2.6 試験実施
前述のとおり、Slashを用いた情報受発信システムを開発した。
平成15年度からの本格運用に先立ち、試験実施を行い、課題抽出及び改善案の検討を行うこととし、試験実施は、下記のとおり、特別委員会関係者間、学会員を対象の二段階で実施した。
2.6.1 特別委員会関係者間でのシミュレーション
○期間:平成14年12月上旬?平成15年2月上旬
○範囲・進め方:会長提言特別委員会関係者が一般社会、学会員を兼ねて、質問・回答を行った。
○アクセス実績
- 質問広場・意見交換広場等への投稿が28件、これらに対するコメント投稿が48件あった。
○課題
- 回答が難しい質問に対してコメントが寄せられない、回答者には偏りが見られる等、必ずしも活発な意見交換が見られなかった。
- 要因として、記事の投稿操作が複雑、実名投稿への抵抗感、記事投稿に時間を要する等の意見が聞き取り調査で得られた。
- 事務局からは、編集作業よりも未回答質問への回答作成に労力が要するとの意見があった。
- れらを踏まえ、投稿画面の修正、匿名での投稿可などの改善をはかり試験運用に移行した。
2.6.2 試験運用実施内容
○期間:平成15年2上旬〜平成15年5月
○範囲・進め方:一般社会 + 土木学会会員 + 会長提言特別委員会関係者
○役割:質問・意見については、一般・会員を対象範囲としたが、回答者・事務局については特別委員会事務局が主体となり対応し、SLASHを用いた情報受発信システムの運用性を確認した。
○会員・社会への周知:会員・社会への周知については、土木学会HPへのUP、日経コンストラクションでの紹介記事などで対応した。また、特別上級技術者へは、回答登録者への登録依頼とあわせて、別途メールし周知した。
2.6.3 試験運用実施結果
○アクセス実績:試験運用を開始した2月3日以降、質問広場・意見交換広場等への投稿は48件、これらに対するコメント投稿が107件あった。また、ユーザー登録者は214名となっている。意見交換広場の中には、17件のコメントが付くなど、活発な議論が交わされる話題もみられた。
○課題
@要因
- 書込み件数は増加したが、投稿者には偏りがみられる。「日常的にチェックはしているが、投稿はしない」というのが多数であると思われる。
- 使い勝手に関する投稿もあったように、トップ画面の見づらさ、操作の煩雑感等がある。
- 特別上級技術者の年代では、パソコン使用頻度が絶対的に少ない可能性も考えられる。議論の活性化のためには、パソコンに対する抵抗感が小さい若年層へのアピールが必要。
A実施済みの改善策
- タイトルバーをセクション毎に色分けることにより、視覚的にわかりやすい画面とした。
- メインメニューに「最新コメントを確認」を追加し、常時、最新コメントを簡単に確認できるようにした。
- 同種の意見を広く集めるため、セクション「サイトへの意見・要望」を設置し、広く意見を募集した。
B「サイトへの意見・要望」への投稿記事
- ユーザー登録画面をもう少しわかりやすく。
- 「セクション」?「トピック」の用語が混乱、また、「プライマリ」と「セカンダリ」なども聞き慣れない。もう少し平易な日本語で。
- 初心者でも利用しやすい様に工夫すべき。URL、HTMLタグなどの用語がわかりずらい。
- 分かりやすい表現を。
など、主に使用方法の説明に関する用語への意見が目立った。
Cさらなる改善のための方向性
- 土木学会HPトップページから迅速にJSCE.jpへ入れるよう検討。
- 投稿数を多くするための魅力あるページ作り(各種委員会のページの充実など)。
2.6.4 試験運用評価
試験運用の実施に際しては、事後の評価を的確に実施できるよう、事前に目標を定めて実施することとした。以下の各項目について、「目標」が事前に定めていた内容であり、各々についての評価を下記に示す。
○アクセスの数値目標
- 目標:委員会メンバー以外からの書込・意見提示が3月末までに50件。
- 結果:匿名可なので、委員会メンバー以外の実数は不明。全体では155通の書込み(投稿が48件、コメントが107件)。
- 対策:現行の情報受発信は広く社会全般との議論の場として設定しているが、ある程度対象を明確に絞り、対象に応じた周知方法・魅力ある画面づくりなどを工夫する必要があると認識(例えば、学生、教育関係者などターゲットを絞る)。また、対象毎に事務局内での分担も明確化する。社会全般への認知には時間がかかることが否めないことから、JSCE.jpを委員会内部の情報交換・共有の場として活用されるための改良をはかり、まずは会員間での周知をはかる必要がある。その上で、会員を通じて社会への認知度を高めていく必要がある。
○討論会への移行
- 目標:ここでのディスカッション・テーマを基盤としたリアルベースでの討論会を4月末までに1回開くこと。(場所は学会会議室程度でも可)
- Slash上で書込みが多かった題材をテーマとする。メンバーは、書込みを行った人+会長提言特別委員会関係者+登録回答者+公募。
- 結果:企画委員会主催の「土木学会トークサロン」とタイアップし、トークサロンの議題である高速道路の民営化をテーマとしたディスカッションをJSCE.jp上で展開した。JSCE.jp上で出た議論はトークサロンの参加者に紹介された。また、トークサロンでの議論はJSCE.jpでの議論を元に展開されたので、JSCE.jpでの議論は実際の議論をより深めるように作用したと言える。
- 対策:このような取組みを一過性のもので終わらせず、さらに継続・発展させるために、企画・広報部門にJSCE.jpの活動状況を説明し、今後、どのようなかたちで、JSCE.jpでの議論を討論会ベースに引き上げ、社会との対話の場として有益な場を提供できるかを調整・検討する必要がある。
○委員会活動へのフィードバック
- 目標:ここで出されたテーマが、いずれかの委員会活動に働きかけられること。(ディスカッションを基にした小委員会の発足やセミナー企画など)
- 結果:コンテンツ充実等を通し、委員会活動にフィードバックされる見通し。
- 対策:各委員会に引続きの働きかけを行う。