の解説にある、プラスチックスペーサの使用時の選定条件の一つに、熱膨張係数ができるだけ小く・・がありますが、プラスチックスペーサのJISにも規格値がなく、メーカーも管理項目に無いため、膨張係数の範囲についてハッキリとした結論が頂けない状況です。

ご質問の内容は、プラスチックスペーサの熱膨張係数の規格値、管理範囲等についてご指導お願い致します。また付随した事項等ございましたら、併せてご指導お願い致します。  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

コンクリート製およびモルタル製のスペーサ以外のスペーサとしては、プラスチック製、セラミック製、鋼製などがあり、プラスチック製のスペーサがもっとも一般的に用いられています。

プラスチックには非常に多くの種類がありますが、プラスチックスペーサに用いられているものは、JIS A 5390「鉄筋コンクリート製品用プラスチックスペーサ」にも示されていますように、熱可塑性のポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)が一般的です。熱膨張係数は、ポリプロピレン(PP)で110×106/℃ 程度、ポリエチレン(PE)では密度によって相違しますが、100×106/℃〜180×106/℃ 程度で、中密度ポリエチレン(PE)では110×106/℃〜130×106/℃ 程度です。ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)はコンクリートに比較して熱膨張係数が一桁大きな材料といえます。

ご質問にありますように、JIS A 5390「鉄筋コンクリート製品用プラスチックスペーサ」において、熱膨張係数の規格値はありません。したがって管理範囲等についても規定されていないのが実情です。スペーサの材料選定時に、これらのプラスチック材料の熱膨張係数を自由に設定することは難しいです。

スペーサはコンクリート中に設置されたときには、コンクリートと一体となって挙動するために、その熱膨張係数はコンクリートの熱膨張係数(10×106/℃程度)とできるだけ相違しないことが望ましいです。しかし、上述のようにプラスチックは熱膨張係数が大きく、もしこれらが大きな固まりとしてコンクリート中に置かれると、悪影響が生じることが懸念されます。さらに、プラスチックはコンクリートとの付着強度が小さく、広い面積を有すると、ひび割れと類似の有害な影響が出てくる可能性があります。このため、スペーサ断面内の空間(開孔率)の増加、形状の工夫などによって耐久性に悪影響を及ぼさないよう配慮されています。

有害な影響が出るかどうかは、製品の種類、スペーサの材質や形状、鉄筋やスペーサの大きさ、使用されるコンクリートの強度や配合、養生条件、使用環境など、様々な影響を受けると考えられます。このため、一律に熱膨張係数の規格値を決めるのも問題です。こうしたことから、p.42914.5.2解説(2)では、「悪影響を及ぼさないことを使用実績などから確認しても用いるものとする」としております。

JISで規格化されたスペーサは、使用実績などから見て、通常の使用条件では耐久性に悪影響を及ぼさないことが確認されていると判断してもよいと思われます。

ちなみに、JIS A 5362「プレキャストコンクリート製品−要求性能とその照査方法」でも、耐久性をはじめとする性能項目について、「実績による照査」も照査方法として認めております。もしこれまでに、十分な使用実績があり、特に問題が報告されていなければ、実績によって問題ないことが証明されていると考えてよろしいのではないでしょうか。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2008/10/7回答済み)

 

35

質問:コンクリート標準示方書 設計編における平成8年度版の許容支圧応力度の算定式では、全面載荷及び局部載荷を受ける場合、に分かれており、局部載荷の場合は、係数が最大でも 0.5以下まででありました。しかし、2007年度版の示方書では全面載荷及び局部載荷の区分はなく支圧強度は設計基準強度の2倍以下とされています。これらの値の差は大きく、どのような経緯で変わっていったのか、お知らせいただきたく お願い申し上げます。

ご指摘の許容支圧応力度は,従来の許容応力度法(昭和時代からの標準示方書) 

と値は,変更しておりません.

また,2007年版における支圧強度は,昭和61年版の限界状態設計法を用いた標

準示方書から踏襲されているもので,今回の改訂で変更したものではありません.

 

これらの値の違いは,前者は許容応力度設計法における許容値であり,その許

容値には,安全率3程度を確保した値として示されています.

一方,後者の値は,限界状態設計法における設計値ですので,安全率は1に近

い値として示されています.

したがって,両者の値の大小を直接比較することは不適切ですので,設計法の

違いによるものであるとお考え下さい.

また,許容応力度として,示方書に記載されている支圧強度を用いることは誤

りとなりますので,ご注意ください.2008/11/5回答済み)

 

36

質問:コンクリート標準仕方書2007[施工編]の内容について質問がありますので、ご教示願います。

 質問箇所:第12章寒中コンクリート 12.6養生

1.表12.6.1において「(1)連続して、あるいはしばしば水で飽和される場合」とはどのような状態を指すのですか。

 @施工完成後に水没する構造物(例:水路の底版、堰の床版・エプロン、河川護床等)

  A設計強度が確保される以前に水没する構造物

 B寒中コンクリートの条件下で養生後すぐに水没させる必要がある構造物

 2.表12.6.1の「薄い場合」、「普通の場合」、「厚い場合」の「厚さの定義」はありますか。

 3.解説(3)の最後に「なお、湿潤状態に保つ養生期間は8.2を満足しなければならない。」とありますが、給熱・保温終了後は散水等によりコンクリート表面水が凍結した状態でも構わない(給熱、保温等は必要ない。)ということでよろしいでしょうか。

  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

1.

ここでは、養生修了後、特に直後に、凍結融解にどれだけ曝されるかが問題になると思われます。例示されているBのように、養生直後に水没するような構造物は、水没後は凍結することは希だと考えられますし、水質にもよりますが、普通は水没そのものが湿潤養生に相当すると考えられますので、養生期間はほとんど気にすることはないと思われます。

問題なのは、@やAのように、養生修了後、水没するまでに時間がある場合です。寒冷な常態に曝され、しかも水が供給されて凍結するような場合には、「(1)連続して、あるいはしばしば水で飽和される場合」と解釈すべきと思われます。

 

2.

寒中コンクリートの養生に関します、断面が「薄い場合」「普通の場合」「厚い場合」については、明確な線引きはできません。解説にも記述されていますように、いろいろな条件によって、養生終了時の所要圧縮強度は変化すると考えられます。断面厚さもそれに影響する要因のひとつです。

例えば、断面厚さの概ねの目安としての分類は、次のようなものが考えられます。

断面の薄い場合: 20cm〜30cm程度以下

断面の厚い場合: 90cm〜100cm程度以上

普通の場合  : 上記の中間程度

 

3.

 養生とは「コンクリートに所要に性能を発揮させるため,打込み直後の一定期間,適切な温度と湿度を保つと同時に,有害な作用から保護する行為又は処置」(JIS A 0203「コンクリート用語」番号4600)です。このことは、施工標準8章の8.1の解説にも示されております。従いまして、「湿潤状態に保つ養生期間は8.2を満足しなければならない」には、当然のことながら、有害な作用から保護することも含まれます。養生期間中の凍結はコンクリートに有害な作用を及ぼす危険性が高いので、凍結は避けて湿潤養生を行うのが基本であると考えられます。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2008/11/13回答済み)

 

37

質問:2007年制定コンクリート標準示方書[施工編:施工標準]p.45の「表3.4.1 細骨材の品質」の項目「塩化物(塩化物イオン量)%」について3点質問があります。

 

@ 表では,「JSCE-C 502(海砂の塩化物イオン含有率試験方法(滴定法))により試験をして, 品質は,0.04%以下であること」となっています。また,表下の3)で,「細骨材の絶乾質量に対する百分率であり,NaClに換算した値で示す。」とあります。

 JSCE-C 502では,塩化物イオン含有率(%)が求まりますが,NaClへの換算はどうしたらよいでしょうか。

 

A 「塩化物(塩化物イオン量)%は,NaCl換算で0.04%以下」ということですが,「塩化物イオン含有率(%)では,0.024%以下」と考えてよいでしょうか。

 なお,JISの原子量表(2007年版)では,Cl=35.453Na=22.98976928となっています。有効数字5桁で考えると,NaClの式量=58.443となるので,0.04*35.453/58.4430.024265です。

 

B 試験で,塩化物イオン含有率(%)を求める訳ですが,なぜわざわざNaClに換算する必要があるのでしょうか?例えば,「2.5.3 鋼材を保護する性能」の中で,「練混ぜ時にコンクリート中に含まれる塩化物イオンの総量は,原則として0.30kg/m3以下とする。」とあるので,何か統一が取れていない印象を受けるのですが…。

 

以上3点について回答よろしくお願いいたします。

  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

@ 塩化物イオン含有率(%)からNaCl含有率(%)への換算は、Aで示された手順の逆を行えばよいのではないでしょうか。つまり、58.443/35.453=1.648をかける。

 

A よいと思われます。ただし、実際には測定値や制限値の有効桁数は2桁程度ですので、係数の有効桁数は3桁で十分でしょう。

 

B ご指摘のとおりです。実は、全て「塩化物イオン含有率」や「塩化物イオン含有量」で統一したいのです。しかし、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」の附属書1(規定)「レディーミクストコンクリート用骨材」の「7.砂利及び砂」の品質で、砂の塩化物量が以前からNaClの量で示されているため、現在は示方書もそれに合わせています。

 これには、歴史的経緯がございます。当初、コンクリート中の塩化物イオンが問題になったのは、主に海砂でした。海水中の塩化物イオンはほとんどがNaClの形で存在するため、NaClの量で示しても何ら問題がありませんでした。しかし、フレッシュコンクリート中の塩化物イオンを問題にする場合には、セメントや混和材料からの塩化物イオンもカウントしなければならないため、Clの形で表現する方がよいと考えられます。

 この表現法の統一は、今後の検討課題のひとつです。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2008/11/13回答済み)

 

38

質問:コンクリート標準示方書(施工編)76ページについて質問があります

PC箱桁橋の場合の打込み最小スランプは、表4.4.6を参照すれば良いのでしょうか。 それとも、床版と壁から構成されているので、表4.4.3及び表4.4.5も参照し、これらの中で一番数値の大きいものを採用すれば良いのでしょうか。

 

  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

 一口に「PC箱桁橋」といっても、その大きさや形式、断面内の鋼材の配置などは多様です。示方書の施工標準はあくまでも「標準」を示すものですので、全ての構造物の適正スランプを4.4.2で示した5つの表で限定してしまうのは無理です。その現場の状況に応じて、技術者が適切に判断することが必要です。

 表4.4.6はPC上部工を対象に比較的高強度のコンクリートを対象としたものですので、一般の「PC箱桁橋」などは、これで判断するのがよいと思われます。しかし、桁高の高い断面の場合は、締固め作業高さの点で留意する必要があり、ウエブについては表4.4.5を参照して、場所によりスランプを変えることも検討すべきと考えます。また、スラブ部分が大きい場合も、状況に応じて表4.4.2を参照するべきと考えます。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2008/3/21回答済み)

 

39

質問:コンクリート標準示方書[施工編]への質問について

以下の点についてのご回答願います。

記載箇所

10.9寒中コンクリート10.9.3養生P150

P151 表10.9.1 激しい気性作用を受けるコンクリートの養生終了時の所要圧縮強度の標準

P152 解説 表10.9.1 所要の圧縮強度を得る養生日数の目安における「構造物の露出状態」について

問1 「(1)連続してあるいはしばしば水で飽和される場合」とは、どのような状態の構造物を指すのでしょうか。

問2 「(2)普通の露出状態にあり(1)に属さない場合」とは、どのような状態の構造物を指すのでしょうか。

問3 上記の(1)及び(2)については施工中の構造物に対しての状態を指すのでしょうか。それとも出来形の状態を指すのでしょうか。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。このご質問は、2002年版に関するもののようです。

 

コンクリート標準示方書では、他の章の「構造物の露出常態」という表現では、基本的には供用中の構造物の状態を想定しています。この箇所に限っては養生終了時点から比較的短期の状況が問題となります。つまり、強度が十分に出ていない場合に、水分が十分に供給され、凍結と融解が繰り返すと、構造物に悪影響が出やすくなります。従いまして、問1は水の供給が連続して生じる場合と解釈してください。問2は逆に水の供給があまりないような場合です。問3は養生終了後から強度が十分に出るまでの状態と解釈してください。

 

東北農政局土地改良技術事務所の方からも、2007年版の関連箇所に関する類似のご質問をいただいており、既に回答しております。何か農政局で問題を生じているのでしょうか。以下に、その資料を添付します。参考にしていただけると幸いです。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。(2008/12/16回答済み)

 

40

質問:2007制定 コンクリート標準示方書[施工編:施工標準]

9.3 水平打継目の施工

(2) コンクリートを打ち継ぐ場合には既に打ち込まれたコンクリートの表面のレイタンス、品質の悪いコンクリート、緩んだ骨材粒などを完全に取り除き、十分に吸水させなければならない。

となっておりますが、施工業者さんからコンクリート打継ぎ面処理剤(遅延剤ではなく、レイタンス層を強化する処理剤)の使用について承諾の要望が多くなっております。

 

以前、「2007年制定コンクリート標準示方書」に関する講習会 (主催:土木学会関東支部 群馬会 日時:平成20年12月15日)でその使用について質問させていただいたところ「強度に問題があるため使用しないでください。」と回答をいただきました。

 

時間の関係でそのときは詳細について確認ができなかったため改めて、メールをさせていただきました。ご無理を言って申し訳ありませんがご対応をお願いいたします。

  

ご指摘の件につきましては、施工編の改訂作業の段階で行った関係機関からの意見照会にも、「このような便利な新材料が出てきているので、記述してはどうか」という意見がございました。しかしながら、2007年版では記述を見送った経緯がございます。

 

ご承知のように、示方書[施工編]は一般に広く承認された事項を「標準」として示しております。土木学会コンクリート委員会では、全く新しい材料につきましては研究委員会等で検討し、十分な情報が集まった場合には指針()に盛り込み、世に問い、そこでかなり一般化した段階で示方書に記述するという手順を踏んでおります。見方によると、かなり保守的とも言える手法をとっております。これは、ひとたび「標準」となった場合、現場では何の疑いもなく採用されるためです。

 

ご指摘のような新しい材料は、次々と開発されております。「コンクリート打継ぎ面処理剤」の定義を明確にするのも難しい状況ではないでしょうか。もちろん中には良い材料もあるはずですが、そうでないものも多くあります。現時点で示方書委員会としては、「コンクリート打継ぎ面処理剤」一般の採用の適否に関して、明確な回答をするだけの確固とした情報を有しておりません。良いという研究資料もありますが、使ってみて問題が多い、条件によっては逆効果の場合もある、当面の使用を禁止している施工者もある、というような話も聞こえてきます。

 

