関東の土木遺産 関東の土木遺産
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栃木県
にっこういろはさか(だい1・だい2)
日光いろは坂(第1・第2)
R2年度認定(2020)
1.名 称:
にっこういろはさか(だい1・だい2)
日光いろは坂(第1・第2)
2.完成年:
第1いろは坂:1954(昭和29)年
第2いろは坂:1965(昭和40)年
3.形式等:
形式等:道路 第 1 いろは坂 延長 6,526 m、第 2 いろは坂 延長 9,468 m
4.推薦理由:
日光いろは坂は、日光山(輪王寺・東照宮・二荒山神社)と中禅寺湖畔を結ぶ道路である。日光山は766(天平神護2)年に勝道上人によって開山された。その後、勝道上人は782(天応2年)に男体山の治山治水の安寧を祈るため中禅寺湖畔に初めて登頂し、この時辿った道が日光いろは坂の原型とされる。このように、日光いろは坂の原型は山岳信仰のための道として拓かれ、修験者の修業を目的とした信仰の道として継承されてきた。その後、1874(明治7)年に外国人に対する内地旅行規則が制定され、外国人の国内旅行が許可されると脚光を浴びることになった。特に、日本鉄道による1885(明治18年の東北線(上野宇都宮間の開通、さらに1890(明治23)年の宇都宮から日光への鉄道乗り入れにより日光のリゾート地化が 萌芽し、多くの外国人たちが訪れるようになった。英国公司を始め、英国の外交官 アーネスト・サトウ、米国の動植物学者で大森貝塚の発掘でも有名なエドワード・モース、『日本奥地紀行』を著した英国の女性旅行家イザベラ・バード、英国の商人トーマス・グラバー等、蒸し暑い日本の生活における夏季の避暑地として賑わいと社交の場となった。また、1929(昭和4)年の東武鉄道(浅草日光間)の開通、さらに、1925(大正14)年の日光自動車が行なった馬返(いろは坂の起点から中禅寺湖畔中宮祠間の拡幅改修による自動車交通に対応した道路整備が、中禅寺湖畔のリゾート地・観光地としての位置付けを確固たるものとした。
その後、1952(昭和27)年の新道路法の制定とともに有料道路制度が導入されたのが契機となり、同年10月に「第1いろは坂有料道路」の建設申請が県から建設省(現国土交通者)に提出された。同年12月に許可が下り着手され、1954(昭和29)年10月に延長6,526m・幅員6mの新規道路が完成した(総事業費1億9700万円)。この「第1いろは坂有料道路」の完成は、有料道路としては全国で2番目、県営事業としてはわが国初の事業である(全国で最初の有料道路は「参宮有料道路(宮川-松坂間三重県松坂市」)。また、自動車利用による観光客のさらなる増大への対応として、往復交通だった「第1いろは坂有料道路」を下り専用とし、登り専用の「第2いろは坂有料道路」の建設が1963(昭和38)年7月に着工され、1965(昭和40)年10月に延長9,468mとして完成し現在に至っている。
新道路法の制定とそれを踏まえた「いろは坂」の整備は、観光客の鉄道から自動車交通への転換とその増加動向に大きく寄与した。1959(昭和34)年度に300万人に達した観光客数は、1961(昭和36)年度400万人、1963(昭和38年度500万人、そして1973(昭和48)年度には800万人を超えたが、この間、鉄道利用自動車利用の比率は1955(昭和30)年度には80%:20%だったものが、1965(昭和40)年前後には30%:70%に逆転することになる。
このように、「日光いろは坂(第1・第2)」は、山岳信仰を端緒とした信仰の道から、外国人を中心とした避暑・社交のリゾート地への交通路、そして一般大衆による観光道路へとその機能を変え現在に至っている。「第1いろは坂」は県営事業としてはわが国初の事業であり、また、有料道路としては全国で2番目の開通となる。鉄道から自動車交通への移行による現今の観光開発において、「いろは坂(第1・第2)」はその興隆・発展を牽引したわが国における先駆的観光道路であり、その記念碑とも言える重要な土木遺産として位置づけることができる。
なお、この「日光いろは坂」の名称は、「第1いろは坂」28カ所、「第2いろは坂」20カ所のあわせて48カ所のカーブ区間に由来するものと俗言され、各カーブには“いろは48文字”の表示板が設置されている。
5.所在地:
栃木県日光市
6.管理者:
栃木県 日光土木事務所
7.特記事項:
(1)ランクなし。
(2)管理者および関係省庁等と調整済み。
8.PR 方法:
(1)毎年開催している土木学会関東支部栃木会の「土木の日の集い」の中で、認定書・記念銘板およびパネル等の授与式を行い、県民への周知を図る。
(2)新聞各社はじめマスコミへの情報提供等を行なうとともに、土木遺産ツアー等を含めその活用を積極的に企画・推進する。
9.連絡先
栃木県日光土木事務所保全部長
〒321-1414 栃木県日光市萩垣面2390-7 tel 0288-53-1213

位置図・写真等
https://mapfan.com/pref/09

位置図・写真等

紅葉が美しい第2いろは坂

改修前のいろは坂

建設中のいろは坂
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