2.5 Slashシステムを用いた情報受発信の仕組みの構築
2.5.1 仕組みの具体化に関するコメント
情報の受信・発信機能に関する要求事項を、Slashシステムを用いた情報受発信の仕組みを用いて具体化するため、委員会等で意見を募り具体化作業を行った。
主要な意見とその対応を下記に示す。
- 回答の責任の所在、学会としての社会への情報発信の必要性に関しての議論の結果、今回提案する仕組みについて、学会として「議論の場」を提供するものであり、学会が公式見解を示すものではないと認識するが、議論の状況によっては、必要に応じてシンポジウムを開催するなどの対応をとることとした。
- 広く社会全般との情報受発信を考えた場合、誹謗・中傷などの意見への対応を図る必要があり、事務局に採否判断機能を持たせることとした。
- 純粋な意見交換を、意図的に引用されたりすることを避ける必要があるため、これらを利用規約に明記することとした。
- 情報交換をする場も重要であるが、啓蒙をはかるコンテンツも必要であることから、並行して検討することとした。
また、今回の取組みの範囲を超えるものであるが、今後の学会の情報戦略を考える上で有益な意見も多く、主要なものを下記に示す。今回は社会との繋がりを密接にするための第一歩として、情報の受発信システムを構築。今後、さらに検討が必要と認識された。
- 市民との直接の意見交換を求める前に、少なくとも脱ダム宣言や川辺川ダムなど市民との情報や意識の共有が失敗している象徴的な個別案件について、学会としての科学的な見解を示すべきであろう。あやふやな情報を基にした感情面からの政策論争ではなく、科学的裏付けを持った価値観の相違に基づく政策論争に誘導することこそが学会の役目ではないか。
- 学会を知ってもらうには、社会とのコミュニケーションを図ることと会員が情報発信することの両方が必要。社会とのコミュニケーション活動の実績がない状態でマスコミ対策をしても社会は認めてくれない。
- このような機能をWeb上に設けることも必要と考えるが、社会的問題に対しては学会としての見解を持って、積極的に発信しフォーラムを開催してほしい。
2.5.2 提案する仕組み
上述の各種意見・議論を踏まえて、Slashシステムを用いた情報受発信の具体的仕組み案を資料−3のとおり作成した。
社会との情報受発信の仕組みにおける要求機能として、各役割を下記のように定めた。
○事務局(Slash編集者)
- 一般、土木学会会員からの質問・意見(質問者は「技術的質問」、「社会的質問」のカテゴリー別に発信)を受付け、分類の確認・内容精査をした上でUPする。必要に応じて、質問者に内容確認をするとともに、不採用の場合は理由を沿えて質問者に返信する。
- 会員からの回答状況を確認し、一定期間回答が来ない場合は、一般会員へ回答要請、回答登録者へ回答要請を行う。
- 質問(意見)?回答の状況を確認。不適切な回答については、規約に従い削除などの対応をとる。
- 議論が白熱している場合には、回答登録者に論点整理を依頼するか、議論を打ち切るかの状況判断を行う。
○目利き
- 質問受け付け?回答に至る一連の流れの中でアドバイザー的役割を担う。
- 特に、議論が繰り返される、非常に白熱している等の場合には、議論の状況、論点整理結果に応じて、議論の収拾をはかる、あるいは学会として積極的に取組む必要がある事項については、シンポジウム等での議論を視野に企画・広報等の委員会での検討等議論の場を変更する。
- 学会として、社会へ積極的に情報発信すべき項目について、質問として学会へ投げかける。
○登録回答者
- 登録回答者はグループ毎に代表者を設置。
- 質問に対して会員からの回答がない場合、事務局から代表者への回答作成依頼に基づき回答を作成。
- 議論が白熱し、一定期間書込み期間が経過した話題について論点整理を行う。
○学会としての情報発信
- 社会的質問等で、議論が白熱する、あるいは、学会として社会に対して見解を公表する必要があると判断される重要なテーマについては、目利きの判断に応じて、企画委員会・広報委員会等が中心となり、特別委員会での検討、シンポジウムの開催などを通じて、社会に対して学会として情報発信する場を設ける。
2.5.3 JSCE.jpサイトの構築(資料―4参照)
JSCE.jpサイトは、Slashの提供する以下の機能を組み合わせ構築した。
@「記事、質問等の投稿」と「コメント」機能を利用した双方向性の確保
A「セクション」と「トピックス」機能を利用した情報の整理(資料−5参照)
B「フリーワード検索」機能
C「ID」と「パスワード」機能による情報管理
D「セマンティックWeb」機能による情報管理
この内、今回の会長提言特別委員会で求められる機能は、@、Aの機能の一部、Cである。その他の機能は、今後のシステム拡張性を示唆するためのプロットタイプとしての機能であり、H15年度以降このJSCE.jpを運営していく組織において、引き続き評価、改良、既存のHP機能との融合などが図られていくべき内容である。