現時点で申し上げられるのは、「構造物の種類や継ぎ面の応力条件(せん断が作用するなら凸凹がある方がよい等)、施工の条件等を勘案し、採用する材料が十分な性能を発揮するかどうかを確認して使用するのが良い」ということです。確認の方法としては、製造メーカの資料を検討することがありますが、場合によっては実験を行う必要があるかもしれません。なお、この種の材料は、施工時のコンクリート側の条件(例えばブリーディング特性)や気象条件、当該材料の施工管理、その他の施工条件が、その性能発揮に複雑に、かつ大きく影響しやすいものもあります。したがって、小さなテストピースを用いた室内試験では不十分である場合も多くあるので、実際の施工条件も十分に考慮して検討されるのが良いと考えます。

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2009/1/14回答済み)

 

41

質問:コンクリート標準示方書P.1198.3.7塩害に対する照査におきまして、γcl

「一般に1.3としてよい」とあります。

  一方、コンクリートライブラリー1292007年度版コンクリート標準示方書改訂資

料のP.132(下から5行目)に、γclの説明があり、「一般的には1.0を用いてよいこ

ととした」とあり、異なった数値が示されています。

 

  一般的には示方書に準じて1.3を採用するのが妥当と考えられますが、改訂資料

では1.0とした経緯がありましたらご教授いただきたくお願いいたします。

  以上、よろしくお願いいたします。

  

まず、ご質問の「コンクリート標準示方書P.1198.3.7塩害に対する照査」は示方書

設計編であり、

「コンクリートライブラリー1292007年度版コンクリート標準示方書改訂資料の

P.132」は示方書維持管理編

における記述について解説したものです。

設計編では構造物が作られる前に照査を行うので、照査に必要なかぶりや構造物中の

コンクリートの物性、

環境条件などは未確定です。したがって、これらの不確実性を考慮して照査を行う必

要がありますので、

これをカバーする安全係数γclの一般的な値としてやや大きな1.3を示しています。

一方、維持管理編は既設構造物を対象としたものです。既設構造物ではかぶり、構造

物中のコンクリートの物性、

環境条件などは実測することができます。示方書維持管理編では、定期的に点検を行

い、点検結果をもとに

劣化予測を行うことを原則としています。したがって、既設構造物の劣化予測では、

予測の精度に

関する安全係数は、新設構造物よりも小さい値を用いてよく、一般的な値として1.0

を示しています。

維持管理編の112ページをご参照いただければと思います。

2009/1/30回答済み)

 

42

質問:コンクリート標準示方書(施工編)に記載がある最大粗骨材寸法の取り方について疑問部分があるので教えて頂きたい。「2007版の74頁」

(3)表4.4.1粗骨材の最大寸法によるとの最小断面寸法が1000mm以上かつ

 ・・・の場合40mmとの記載があるのですが、(1)、(2)は、部材最小寸法の

1/5や1/4との記載になっており、その意味(使い分け)あいが解らない。

通常であれば(1)、(2)で読み取れば良いのでは無いかと考えているが、

(3)が標準と書いてあるため悩んでおります。

  

ご質問いただきました、p.74の表4.4.1「粗骨材の最大寸法」にございます

「最小断面寸法1000mm以上」の記述については、すでに昨年、同様のご質問を受け、

以下の対応をしております。

 

正誤表で「最小断面寸法1000mm以上」の記述を削除する旨を記述し、コンクリート委員会HPでもこの正誤表を公開しました。

すでに、増刷分からは、この記述を削除したものを印刷しております。

 

誤記の理由ですが、今回、施工標準の4章「配合」では、スランプの規定を大幅に見直したことは、

説明会等でご存じのことと思います。

その審議の際に、薄い部材ではGmaxを大きくした場合、スランプによっては豆板などが起きやすい

のではないかといった指摘もありました。このときの、条文のたたき台の一部が、

そのまま最終案に残ってしまいました。

 

皆様方には、大変にご迷惑をおかけする結果になってしまった

ことを重ね重ねお詫び申し上げます。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと存じますので、

お気づきの点がございましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。2009/2/3回答済み)

 

43

質問:○2007年版のコンクリート標準示方書で、「表3.4.2細骨材の粒度の標準

P45)」の脚注において、2002年版の該当表(「表6.2.1細骨材の粒度の標準

P63)」)にある以下の脚注が削除されている。

 脚注 3)空気量が3%以上で単位セメント量が250Kgm3以上のコンクリートの場

合、良質の鉱物質微粉末を用いて細粒の不足分を補う場合等に0.3mmふるいおよび

0.15mmふるいを通るものの質量百分率の最小値をそれぞれ5及び0に減らしてよい

 ○脚注3)の削除に関して、2007年版の解説において特に触れられていない。削

除理由に関して、お教え頂ければ幸いです。

 

  

コンクリート標準示方書[施工編]について,ご質問いただきました表3.4.2「細

骨材の粒度の標準」(p.45)の注釈3)が削除されている件につきまして,訂正とお

詫びを申し上げます.御指摘の注釈3)は,平成8年版では解説文に記述されており,

2002年版から注釈として表に併記されておりました.今回の改訂では,平成8年

版と2002年版の両者を踏まえて,主に構成を整理する形で改訂いたしました.そ

の際,2002年版の表の体裁も修正いたしましたが,その作業の段階で注釈3)の

転記漏れをしてしまいました.

 従いまして,御指摘のような削除理由はなく,注釈は2002年版と同じ1)3)

でと御理解いただいて結構です.コンクリート委員会HPでもこの正誤表を公開しま

す.また,増刷分からは,正規のとおりに修正したものを記載することで,対応をさ

せていただきたいと存じます.皆様方には,大変にご迷惑をおかけする結果になって

しまいましたこと,重ね重ねお詫び申し上げます.2009/2/6回答済み)

 

44

質問:P133の棒部材のせん断耐力について質問があります。

正誤表にも修正記述がなかったので質問します。

Mud(軸方向力を考慮しない軸曲げ耐力)と今回変更があり、それにとも

なってM0も変更ないのでしょうか。以前と同じMd(設計曲げモーメント)で宜し

いのでしょか?

現在Mdの説明も記載ありません。単にMdがMudに変更になっただけでな

いのでしょうか。  

Moの算定には,変更はございません.

従来どおりの方法で,算定して下さい.2009/2/6回答済み)

 

45

質問:2007年度制定 コンクリート標準示方書[施工編]の内容について質問です。

7章 運搬・打込み・締固めおよび仕上げ」の許容打重ね時間間隔とは、

コンクリートの練り上がり時間も含めて、下層に上層のコンクリートが

打込まれるまでの時間でしょうか?

それとも、単純に下層に上層のコンクリート打込まれるまでの時間でしょうか?

  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問を

いただきましてありがとうございます。

 

[施工編:施工標準]のp.2713行目をご覧下さい。

「重ね時間間隔」の用語の定義の解説に、「打重ね時間

間隔はここに記述した定義とし,練混ぜ開始時点から

打重ね終了までの時間ではないので注意することが

重要である.」と記述しております。ご確認ください。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていき

たいと存じますので、お気づきの点がございましたら、

ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。(2009/2/20回答済み)

 

46

質問:2007年制定コン標示【設計編】の図6.6.5p302)について 

解説 図6.6.5「モーメントの面内力への置換」において,上外層に作用する断面力は記述のとおりと思いますが,下外層に作用する断面力はそれぞれ符号が逆転するのではないでしょうか?

例えば,N(B,x)=Nx/2-Mx/zN(B,x)=Nx/2+Mx/z

お手数をお掛け致しますが,ご確認をお願い申し上げます。

ご指摘のとおりです。訂正致します。(2009/4/6回答済み

 

47

質問:2007年制定コンクリート標準示方書(施工編) P.155の表11.8.1の内容についての質問です。部材面の種類で「橋,建物のスラブおよびはり,45°より緩い傾きの下面」とありますが、この文章の解釈は「橋の場合は全ての型枠」及び「建物のスラブ・・・・」と言う意味か、または「橋及び建物のスラブ・・・・」と言う意味なのかどちらなのでしょうか。見解をお聞かせ下さい。よろしく、お願いします。  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

ここの趣旨としては、「橋のスラブおよびはりの下面、建物の

スラブおよびはりの下面、45°より緩い傾きの下面」という意味です。ただし、文章が長くなるのでご指摘の表現になっております。

間違いがないように次の欄で例を示しておりますので、そちらも一緒に読んでいただけると幸いです。(2009/4/2回答済み

 

48

質問: コンクリート標準示方書 施工編 2007年制定のP140 10.3 鉄筋の組立

(2)の2行目 「鉄筋の交点の要所」とありますが、そのうち「要所」の定義を具体的に教えて頂けないでしょうか?

鉄筋間隔がいくらであっても千鳥結束でよいでしょうか?

以上のことについて、記載されている文献等ありましたら、照会いただけないでしょうか?  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問を

いただきましてありがとうございます。

 

鉄筋の結束は、組み立てた鉄筋の上を作業員が歩い

たり、コンクリートの打ち込み・締め固めを行うときに、

鉄筋が移動するのを防ぐのが目的です。このため、

できるだけ多くのところで結束するのが好ましいわけ

ですが、実際には鉄筋位置が動かない程度に固定でき

れば、目的は達成できます。

 

コンクリートの施工現場はそれぞれ、鉄筋の太さ、量、

配筋状況、作業条件等々が異なりますので、「要所」の

定義を一律に決めるのは難しいです。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと

存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡

下さいますよう、お願い申し上げます(その前に、是非

土木学会会員になって下さい)。(2009/4/8回答済み

 

49

質問:コンクリート標準示方書 施工編で、骨材の品質の項目に化学的安定性(アルカリシリカ反応性)の試験方法・品質規準が記載されていないのに骨材の検査に化学的安定性(アルカリシリカ反応性)の試験・検査方法が記載されています。施工規準P46【解説】(1)でアルカリシリカ反応についての説明はありますが品質管理項目として記載されていないのは理由があるのでしょうか。  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問を

いただきましてありがとうございます。

 

ご指摘の点は、たしかに分かりにくい部分であると思います。

341342の細骨材と粗骨材の品質は、基本的には、

これらを満足しないと、その骨材は使用することはできません。

 

ところが、アルカリシリカ反応については、現在日本で生産

されているコンクリート用骨材は少なからず「無害でない」

骨材です。もし「無害でない」骨材を用いたとしても、p.46

解説(1)の第2段落に示しますように、一般的な配合のコンク

リートでは、比較的容易に、ASR抑制対策を講じることが

可能です。このため、これら「無害でない」骨材を全て排除する

ことは、資源の有効利用から見ても、合理的なこととは

言えません。そこで本施工標準では、p.46の解説(4)の

最後の段落に示しますように、骨材の選択以外の抑制対策を

優先して実施することを推奨しています。以上の理由で、

骨材の品質項目にアルカリシリカ反応性についての記述を

しておりません。

 

ところが、もし、434ASR抑制対策として「無害」骨材の

使用を選択した場合には、コンクリートの耐久性を確保する

ために、骨材の品質を検査しておく必要が出てきます。この

ため、「検査標準」では化学的安定性(アルカリシリカ反応性)

の項目を設けております。

 

p.197の解説の第1段落では、いつでも骨材のASR試験を

行わなくてはならないかのように読めるかもしれませんので、

次回の改訂では工夫を致します。

 

今後も、コンクリート標準示方書の質を高めていきたいと

存じますので、お気づきの点がございましたら、ご連絡

下さいますよう、お願い申し上げます。2009/4/30回答済み)

 

50

質問:コンクリート標準示方書−設計編−2007年制定について、3つご質問があ

 ります。

 @設計編:標準(p.320)において、かぶりの規定は一般的な環境下での数

 値が示されています。

 腐食性環境や特に激しい腐食性環境のかぶり値が、2007年版から削除され

 たのはなぜでしょうか?

A現在、腐食性環境下でプレキャスト部材のかぶりを検討しています。

 p.119を参考に塩害に対する照査を行うと、かぶりが薄いため耐久性が確

 保できません(添付ファイル参照)。

 みなし規定として、2002年制定のかぶり値(2002年、p.120、表9.2.1)を

 適用することは可能でしょうか?

B塩害環境下におけるプレキャスト部材の耐久性について、具体的な検討

方法があればご教授下さい。

@    への回答

腐食性環境や特に厳しい腐食性環境に関しては,本編に従って設計者が 状況に応じて設定することを原則としていますので,今回の示方書では規定しな いこととしました.

 したがって,本編の照査を満足するように,かぶりを設定することになります.

 

A    への回答

添付ファイルでは,塩化物イオンを対象としておられます.

2002年制定のかぶり値(2002年、p.120、表9.2.1)は,示方書の解説で記載さ れているように,塩化物イオンを対象とした値ではありません.

 2002年版では,塩化物イオンに対しては,別途,塩化物イオンによる鉄筋腐食 に対する照査を行うことが規定されています.

従って,2002年版の規定を,塩害環境下のみなし規定として使用することは, 2002年版の規定に反することになります.

また,@の質問と関連しますが,腐食性環境と塩害環境は,同意ではありませ んので,ご注意ください.

 

B    への回答

プレキャスト部材のかぶりについては,標準5編:配筋詳細の2章解説(1 についてで,工場製作される鉄筋コンクリート部材のかぶりの緩和規定が記載されており,設計編本編15.10.8によることになっています.

設計編本編15.10.83)では,本編の8章によるか,適切な塩害対策を講じることが規定されていますので,本規定を参考にして検討されるのがよいと考えます.

 

51

質問: コンクリート標準示方書(施工編)2007年制定について上記の153ページの11.6 型枠の施工についての(1)の解説において、

「コンクリート表面から25oの間にあるボルト、棒鋼等の部分は、穴をあけて

これらを取り去り、その時できたコンクリート面の穴は、高品質のモルタル等

で埋めておく必要がある」とあるのですが、通常一般的に使用されている、

ピーコン(3分)は長さが25oで、中にセパ部分が10o程度でるのですが、

この表現だと切断する必要があるということでしょうか?もしくはピーコンの

長さを長くして25o間は棒鋼等がない状態にしなければいけないということ

でしょうか?

また、ピーコン等を使用する場合、新幹線のトンネルだと、

ピーコンの穴埋めができないため(穴はそのままに残っています)、

ポリウレタン系風化防止剤を表面に塗って対応する場合がありますが、

その方法がコンクリートの穴をモルタルで埋めることと同様に考えて宜しいのでしょうか。

上記の考えがダメな場合として

1.セパに風化防止剤(もしくはメッキしたものを使用する)を塗布する

2.セパに水膨張のゴム止水板を取り付け、水道を遮断する

というような対策はとれますが、実際一番妥当な方法とはどのような

方法でしょうか。教えてください。

  

この解説の趣旨は、かぶりの浅いところに鋼材を残しておくと、

中性化や雨水の浸透などが原因で,そこから鋼材の腐食が進行

しやすいため、その防止をしておくようにということです。

[施工編:施工標準]ではその標準的であると思われる手法を

示しております。

 

 現在、セパ穴処理には穴埋め材料やピーコン形状を工夫した

各種の新材料・新工法が開発されております。また、環境条件等

に応じて、現場毎にさまざまな工夫がなされています。そうした

対処で、セパレータ端部の鋼材の腐食が防止できるのであれば、

それらを採用することを禁止するものではありません。

 

 ご指摘の手法が、予定されている構造物の条件や設置環境で

所定の性能が発揮できるという実績や根拠があれば、これらを

採用されても問題ありません。

 

52

質問: 2007年制定コンクリート標準示方書の内容について質問させていただきます。

P118で記載されている「打ち重ね許容時間」について、「コンクリート標準示方書発刊に伴う講習会 質疑事項」では「凝結時間と打継ぎ性能を確認した複数の実験報告を参考にしている」ということですが、さしつかえなければ、

実験報告等の文献についてお教えいただけないでしょうか?

