研 究 討 論 会

東北における建設CALS/ECの現状と展開

五嶋正明(Masaaki GOTOU)
正会員 土木情報システム委員会幹事(パシフィックコンサルタンツ梶j


 座 長:五嶋正明(パシフィックコンサルタンツ梶j
 話題提供者:蒔苗耕司(宮城大学)
       森田義則(建設省東北地方建設局)
       羽田野恒(日本道路公団)
       加納 実(鹿島建設梶j
       岩渕善弘(兜恁嚥Z術コンサルタント)


はじめに

近年の情報技術(IT:Information Technology)の進展の速さには目をみはるものがある.建設CALS/ECの取り組みでは,発注者,設計者,請負者の連携が重要であるとともに,生産性の向上,技術開発を一体となって推進することが不可欠となる. 土木情報システム委員会では,土木CAD小委員会をはじめとして,建設CALS/ECの展開に大きな関心を持っており,今回は東北地方をフィールドとして,その現状と展開をテーマとした研究討論会を企画した.


話題提供と主な内容

1. 蒔苗耕司氏(宮城大学) 2. 森田義則氏(建設省) 写真−講演中の森田氏
3.羽田野恒氏(日本道路公団) 4.加納実氏(鹿島建設) 5.岩渕善弘氏(復建技術コンサルタント) 写真−講演中の岩渕氏
6.課題

討論の主な内容

話題提供の後,会場の参加者を交えて討論が行われた.主な質疑内容を記す.
 Q.
建設CALS/ECに関する情報や認識の格差はどのように埋めていけばよいのか.
 A.
発注者,設計者,請負者の連携が重要であることはわかって頂けたと認識する.その上で,CALS導入の効果について,いろいろな場面で提供していくことが必要となる.
 Q.
設計者や請負者の負担を軽減する方策はないのか.
 A.
建設業者は60万社といわれ,東北では約42,000社あり,全てが中小企業である.システムの構築やサーバー確保は大きな負担となるが,発注者等による外部サーバーの提供など,これからの検討も必要となる.
 Q.
わが国の設計情報の標準化はどうなっているのか.
 A.
標準化は,地理情報,図面,文書,スケジュール管理,電子調達等,さまざまな分野で求められ,その検討が進められている.特に設計というフェーズで見れば,それぞれが異なるCADシステムを利用している場合には,その交換を容易にするための中間フォーマットの存在が不可欠となる.また将来的にはISO10303通称STEPの適用が検討されている.

おわりに

建設CALS/ECを推進していく上で,まだまだ解決すべき課題が多く残されていることを再認識した研究討論会であった.この討論内容が,研究及び事業に携わる我々の方向性共有の参考となれば幸いである.