関東の土木遺産 関東の土木遺産
土木遺産の概要 施設位置図 施設一覧
   
栃木県/宇都宮市
とちぎけんぼうくうかんれんしせつぐん
栃木県の防空関連施設群
平成24年度認定(2012年)
■旧宇都宮飛行場掩体壕
旧宇都宮飛行場掩体壕 1.施設の概要
 栃木県で現存が確認された戦争遺産17件の内(「栃木県近代化遺産総合調査報告書」2003年,栃木県教育委員会)、防空に関連した土木遺産5施設である。これらの施設は、すでに地域おこしのイベントや地域史学習の教材として活用されているもの、さらに今後活用が検討されている施設である。
 栃木県内の掩体壕設計について、陸軍航空技術研究所の志岐武司中尉(東京大学建築学科卒)の関与が推察される言い伝えがあるが、旧宇都宮飛行場掩体壕および旧金丸原飛行場掩体壕との関わりについては明確ではない。また、施工は東京三宅坂にあった陸軍航空本部から送られてきた設計図を基に進められ、戸田組が担うとともに、また当時東京工業大学建築学科に在籍していた鍛冶豊之ほか3名も学徒動員で建技委託学生として工事に従事したとされる。現在、陸軍の掩体壕に関する設計図は残されていないが、海軍施設本部発行の資料が防衛研究所図書館に保管されており(「飛行機用有蓋掩體鋼製型枠構築法(Z6二型):昭和19年2月20日」)、施工法および数種の規模に応じた設計図が記載されている。それによると、掩体型枠は鋼製の湾曲したラチス梁(単位型枠4〜8枚)を用い、その上に木製パネルを敷いて支柱を支え、飛行機を覆う蓋はこの型枠に約40〜60pのコンクリートを打設し、さらに約50pの土を覆う構造となっている。当該掩体壕も、このような構築法による建造が彷彿される。現在、これらの掩体壕は、亀裂やコンクリートの剥離等があり鉄筋や木製型枠などむき出しになっている箇所もあるが、当時の原型を留め保存状態は概ね良好である。見学者も訪れ、案内・解説などその対応もおこなわれている。
 烏山防空監視哨と口粟野防空監視哨は、1941年の「防空監視隊令(勅令1136号)」の発令を受けて策定された「栃木県防空計画」により整備・建造された。県内には監視隊本部が3か所設置され、43か所の監視哨と4か所の補助監視哨が設けられた。烏山・口粟野の両監視哨は、外周直径約4.2m・内周直径約2.6mのコンクリート製喇叭型円筒形で、栃木県内に現存が確認されるのはこの2基のみである。ところどころ剥離はあるが、保存状態は概ね良好である。烏山防空監視哨は、全国近代化遺産活用連絡協議会が主催する「近代化遺産全国一斉公開事業」に那須烏山市の近代化遺産の一つとして2007年以降毎年公開されるとともに、市内のNPOによるツアー企画にも取り上げられるなどその活用が進められている。また、口粟野防空監視哨は、市史跡指定の検討などその保存・活用に向けた取り組みが検討されている。
■旧金丸原飛行場掩体壕
旧金丸原飛行場掩体壕
2.施設の諸元
所在地: @旧宇都宮飛行場掩体壕(2基):栃木県宇都宮市
A旧金丸原飛行場掩体壕:栃木県大田原市
B烏山防空監視哨:栃木県那須烏山市
C口粟野防空監視哨:栃木県鹿沼市
完成年: @昭和19(1944)年頃
A昭和19(1944)年頃
B昭和16(1941)年
C昭和16(1941)年
構造形式等: @RC造
ARC造
Bコンクリート造
Cコンクリート造
受賞理由: 掩体壕3基と監視哨2基の県下現存防空関連施設群で、特異な時代体制下における土木技術の一つの役割を伝える希少性に富む遺産
管理者: @栃木県経営技術課(問合せ:栃木県農業大学校)
A那須野が原カントリークラブ(問合せ:同)
B地権者(問合せ:那須烏山市商工観光課)
C地権者(問合せ:鹿沼市文化課)
■烏山防空監視哨■口粟野防空監視哨
烏山防空監視哨 口粟野防空監視哨
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