文献を参考に、打ち重ね許容時間について評価する必要がありますので、その参考にしたいと考えています。

  

「許容打重ね時間間隔」に関しては、これまでに長年に

わたって、多くの検討がなされて来ています.示方書の

記述は、特定の論文を参考にしたのではなく、これら数多く

の過去の論文やデータ、技術者の経験等を総合的に参考に

しています。このため、特定の論文を示すことはできません。

 この種の問題を総合的に取り扱った資料として,土木学会

発刊のコンクリートライブラリー103号「コンクリート構造物におけるコールドジョイント問題と対策」(平成127月)があります。関連する文献およびそれらを総合した考察等が示されておりますので、ご参考にしていただければ幸いです。

 

53

質問:コンクリート標準示方書〔設計編〕について

・該当箇所:設計基準強度の考え方(P.33

・質問事項:例えば50N/o2のコンクリートを使用したいと考え、適切な配合を設定する場合、任意配合コンクリートにて圧縮強度試験を行い、P.33の式(解5.1.1)を用いて、設計基準強度を算定し、その結果が50N/o2以上であれば、任意配合を設計配合とする事が可能だと考えています。

この時、圧縮強度試験の供試体は何本以上あれば、P.33の式(解5.1.1)が適用可能となりますでしょうか?

式(解5.1.1)は、一般式です。

ご承知のように、統計上は、下回る確率を5%と設定した場合で、係数1.6

4をとる場合には、母集団は無限大であることが前提となります。

その他の場合は、母集団の数に応じて係数kを設定することが原則です。

 

 

54

質問: 先日、「平成214月 2007年制定 ・第3刷発行」を入手しましたが、

74ページの「表4.4.1粗骨材の最大寸法」の表記において、「平成203月 2007年制定 ・第1刷発行」と記述が異なる部分があります。どちらが正でしょうか?

 ●「平成214月 2007年制定 ・第3刷発行」の記述:

 『鋼材の最小あきおよびかぶりの3/4 > 40mmの場合』

 ●「平成203月 2007年制定 ・第1刷発行」の記述:

 『最小断面寸法が1000mm以上 かつ 鋼材の最小あきおよびかぶりの3/4  40mmの場合』

第3刷が正で、当該部の記述が削除されたのだとすれば、その経緯・理由等があればご教示いただければ幸いです。

土木学会のHPの「2007年制定 コンクリート標準示方書講習会への

Q&A」の質問11に、削除の経緯を載せております。下記にアクセス下さい。

 

http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

また、第1版、第1刷についての正誤表も参考にしてください。

http://www.jsce.or.jp/publication/correction/cor-p415.pdf

 

 

 

55

質問: 2007コンクリート標準示方書(設計編)の内容

@P132「棒部材の設計せん断耐力」でせん断補強鋼材が受け持つせん断耐力の算出でfwyd,fpydはγsで除した値ですか。

基本的に記号がf○○dなら材料係数で除した値と考えていいのでしょうか。

AP189「最小最大鉄筋量」で最小鉄筋比の計算でfcはfckと同じですか又fsyは降伏強度ですか。

 

  

@     について、そのとおりです。示方書5.13)に記載のとおりです。

 

A     について、そのとおりです。

 

56

質問:コンクリート標準示方書【施工編】2007年制定 の内容について

P.139 102 鉄筋の加工 ” によると『鉄筋は溶接を行わないことを原則とする。』と記載されていますが、“P.427 1452  鋼材の組立 ”によると

『鉄筋の交点のうち重要な箇所は、・・・・・・結束するか、点溶接して組み立てなければならない。』

工場製品に関しては、積極的に鉄筋の溶接固定を認めています。

工場製品で溶接固定を認められている理由は何でしょうか?  

 通常のコンクリート構造物の施工で、鉄筋の溶接を原則

禁止としていますのは、溶接が鉄筋の品質に悪影響を

及ぼすことが理由です。それと、現場施工では手作業となり、

溶接の品質管理が難しいことももうひとつの理由です。

このため、P.139の解説(3)では、鉄筋の溶接の構造物への

影響を十分に把握し、十分な施工管理を行うことを条件に

溶接を容認しております。現実には、このふたつの条件を

クリアするのはかなり難しいことだと考えられます。

 コンクリート工場製品に関しても、決して積極的に鉄筋の

溶接を認めているわけではありません。しかし、製品工場

では通常、量産されるような製品の鉄筋については、通電

量や時間などを十分に制御した自動スポット溶接機械で

点溶接を行っております。かつ、同種の製品を量産し、その

品質の実績を有しております。このような背景から、製品の

場合、十分な品質管理体制のもとで点溶接を行っていると

考えられるため、点溶接を認める記述としております。

 

57

質問: コンクリート標準示方書(設計編) 4.5 (2) の材料係数について、質問があります。構造解析時に使用する材料係数γmは、「材料強度の特性値からの望ましくない方向への変動、供試体と構造物中の材料特性の差異などを考慮して設定する」とありますが、具体的に、下記の場合はどのように考えたらよろしいでしょうか?

現在、地上タンク基礎のコンクリートの設計基準材齢を91日と設定しているのですが、この場合、通常考える材齢28日の場合と同じ材料係数γmを使用してよいのでしょうか? 言い換えると、材料係数γmは、91日材齢でも、28日材齢でも、一旦設計基準強度を決めてしまえば、その後は、特に材齢の違いを考慮する必要はないのでしょうか?  

照査では、想定している検討時点に応じて圧縮強度の特性値を定めるのが原則

であり、その時点の圧縮強度の特性値や照査事項に応じた材料係数を設定するこ

とになります。したがって、材齢91日と設定した場合には、その時点に応じた

材料係数の設定を行うこととなります。

材料係数で材齢の違いを考慮することは、原則論に基づけば、適切ではないと

考えます。

 

58

質問:コンクリート標準示方書(設計編)について

標記図書に掲載される場所打ち杭に使用する水中コンクリートのスランプ値についてご教示お願い致します。

 土木学会「2007年制定コンクリート標準示方書」P344によりますとスラン

プ値は、18〜21pを標準とする旨記載があります。

 対しまして、社団法人日本道路協会発行の「杭基礎設計便覧」のP61、「杭基

礎施工便覧」のP39によりますと、スランプ15〜21pを原則とし、鉄筋かご

の配筋間隔が狭いときは18〜21pが望ましいとされています。

  上記の相違点について、何か見解がありましたら、お忙しいところ申し訳あり

ませんが、ご教示いただけないでしょうか。

 よろしくお願い致します。  

コンクリート標準示方書(以下、示方書)と「杭基礎設計

便覧」の記述の相違についてご指摘いただきました。示方書

以外にも、コンクリートを扱う図書類は数多くございます。

それぞれが、対象とする構造物や施工条件に適した、その

時点で最適と判断される数値を示していると思われます。

ので、数値の相違はある程度は避けられないことかと

存じます。

コンクリート標準示方書[施工編:特殊コンクリート]は

幅広いコンクリート構造物を対象としており、その中で現在

標準的と思われる数値を示しております。

ご質問の事項に関しては、コンクリート標準示方書2002

版で従来の「1521cm標準とする」から「1821cm」に

改訂しました。これは場所打ち杭の鉄筋量の増加(鉄筋あきの減少)に伴い、コンクリートの回り込みが十分でないケースが増加していたためです。もちろん、鉄筋量が少ない場合は従来の「1521cm」でも品質の確保は可能ですが、標準的な施工条件を考慮すると「1821cm」とするべきであると判断したからです。

したがいまして、[施工編:特殊コンクリート]に示された

数値は標準的な施工方法を示したものであるため、構造物の

条件、施工状況等に応じて、適宜、検討・変更されるべきものと考えております。

 

59

質問:2007年制定コンクリート標準示方書(設計編)に係る、下記質問事項についてご教示ください。

P320には、『設計時に設定した特性値を全て記載し、施工側に引き継がなければならない』『また、想定した施工誤差についても記載する必要がある』とあります。

(1)つきましては、

断面照査の有効高さ設定の際に、施工誤差は考慮すべきですか。

  A: 有効高さ算定時かぶり=最小かぶり+施工誤差

(2)もしくは、

施工誤差は安全率等で加味されているものとし、

有効高さ設定の際は施工誤差は考慮しなくてよいですか。

  B: 有効高さ算定時かぶり=最小かぶり

(3)有効高さ設定時に施工誤差を考慮しない(Bの考え)のが正しい場合に、

施工誤差を考慮しない理由は何ですか。

 

 

破壊の検討においては、部材係数に部材断面や鉄筋の施工精度の影響は含まれ

ていると考えています。したがって、破壊の検討においては施工誤差の影響を考

慮する必要はありません。この場合、施工が施工編などの規定に従った施工精度

が確保できることが前提となります。

ただし、耐久性の検討では、照査に用いるかぶりには、施工誤差の影響を考慮

したかぶりを用いることが規定されています。

 

60

質問: 耐久性検討の照査に用いるかぶりは施工誤差の影響を考慮したかぶりを用いるとのことですが、照査に用いるかぶりにて、破壊の検討を行うべきでしょうか。

『破壊の検討』と『照査の検討』では、各々で考えるものなのでしょうか。

 

  

鉄筋の施工誤差が構造物の性能に及ぼす影響の大きさが、対象とする性能によって異なるので、

その考慮のしかたを破壊の検討と耐久性照査とでは変えています。

一般には、断面破壊の検討では鉄筋位置が数ミリずれても断面耐力に及ぼす影響は小さいです。

しかし、耐久性照査ではかぶりの数ミリの違いが照査結果に大きな影響を及ぼす場合があります。

これらのことから、断面破壊の検討では従来どおり部材係数に施工誤差の影響を含ませる方法を採り、耐久性照査では今回施工誤差を陽な形で考慮する方法としました。

 

61

質問:2007年制定コンクリート標準示方書[施工編]に書かれている以下の記載項目について質問致します。

P15311.6型枠の施工(1)の解説で

”・・・・・コンクリート表面から25mmの間にあるボルト、鋼棒等の部分は、穴をあ

けてこれらを取り去り、・・・・・。”とあるのですが、

一般的によく利用されている3分用のセパレータを利用すると型枠脱型後、表面より

15mm程度になるのですが、

このセパレータを取り除かなければならないのでしょうか?

実際にセパレータを取り除くことは、数も多く大変困難で現実的ではないと思うの

ですが、示方書の文書を読むと取り除かなければならないような感じがします。

ちなみに一般によく使用されている穴埋め工法等では、

セパレータのねじ山部分を取り除かないでそのままシーリング材を入れて止水をし

埋栓をするようになっているのですが、どうすればよろしいでしょうか?

この解説の趣旨は、かぶりの浅いところに鋼材を残しておくと、中性化や雨水の浸透などが原因で,そこから鋼材の腐食が進行しやすいため、その防止をしておくようにということです。

[施工編:施工標準]ではその標準的であると思われる手法を示しております。

 現在、セパ穴処理には穴埋め材料やピーコン形状を工夫した各種の新材料・新工法が開発されております。また、環境条件等に応じて、現場毎にさまざまな工夫がなされています。そうした対処で、セパレータ端部の鋼材の腐食が防止できるのであれば、それらを採用することを禁止するものではありません。

 ご指摘の手法が、予定されている構造物の条件や設置環境で所定の性能が発揮できるという実績や根拠があれば、これらを採用されても問題ありません。

 

62

質問:2007年制定コンクリート標準示方書【設計編】式9.2.4Vcd」を算出するときのβnは、圧縮軸力(Nd>=0)の場合と引張軸力(Nd<0)の場合とで変わります。プレストレス部材の場合に、Ndを「1次力と2次力」の両方を考慮すると考えた方がよいでしょうか? 当方では「2次力のみ」で判定することと考えております。静定構造の場合に2次力が生じないので軸力ゼロとしてβn式を選んでいます。示方書の趣旨に合致しているかどうかご意見を頂きたく質問させていただきました。

 また、プレストレス部材に対してβn式中のMud(曲げ耐力)をMd(設計曲げモーメント)に置き換える場合は、Md2次力のみと考えています。「1次力と2次力」とすることはβn式の趣旨に合致しないと考えているからです。この点についても間違っていなか確認させてください。

  

 ご承知のように,βnは,せん断耐力を算定する場合の軸力の影響を考慮するパラメータです.

 ご指摘のプレストレストコンクリート構造の構造形式による1次力や2次力の区別はとくに必要は無いと考えています.

  具体的には,照査しようとする限界状態の構造系として生じている設計軸方向力や設計曲げモーメントを用いるということでよいと考えます.

 

63

質問:コンクリートの標準示方書の「EPMA法によるコンクリート中の元素の面分析方法(案)」(JSCE-G574-2005)を実際に運用させて頂きたいと考えております。そこで、以下の内容につきましてご質問させてください。@(案)の付いている意味を教えてください。A本手法によって求めた塩素の濃度分布をJSCE-G573-2005に適用して見掛けの拡散係数を求めることは可能でしょうか。JSCE-G573-2005ではJIS A 1154に準拠し

て分析することとなっており、EPMA法は特に言及されておりません。この場合、あくまでもJIS法によって評価することが必要となりますか。B本手法による塩害調査の実施状況はいかがでしょうか。@とも関連致しますが従来の化学分析法との使い分けはどのようになされておりますか。以上、よろしくご指導賜りたく、お願い申し上げます。

  

先ほどご質問させて頂きましたQ090929-001に追加して以下の内容につきましてもご質問させてください。すなわち、EPMAによる定量法として附属書1に比例法が、附属書2に検量線法がそれぞれ記載されておりますが、実際的には比例法によって塩素濃度を求めて拡散係数を算出してもよろしいでしょうか。JSCE-G574-2005に準拠して分析すれば信頼性に関して問題は発生しないでしょうか。一方、この方法で問題がある場合、検量線法を採用すればよろしいのでしょうか。ただし標準試料を自前で調製できないときにはどこか購入できる機関をご紹介して頂けますでしょうか。甘えますようで恐縮ですが、ご指導賜りたく、お願い申し上げます。

また、追加の質問がございます。

@「比例法で求めるのはあくまでも目安で、Daを求めるには支障はないがC0も正確に求めるには、別途確認は絶対に必要」とのご指摘に」関して、C0

求めるときにはJSCE-G572による分析を併せて行い、これはコアごとに必要となると判断してよろしいでしょうか。また、両者の値が食い違う場合には

G572の値を採用するということでしょうか。

A検量線法によってC0を求めれば化学分析を並行して行う必要はないのでしょうか。

B検量線法を試みるため、「経験のある機関」をどこかご紹介頂くことは可能でしょうか。

Q1.(案)の付いている意味を教えてください.

