平成18年11月10日(金)、20日(月)、12月1日(金)の計3回、国土交通省関東地方整備局と土木学会関東支部共催で、『大学生向け 社会科見学 ~現場見学会~』を開催いたしました。本見学会は、将来土木の力の一翼を担う土木系の大学生を対象とし、将来の社会基盤となる東京外かく環状道路や、普段見ることができない首都圏外郭放水路といった土木施設を身近に感じ、自身のキャリアをデザインすることを目的に開催いたしました。

《東京外かく環状道路》

最初の見学場所は東京外かく環状道路(通称:外かん)です。外かんの専用部(高速道路)は現在、西の端は東京都練馬区の大泉ジャンクションで関越自動車道につながり、東は埼玉県三郷市の三郷ジャンクションで常磐道に接続し、その先の三郷南ICまで伸びています。将来的には東京都大田区~千葉県市川市を都心から半径約15kmで環状に結ぶ全体延長約85kmの幹線道路となります。
この外かんが完成すると、都心に集まる多くの高速道路や一般国道等を接続することから、都心に集中する交通を適切に分散します。 このように渋滞緩和に大きな役割を果たすとともに、交通ネットワーク機能が強化されます。さらに外かん(三郷市~市川間)が全線整備されると、CO2が年間約15万t削減することができるとのことです。 今回の見学では、現在千葉県松戸地区の地下約13mで行われている巨大な函渠工事と、実際に道路が完成した時を予想して作られたモデル道路や歩道橋を見学しました。 函渠工事では既に完成した函渠部分から工事中の函渠部分へと歩いて移動しましたが、歩いているところが将来の国道になると知って驚いている学生もいました。 モデル道路は一般部(一般国道298号)と専用部(高速道路)の外側に設けられる生活道路の完成形を模擬的に造ったものであり、ユニバーサルデザインを積極的に取り入れて道路が計画されていること、地域住民と話し合いの上、環境への配慮がなされていることなど、細部まで注意を払っていることに対し学生達は興味深く見学していました。なお、東京都葛飾区東金町から千葉県市川市高谷に至る延長約13kmの専用部(高速道路)千葉県区間は、平成27年度の開通を目指し工事が行われているとのことでした。  http://www.ktr.mlit.go.jp/3kanjo/

建設中の外かん

モデル道路を見学

《首都圏外郭放水路》

次の見学場所は首都圏外郭放水路です。
首都圏外郭放水路は埼玉県春日部市の地下約50mにあり、中川・綾瀬川流域の浸水防止を目的に作られた放水路です。地下河川としては日本一の規模を誇り、中川・綾瀬川流域1都2県34市町村、流域内人口327万人の生活を守っています。
首都圏外郭放水路は大落古利根川や中川、倉松川の水を5箇所の立坑から取り入れ、直径約10m、総延長6.3㎞の地下河川に流し、調圧水槽からポンプで吸い上げ江戸川に放水する洪水防止施設です。

今回の見学では、第一立坑と調圧水槽、旅客機のジェットエンジンを改造した排水ポンプを見学しました。

最初にインフォーメーションセンターの「龍Q館」で首都圏外郭放水路の概要、仕組みなど模型を使って説明を受けた後、「龍Q館」の屋上から施設の全景を見ながら説明を聞きました。その後、「龍Q館」の地下にある旅客機のジェットエンジンを改造した排水ポンプを見学しました。

この排水ポンプはなんと1台当たり14,000馬力もの出力を有し、外郭放水路では4台の排水ポンプで1秒間に200tの水(25mプール1杯分)を排水する能力があるとのことでした。
次は屋外に出て第一立坑と調圧水槽の見学です。第一立坑は実際に下までは降りませんでしたが、上から覗くと約70mの深さの立坑の底版付近に流入する直径10mのトンネル(地下河川)が小さく見えるほど深く、みな驚いていました。(高所恐怖症の人には過酷だったみたいです。)調圧水槽はTVや映画などで既に見たことがある学生も多かったようでしたが、実際に中に入ってみるとそのスケール感に圧倒されていたようでした。また、みな思い思いに写真を撮っていました。なお調圧水槽の上はグランドになっており地元の小学生がサッカーをして遊んでいました。

旅客機のジェットエンジンを改造した排水ポンプの原動機(14,000馬力)

古代神殿を想わせる調圧水槽

http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/works/saigai/sonae/gaikaku/index.html

最後に今回、見学会を開催したところ、参加者からの評判が非常によいことから、また見学会を企画する予定です。開催が決定しましたら当HPにも掲示しますので、今回参加された方も、されなかった方も振るってご参加ください。

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