A1.

土木学会規準では,正規のルールに従ってきちんと審議され承認を受けた規準であっても,初版のものには(案)をつけるのが通例となっています.これは,外部のご意見をより広く頂戴しながら,「規準自身が世に認知された時点ではじめて「規準」たり得る」という思想に基づいたものです.したがって,初版に対して大きな変更がない場合には,第2版以降から「(案)」が取れた「規準」となります.ただし,(案)がついていてもついていなくても,土木学会規準としてのナンバリングがなされているものはすべて,同様の効力を発揮するものと考えています.

 

Q2. 本手法によって求めた塩素の濃度分布をJSCE-G573-2005に適用して見掛けの拡散係数を求めることは可能でしょうか.JSCE-G573-2005ではJIS A

1154に準拠して分析することとなっており,EPMA法は特に言及されておりません.この場合,あくまでもJIS法によって評価することが必要となりますか.

A2.

EPMA法の規準を作成した背景には,JSCE-G572-2005に規定されている浸漬法において拡散係数を求める際,短時間ではClの浸透量が少なくてスライス法による化学的な同定ができず,そのため,実験にかなりの時間がかかることから,この時間短縮を行うためにEPMAを用いる方法を土木学会で規定しよう,という思惑がありました.ただし,最終的には,EPMA法でも技術的にはなんら問題なくDaを計算できるとの意見もあったものの,実績が少なかったことから,JSCE-G572に盛り込むには時期尚早と判断し,それまでに膨大な実績があるスライス+湿式分析の方法をClの同定方法として採用し,EPMA法は同規準には反映されませんでした.したがって,同様な理由から,JSCE-G572と同時期に作成したJSCE-G573においてもEPMA法については触れておりません.

一方,EPMA法が土木学会の規準として規定されて以降,下記にも示すように,この方法でDaを求めた研究報告も多く発表されるようになり,データの蓄積も進んでいます.また,特別な機器が必要な点や測定上のノウハウなどもあり必ずしも一般的な測定方法とはいえない面もありますが,理論的には,下記に示すようなことから,スライス法で求めたものよりEPMAで求めたDaが理論とより適合するといえます.

 すなわち,スライス法においてもEPMA法においても,Cl浸透方向の区間に分割して,それぞれの区間の平均濃度を測定します.濃度分布の図は,測定した濃度を,各区間のCl浸透方向の中央にプロットして作成します.本来,濃度分布は曲線のため,上記の測定区間が小さいほど,測定結果は,実際のコンクリート中のCl濃度分布に近いものになります.EPMA法の測定によれば,Cl浸透方向に1mmの区間に分割して測定でき,スライス法は10mm程度の区間で測定できますので,EPMA法の方が濃度分布の測定精度は高くなり,それから求められるDaも精度が高くなることになるわけです.

 現時点では,JSCE-G572およびJSCE-G573ともに改訂が行われていないために,Clの分析方法としてはJISによることが基本となります.ただし,土木学会規準は,今回対象のものだけではなくどの基準も,次回の改訂までの期間が明確に決まっているわけではありませんので,改訂が技術の進歩に確実に対応できていない状況も少なからず出てきます.したがって,そのような状況の中では,それぞれの規準の中で規定された測定方法の一部を別の方法で行っても,その方法が規準の中で規定された方法と同等またはそれ以上の精度で測定することが確認されているものであるならば,その方法に置き換えて分析を行ったとしても特に問題はない,と判断して差し支えないと考えます.すなわち,「土木学会規準・・・に準じて実施した」と判断できるからです.上記のように実証データも増えたことや理論的にはより実際に近い情報を得ることができることなどを考え合わせると,EPMA法を用いることは,この判断に十分に適合すると考えられます.

 

Q3. 本手法による塩害調査の実施状況はいかがでしょうか.

A3.

例えば,卑近の例ですと,本年度の日本コンクリート工学年次論文集に掲載された,細川ほかによる「各種セメント系材料を用いた相組成・空隙構造が異なるコンクリートの各種環境条件下における塩化物イオン拡散係数」のなかに,多数のコンクリート供試体における比較データが掲載されています.さらに, 大竹ほかによる「実構造物から採取した小径コアを用いたEPMAによる塩害劣化調査」(土木学会第63回年次学術講演会概要集,部門Vpp.1019-10202008.9)などもあります.

また,土木学会コンクリート技術シリーズ69「硬化コンクリートのミクロの世界を拓く新しい土木学会規準の制定」(2006)には,EPMA法制定の経緯とともに,スライス法と比較した多くの測定データも資料編として掲載されていますので,ご確認ください.

 

Q4. 従来の化学分析法との使い分けはどのようになされておりますか.

A4.

上記A2でも述べましたように,EPMA法も,Clの分析ならびにDaの同定方法としてJSCE-G572およびJSCE-G573で規定された方法に準じる方法として適用できると考えています.ただし,EPMA法の場合,特別な機器が必要な点および測定上のノウハウがあることなどから,現状ではこの測定を専門とする機関に委託する必要があり,スライス法ほど一般化しているとは言えません.また,このことから,測定費用が高くなるという問題も出てきます.一方,EPMA法による測定が適切に行われた場合には,測定精度や情報量の多さなどの点でスライス法などに比べて優れた方法であるといえます.

したがって,土木学会規準関連小委員会として,両者の使い分けを特に決めてはいませんので,最終的には,以上のような状況を考慮して,従来法とEPMA法のいずれを選択するかを各自で決めていただくことになります.ただし,現状ではJSCE-G572およびJSCE-G573ではEPMA法を用いる方法を規定していませんので,あえてこの方法を使用する場合には,「土木学会規準・・・により測定した」ではなく,「土木学会規準・・・に準じて測定した」という表現にして頂くことをお願いします.

 なお,ご自身でEPMAの装置を使用し,土木学会規準JSCE-G574に従ってDaを測定することをお考えの場合には,以下の点も併せてご考慮ください.

 すなわち,JSCE-G574の附属書では,元素の面分析データの濃度への変換方法について,「比例法」と「検量線法」の2つを規定しています.ただし,「比例法」で求めるのはあくまでも目安です.Daを求めるには支障ありませんが,C0も正確に求めるには,別途,確認は絶対に必要です.一方,「検量線法」は精度は高いですが,適当量のNaClを練り込んだセメントペーストを作製し,湿式分析の値を参考に検量線を作る必要があり,とくに微量のCl量を定量するには一定のノウハウがあります.標準試料の作製に関しては,その測定に関して経験のあるに機関に相談なされるのがよいと思います.

Q1.「比例法で求めるのはあくまでも目安で、Daを求めるには支障はないがC0も正確に求めるには、別途確認は絶対に必要」とのご指摘に関して、C0を求めるときにはJSCE-G572による分析を併せて行い、これはコアごとに必要となると判断してよろしいでしょうか。また、両者の値が食い違う場合には G572の値を採用するということでしょうか。

A1.

前回も述べましたように,比例法は,その測定コンセプトから考えて,濃度自体が必ずしも正しいとは言えません.その意味では,JSCEG572に規定した方法で濃度を検証するのも,当面の対応としてはよいかもしれません.ただし,これまた前回の説明で述べたように,「EPMA法」と「スライス+JIS塩分分析法」で求めた塩分分布自体の精度が大きく異なる状況のなかで,C0のみをスライス+JIS塩分分析法で求め,その結果をEPMA法で求めたDaとの結果と組み合わせることで,ほんとの意味での精度の高い測定ができているか,ということになると疑問もあります.

EPMA 法規準の作成に参画いただいた機関からの情報では,Clに関しては、比例法をベースとしてC0を求めても,検量線法で求めたものとほぼ一致するという情報もあります.ただし,当然このことして,利用する装置によっても異なりますので,一度は比例法と検量線法で確認し,その違いを理解したうえで、比例法を使うようにされるのがよいかと思います。

なお,検量線法においても,微量のCl量を定量するには一定のノウハウもあるようですので,その辺りについては,情報を持っている機関に相談をなされるのがよいかと思います.(A3参照)

 

Q2.検量線法によってC0を求めれば化学分析を並行して行う必要はないのでしょうか。

A2. 

 上記のA1で示したように,EPMA法で行った結果から求めたC0に対して,常に化学分析で検証する必要はないと考えます.すなわち,EPMA はコンクリート中の塩化物イオンの分布を測定する一手法であり,スライス+化学分析法と並列に位置づけられる手法と考えているからです.

 ただし,これまで情報としてあるDaC0の値のほとんどは,スライス+化学分析法をもとに求められたものであることから,できれば,貴所所有の基本データとして,貴社所有の装置で実施したEPMA法よるDaC0の値と従来法(スライス+化学分析法)での結果とのずれがどの程度あるかは,把握しておかれることを望みます.

 

Q3.検量線法を試みるため、「経験のある機関」をどこかご紹介頂くことは可能でしょうか。

A3.

本基準を作成するにあたり,部会メンバーとして参画して頂いた太平洋セメント(株)殿は,すでにEPMA法を用いた結果を学会等でも発表していますので,経験を持っておられます.また,検量線を求めるための標準試料の作成に関しては,太平洋セメント(株)殿より,太平洋コンサルタント(株)殿を紹介して頂きましたので,確認してみてはどうでしょうか.

 

64

質問:エポキシ樹脂塗装鉄筋による鉄筋組立についてご指導お願い致します。鉄筋コンクリート標準示方書施工編「工場製品」の14.5.2鋼材の組立(1)に鉄筋交点の組立方法のなかで「点溶接」が認められていますが、エポキシ樹脂塗装鉄筋についての記述が無かったようでしたので、コンクリートライブラリー112「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針」をみてみました。「5章鉄筋」の5.1鉄筋工及び5.2エポキシ樹脂塗装鉄筋の補修についての記述からは、鉄筋交点の固定方法については、点溶接の記述がなく、補修では、溶接部の補修をするようにとの記述があります。問合せは、エポキシ樹脂塗装鉄筋の場合でも、鉄筋通常の組立鉄筋と同様に点溶接で組立て、溶接箇所の補修で可であるかということです。(鉄筋重量も重いためその様にしたいと考えています)宜しくお願い致します。  

ご返事が大変遅くなって申し訳ございません.以下,回答させていただきます.

「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針」(以下,「指針」と称す)では,「5.1.3エポキシ樹脂塗装鉄筋の組み立て」(2)の解説において,「なお,結束以外の固定方法を用いる場合には,堅固に組み立てることができることはもとより,塗膜の損傷などにより結束個所のエポキシ塗装鉄筋の性能が損なわれないことをあらかじめ確認しなければならない.」と,記述しており,これは暗に,溶接などの必ず塗膜が損傷するような固定方法は好もしくないことを示しています.

その一方で,この部分の条文あるいは解説で溶接を否定してはおらず,また,「5.2エポキシ樹脂塗装鉄筋の補修」の条文及び解説で溶接部の補修について言及しているのは,スポット溶接を全く行わないで鉄筋の組み立てを行うことは現実的ではないことに配慮したものです.

最も重要な点は,「組み立て後の鉄筋に塗膜の欠落部や変質部などの損傷部がなくEP鉄筋の性能(遮蔽性能)が確実に確保されていること」ですので,上記に示したような「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針」の意図を汲み取っていただき,耐久性の確保されたものとなるような組立を行っていただければと思います.

 

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質問:2007年制定コンクリート標準示方書[施工編]に書かれている以下の記載項目について質問致します。

P15311.6型枠の施工(1)の解説で ”・・・・・コンクリート表面から25mmの間にあるボルト、鋼棒等の部分は、穴をあけてこれらを取り去り、・・・・・。”とあるのですが、一般的によく利用されている3分用のセパレータを利用すると型枠脱型後、表面より15mm程度になるのですが、このセパレータを取り除かなければならないのでしょうか?

実際にセパレータを取り除くことは、数も多く大変困難で現実的ではないと思うの

ですが、示方書の文書を読むと取り除かなければならないような感じがします。

ちなみに一般によく使用されている穴埋め工法等では、セパレータのねじ山部分を取り除かないでそのままシーリング材を入れて止水をし埋栓をするようになっているのですが、どうすればよろしいでしょうか?

この解説の趣旨は、かぶりの浅いところに鋼材を残しておくと、中性化や雨水の浸透などが原因で,そこから鋼材の腐食が進行しやすいため、その防止をしておくようにということです。

[施工編:施工標準]ではその標準的であると思われる手法を示しております。

 現在、セパ穴処理には穴埋め材料やピーコン形状を工夫した各種の新材料・新工法が開発されております。また、環境条件等に応じて、現場毎にさまざまな工夫がなされています。そうした対処で、セパレータ端部の鋼材の腐食が防止できるのであれば、それらを採用することを禁止するものではありません。

 ご指摘の手法が、予定されている構造物の条件や設置環境で所定の性能が発揮できるという実績や根拠があれば、これらを採用されても問題ありません。

 

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質問:コンクリート示方書【設計編】の内容に関する質問ですが、耐久性検討の照査に用いるかぶりは施工誤差の影響を考慮したかぶりを用いるとの

ことですが、照査に用いるかぶりにて、破壊の検討を行うべきでしょうか。

破壊の検討』と『照査の検討』では、各々で考えるものなのでしょうか。

  

鉄筋の施工誤差が構造物の性能に及ぼす影響の大きさが、対象とする性能によって異なるので、その考慮のしかたを破壊の検討と耐久性照査とでは変えています。

 一般には、断面破壊の検討では鉄筋位置が数ミリずれても断面耐力に及ぼす影響は小さいです。

 しかし、耐久性照査ではかぶりの数ミリの違いが照査結果に大きな影響を及ぼす場合があります。

 これらのことから、断面破壊の検討では従来どおり部材係数に施工誤差の影響を含ませる方法を採り、耐久性照査では今回施工誤差を陽な形で考慮する方法としました。

 

67

質問:表記示方書の12.7.1.2定着具および接続具の項(P.397)に関して質問がございます。この解説文のAに関して「緊張材に加工を施したために定着効率または接続効率が・・・」というくだりがあります。この「緊張材に加工」というのは具体的にどういう加工を差しているのでしょうか?近年では、亜鉛めっき処理やエポキシ樹脂塗装を施したものも存在しますが、これらも含まれるのでしょうか?ご教示頂ければ幸いです。

  

ご質問の箇所は、コンクリートライブラリー66「プレストレストコンクリート工法設計施工指針」(平成3年)p.15の「5.3 定着具および接続具」の解説文を取込んだものです。この指針を作成した時点では、さまざまな工法が出現することが想定されたため、種々の工法に対応できるように、Aのような例外的な規定を設けたようです。このため、特にどのような加工がAに相当するのかは明示されておりません。メーカ側が、Aをスペックにしている場合には、その工法が該当すると考えるのが妥当でしょう。

 

以下は、一般論です。通常、定着効率が低下するほどの加工というのは、PC鋼棒を曲線配置するための曲げ加工、付着強度を高めるためのインデント加工、鋼材の端部のボタンヘッド加工など冷間加工や、ねじ切り、などが考えられます。しかし、曲線配置のための曲げ加工等を除くと、通常使われている工法では、定着効率が低下して、@の規定から外れるようなものはほとんどありません。@を外れるようなものは、コストなどの観点から自然淘汰されていると思われます。したがいまして、Aで対応しているものは、かなり特殊な場合や特殊な材料のものなどに限られてくると考えられます。なお、メーカ以外での加工(切断は除く)は安全性の観点から禁止されています。

 

現状で亜鉛めっき処理やエポキシ樹脂塗装のような、かなり一般化した加工で、定着効率が大きく低下するようでは、効率性や経済性の観点から大きな問題があると考えられます。

 

68

質問:2007年制定 コンクリート標準示方書(設計編)のp.35に記載されている

曲げひび割れ強度を算出する過程で求める特性長さlchについてお教えください。

記載された式で算出した値の単位がmとなっていますが、mにするには算出式の分母に

1000が必要なのではないでしょうか?(添付資料参照)

ご教示ください。

 

  

示方書p.35の特性長さlchの算定において、破壊エネルギーGFの単位はN/mでもN/mmでもよく、またヤング係数Ecの単位はkN/mm2でもN/mm2でも結構です。結局のところ、得られた特性長さlchm単位にしていただければよいというだけですので、lchの算定式の分母に1000を付ける必要はありません。

 

 なお、送付頂いたメモの単位で計算された場合には、1000で割って、mmをmに換算していただければ結構です。

 

 

69

質問:P385 12.6.5 PCグラウトの施工の12.6.5.1 一般 (2)の解説についてですが

PCグラウトに関する十分な知識を有する専門技術者とは、プレストレストコンクリート技士 もしくは PCグラウト研修会受講修了者と解釈して宜しいでしょうか?

 両方を有する必要があるとの解釈をされている方もおりますので大変恐縮ですが返答をお願い致します。

  

ご指摘の記述につきましては、「両方を有する必要がある」という書き方をしております。昨今のグラウトの施工に関する問題を鑑み、このような記述にしました。

ただし、示方書はあくまで標準を示すものであることにご留意下さい。本来このような規定は、発注者が構造物の重要性やいろいろな条件を勘案し、必要があれば仕様書に規定すべきことです。あるいは場合によっては、品質管理を徹底するために元請けの責任者が判断する場合もあるかと存じます。示方書はあくまでも標準的なものを示しておりますことをご確認下さい。

 

70

質問:設計図書に特に定めのない場合は、

コンクリート標準示方書(施工編)で定義している無筋コンクリートに用いる鋼材(鉄筋)は、この示方書〔施工編:検査標準7.3鉄筋工の検査〕を適用するのですか。

また、適用しない場合は、検査標準としてどのようなものが有りますか。

 土木工事共通仕様書に「設計図書に特に定めのない事項については、

下記の基準類によらなければならない。・・・」と規定しています。

土木学会コンクリート標準示方書(施工編)等

 指導していただきたいポイント

コンクリートに用いられる鉄筋(用心鉄筋)も、

鉄筋コンクリートとの鉄筋と同じ扱いとするのですか。  

まず、問題点をクリアにしておきたいと思います。設計図書で使用する材料や検査方法を指定するのは、その工事の発注者です。その際に、ごく標準の工事と判断されれば土木工事共通仕様書等を活用されていると思います。

今回のご質問も、発注者として、対象の構造物が特別なものであれば、特別な事項を指定されるべきであり、そうでなければ、土木工事共通仕様書やコンクリート標準示方書を指定していただければよいと思われます。

コンクリート標準示方書は、標準的な土木構造物を想定しています。あらゆる種類のあらゆる構造物を網羅することはできません。

ご質問の「無筋コンクリート」が、何を対象とされているのかわかりません。ダムなのか、工場製品のコンクリート板なのか、によってそこで使う鋼材の規定が異なることは、容易に想像いただけると思います。

ご質問の内容は、必要があれば、発注者が特記仕様書で指定されればよいことだと思われます。

その中で、普通の鉄筋を使うのが合理的であると判断されるなら、「コンクリート標準示方書の○○に示す鋼材を用いる。」と指定し、「その検査は、〔施工編:検査標準7.3鉄筋工の検査〕を適用する」としてはいかがでしょうか。あるいは、もし、必要な検査を限定してもかまわないような状況であれば、「その検査は、〔施工編:検査標準7.3鉄筋工の検査〕の内、△△を適用する」とすることも可能でしょう。検査をするほどのこともない、と判断されるなら、特記仕様書で記述しないという対応もあり得ると思います。

 

71

質問:「許容打ち重ね時間間隔とは、下層のコンクリートの打込み・締固めが完了した後、静置時間をはさんで上層のコンクリートが打ち込まれるまでの時間である。」とコンクリート標準示方書P.119にありますが、もっと具体的に書くと 『下層のコンクリートの打込み・締固めが完了してからカウントして、静置時間をはさみ、上層のコンクリートが打ち込まれるまでということですか。

 例えば、25℃を越える場合、レディーミクスコンクリートは、練混ぜを開始してから荷卸しまでの時間を1.5時間以内としています

ということは、

 上層のコンクリートを打ち重ねる時間の許容は、下層のコンクリートの練り混ぜを開始してから、15時間+2時間=3.5時間以内である。という認識でよいのでしょうか  

添付の図とご質問の本文では、記述されている内容が異なります。このため、ご質問の趣旨が正確には掴みかねますので、下記のように回答させていただきます。

 「打重ね時間間隔」の用語の定義は、[施工編:施工標準]のp.22の下から15行目をご覧下さい。「コンクリートを層状に打ち重ねる場合に、下層のコンクリートの打込み終了から上層のコンクリートの打込み開始までの時間の差」です。

またp.2713行目の「打重ね時間間隔」の用語の定義の解説に、「打重ね時間間隔はここに記述した定義とし,練混ぜ開始時点から打重ね終了までの時間ではないので注意することが重要である.」と記述しております。この点も、ご確認ください。

さらに、ご存じのこととは思いますがJIS A 5308「レディーミクストコンクリート」では「練混ぜを開始してから1.5時間以内に荷卸しができるよう運搬」することとしておりますが、[施工編:施工標準]では72で、「練り混ぜでから打ち終わるまでの時間」を規定しています。この点、ご注意下さい。

つまり、上層のコンクリートを打ち始める時間は、下層のコンクリートの練混ぜを開始してから、「15時間+2時間=3.5時間以内」となります。しつこいようですが、[施工編:施工標準]では、25℃を越える場合、上層のコンクリートは練り混ぜでから15時間以内に打ち終わっているのが標準です。

 

72

質問:143P150p付近に記載されている、コンクリートの側圧についての質問です。柱の場合と壁の場合とありますが、柱と壁の定義(縦横比?・厚さ?)を教えて下さい。

型枠にかかる圧力は、いろいろな要素によって変動します。本来は、p.1451124の解説にありますように、施工条件毎に側圧を検討し、合理的な型枠を設計するのが、理論上はベストです。

しかし、ごく普通の施工現場では、多少は安全側の数値を設定しておいて、型枠を設計するのが、実務的には合理的です。このような実務的な対応は、[施工編、施工標準]全体に通じて根底に流れている考え方です。このような場合、柱と壁の定義を単純に「縦横比」や「厚さ」で決めてしまうと、融通が利かない規定になることは、容易にご想像いただけると思います。

1124では、型枠と型枠の間が相対的に近く、鉄筋の影響等が大きいような部材を、壁を代表として示しているに過ぎません。当たり前のことですが、p.146などで示している柱と壁は、厳密な意味での構造部材としての柱と壁ではありません。また、薄い壁状の構造物から、正方形断面の柱まで、部材形状が連続的に変わった場合は、側圧も連続的に変わることはご想像いただけると思います。

ご担当の部材が壁なのか柱なのかは、現場の『技術者』が判断されるべきものです。どうしても判断がつかない場合は、安全側の数値を用いるのが妥当な対応ではないでしょうか。

 

 

73

質問:示方書の12.7.1.2定着具および接続具の項(P.397)に関して質問がございます。この解説文のAに関して「緊張材に加工を施したために定着効率または接続効率が・・・」というくだりがあります。この「緊張材に加工」というのは具体的にどういう加工を差しているのでしょうか?近年では、亜鉛めっき処理やエポキシ樹脂塗装を施したものも存在しますが、これらも含まれるのでしょうか?ご教示頂ければ幸いです。  

ご質問の箇所は、コンクリートライブラリー66「プレストレストコンクリート工法設計施工指針」(平成3年)p.15の「5.3 定着具および接続具」の解説文を取込んだものです。この指針を作成した時点では、さまざまな工法が出現することが想定されたため、種々の工法に対応できるように、Aのような例外的な規定を設けたようです。このため、特にどのような加工がAに相当するのかは明示されておりません。メーカ側が、Aをスペックにしている場合には、その工法が該当すると考えるのが妥当でしょう。

以下は、一般論です。通常、定着効率が低下するほどの加工というのは、PC鋼棒を曲線配置するための曲げ加工、付着強度を高めるためのインデント加工、鋼材の端部のボタンヘッド加工など冷間加工や、ねじ切り、などが考えられます。しかし、曲線配置のための曲げ加工等を除くと、通常使われている工法では、定着効率が低下して、@の規定から外れるようなものはほとんどありません。@を外れるようなものは、コストなどの観点から自然淘汰されていると思われます。したがいまして、Aで対応しているものは、かなり特殊な場合や特殊な材料のものなどに限られてくると考えられます。なお、メーカ以外での加工(切断は除く)は安全性の観点から禁止されています。

現状で亜鉛めっき処理やエポキシ樹脂塗装のような、かなり一般化した加工で、定着効率が大きく低下するようでは、効率性や経済性の観点から大きな問題があると考えられます。

 

74

質問:コンクリート製品の蒸気養生履歴(前置時間、昇温速度、最高温度など)に関する質問をします。コンクリート標準示方書「施工編特殊コンクリート14章工場製品」の規定は、昭和44年制定の鉄筋コンクリート工場製品設計施工指針(案)の規定を昭和49年度版コンクリート標準示方書に取り入れたものですが、中でも、蒸気養生履歴に関する規定は、JISA5302,JISA5303等の規定を参考にされたものです。その後JISでは、工場や製品の多様化などから1979年から自主規制として、蒸気養生履歴の規定をなくしてます。しかし、コンクリート標準示方書では、現在に至るまで改定されずに至っております。製品メーカーの実態からしてさらに現在の性能規定型体系からして、自主規定にすべきと考えますが如何でしょうか?この規定が残っていることから、製品メーカーのコスト縮減や技術的向上が阻害されていると考えております。  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。ご指摘の場所は、1455の(2)についての解説と思われますので、その部分についてご回答いたします。

 

430ページの1455の(2)についての解説の@〜C部分では、「工場製品の蒸気養生方法を次のように定めている例が多い」とだけ記述しております。この部分は何ら、「自主規定」を妨げる記述になっているとは考えられません。条文の本文でも何ら数値的な規定は行っておりません。このような記述で、もし自主規定を阻害し、製品メーカーのコスト縮減や技術的向上を阻害するとなると、コンクリート標準示方書では何も記述できないことになります。

 

示方書はあくまで標準を示すものであることにご留意下さい。[施工編:施工標準]や[施工編:特殊コンクリート]では、現在一般的であると考えられる技術について、その標準を示しております。もし、その中で対応できないような技術については[施工編:本編]で対応いただくことを想定しております。今回ご質問の、蒸気養生履歴の自主規定については、[施工編:本編]まで行かなくとも、[施工編:特殊コンクリート]の中で十分に対応できるものであると思われます。

 

75

質問:2007年度制定コンクリート標準示方書の施工編P155について質問があります。

  表11.8.1の型枠の取り外してよい時期なのですが2番目にある”小さいアーチの内面で5N/mm2”の”小さい”とはどれくらいまでが”小さい”というのでしょうか?3番目には”アーチの内面で14/mm2"とあります。

  今回内空高さ(横も)既設2.76mのトンネルに全面t=0.250mの補強にコンクリートの施工計画を練るにあたり養生強度で迷ってます。  

まず、示方書はあくまで標準を示すものであることにご留意下さい。[施工編:施工標準]では、現在コンクリート工事で一般的であると考えられる事項について、その標準と考えられるものを示しております。土木工事は、それぞれの現場で非常に多様であり、一律に数値を規定することは、かえってさまざまな障害を生じさることはご理解いただけると思います。今回のご質問でも、何mなら小さいアーチと規定できるものではありません。また、示された強度もあくまでも目安であり、絶対のものでもありません。

解説表1181の意味するところは、脱型時に型枠が外された部分のコンクリートに生じる応力の大小に応じて、脱型時のコンクリート強度を確保しておこうということです。基本的には、現場の技術者がそれぞれの現場条件をもとに、解説表1181を参考に判断されることを想定しています。今回の施工現場の状況は、文面からは十分には把握できません。2.76m幅のアーチに25cmのコンクリートを打てば、内空幅は2.26mになりますので、大きなアーチとは言えませんが、もしご心配なら、安全側の数値14/mm2をお使いになるのが妥当だと思います。

 

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質問:水中コンクリートと海洋コンクリートについての質問です。

 2007年制定 コンクリート標準示方書〔施工編〕

 水中コンクリートと海洋コンクリートについて質問です。

 今、当現場では水中コンクリート工を施工するのですが水中コンクリート打設後にいつ脱型ができるのかという問題があります。

構造物の脱型は11.8.1に型枠をはずしてよい参考値が記載されていますがその値を参考に脱型しても良いのでしょうか?

 当現場の発注者(北海道建設部土木工事共通仕様書)記載によると「1-5-6-6  海水の作用を受けるコンクリート」で「請負者は普通ポルトランドセメントを用いた場合、材令で5日以上、B種については材令7日以上海水にあらわれないように保護しなければならない。」と記述があります。

 土木学会の示方書に当てはめると海洋コンクリートの11-4-(3)に類似の記述がありますが、あらわれないように保護するとはどのように考えればよいのでしょうか?

 実際の施工を考えるとコンクリート打設後σ1で 硬化しσ2では5N/mm2程度強度がみられあらわれるとは思えないのですが

考え方では 保護する = 脱型もできないとなってしまうのですがどうなのでしょうか。

水中コンクリートの脱型は何を基準に行なえばよいのでしょうか?良い意見があれば回答下さい。

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

御質問に対して、まず、工事の仕様について疑問がある場合には、発注者に確認されるのが先決ではないでしょうか。個別の構造物の状況やその設計条件・仕様を、最もよく把握されているのは発注者ですので、発注者と協議の上,その指示に従うのが適切です。

対象構造物や施工条件が示されていませんので、明確な回答は避けさせていただきますが、以下、念のため一般論を解説します。

まず、水中コンクリートと海洋コンクリートの区別、それぞれに必要な注意点等について、それぞれの章を改めてお読みいただき、何が留意点なのかを整理する必要があると存じます。

海洋コンクリートで問題となりますのは、塩化物イオンによる鉄筋の錆と、エトリンガイト生成などの海水の成分によるコンクリート自体の劣化です。若材齢での養生が悪いと、塩化物イオンや硫酸イオンなどの侵入が容易になるため、打設後のある期間、海水に洗われないように養生することにしています。これは、脱型に必要な強度が出ているかどうかとは関係なく、目安の期間を決めています。

水中コンクリートは海洋コンクリートとは別物です。まさしく「水中に打設する」コンクリートで、海水中、淡水中、安定液中で施工する場合があり、それぞれの施工環境により考慮するべき内容が異なります。一般に、海水中の場合はほとんどが無筋コンクリートに使用されていますが、鉄筋コンクリートに使用する場合でも、設計・施工上、特別な配慮がされているはずです。つまり「海水に洗われる」ことを前提に設計され、施工計画が立てられているはずです。このため、脱型が必要な場合には、脱型によって構造物に支障が出ない強度が発現しているかどうかが問題となります。ご担当の構造物の条件が不明ですので、明確な回答はできませんが、解説表11.8.1は参考になるはずです。また,同様の留意点は,8章養生の8.22)の解説にも記述がありますので,参考にされると良いでしょう。

 

77

質問:コンクリート標準示方書施工編のp58の内容についてご指導ください。

現在、橋梁上部工を施工しております。

PC単純床版橋ですが、張り出し部分が現場打設になっています。

示方書では「スラブ、はりの床面」は14N/mm2の強度がでれば支保工をはずして良いとなっていますが、その時点で舗装を施工(舗装施工機械が床版の上に載る)しても良いということでしょうか?

それとも、設計強度の24N/mm2になるまで舗装の施工をすべきではないのでしょうか?工期短縮も含めて検討しております。

よろしくお願いします。

「施工編のp58」というのは、2002年版の記述であると思われます。現在、2007年版が出版されておりますが、2002年版について回答します。

 

5.5の施工時強度は、まず(1)の条文があります。そこでは「コンクリートは、施工時に必要な強度をもたなければならない」とあります。解説にも「構造物が完成するまでの期間に想定される荷重に対して構造的な安全性を保証し、……」とあります。解説文の並びのため、若干わかりにくいかもしれませんが、(2)の型枠の取り外し強度に達したからといって、他の施工時に想定される荷重に対して十分な強度になっているとは、決して言っていません。

 

さらに10.7.8(3)では、脱型後の載荷について、有害なひび割れ等が生じないようにすることを言及しております。解説には、そのことを「……計算等により確認すると良い」とも記述しております。この解説文を十分にご確認ください。

 

なお、5.5 (2)の「型枠を取り外してよい時期のコンクリート強度の参考値」は、脱型時のコンクリート強度を確保し、型枠が外された部分のコンクリートに生じる自重による応力に十分に対抗できる強度の目安を示したものです。現場ごとに施工条件が異なるので、この数値自体も絶対的なものではありません。

 

若材齢のコンクリート構造物に重い施工機械を載せて、ひび割れや変形を生じさせることは、よくあるミスです。また、型枠は、そのような外部の荷重を想定していませんので、脱型前でも大きな荷重が載ると、構造物にひび割れや変形が生じます。今回のご質問のケースでも、事前に舗装施工機械等による発生応力をチェックして置くことが肝要かと思われます。

 

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質問:コンクリート標準示方書[施工編]の塩化物イオン量の試験について

  1 塩化物イオン量の試験

コンクリート標準示方書[施工編]では、塩化物イオン量の試験について下記@及びAのとおり記載されていますが、表11.5.2ではどのような構造物の場合に試験が必要であるか記載がないように思われます。用心鉄筋の配置されていない無筋構造物でも塩化物イオン量の試験は必要でしょうか。

 

@コンクリートの受入れ検査

塩化物イオン量(コンクリート標準示方書[施工編]【2002年制定】P173)「塩化物イオン量は鋼材腐食に対する抵抗性に与える影響の大きい指標である。」

A塩化物イオンの侵入に伴う鋼材腐食に関する照査(コンクリート標準示方書[施工編]【2002年制定】P25〜26)

「無筋コンクリートで、用心鉄筋も配置されていない構造物の場合には、塩化物イオンの侵入により鋼材が腐食し、構造物の性能を損なう恐れはないのでこの照査は不要である。」

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。現在、2007年版が出版されておりますが、2002年版について回答します。

 

 まず、検査の原則について、111112の記述をお読みいただきたいと思います。発注者は、コンクリート構造物の品質を確保する上で必要と思われる検査項目を選択し、契約図書に示すことが必要です。用心鉄筋の配置されていない無筋構造物で、塩化物イオン量の試験が必要ないと判断されれば、契約図書に示さないことによって、検査の必要はないということになります。

 

 以上が原則ですが、一般には「土木工事共通仕様書等による」というような契約図書が多いと思われます。この場合には、特に「塩化物イオン量の検査の必要はない」と記述しないかぎりは、自動的に検査対象になる可能性があります。なお、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」を購入する場合は、自動的に検査をすることになります。

 

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質問:コンクリート標準示方書 施工編 P155 解説 表11・8・1では型枠を取り外してよい時期のコンクリートの圧縮強度の参考値として、

 フーチングの側面は・・・・3.5N/mm2

 柱・壁・梁の側面は・・・・・5.0N/mm2

となっていますが、埋め戻しの時期についても同様に考えて宜しいでしょうか。

 今回の施工は

重力式橋台で フーチング高さ H=1.0m W=2.2m L=5.6m

 躯体高さ H=1.9m 下端 W=1.8m  上端 W=1.5 L=5.6

 躯体の 1回目の打設高 H=1.1m  2回目打設高 H=0.8

河川石積みの横帯工は 高さ H4.6m T=0.3m  下端 W=1.4m 上端 W=1.0

 1回の施工高さ H=1.5m です。

それぞれの型枠の取り外しの時期と、埋め戻し迄の日数を、ご教示お願いいたします。

  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 このご質問は、p.154118の条文と、その解説を熟読いただければ解決するのではないかと思われます。

まず、「型枠を取り外してよい時期のコンクリート強度の参考値」は、脱型時のコンクリート強度を確保し、型枠が外された部分のコンクリートに生じる自重による応力に十分に対抗できる強度の目安を示したものです。現場ごとに施工条件が異なるので、この数値自体も絶対的なものではありません。

 

また通常は、「型枠を取り外してよい時期」よりは湿潤養生が必要な期間の方が長いので、脱型後湿潤養生を継続する必要があります。ただし、埋め戻しにより湿潤状態が確保されるのであれば、問題ありません。

 

若材齢のコンクリート構造物に重い施工機械を載せたり、盛り土をして、ひび割れや変形を生じさせることは、よくあるミスです。ご質問のケースでも、早期に埋め戻す場合には、その条件によっては、埋め戻しによる荷重や施工機械等による発生応力をチェックして置くことが肝要かと思われます。

 

80

質問:コンクリートのひび割れに関する質問がございます。単刀直入ですが、コンクリートのひび割れ幅が何ミリだと補修が必要であるといった、目安があるでしょうか。もしくは、標準仕様書に表がありましたら、ご教示お願いします。

 具体的には、吹き付け法枠工(モルタル)の竣工検査時に格子を中心に乾燥収縮と思われるひび割れが多数確認された。深さは深いもので1.55cmで主鉄筋には到達していませんでした。梁は200*200mm縦梁1.5m*1.2mです。概要は添付のとおりです。よろしくお願いします。

  

まず、吹き付け法枠工はかなり特殊な工法です。一般のコンクリート構造物と同じような対応は難しいと考えます。

 

 まず、特記仕様書には、検査項目としてひび割れの有無やひび割れ幅の制限があるのでしょうか。モルタルはコンクリートより収縮が大きく、全くひび割れを生じないようにすることは極めて困難です。ひび割れの発生は施工者の過失として、無条件に補修を行わせることには疑問があります。不可避のひび割れについては、甲乙で協議して対応を考えるべきであると思われます。

 

 竣工時の検査で不合格になった構造物への対応については、[施工編:検査標準]の11(4)に「検査の結果、合格と判定されない場合は、部材、構造物が所定の性能を満足するように適切な対策措置を講じなければならない。」としております。具体的な方法については、記述しておりません。これは、不合格の状況が非常に多様であるためです。個別の事例で検討することが必要です。

 今回の事例では、そもそも構造物にどれくらいの耐久性を期待するのか、環境条件は厳しいのか、ひび割れの状況は現状どうで将来どうなりそうなのか、といったような条件を加味して対応を検討されることが必要です。

 

 残念ながら、現在のコンクリート標準示方書にはご質問に答えるような具体的な数値を示した表はございません。参考になる図書としては、以下のようなものがございます。

 

日本コンクリート工学協会「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針」

  土木学会コンクリートライブラリー122 「吹付けコンクリート指針()[のり面編」

 

81

質問:標題の件について、【施工編】のP165の解説表12.6.1についてですが、治山工事で施工する谷止工は『(1)連続して・・・』または『(2)普通の露出状態・・・』のどちらに該当するのでしょうか?

 表中の『構造物の露出状態』が養生中の構造物の状態をいうのであれば、仮締切・ポンプ排水・防寒足場等を設置するため『(2)普通の露出・・・』に該当するのでしょうか?

 基本的な質問ですが、ご教授をよろしくお願いします。

 

 

  

コンクリート標準示方書について、ご質問をいただきましてありがとうございます。

 

その通りです。参考に、下記の質問35番を見ていただけると幸いです。

http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

82

質問:「脱型について」2002年制定 コンクリート標準示方書[施工編]

P.58の表5.5.1について

 

現在施工中の橋台躯体工で踏掛版の出が500mmでちょうど45度、胸壁の出が500mmでちょうど45度の傾斜がつくのですが、表から読み取るには、表真ん中の柱・壁の側面と解釈して5.0N/mm出れば脱型してもよろしいのでしょうか?

  

「施工編のp58」というのは、2002年版の記述であると思われます。現在、2007年版が出版されておりますが、2002年版について回答します。また、ご質問の文面からは、そちらの施工条件が不明ですので、以下の回答はあくまで参考としてください。

 

5.5 (2)の「型枠を取り外してよい時期のコンクリート強度の参考値」は、脱型時のコンクリート強度を確保し、型枠が外された部分のコンクリートに生じる自重による応力に十分に対抗できる強度の「目安」を示したものです。あくまでも「参考値」です。現場ごとに施工条件が異なるので、この数値自体も絶対的なものではなく、現場ごとに判断されることが必要です。

 

ご質問にあります橋台では、「出が500mm」と小さいため自重による応力が十分に小さく、また脱型直後に荷重もかからないと判断されるなら、表中の「柱・壁の側面」で対応されても良いかと思われます。

 

83

質問:現在、BOXカルバート「内径2200×2100 長さ2000」の据付工事を行っています。 基礎コンクリートの幅は2760、厚さは500となっています。(鉄筋コンクリートです) 発注者より、「脱型強度は圧縮強度で確認できるが、BOXを据え付けられる強度は?」 との質問を受けました。

 コンクリート標準示方書「施工偏」P155

 型枠を取り外した直後の小僧物に載荷する場合は、有害なひび割れ等損傷を与えないようにコンクリート圧縮強度をもとに計算するとよいとの文献があります。

 ボックスの重量は概ね8t、カルバートの自重は17.73KN/m2です。

 圧縮強度に変換しますと 0.017N/mm2 となります。

 但しこれでは、あまりにも小さく、又ひずみ等の影響もあると思いますが・・・

 何か参考になる文献及び計算方法等があれば教えて頂きたいのですが・・・

 宜しくお願いします。

  

まず、お問い合わせのBOXカルバートというのはプレキャストコンクリートでしょうか。さらに、基礎コンクリートというのは、いわゆる捨てコンあるいは均しコンでしょうか。それとも鉄筋コンクリートとありますので、何らかの構造物でしょうか? 条件が不明確なので、一般的な施工を想定してお答えします。

 

ご質問の「据え付け」という文面から、まず、均しコンの上にプレキャストのボックスを置く状況を想定してお答えします。均しコンであれば、その下に切り込み砕石や栗石等を入れているはずで、均しコンクリートにひび割れが入っても何ら支障はないはずです。このため、作業ができる程度に硬化すれば、いつでもボックスを据え付けてもかまわないのではないでしょうか。

ご質問では、ボックスの自重が底面に均等に分散することを想定されて圧縮応力を計算されています。これで壊れることは、まずあり得ません。通常は、均しコンとボックス下面の不陸のために、どこかに集中荷重がかかり、無筋の均しコンにひび割れがはいると考えられます。もしこれを厳密に計算しようとすると、無筋の舗装版と同様の曲げ応力の計算が必要になります。とても条件設定が難しくなります。

通常は不陸を調整する空練りの敷モルタルを置くと思いますので、均しコンとボックス下面の不陸のための応力はかなり小さいと思われます。それより、施工のための機械等が載る場合には、こちらの方が集中荷重が大きくなり、より過酷な条件となると思います。

いずれにしても、あまり厳密な検討を行っても無意味と思われます。

 

次に、基礎コンクリートが何らかの構造物の場合ですが、この場合は基礎コンクリートが何らかの荷重条件等を考慮して設計され、配筋がなされていると思います。鉄筋コンクリートですから、曲げ応力が発生することを想定されているのではないでしょうか。通常はどこかに集中荷重が載る場合が厳しい条件となるので、それを想定して応力のチェックを行うのが良いと思われます。

 

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質問:『2007年制定 コンクリート標準示方書 施工編』の内容について教えて下さい。

 1 P.163の表12.6.1の断面について、「薄い場合」、「普通の場合」、「厚い場合」の基準を教えて下さい。

2P.165の解説 表12.6.1の構造物の露出状態について、湿潤養生を行っている

     期間は、『(1)連続してあるいはしばしば水で飽和されている場合』に該当するのでしょうか?

 ご回答よろしくお願い致します。

既に、同じ内容の質問が何件かございまして、次のURL35番目に回答がございます。参考にしてください。

 

http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

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質問:土木技術者のバイブル 標準示方書 施工編 P25015.4.2 鋼材の組立

の中で、(1)の文章の中にあります、「点溶接」についての質問です。

「点溶接」とは具体的に、スポット溶接(電気抵抗溶接)のことを表しているのか

それとも、「点溶接」には、アーク溶接も含まれているのか教えていただきたく

メールいたします。よろしく御回答お願いいたします。  

このご質問は、2002年版の[施工編]に対するご質問だと思われます。既に同じ内容の質問が2007年版に対しても何件かございまして、次のURL56番目に回答がございます。参考にしてください。

 

http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

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質問:コンクリート標準示方書[施工編]の内容に係り、次の質問についてご教示願います。

 

【質問事項その1】

P14010.3鉄筋の組立 

 『組立用鋼材については、耐久性の観点からかぶりを確保することが重要である』と記載されています。

一方、一般的なフーチングのようなコンクリート構造物において、フーチング内の組立用鉄筋は均しコンクリート上に直に配置されることが多いと考えられます。

 しかしながら、均しコンクリートは、その性格から、かぶり厚さには含まれないものと考えますので、一般的な場合の組立用鉄筋について、かぶり確保の方法が不明です。(均しコンクリートを含まないとする考えは、『鉄筋工事用スペーサ設計施工ガイドライン:(社)日本土木工業会』の添付資料にも掲載されていました。)

 つきましては、組立用鉄筋のかぶりを確保する施工方法について、どのような方法があるか教えてください。

 お手数をお掛けいたしますがよろしくお願いいたします。

  

通常、一般的なフーチングのようなコンクリート構造物においても、均しコンクリートはかぶりの一部としては考慮していません。したがって、組立用鋼材の耐久性確保の観点から、組立て筋を均しコンクリート上に直に配置することは避ける必要があります。

示方書に記載のとおり、組立て筋は均しコンクリート上にモルタルやコンクリート製のスペーサを配置し、そのスペーサ上に組立て筋を設置するのが適切な方法です。ここで、スペーサの大きさや組立て筋の径は、主筋や配力筋の所定かぶりを確保し、組立て筋も主筋や配力筋の所定かぶりと同等のかぶりとなるように選定するのが基本です。通常、組立て筋を介して主筋が配置しますので、主筋外側の配力筋の所定かぶりを目安として、スペーサや組立て筋の大きさや配置方法を決めるのが一般的です。

 

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質問:○以前に下記電子メールのとおり質問させていただきましたが、その後自ら調べた結果、組立鉄筋の脚にモルタル製のスペーサーが付いたような製品があることが判明いたしました。

恐らく、他の現場ではこのような製品を使用し対応しているものと

考えます。お忙しいところお手を煩わせて申し訳ありませんでした。

○当該質問に関連いたしますが、【※質問※】

『コンクリート躯体の下に均しコンクリートを施工する場合には、

躯体下端のかぶりを確保しないでよいという主張』が、現場では

あります。

当方は、均しコンクリートは、その性格(品質をあまり追求して

いない)から、かぶり厚さには含まれないものと考えますので、

『鉄筋工事用スペーサ設計施工ガイドライン:(社)日本土木

工業会』の添付資料にもある、スペーサー種類選択の考えを

採用するべきと考えます。

一方で、杭頭補強筋を杭頭部に溶接した場合には均しコンク

リート貫通し躯体に埋め込むようになりますし、型枠のセパー

レーターなども考えますと、矛盾しているとも考えられます。

 

つきましては、均しコンクリートがある場合に、コンクリート

躯体下端のかぶりを確保する必要があるのかご教示願います。

一般論として、均しコンクリートはかぶりの一部としては考慮していません。しかし、個別の構造物では状況がさまざまで、場合によっては均しコンクリートをかぶりの一部として考慮できる場合も存在します。均しコンクリートの品質が良好な場合や、酸素や水の供給がない場合などです。また、構造物によっては、組立て筋の一部が腐食しても問題ないような場合もありえます。

 

そのような場合には、均しコンクリートの厚さの管理、使用するコンクリートの品質の管理、施工管理をきちんと行う、あるいは、環境条件が問題ないことをきちんと評価する、などの対応が必要でしょう。その上で、発注者が了解すれば、均しコンクリートをかぶりの一部として考慮する場合もありうると思われます。

 

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質問:2007年制定 コンクリート標準仕方書(施工編)74P スランプについて質問させていただきます。

4.4.2 でコンクリートの投入間隔 : 任意の箇所から投入可能

締固め作業高さ : 3m以下の欄が − となっていますがその考え方についてご教示ください。

表下に 2)コンクリートの落下高さは1.5m以下を標準とする とあり締固め作業高さが1.5m以上になると打設する型枠内にポンプ車等の投入口を入れる必要があるため作業高さ1.5m以上には任意の投入ができないため −となっているのでしょうか。

任意の次が 23mとしているのは何故でしょうか。

また任意の箇所から投入可能 の意味ですがポンプ車等の投入口を型枠内に入れることなく打設することを指しているのでしょうか。

  

まず、[施工編:施工標準]の記述はあくまで標準を示したものです。表4.4.2も目安であり、ここに示された数値が絶対的な制約をもたらすものではありません。現場ごとに適切な対応が必要です。

4.4.2 の「−」についての考え方です。スラブの場合には、多くの場合、鉄筋を組んだ上面の任意の位置にポンプの筒先を自由に移動させることが可能です。その場合を「任意の箇所から投入可能」としております。このような場所では当然のことながら、振動締め固めも作業高さを小さくして施工が可能です。最も施工が楽な条件のひとつです。

逆に、何らかの障害物があって振動締め固めの作業高さを小さくできないような場合には、コンクリートの投入も制限を受けることになり、投入間隔も狭くできなくなる場合が多いです。

任意の次を 23mとしているのは、あくまで目安です。こういう事例が多いことが主な理由です。もちろん、構造物によっては表4.4.2 の「−」の部分に対応しなければならないような施工条件もあり得るでしょう。その場合は施工条件を勘案し適切に対応していただきたいと存じます。なお、施工条件が厳しければ、スランプをいくらでも大きくしてよいという訳ではありません。単位水量の小さいコンクリートが打設できるように、施工条件を工夫するのが大原則です。

3つ目の質問については、最初の質問への回答を読んでいただければご理解いただけると思います。一度、スラブの施工現場を見ていただければと思います。

 

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質問:[施工編:特殊コンクリート]10章水中コンクリート 10.5検査<p.348>に関することです。

10.3.2水中不分離性コンクリートの配合(6)では、空気量は4%以下を標準とすると明記<p.341>していますが、表10.5.2水中不分離性コンクリートの受入れ検査<p.348>においては、空気量試験に関する記述がありません。

空気量過大は、強度低下、環境汚染、品質のばらつきの要因となるためにこのようにしたと解説文にあります<p.342>ので、大事な管理項目のように思えるのですが、

@空気量試験は実施しなくてもよいのでしょうか? ちなみに、1991年発刊のコンクリートライブラリー67水中不分離性コンクリート設計施工指針の表9.3.1p.43>では、空気量試験を実施し、その許容差は+1.0%と記載されています。

A敢えて空気量試験を抜いているのなら、何か意図はあるのでしょうか?

p.349>解説文の最後に、”これ以外のコンクリートの検査は…”という一文があるので、これで補完していると読み取れないこともないのですが、表10.5.1にスランプ試験のことが入っているのだから、同レベルで空気量も入っていないとおかしいのでは?と思った次第です。

また、コンクリートライブラリー679.3.1が正しいのであれば、一般的なコンクリートの空気量の許容差±1.5%と管理値が違うので、誤解を招くような気がするのですが、いかがなのでしょうか?ちなみに、2002年制定の示方書にもこの記述はないので、前々からの何らかの意図があったのかなぁとも思いますが…

また、以下は単なる誤植だとは思うのですが、土木学会HPには掲載されていなかったので、確認させてください。

B<p.348>表10.5.1、表10.5.2の”試験・検査”は”試験・検査方法”でよろしいでしょうか?

C同じく表10.5.1の”試験・検査”の一行下は、”圧縮強度”ではなく”JIS A1108の方法”の誤りではないでしょうか?  

コンクリート標準示方書[施工編]について、ご指摘をいただきましてありがとうございます。

現状で市販されている水中不分離性混和剤には、消泡剤が使用されています。このような剤を使った場合、空気量は十分に小さく、5%(4%+1.0%)を越えるようなことは通常ではありません。従って、空気量を測定しなくても問題は生じませんので、示方書では、検査項目から削除してあります。

 

しかし、現行の「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」の性能規定値を満足する新たな混和剤が開発された場合、剤によっては空気量が今以上になる可能性もあります。また、現在の施工現場では、「水中不分離性コンクリート設計施工指針(案)」にしたがって、水中不分離性コンクリートの受入れ時には、空気量の試験を行っている場合がほとんどであるようです。

以上のことを考慮しますと、標準示方書でも「受入れ検査」で空気量の試験を明記した方が良いようです。ご指摘を受け、今後の検討課題とさせていただきます。

BCについては、ご指摘のように単なる誤植です。正誤表に載せるとともに、次回の版では修正いたします。

 

90

質問:コンクリート示方書(2007版)〔施工編〕P44におきまして、「3.3練混ぜ水 (3)海水は一般に練混ぜ水として使用してはならない。」

そして、(3)の付属書きとして、「無筋コンクリートの場合には海水を用いることで、コンクリートに悪影響がないことを確認したうえ。」となっております。

その中で質問いたします。

1.【コンクリートに悪影響がないことを確認】とは、具体的にどのような方法なのでしょうか?

2.海水そのものの水質分析が必要なのでしょうか?(その場合、基準的なものはあるのでしょうか)

お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

まず、最初の質問についてですが、一般論としてはp.44の解説をお読み下さい。

コンクリートの練り混ぜ水として海水を使う場合の最大の問題点は、塩化物イオンによるコンクリート内部の鋼材の腐食です。無筋コンクリートの場合にも、設計上必要のない鋼材が埋め込まれている場合があります。そうしたものが腐食することにより、外観が悪くなったり、コンクリート片の落下により第3者被害を及ぼしたりすることもあります。このようなことの発生の可能性には注意したほうが良いかと思われます。

次に、海水は塩化ナトリウムを多量に含むため、セメントの凝結時間に影響を及ぼします。一般に、凝結が早まり、コンクリートの施工時間が短くなるため、例えば夏場の施工など、施工条件によっては注意を要することもあります。初期強度は大きくなりますが、長期に渡る強度発現は小さくなります。このため、密実なコンクリートとなりにくいため、凍結融解耐久性が落ちるなど、耐久性も小さくなる傾向があります。この影響度合いは、コンクリートの配合や気温などによって異なるため、厳密に確認しようとすると、実際にコンクリートを練ってみるしかありません。このほかにもセメントの成分などによってはさまざまなイオンの影響を受けたり、いろいろな影響がありますが、ご興味があれば、それらは文献等をご覧下さい。

ふたつめのご質問は趣旨が明確ではありませんので、海水を練り混ぜ水に使う場合、その成分によって使えるかどうかの基準があるかという質問と理解し、回答します。海水の成分は、日本の近海ではほとんど均一です。海水そのものを分析すると、練り混ぜ水の基準に合格しません。ですから、海水そのものの成分を分析してもあまり意味はありません。河口付近などでは河川水が混ざったり、あるいは井戸水に少し海水が混ざったような場合で、分析してみたところ、練り混ぜ水の基準を満たしたような場合は普通の練り混ぜ水と同様に使えます。

参考ですが、離島などで淡水が貴重な場合、無筋コンクリート構造物に用いるコンクリートの練り混ぜに海水を使う例は少なからずあります。長崎県などでも例があると思いますので、少し調べられてはいかがでしょうか。

 

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質問:コンクリート標準示方書施工編(2007年制定)の内容についてご質問させていただきたくメール致しました。

P131の水平打ち継ぎ目についてなのですが、近年、レイタンスの除去に代わり、打ち継ぎ目剤の使用がいくつかの現場で見られます。示方書に特に記載がなく困っております。使用の際の制限などありましたら教えていただきたいのですが。

以上宜しくお願い致します。

打ち継ぎ目の処理技術については、近年、さまざまなものが開発されています。その手法や効果は多様で、示方書のように一般的になった技術を対象にして、その標準を示す図書では、そうした新しい技術の全てに対応することは不可能です。

 従いまして、「効果を確認の上、ご使用下さい」としか記述の方法がありません。

 

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質問:2007年制定 コンクリート標準示方書[施工編]の記述内容についてお尋ねいたします。

【本文での記述箇所】

1. 8章 養生 p.127 8.2湿潤養生 表8.2.1 湿潤養生期間の標準

2. 12章 寒中コンクリート p.163 12.6養生 表12.6.1 厳しい気象作用を受けるコンクリートの養生終了時の所要圧縮強度の標準

3. 12章 寒中コンクリート p.165 解説 表12.6.1 所要の圧縮強度を得る養生期間の目安

【問い合わせ内容】

a. 1.の表には、日平均気温ごとに各種セメントにおける湿潤養生期間の標準日数が示されていますが、この日平均気温を三水準に設定した根拠、ならびにセメントごとに示されている湿潤養生期間の日数決定の根拠について、解説にも示されていないので、どのような過程でこの結果になったのか、具体的に教えていただけないでしょうか。

b. また2.および3.に示されている圧縮強度や養生温度、養生期間についても、その根拠について教えてください。

引用文献や図などがあればそれらも教えてください。

お忙しいところ恐縮ですが、ご返答の程よろしくお願いいたします。  

 いくつかの項目について、その根拠をおたずねですが、示方書の記述の根拠に関連する回答が次の20番目と27番目にございます。それを参考にしていただけると幸いです。

 

 http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

示方書施工標準に示されている諸値は、さまざまな要素をもとに総合的に決定しております。例えば、湿潤養生期間の標準につきましては、既に昭和6年の示方書の初版から、普通ポルトランドセメントについての記述があります。その後、実務に沿うよう、現場で少しでも使いやすいように、少しずつ改訂を加え、現在の形になっております。その間、実験結果をもとに提出された論文や報告、あるいは技術者の経験を基に改訂を検討してきました。示方書の見直しのたびに委員会で学識経験者と実務者のなかで審議し決定しています。そのため、ひとつの論文を根拠にするようなことはほとんどございません。従いまして、ご希望されている根拠を簡単に提示することは不可能です。ご理解いただければ幸いです。なお、大きなドラスティックな改訂につきましては、コンクリートライブラリーの改訂資料に記述がございますので、それを参考にして下さい。

 

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質問:施工編ですが 粗骨材の最大寸法の記述ですが土木構造物の場合で無筋の場合は1/4を越えてはならないとありますが逆に言えば40mmの骨材なら160mm以上の部材でなければ使用しないと取るのでしょうか?  又一般の場合と断面が大きい場合と有りますがこの区別はどこにあるのでしょうか?  又断面と有るのはコンクリートが入る最少断面ととるのでしょうか?簡易な張りコンの(舗装のような)厚みも同じく1/4の断面と理解するのでしょうか?

 同じく最少部材の1/5 鉄筋のあきの3/4以下かつかぶりの3/4以下との記述は鉄筋コンクリートの構造物と理解するのでしょうか?

 ここからは意見なのですが 公共関係の設計では強度が18nかつ水セメント比が60%以下と有りますが当地の配合では後者を優先させれば強度が21nと自ずとなります 設計から21nにすればと考えますが・・・(単純に費用の事か?)  またスランプも必ず8cmとなっていますが 強度及び水セメント比等の性能を確保し作業に最適なワーカビリティの範囲内で単位推量を出きるだけ下げればいい(スランプを8cmにこだわらず12cmとか)と考えますが如何なものでしょうか?

それの方が締め固めが格段上昇するように考えますが・・・宜しくお願い致します

  

まず、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。従いまして、ここに示されている記述に絶対的に従わなければならない訳ではございません。また、文章を額面通り四角四面に捉えてもらうのが目的でもありません。その点はご理解下さい。

最初のご質問ですが、この記述に従えば、骨材の最大寸法が40mmのコンクリートを用いて通常の施工を行うのであれば、無筋の土木構造物では160mm以上の断面のものが対象となります。しかし、何らかの配慮を行い、きちんと打設締め固めが行うことができれば、この限りではありません。

「断面が大きい場合」の明確な定義はございません。「簡易な張りコン」がどのようなものかはわかりませんが、最大寸法が40mmの骨材を用いて、それが断面寸法の1/4を越えても、きちんと施工でき、構造物が所定の性能を発揮できるのであれば、何ら問題はありません。

2段落のご質問は、対象は鉄筋コンクリートです。わかりにくい表現になっていることはご了承下さい。関連する質問への回答として、次の質問No.1122244154も参考にしてください。

 http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

第3段落のご質問は、本来は発注者へ問うべき事柄かと存じます。一般的に言えることは、設計段階では、どこの生コン工場からコンクリートが供給されるかは特定できません。このため、呼び強度が18かつ水セメント比が60%以下というような仕様を決定した場合、ご指摘のような事態が生じます。この問題はかなり以前から表面化しており、強度が過剰になることと、値段が安い方で積算がされることなどが問題となっておりました。後者の点については、国土交通省などでは改善がなされている場合もあるようですが、前者の事項については、現状の発注体制では対応が難しいと思われます。

スランプについてのご指摘は、2007年版の施工編の大改訂点のひとつです。関連の章をお読みいただければ改善されていることをご理解いただけると存じます。

 

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質問:2007年度版、P155の上から11行目に「型枠および支保工の取りはずしに必要なコンクリートの圧縮強度の参考値を解説表11.8.1」と書いてありますが、下の表のタイトルが「型枠を取りはずしてよい時期のコンクリート圧縮強度の参考値」となっていますがどちらが正しいのでしょうか?

下のタイトルが正しい場合は、支保工を外すのは、自重、荷重を受けるのに必要な強度に達するまで取外しをしてはならないのでしょうか?  

ご質問の趣旨がよく理解できません。問題にされているのは、前者には「支保工」があり、後者には「支保工」がない、という点でしょうか。それとも、後者には「時期」という言葉があるという点でしょうか。

もし前者であれば、記述の統一性がないのはご指摘の通りです。しかし、通常は支保工を外さないと型枠は外せませんので、特に問題はないと思います。次回改訂では、表現を統一したいと思います。

もし後者であれば、11.8(2)が、型枠および支保工の取りはずしの時期のことについて述べているので、何ら問題はないと思います。

 

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質問:コンクリート標準示方書の内容で発注者と意見の食い違いがあり、現場で大変苦労をしています。

というのは、【2007年制定 コンクリート標準示方書(施工編)】のP.8586に記載されている単位水量の値についてです。

4.5.1単位水量 の(2)に上限値と記載されていること。および、解説で推奨範囲が記載されていることで、私が担当する現場において、場所打ち杭のコンクリートがあります。

種類は、30N-15-20BBです。水セメント比は55%以下と指示されています。で、配合ですが、下記となっています。

  セメント:391kg  水:182kg 細骨材@(海砂):577kg 細骨材A(砕砂)161kg 粗骨材(砕石):958kg

  混和剤(AE減水剤遅延形T種):5.880kg 水セメント比:46.4% 細骨材率:44.1%

で、骨材20mmの場合、155175kgの推奨範囲を超えています。ここで、発注者は推奨範囲のなかに無くてはいけないのでは無いかとクレームです。また、175kgの上限値を超える場合は所要の耐久性を確認せねばならないが、どの様に確認するのか?と槍のように催促します。生コン屋の試験係がいろいろ説明しますがなかなか納得しません。

推奨範囲は、絶対なのでしょうか?どのような趣旨で記載されているのか、詳しく教えていただければ幸いです。

まず、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。従いまして、ここに示されている記述に絶対的に従わなければならない訳ではございません。その点はご理解下さい。さらに「推奨範囲」は、あくまで推奨する範囲です。絶対のものではありません。

 

解説表4.5.1の推奨範囲は、これより単位水量が多いと分離やブリーディングを生じやすくなり、また、硬化後の乾燥収縮等が大きくなること、これより少ないとワーカブルなフレッシュコンクリートとなりにくいことなどを考慮して、これまでの実績や経験をもとに決めたものです。この範囲を超えると、即座に耐久性がなくなるとか、施工できなくなるといった類のものではありません。

 

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質問:コンクリート標準示方書【施工編】P118 第77.4.2打ち込み(5)について質問させてください。本県土木工事共通仕様書の改訂作業中に国交省では当該部分の変更があり、内容を確認したいのでよろしくお願いします。

「・・・4050cm以下を標準とする。」といった記述ですが、『以下を標準とする』という部分は『50cm』のみにかかるのでしょうか。50cmを超えても良いが、そのときは供試体試験のやり直し等が必要である、という意味でよいでしょうか。

 40cm以下の30cmでもよい、という意味でしょうか。

 この部分の記述は、2007年に変更になったのでしょうか?

 記述を「・・・4050cmとなるように打ち込まなければならない。」というものにした場合、問題がありますでしょうか?    

まず、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。従いまして、ここに示されている記述に絶対的に従わなければならない訳ではございません。その点はご理解下さい。いろいろな状況によってご質問の数値は変化します。

 

「……4050cm以下を標準とする」という記述は、確かに誤解を招きかねない記述です。趣旨としては「50cm以下を標準とする」です。しかし、通常は施工効率を上げるために大きめの層厚で打ち込みがちですので、こういう表現にしております。

 

ここの部分の記述は2007年に変更しております。その経緯はコンクリートライブラリー1292007年版コンクリート標準示方書改訂資料」に示しておりますので、参考にしてください。

 

この部分の記述を「……4050cmとなるように打ち込まなければならない」とした場合、逆に役所の方はそれでよいのでしょうかと聞きたくなります。役所の方はおうおうにして「この記述通りでないと許さない」となりそうです。それより薄く施工する場合は、多々あります。床版ですとか、打ち込みの最上層などでは、そう記述しても融通を利かせないと施工が不可能となります。それより「標準とする」としておいたほうが無難なような気がします(役所の方は、現場で判断を伴う記述を嫌われますが)。

 

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質問:コンクリート標準示方書2007年版[施工編]のスランプの規定についてご教授お願いいたします。

同書では、

1/打ち込みの最小スランプの標準値

2/荷卸し箇所の最小スランプ

3/練り上がりの目標スランプ

3段階を示していますが、設計書(工事発注図書)で表記されているスランプは、上記のどの段階の値なのでしょうか。

※ 実際の現場でのスランプ試験が、荷卸し時にのみ行われていることを考えると、上記[2]なのかと思えます。

しかしその場合、設計の時点で荷卸し箇所と打ち込み箇所の距離が、設計の段階からある程度定められていることになり、疑問を感じます。

※ 個人的な意見では、[1]の値のみが設計書で規定され、それを確保するために施工業者が[2]を、生コン業者が[3]を決め、その値に対して各が品質を管理する、というのが筋のように考えます。  

従来のスランプの指定は、どこの時点の値であるかがはっきりしていないところが問題でした。JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」では、荷卸し時のスランプ値を規定しています。従来のコンクリート標準示方書施工編では、打込み時のスランプ値を規定していました。国などが出す工事発注図書には、どの地点のスランプかは明記されていません。

さらに、それらのスランプの値が中央値なのか、最低値なのかの議論もありました。通常はJIS A 5308も工事発注図書も従来の施工編も、中央値を示していて、検査の時にはその値に「±○cm」という許容幅を持たせていました。

こうした状況で、荷卸し時のスランプ値は許容幅の範囲を満足しているものの、時間経過やポンプ圧送にともなって打込み時にはスランプ値が低下してしまっている、というような状況も多発していました。さらに、それを回避するためのJISで決められた許容幅の上限ぎりぎりのスランプを要求する、いわゆる「スランプ値の上限指定」等の行為にもつながっているわけです。

今回の改訂では、これらの状況を改善するための提案をしています。ただし、発注者の工事発注図書や共通仕様書には、まだ2007年版の施工編の考え方は反映されていません。

以上のようなことについては、示方書の講習会でも説明しましたし、土木学会コンクリートライブラリー1292007年版コンクリート標準示方書改訂資料」のp.73〜に詳しく記述されています。

 

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質問:コンクリート標準示方書(2007年)施工偏の水中コンクリートに関して以下の記述内容が理解できません。教えていただけませんか。

 

10.2.2.2 トレミーによる打ち込み

 ・1本のトレミーで打ち込める面積は、一般に30m2程度・・・・

10.2.2.3 コンクリートポンプによる打ち込み

 ・配管1本で打ち込める面積は、通常5m2程度・・・・

 

なぜポンプ打ちでは、面積が小さいのですか?移動せず固定配管で考えた時、トレミーと同じと考えるのですが?  

ご質問の事項は、解説に記述されたもので、こうでなければならないと言っているわけではありません。あくまで実施例などに基づく標準的な範囲を、参考として示しています。この点はご留意下さい。下記の記述も、参考として、水中コンクリートについての一般的な考えかたをご紹介します。

 

トレミーによる打設が適用されるのは、場所打ち杭、地下連続壁、橋脚など鋼枠内水中コンクリート施工が主です。トレミー管の先端を数mコンクリート中に差し込み、コンクリートの中にコンクリートを自重で潜り込ませる方法です。したがって水と触れることが少なく、水に分離しにくい方法です。トレミー管の先端をコンクリート中に指しこんでいますので、移動距離を少し長めにとりたいため、スランプは少し大きめにします。流動範囲を大きくするように配合・施工を考えて、計画します。

これに対して、ポンプによる施工が適用されるのは、どちらかというと比較的小さな水中構造物です。フレキシブルホースを先端に使用した場合は、トレミーのような直管では施工困難な個所や方向にも施工ができるなどの特徴があります。ポンプ施工の場合、先端ホースはダイバーが持つことが多く、先端ホースを投げて差し込むこと多いと思われます。フレキシブルホースを自在に移動させられるので、移動距離は小さく計画します。スランプを大きくする必要はないのですが、振動締固めをしないので、それなりのスランプの大きさにします。しかし横流動を目的としてはいないのが一般的です。なお、ホースの先端をコンクリート中に差し込むことはポンプの圧力管理面から大変危険であり、ホース先端からは圧送で自然に流れ出るようにします。落下させないでホースを必要な個所に移動させるので、施工面積も小さく計画します。

なお、質問の趣旨とは異なりますが、また、施工速度を上げるためには、トレミーとポンプの併用工法があります。施工編10.2.2.3の解説(2)について、に記述してありますので御参照下さい。

 

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質問:コンクリート標準示方書発刊に伴う講習会での質問回答でも良くあるようですが、明確にわからないためご教授ねがいます。コンクリート標準示方書【施工編】(2007年制定)の12章寒中コンクリートの12.6養生(3)における構造物露出状態の明確な区分がわかりやすく教えてもらえないでしょうか。解説からも、耐凍害性の観点であくまでも養生期間中の状態を示したものだと考えるのですが、発注者によっては養生後一定期間をおいた後の状態(構造物はいずれ河川内で水にひたるから(1)の連続してあるいはしばしば水に飽和される場合)だと言い張る方もいらっしゃるため養生期間の理解に相違が生じます。工事は、低水位護岸の練り石積みや根固めブロックなどで、最終打設完了から1ヶ月以上経過後に埋戻しを行います。宜しくお願い致します。

  

ご質問の事項については、既に何度か類似のご質問を受け、回答しております。次のURLの、No.35No.38をご覧下さい。

http://www.jsce.or.jp/committee/concrete/QandA/07koshukai-qa.html

 

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質問:コンクリート標準仕方書[施工編]P111の外気温について 

コメント : コンクリート標準仕方書[施工編]P111において、外気温25c°を境に、練混ぜから打設完了までの時間が1.5時間までと2時間までとされています。

この場合の外気温とは、レミコンの出荷場所での気温と解釈するのか、打設場所での気温と解釈するのか、あるいは出荷場所と打設場所との平均気温と解釈するのが適切なのでしょうか?

ご教示願います。

  

まず、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。従いまして、ここに示されている記述に絶対的に従わなければならない訳ではございません。その点はご理解下さい。現場ごとにある程度の柔軟性をもって対応していただければと考えます。

 72で最も問題となるのは、コンクリート自体の温度が上がりすぎないようにすることです。ですから、生コン工場から施工現場まで、外気温がどのようにコンクリートの温度変化に影響するかが問題です。通常は、生コン工場からは練りあがったコンクリートは直ちに出荷されるでしょうから、施工現場の気温の方が問題となるでしょう。ただし、これもケースバイケースです。そもそも、生コン工場から施工現場までの距離がそれほど大きくないはずですので、高低差がなければ、外気温もそれほどは変わらないはずです。

 

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質問:コンクリート標準仕方書【施工編:施工標準】のP.75P.76内容について、下記の質問の問い合わせをお願致します。

 

@ 柱部材と壁部材の違いはなんですか?

A 柱部材と壁部材の最小スランプ目安で作業高さは記載がありますが、構造物の幅に関しての規定はないのでしょうか?

B 本工事の場所打ち函渠の構造図で柱部材と壁部材との区分けはどのように考えればよいのでしょうか?  

まず、コンクリート標準示方書施工編「施工標準」は、あくまでも標準的な事柄を示すのが目的です。従いまして、P.75P.76の表などに示されている区分けや数値に絶対的に従わなければならない訳ではございません。その点はご理解下さい。

そもそも、4.4.2のスランプの記述は、部材ごとにコンクリートの打込みや締固めが確実になされるようにスランプを選定するための目安です。柱の形状をしていても、打込みや締固めが容易なものもあれば、難しいものもあります。同様のことは壁の形状をした部材にも言えます。

柱と壁の区別は、断面形状が長辺の寸法と短辺の寸法の比率や、短辺の寸法の薄さなどによって決まりますが、その境は明確に決まっているわけではありません。特に土木構造物では、構造物の形状は極めて多様で、同じような断面でも、構造物の中の役割で、柱のように挙動するものや壁のように挙動するものがあります。従って、柱と壁の明確な区別はあまり意味がありません。それより、442では、その部材の寸法や形状、配筋では、どのようなスランプが適切であるかを考えることが重要です。構造物の幅についても、同様にお考え下さい。

次にBのご質問については、経験ある技術者で、ご呈示の構造物の中に柱部材が存在すると判断する人はまずいないでしょう。この側壁部は一般には壁部材として設計・施工すると思います。ただし、何らかの原因で、壁の表面付近の配筋が非常に密であるようなことがあれば、柱部材の表4.4.3が参考になると思われます。